田中雄二の「映画の王様」

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『プレゼンス 存在』

2025-03-08 00:53:47 | 新作映画を見てみた

『プレゼンス 存在』(2025.3.6.オンライン試写)

 崩壊寸前の4人家族が、ある大きな屋敷に引っ越してくる。10代の娘クロエ(カリーナ・リャン)は、家の中に自分たち以外の何かが存在しているように感じる。“それ”は一家が引っ越してくる前からそこにいて、他者には知られたくない家族の秘密を目撃する。母(ルーシー・リュー)や兄に好かれていないクロエに“それ”は親近感を抱く。一家とともに過ごしていくうちに、“それ”は目的を果たすためにある行動に出る。

 『トラフィック』(00)や「オーシャンズ」シリーズ、『コンテイジョン』(11)などを手掛けたスティーブン・ソダーバーグ監督が、ある屋敷に引っ越してきた一家に起こる不可解な出来事を、全編を通して幽霊の一人称視点で描いた新感覚のホラー。脚本は「ジュラシック・パーク」シリーズや「ミッション:インポッシブル」シリーズなどのデビッド・コープ。

 この小品とも呼ぶべき映画の味わいは、ホラーというよりも心理ミステリーの一種と言った方が近いかもしれない。幽霊の目線に合わせて自分も他人の生活をのぞき見しているような不思議な感覚に襲われるが、画面が揺れるので酔いそうになるのが難点。84分でまとめたためか、登場人物の心理面にはあまり深入りせず、省略も目立ったが、その分観客の想像に任せるようなところもある。

 ただ、アメリカのティーンエイジャーの間ではこんなふうに日常的に薬物が使われているのかと思うと、幽霊よりもそちらの方が怖かったりして。また、幽霊目線と言えば、白い布をかぶった夫の幽霊が妻を見つめる『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』(17)のことを思い出した。


『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/f387c4bc3b411067f6a99b4040bad003


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