その人は、170cmの僕と同じくらいの身長で、全体的に線が細く、ハーフなのか、色白で、癖のないまっすぐな黒髪を肩まで伸ばし、小顔の中に少し切れ長の目と、薄い唇を備え、鼻筋の通った小鼻にはいつも銀色の細いフレームの眼鏡が掛かっていた。
服装は、決まって白いブラウスにパステル調のカーディガンを羽織り、膝が出るくらいの丈の、桜色か淡い灰色か緑色の少しふわりとしたスカートと、ハイソックスにタッセルローファーを履いていた。そして、最も彼女をミステリアスに感じるのは目の色がグレーな所だった。
それ以来、学食で彼女を見るたびに、これが恋というものなのかなと、ずっと考えていてたのであるが、それを見透かした目の前に座る友人の友田は、ある日、なんの前触れもなく指摘してきたのだった。
「そういえばさ。おまえ、時々、斜め後ろの女子を観てるよな? 気持ちが漏れ出してるぞ。」
大きく動揺した僕は、しどろもどろになりながら「えっ! いやっ。 う~ん。どうだろう」と答えると、友田は、満面の笑みを浮かべ、少し下がった黒淵眼鏡のフレームを人差し指で上げると、クールに告げた。
「俺は彼女の情報を握っている・・・どうだ、気になるか? 」
こういう時、むやみに取り繕っても怪しまれるだけである。と、すれば、ここはぼやかした方が無難だと踏んで、「まあ・・・そうだな。でも、そんなに気になる存在でもないしな。」と、とぼけてみた。しかし、ヘタなリアクションでは、けむに巻くことも出来ず、隣りに座る大井に、
「おっ。意外に疑り深い奴だな。まあいい。では、この情報は大井にくれてやろう。どうだ大井? この情報、明日のBランチで買わないか?」
と、交渉を始めた。すると、大井は、「おっ。 なんだ、Bランチでいいのか? 格安だな。いいだろう。売ってくれ。」と、意気揚々に答えたが、仮に冗談だとあったしても、大井がイケメンである以上、間違いが起こらないとも限らない。これは死活問題である。
焦った僕は、「いやっ。それはぁ・・・困るかな。」と、咄嗟に言ってしまったが、それがささやかな抵抗であることが分かったからなのか、友の二人は人目もはばからず爆笑した。
服装は、決まって白いブラウスにパステル調のカーディガンを羽織り、膝が出るくらいの丈の、桜色か淡い灰色か緑色の少しふわりとしたスカートと、ハイソックスにタッセルローファーを履いていた。そして、最も彼女をミステリアスに感じるのは目の色がグレーな所だった。
それ以来、学食で彼女を見るたびに、これが恋というものなのかなと、ずっと考えていてたのであるが、それを見透かした目の前に座る友人の友田は、ある日、なんの前触れもなく指摘してきたのだった。
「そういえばさ。おまえ、時々、斜め後ろの女子を観てるよな? 気持ちが漏れ出してるぞ。」
大きく動揺した僕は、しどろもどろになりながら「えっ! いやっ。 う~ん。どうだろう」と答えると、友田は、満面の笑みを浮かべ、少し下がった黒淵眼鏡のフレームを人差し指で上げると、クールに告げた。
「俺は彼女の情報を握っている・・・どうだ、気になるか? 」
こういう時、むやみに取り繕っても怪しまれるだけである。と、すれば、ここはぼやかした方が無難だと踏んで、「まあ・・・そうだな。でも、そんなに気になる存在でもないしな。」と、とぼけてみた。しかし、ヘタなリアクションでは、けむに巻くことも出来ず、隣りに座る大井に、
「おっ。意外に疑り深い奴だな。まあいい。では、この情報は大井にくれてやろう。どうだ大井? この情報、明日のBランチで買わないか?」
と、交渉を始めた。すると、大井は、「おっ。 なんだ、Bランチでいいのか? 格安だな。いいだろう。売ってくれ。」と、意気揚々に答えたが、仮に冗談だとあったしても、大井がイケメンである以上、間違いが起こらないとも限らない。これは死活問題である。
焦った僕は、「いやっ。それはぁ・・・困るかな。」と、咄嗟に言ってしまったが、それがささやかな抵抗であることが分かったからなのか、友の二人は人目もはばからず爆笑した。