『L.A.コールドケース』(2022.7.12.オンライン試写)
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元ロサンゼルス 市警のラッセル・プール(ジョニー・デップ)は、1997年に発生した HIPHOP界のスター、2パックとノトーリアス・B.I.G.の射殺事件から18年たった今も、事件の真相を一人で追い続けていた。
2人のラッパーの死は様々な憶測を呼び、対立する所属レーベル「デス・ロウ・レコード」と「バッド・ ボーイ・レコード」同士の報復合戦が招いた悲劇ともうわさされたが、現在に至るまで犯人は特定されず、真相はいまだに深い闇に包まれているのだ。
一方、独自に事件を探っていた記者のジャック(フォレスト・ウィテカー)は、プールのもとを訪れ、真相の究明に協力するが、やがて2人の前に、新たな事実が浮かび上がる。
監督のブラッド・ファーマンは、実話を基にした事件を、生真面目に描いてはいるのだが、人物説明や現在と過去の織り込み方に少々雑なところがあるので、いかんせん分かりづらいところがあって、見ながらもやもやしてくるのが残念だった。ただそれは、こちらがこの事件のことを全く知らなかったということもあるのかもしれないとも思った。
ところが、プロデューサーのミリアム・シーガルの「これは推理映画ではない。いろいろな人が疑われているけれど、映画の中心テーマはそれではない。これは、終わりのない物語。誰がやったのか分からないし、誰を信じたらいいのかも分からない。確固たる証拠がないのだから。むしろ、犯人を探し出したいというプールの熱意を描いている」という談話を読んで、もやもやの原因が分かった。自分は推理ものとしてのすっきりとした展開を望み過ぎていたのかもしれないと。
この事件の背景に、91年に起きたロドニー・キング事件からロサンゼルス暴動という流れがあったことも知らされ、改めて根深い問題であることを考えさせられた。
2018年製作の映画で原題は「CITY OF LIES」。デップ、ウィテカーと名のある俳優が出演し、それほど悪い出来ではないのに、今まで公開されなかった理由は何だったのだろう。
『炎のデス・ポリス』でサイコキラーをやっていたドビー・ハスが、この映画では定年間近の真面目な刑事役をやっていた。なかなか面白い俳優だ。
By the Way. プールの息子が野球選手という設定で、試合や練習の場面が何度か映るが、彼の所属チームはマイナーなのか、それともノンプロのようなものなのか、はたまた架空のものなのかなどと、ちょっと興味が湧いた。