『踊る大紐育』(49)
ブロードウェーミュージカルの映画化。24時間の休暇でニューヨークへやってきた3人の水兵(ジーン・ケリー、フランク・シナトラ、ジュールス・マンシン)の恋と大騒動を描く。
冒頭とラストの「ニューヨーク、ニューヨーク」(後にシナトラが歌った曲とは別物)をはじめ、「ミス・ターンスティルズ」、「メイン・ストリート」、「プレヒストリック・マン」などの名曲も多く、アカデミー賞でミュージカル映画音楽賞を受賞した。
ケリーがスタンリー・ドーネンと共に監督、振り付けも担当し、ダイナミックで躍動的なパフォーマンスを披露。画期的なロケーション撮影とレナード・バーンスタインの音楽は、形を変えて、後の『ウエスト・サイド物語』(61)に引き継がれている。
さて、この映画の前に『錨を上げて』(45)の存在がある。
どちらも、休暇をもらった水兵の話だが、『錨を上げて』はケリーとシナトラの二人組で、舞台はハリウッド。休暇の期間は4日間ということもあり、いろいろと盛り込み過ぎて結局140分になるなど、テンポが悪い。
一方、『踊る大紐育』は、ケリー、シナトラ、マンシンという三人組で、舞台はニューヨーク。休暇を1日に限ったことで(時間経過まで表示する)テンポよく話が進み、98分で収まった。しかも相手役にベラ・エレンとアン・ミラーを得ている。
この違いは、前者の製作ジョー・パスターナク、監督ジョージ・シドニーと、後者のアーサー・フリード、ドーネン&ケリーの力量の差によるものか。日本では『踊る大紐育』が51年に公開され、その2年後に『錨を上げて』が公開されたというから、当惑した人もいたのでは、と思われる。
自分は、どちらも、最初は『ザッツ・エンターテインメント』(74)内の名場面集の一つとして見たのだが、改めて『錨を上げて』の本編を見た時(1985.10.25.銀座文化.併映は『バンド・ワゴン』)に、ひどく退屈させられたことを覚えている。
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