田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『バタリアン』

2015-02-08 19:09:01 | 映画いろいろ

いまさらながら面白かった『バタリアン』

 公開当時はばかにして見なかった『バタリアン』(85)をテレビで見る。



 監督、脚本は『エイリアン』(79)や『スペースバンパイア』(85)の脚本で知られるダン・オバノン。ホラーなのにコメディー的な要素が非常に強いこの映画は、もともとジョージ・A・ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』(68)のパロディー(続編?)として作られたから、原題は「ザ・リターン・オブ・ザ・リビング・デッド」。

 「バタリアン」は日本の宣伝会社(東宝東和)が独自に付けたタイトルとのこと。後に「オバタリアン」なる漫画や流行語を生んだことからも、宣伝の仕方や日本語の吹き替えが効果的だったことが分かる。

 さて、ホラー(特にゾンビ物)とコメディーは紙一重なのだが、この映画は特に、クルー・ギャラガーやジェームズ・カレンの全く緊張感のない演技、ユニークなゾンビのキャラクターなど、あまりにばかばかしくて、いまさらながら面白かった。ばかばかしさも極めれば一流に成り得るのか?

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【ほぼ週刊映画コラム】『はじまりのうた』

2015-02-07 18:30:38 | ほぼ週刊映画コラム
TV fan Webに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

音楽が人を幸せにすることを実感させられる
『はじまりのうた』



今週の名台詞は↓

「音楽は平凡な風景を真珠の輝きに変える魔法を持っている」
byダン(マーク・ラファロ)


詳細はこちら↓
http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/987076
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日本映画横断・東映時代劇の世界 『風雲児 織田信長』

2015-02-07 14:25:58 | 映画いろいろ

 フィルムセンターの日本映画横断・東映時代劇の世界で、『風雲児 織田信長』(59)を再見。



 尾張の大うつけと呼ばれた若き日の織田信長が、桶狭間で今川義元を討つまでを1時間半余りでテンポ良く描くこの映画は、未見のモノクロ、スタンダード作『紅顔の若武者・織田信長』(55)の後半部分を、カラー、ワイドでリメークしたものらしい。

 両作で信長を演じた中村錦之助(後の萬屋錦之介)は、生涯ほとんど時代劇一筋に演じながら、その中でさまざまな変化を見せた稀有な存在だ。その身上でもある少々大げさでエキセントリックな演技が、26歳時のこの映画ですでに極められていたことがよく分かる。信長の代名詞でもある、人間五十年~の「敦盛」を舞う姿も圧巻。

 ところで、甘える信長に対して、慈愛に満ちた厳しさで接する守役の平手政秀(月形龍之介)という関係は、二人が演じた『一心太助』シリーズの太助と大久保彦左衛門、『水戸黄門 天下の副将軍』(59)の松平頼常と光圀、そして少し形は異なるが、『宮本武蔵 般若坂の決闘』(62)の武蔵と日観のそれをほうふつとさせるものがある。

 この時期の東映時代劇の魅力の一つは、若きスター(錦之助、東千代之介、大川橋蔵ら)と、彼らを脇で支えた重鎮(月形、大河内傳次郎、進藤英太郎、山形勲ら)とのバランスの妙にあったのではあるまいか。

 もちろん、信長の若き日にあるはずのない天守閣を持つ城が現れるなど、おかしな場面もなくはないのだが、ジョン・フォードの『リバティ・バランスを射った男』(62)の名台詞「西部では伝説が事実となる」ではないが、この映画も、史実よりも一般に広まっている信長伝やイメージの方を重視したのだろう。細かいリアリティーにこだわらない方が映画が面白くなることもある。大画面で見ると馬やエキストラを使いこなしたスタッフの職人技にあらためて感嘆させられた。

 監督:河野寿一、脚本:結束信二、撮影:坪井誠、音楽:富永三郎、原作:山岡荘八

その他の出演者は、濃姫=香川京子、木下藤吉郎=中村賀津雄、斎藤道三=進藤英太郎、今川義元=柳永二郎、蜂須賀小六=戸上城太郎、丹羽長秀=里見浩太郎、森可成=織田政雄、林通勝=沢村宗之助、柴田勝家=阿部九州男、池田恒興=徳大寺伸、佐久間信盛=中村歌昇、加賀邦男、風見章子ほか。

