田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『隠し砦の三悪人』『用心棒』『椿三十郎』

2020-01-06 09:21:13 | 映画いろいろ
(1979.10.25.蒲田宝塚)


 テアトル東京(75.9.24.)で見た『七人の侍』(54)以来の、映画館での黒澤体験となった3本立て。これで完全に黒澤映画の虜となったのだ。当時の「一言メモ」が残っていた。
 
『隠し砦の三悪人』(58)
 三船敏郎が豪快! 千秋実と藤原釜足のやり取りが笑わせる。彼らに囲まれた姫役の上原美佐は精いっぱいな感じがした。三船と藤田進の一騎打ちは見応えあり。
 
『用心棒』(61)
 『荒野の用心棒』(64)に盗用されただけあって、西部劇を思わせるストーリー展開をみせる。三船敏郎はもちろんだが、東野英治郎、渡辺篤ら脇役陣も面白い。
 
『椿三十郎』(62)
 『用心棒』の続編的な映画。若侍の中に若大将(加山雄三)と青大将(田中邦衛)がいるのが傑作。立ち回りのすごさと話の面白さがうまくマッチしている。 
 
 この後、3本とも、もう何度見たことだろうか。
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『アイリッシュマン』

2020-01-06 08:21:38 | 新作映画を見てみた
 
 1950年代のフィラデルフィア。トラック運転手のシーラン(ロバ―ト・デ・ニーロ)は、イタリアンマフィアのボス・ラッセル(ジョー・ペシ)の手下となり、殺人を繰り返す。そんな中、ラッセルは全米トラック運転手組合長のジミー・ホッファ(アル・パチーノ)にシーランを紹介。ホッファはシーランをボディガードとして雇う。だが、ホッファとマフィアとの関係が悪化。1975年、ラッセルはシーランにホッファの暗殺を命じる…。
 
 実話を基に、運転手組合とマフィアの双方と関わり、“アイリッシュマン”と呼ばれたシーランの半生を、彼の回想の形で描く。監督はマーティン・スコセッシ。Netflix製作の約3時間半にも及ぶ長編である。
 
 そんなこの映画は、スコセッシ十八番のマフィア話を、主人公シーランを挟んだ男同士の心理的な三角関係劇として、彼お得意の移動撮影やスローモーション、そして印象的な既存の音楽を使って、普通の映画の約2本分の時間を費やして描いている。
 
 ところが、スコセッシの弱点であるストーリーテリングの粗雑さや甘さは今回も解消されてはおらず、長尺の割に、見終わった後の印象は薄い。ある意味、いつものスコセッシだった。ただ、ラストにシーランの告解を持ってくるところは、『沈黙 -サイレンス-』(16)を撮った後のスコセッシの心の変化が表されているのかもしれないと感じた。音楽プロデュースは元ザ・バンドのロビー・ロバートソン。時折、伊福部昭の『ゴジラ』『ラドン』を思わせる旋律が流れたのが印象に残った。
 
 さて、全体の出来はともかく、この映画は、今の映画製作の上で、新たな二つの可能性を示したとも言える。一つは、特殊メークではなく、CGを使って風貌を調整することで、一人の俳優が若き日から老年までを演じ切ること。もう一つは、ネット配信という形を取ることで、普通の映画の約2倍の長さでも上映できることだ。
 
【おまけ】改めてこうして並べてみると、この三者の共演には感慨深いものがある。
デ・ニーロ+ペシ+スコセッシ
『レイジング・ブル』(80)『グッドフェローズ』(90)『カジノ』(95)
デ・ニーロ+ペシ
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(84)『グッドシェパード』(06) 
デ・ニーロ+パチーノ
『ゴッドファーザーPARTⅡ』(74)『ヒート』(95)『ボーダー』(08)
 
 
    
 
 
 
 
 
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