笑ってばかりもいられない怖さを感じる
ライドシェアアプリ「スプリー」のドライバー、カート・カンクル(ジョー・キーリー)は、10年間動画を投稿し続けているが、視聴者数が2桁に届くことは滅多にない。
だが、ある日カートは、SNS上で評判となり、フォロワーも増大するであろう画期的なアイデアを思いつく。それは、ライドシェアを利用する乗客を殺害し、その一部始終を生配信することだった。
だが、次々と客を殺し、ライブ配信したものの、わずかな視聴者からは「フェイク」「面白くない」「才能なし」などとバカにされる始末。有名になるためには、もっと刺激的な映像が必要だと考えたカートの犯行はさらにエスカレートしていく。
注目されるためには何でもするというカートの行動を、異常に感じたり、ばかばかしいと一蹴するのは簡単だが、実はこうしてブログで発信している自分も、毒されているのかと考えると、笑ってばかりもいられない怖さを感じる。
監督は、ウクライナ出身のユージーン・コトリャレンコ。アプリ、メール、コメント、おびただしい数のディスプレーとライブ配信を視覚的に組み込みながら、映画的なストーリーテリングを展開させ、行き過ぎたインフルエンサー文化、承認欲求、麻痺した暴力性への風刺を映画に込めたのだという。
また、『群衆の中の一つの顔』(57)『タクシードライバー』(76)『ネットワーク』(76)『誘う女』(95)『アメリカン・サイコ』(00)などを参考にしたらしい。
それを聞くと、『search サーチ』(18)や『THE GUILTY ギルティ』(18)同様、最先端の映画だが、ちゃんと過去の映画から学んでいることがよく分かる。
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