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『任侠映画のスタアたち』発売

2015-02-03 09:16:22 | SCREEN スクリーン

執筆を担当した
デラックス近代映画『任侠映画のスタアたち』(近代映画社)が発売に。



東映退社後の健さんの歩みなどいろいろと書かせていただきました。

ぜひご一読を↓
http://www.amazon.co.jp/dp/4764871831/

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浪曲的西部劇 『OK牧場の決斗』

2015-02-03 08:46:23 | 映画いろいろ

 アメリカ西部史上に名高い、アープ兄弟とクラントン一家のOK牧場での対決をクライマックスとする名作西部劇『OK牧場の決斗』(57)を再見。

 同じ題材を描いたジョン・フォードの『荒野の決闘』(46)のような詩情はないが、いかにもジョン・スタージェスらしいテンポのいい運びと小気味のいいアクションに加えて、フランキー・レインの歌をつなぎに使った浪曲(浪花節)的な構成が面白い。

 例えば、口笛を導入としたレインの歌につれて、正面の丘から馬に乗った三人の悪党の姿が現れるというファーストシーンでいきなり見る側の興味を引く。これは、オープニングに「ハイヌーン」が流れ、悪党が姿を見せる『真昼の決闘』(52)をほうふつとさせる。音楽はどちらもディミトリ・ティオムキン。どちらも悪党の中にリー・バン・クリーフがいる。

 中盤、兄を助けるために馬車を操ってトゥームストーンに向かうワイアット・アープ(バート・ランカスター)のバックに流れるレインの歌。それを単騎で追うドク・ホリデイ(カーク・ダグラス)。そこで交わされる「俺も一緒に行くぜ」(ドク)。「勝手にしろ。ここは自由の国だ」(ワイアット)という、ぶっきらぼうで短いセリフの中に、二人の友情が端的に表現される。

 そしてブーツヒルの墓地の横を通ってトゥームストーンの街に入る二人。ここでまた、レインが歌い上げて盛り上げる。まるで道行を思わせるような名場面だ。

 この映画では、ダグラスが主役のランカスターを完全に食ってしまっている。演じる側としては、法の番人足らんとするワイアットよりも、あくが強く屈折した性格のドクの方が演じがいがあるのだろう。

 ところで、ドクの情婦のケイトを演じたジョー・バン・フリートは、もともとは舞台の名女優で映画出演は少ないが、『エデンの東』(55)でジェームス・ディーン、『暴力脱獄』(67)でポール・ニューマンの母親役を演じている。アクターズ・スタジオ出身の二人の名優の母親役を演じた唯一の女優なのだ。

 

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テアトル新宿にほど近い店で映画談議

2015-02-02 08:58:02 | 俺の映画友だち

 テアトル新宿にほど近い店で映画仲間と映画談議。昭和を意識した店内には、東宝の「駅前」「クレイジーキャッツ」映画の看板が掛かっていた。今回は、新宿の映画館事情や『インターステラー』の話で盛り上がる。



 「テアトル新宿」には「違いのわかる映画館」という連載ルポで2012年の夏に取材したことがあった。
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/94cbe03ee025dd74a78902b1db632424

 ところで「違いのわかる映画館」といえば、2012年の春に取材した「シネマート六本木」が近く閉館するという。
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/9c5c6fe9f05dab384ac27282f58c2a8b

 なじみの映画館が次々に消えていくのは寂しい限りだ。

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「もうひとつのニュー・シネマ・パラダイス~トルナトーレ監督のシチリア~」

2015-02-02 08:31:57 | 映画いろいろ

 NHK BSで「もうひとつのニュー・シネマ・パラダイス~トルナトーレ監督のシチリア~」という興味深いドキュメンタリーをやっていた。

 タイトル通り、ジュゼッペ・トルナトーレ監督が、自らの故郷であり、『ニュー・シネマ・パラダイス』(88)のロケ地でもあるシチリアを案内し、映画誕生の秘密を明かすというもの。トトのモデルになったという先輩映写技師や、成長したトト=サルバトーレ・カシオも登場する。

 この番組を見ていると、『ニュー・シネマ・パラダイス』という映画はシチリアの人々の昔語りと監督自らの映画体験を反映させた結果、生まれたものだと分かる。

 恥ずかしながら、エンニオ・モリコーネの音楽を聴くだけで、パブロフの犬のように泣けてきてしまう自分がいる。

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