ブロードウェイや劇団四季の公演でも有名な、T・S・エリオット原作、アンドリュー・ロイド・ウェバー作曲の舞台劇を映画化。監督はトム・フーパーで、『レ・ミゼラブル』(12)以来2度目のミュージカル映画の演出を担当した。
主人公のヴィクトリア役にロンドンロイヤル・バレエのフランチェスカ・ヘイワード、そのほか、大ベテランのジュディ・デンチ、イアン・マッケラン、喜劇畑のジェイソン・デルーロ、レベル・ウィルソン、個性派イドリス・エルバ、ジェームズ・コーデン、そしてジェニファー・ハドソン、テイラー・スウィフトらが“猫”を演じる。
ロンドンの裏町を舞台に、ジェリクルムーンの夜に、猫たちが集まって天井に上る1匹を選ぶ様子が描かれるのだが、ストーリーらしきものはなく、何だか各キャラクターの顔見世興行を見せられたような気になる。
そして、擬人化された猫たちの珍妙なリアルさに違和感を覚えて思わず失笑してしまった。デンチなど、まるで『オズの魔法使』(39)の弱虫ライオンのように見える。「メモリー」をはじめとする楽曲、キャストの歌とダンス(猫の動き)などは見事なのだろうが、全体的には、珍妙なものとしか思えなかった。