田中雄二の「映画の王様」

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『ドノバン珊瑚礁』

2019-04-09 12:46:55 | 1950年代小型パンフレット
『ドノバン珊瑚礁』(63)(1987.7.13.)



 南太平洋の孤島に暮らす医師のデダム(ジャック・ウォーデン)は、ボストンにいる娘(エリザベス・アレン)に内緒で、現地の女性と結婚し3人の子供をもうけていた。ところがある日、娘が島にやってくるという知らせが届く。慌てた島民たちは、親友のドノバン(ジョン・ウェイン)を子供の父親ということにするが…。南海の美しい島を舞台に、戦友たちの友情、家族愛、そして男女の愛を描く。

 ジョン・フォード、晩年の一作。以前見た時のメモでは「最後に女の尻を引っ叩くところでジョン・ウェインの面目躍如」「けんか友達のリー・マービンは鉄道模型が好きだったのか」などと、能天気なことを書いていたが、数々のフォード映画を見た今となっては、この映画は必ずしも成功作ではないと感じた。

 孫のダンが書いた『ジョン・フォード伝』によると、この映画は、変革期のハリウッドにあって、自分のスタイルを崩せず、あせりいら立つフォードが現実から逃避し、登場人物たちに自らの夢を託しているところがあるという。そのせいか、本来はもっと笑えるはずなのに素直に笑えないところがあるし、過去のフォード映画に見られた“魔法”も薄れている気がする。今回は、何だか巨匠の落日を見る思いがして切なくなった。

ジョン・ウェイン


リー・マービン


ジャック・ウォーデン


ドロシー・ラムーア

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