田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『神さま待って!お花が咲くから』

2024-01-28 10:26:57 | 新作映画を見てみた

『神さま待って!お花が咲くから』(2024.1.27.オンライン試写)

 小児がんで幼い頃から入退院を繰り返してきた11歳の少女・森上翔華(新倉聖菜)は、主治医の脇坂(北原里英)の許しを得て、6年生の1学期から再び学校へ通うことに。

 しかし期待に胸を膨らませて登校した彼女が目にしたのは、まとまらないクラスと自信を失った気弱な担任教師(秋本帆華)の姿だった。奇跡を信じる翔華は、周りを笑顔に変えていくことを決意。そんな彼女の存在は、次第に多くの人たちの心に変化をもたらしていく。

 広島県の福山を舞台に、小児がんを患いながらも、12年の生涯を明るく生き、絵本『そらまめかぞくのピクニック』を残した少女のエピソードを基に描く。

 オーディションで選ばれた新倉が映画初出演で主役を務め、翔華の両親を布川敏和と渡辺梓、小学校の校長を高畑淳子、入院患者を曽我廼家寛太郎、病院に現れる謎の女性を竹下景子が演じる。監督は『天心』(13)『ある町の高い煙突』(19)と“実録もの”を撮った松村克弥。今回も形は違うが実録ものだった。

 子どもを主人公にしたいわゆる“難病もの”は数多く作られており、見ていてつらくなるのは必定。この映画も主人公の翔華が明るくポジティブに振る舞い、新倉も好演を見せるので、余計けなげに見えてやるせない思いがした。

 製作意図としては、翔華が周囲に与えた影響を通して、彼女が確かに生きた証しを描きたかったのだろう。その点では、ジョン・タートルトーブ監督、ジョン・トラボルタ主演の『フェノミナン』(96)のことを思い出した。


『フェノミナン』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/0324a6ed6f5bee15a99b3c53843bb98b

明治人の気骨や芸術家魂を浮かび上がらせた『天心』
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/60783

『ある町の高い煙突』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/ef0fb4c7c7980b91252fb1e31664892a


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【インタビュー】『白日青春... | トップ | 東急文化会館(建築家・坂倉... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

新作映画を見てみた」カテゴリの最新記事