トラウマからの解放を描いた心理劇
記憶を失い、車上生活を送る名越進(綾野剛)の前に、ある日、医学生の伊藤学(成田凌)が現れ、頭がい骨に穴を開け、第六感を芽生えさせるトレパネーション手術をすることを持ちかける。
術後、名越は、右目をつむって左目で見ると、人間が異様な形に見えるようになる。伊藤は「他人の深層心理が視覚化されて見えている」と説明し、その異形をホムンクルスと名付ける。名越はその能力を使って心に闇を抱える人たちのホムンクルスを消していくが…。
カルト的な人気を誇るという山本英夫の漫画を清水崇監督が映画化。ホムンクルスとは、ラテン語の小人の意味で、ヨーロッパの錬金術師が作り出す人造人間、あるいはそれを作り出す技術のことを指すらしい。
この映画のホムンクルスは、グロテスクだったり滑稽に見えたりもするが、それを見せることが主体ではなく、超常現象を媒介としたトラウマからの解放を描いた心理劇的な要素が強かった。
見る前は、清水監督故、もっとホラーっぽいものを想像していたのだが、そこは大きく違っていた。まあ、大山鳴動してネズミ一匹という感もなくはないのだが…。成田凌のエキセントリックな魅力が全開。むしろ彼が演じた伊藤の方が主人公に見えてくるほどだった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます