『イーディ、83歳はじめての山登り』(17)(柏キネマ旬報シアター)
イギリスに住む83歳の主婦イーディ(シーラ・ハンコック)が、昔、父と登るはずだったスコットランドのスイルベン山への登頂を目指す姿を描く。
山好きの妻に誘われて見た。そして、こちらの勝手な思い込みだが、登山を通して、老人の夢の実現と頑張りを描いた感動作を予想していたら、これが大間違いだった。
主人公のイーディは、ひたすら亡くなった夫を恨み、自分は被害者だったと一方的に主張するわがままで頑固な老人。しかも、自分の夢のために周囲に迷惑をかけながら、他人の親切や助言には耳を貸そうとはしない。それに加えて、まだ女としての生々しさも感じさせる、という何とも厄介なキャラクター。彼女を見ていると、腹が立つやら、気分は悪くなるわで本当に困った。
もっと彼女の人間的な魅力や心の変化を見せろ、とまでは言わないが、もう少しキャラクターの設定や描き方を考えるべきではなかったのかと思う。例えば『ドライビング Miss デイジー』(89)のように。