『シング・フォー・ミー、ライル』(2023.3.15.ソニー・ピクチャーズ試写室)
ニューヨークの古びたペットショップを訪れたショーマンのヘクター(ハビエル・バルデム)は、奇跡のような歌声を持つ小さなワニのライル(歌:ショーン・メンデス)と出会う。ヘクターはライルを相棒にしようとするが、ライルのステージ恐怖症が判明すると、ライルを残して去ってしまう。
それから数年がたったある日、成長したライルが隠れ住む家に少年ジョシュ(ウィンズロウ・フェグリー)と両親(スクート・マクネイリー、コンスタンス・ウー)が引っ越してくる。歌うことをやめていたライルは、次第にジョシュと心を通わせていく。
アメリカの児童文学作家バーナード・ウェーバーの絵本『ワニのライル』シリーズを実写映画化したミュージカル。監督はウィル・スペック&ジョシュ・ゴードン。劇中曲の作詞・作曲をベンジ・パセック&ジャスティン・ポールが担当。
そもそも、人間のペットになるクロコダイル、しかも歌を歌うという突拍子のなさに面食らうが、まあこれは『パディントン』などのワニ版ということなのかな。
捨てられたペットのワニが狂暴化して人を襲う『アリゲーター』(80)などという映画もあったが、実際のところ、隠れては虫類を飼われるのはぞっとしないので、心底親しめないところもあった。
また、今回は、吹き替え版(ヘクター:石丸幹二、ライル:大泉洋)で見たので、オリジナル曲の良さがいま一つピンとこなかった。その分、既成曲の「愛しのデューク」(スティービーワンダー)、「クロコダイル・ロック」(エルトン・ジョン)が流れると安心するところもあった。昔の吹き替えは、歌はそのまま残したが、今時は全て吹き替えてしまう。これでは“別の映画”になってしまうような気がするのだが。
“似合わない役”をバルデムが頑張って演じていた。