増山江威子さんは不思議な声優だった。何しろ、「キューティーハニー」のハニーや「ルパン三世」の峰不二子をセクシーに演じたかと思えば、「天才バカボン」のママや「一休さん」の母上さまなど、いわゆる“いいお母さん”もきちんと演じたのだから。
その意味では、「巨人の星」で星飛雄馬を惑わす歌手の橘ルミとけなげな左門豊作の妹ちよの両方を演じているのが象徴的だ。
洋画の吹き替えではアン・フランシスとリー・レミックが多かった。こちらはどちらかと言えばセクシー路線の方かな。
初期の吹き替えは、演劇では食えない新劇出身の人たちがアルバイト的にやっていたケースが多かった。その後、声の仕事が定着し、“声優”が専門職のようになったが、本来彼らは“俳優”なのだから、ちゃんと演技ができたのだ。もちろん増山さんもその一人だ。
歌手としては
「さるとびエッちゃん」の主題歌(作詞・山元護久、作曲・宇野誠一郎)
https://www.youtube.com/watch?v=YVNmCr7K2sI
「アンデルセン物語」の「キャンティのうた」(作詞・井上ひさし、作曲・宇野誠一郎)
https://www.youtube.com/watch?v=iHMhKO6RBms
どちらも宇野誠一郎による名曲だ。