「島根マルチバース伝」(NHKプラス)
28歳のひかり(桜庭ななみ)は、高校演劇で神童と呼ばれ、女優になることを夢見ていたが、今は地元のスーパーでアルバイトをしながら、「自分が輝けないのは島根にいるせいだ!」と家族や友人に愚痴りながら過ごしていた。
ある日、怪しいマスター(佐野史郎)の店に入ると、「あなたが輝くはずだった人生を見てみますか?」と言われる。そして別のバース(異なる選択をした人生)を生きる自分を目撃するが、そのどれもが理想とは程遠い姿ばかり。そんな時、妹から地元の市民劇に誘われて…。
NHK松江放送局が制作した、島根発の地域ドラマ。稚拙なところもあるが、面白いドラマだった。
島根から一度も出たことがないことを嘆くひかりが、マルチバースを体験することで変わっていく姿は、自分の住む街から一度も出たことがない主人公のジョージ(ジェームズ・スチュワート)が、二級天使(ヘンリー・トラバース)によって、自分が生まれなかった世界を見せられることで大切なことに気付くという、フランク・キャプラ監督の『素晴らしき哉、人生!』(46)と重なる。
ここでは佐野が演じた怪しいマスターが天使の役割を果たすわけだ。脚本の竹田モモコは、多分この映画を意識したと思われる。
また、劇中でひかりが口ずさむ、アニメ「はじめ人間ギャートルズ」のエンディング曲「やつらの足音のバラード」の作詞は島根県松江市出身の園山俊二(作曲はかまやつひろし)。この選曲もなかなかいい。そして時々『アルフィー』(66・バート・バカラック)みたいな音楽も流れてきた。
Alfie
https://www.youtube.com/watch?v=_907Odc57-A
やつらの足音のバラード
https://www.youtube.com/watch?v=d1EUwrd0Mmg
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