硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

「巨神兵東京に現る」 僕らのささやかな抵抗。

2020-03-07 20:53:31 | 日記
僕はその名称に唖然としたが、大井はいぶかしげに「予言者って、未来を予測する者ってことか? 」と疑問を投げかけた。すると友田は、「いや、そうじゃない。神の声を聴き、その意志と予告を代弁する者の方だ。」と、否定した。

それを受けて大井は、「まさか。それはありないだろう。紀元前の話じゃあるまいし。」と、否定し、僕も、「予言ならわからないでもないけれど。」と、言ってはみたが、友田はそれらの反論を予想していたかのように、さらにその先へと進んだ。

「ちょっとびっくりするだろう。預言者だなんて・・・。で、彼女にまつわる噂、その謎にも迫ってみた。彼女の事を良く知るにはその背景も知っておいた方がいいだろうと。」

「おおっ。踏み込んでいたのか? 」

「無論だ。いいか。ここから先は他言無用だ。厳守出来るか? 」

「おっ。おお。もちろんだ。」

友田は、僕らが快諾するのを確認すると、「では、ご両人よろしいかな?」と言って、エピソードを語り始めた。

「これは、数人が同時に体験した有名なエピソードなんだが、彼女の研究室で、何人かが、どこかへ出かける相談をしていたら、その話を聴いていた彼女が『明日のその時間の電車は大きな事故に巻き込まれるから、時間を変更したほうがいい。』と忠告したんだそうだ。しかし、相談をしていた連中からしてみれば、あまりにも奇想天外な発言だった為、まともに取り合わなかったんだが、翌日、彼女が指摘した時刻の車両が本当に事故を起こしてしまった。まだ記憶に新しいとは思うが昨年の9月、踏切で立ち往生した車に電車が追突して何人か死傷者を出した事故があったろう。あの事故の事だ。」