金城一紀の『映画篇』に続いて、原田マハの『キネマの神様』を再読。
「ああ、おれはほんとに映画が好きだ。映画が好きで、映画を観続ける人生でよかった」「ずいぶん映画を観てきたつもりだったけど、おれが死んでからも、数えきれないくらいの名作が、生まれてくるんだろうな。ああ、畜生。それ、全部観たいなあ」
などのセリフに象徴される、映画と映画館への愛に満ちた好編。何度読んでも“キネマの神”の存在を信じたくなるようなパワーを感じる。本作に登場する架空の名画座「テアトル銀幕」の場所は市ヶ谷だが、お隣の飯田橋に実在するギンレイホールとイメージが重なるところがある。
以前読んだ時よりも、名画座を取り巻く状況はさらに悪化し、閉館を余儀なくされた所も少なくない。現実は厳しく、本作で描かれるフランク・キャプラの映画のような、神業のような奇跡は起こらないが、だからこそ、解説で片桐はいりが書いたように、「正しい事実より、楽しい作り話の方が好き」なのだ。
以前取材した「違いのわかる映画館」飯田橋ギンレイホールはこちら↓
http://season.enjoytokyo.jp/cinema/vol08.html
作中や解説にも登場するシネスイッチ銀座(旧銀座文化)はこちら↓
http://season.enjoytokyo.jp/cinema/vol12.html