桂雀々が落語会で扮した寅さんの風貌が似ていたことから山田洋次監督が着想し、設定を現代の大阪に置き換えて“贋作”として製作したもの。
最初は違和感があったが、慣れてくると思いのほか楽しめた。前半は吉永小百合の歌子がマドンナだった『~柴又慕情』(72)を松下奈緒で、後半は太地喜和子のぼたんの『~寅次郎夕焼け小焼け』(76)を田畑智子でリメークしていた。
東京・葛飾柴又の帝釈天参道は、東大阪市の石切神社参道に代わっている。ここは『~浪花の恋の寅次郎』(81)にも登場したが、帝釈天参道と雰囲気が似ていて驚いた。というよりも、日本中にある門前町は皆どこか似ているということか。
演技は素人の雀々が随分頑張っていた。もちろん渥美清とは比べるべくもないが、あくまで贋作ということで。
ほかにも、さくら(常盤貴子)、おっちゃん(綾田俊樹)、おばちゃん(松寺千恵美)、タコ社長(曾我廼家寛太郎)と、関西出身者や、関西で活躍する俳優を集めていたが、彼らが皆いい味を出していた。
特に、本物の『男はつらいよ』シリーズで、関西弁のくるま屋の店員・三平役を演じてきた北山雅康が博役で登場してきたのが楽しかった。
また、山本直純の音楽をそのまま使っていたので、改めて絶妙ないい音楽だったと気づかされた。