硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

「巨神兵東京に現る」 僕らのささやかな抵抗。

2020-03-27 21:01:52 | 日記
彼女の言う神の計画の前に無力な僕達はいったい何者であったのだろうか。何者かもわからない僕達は何処へ向かえばよいのだろうか。滅びが定められたものであるなら、人類が長い年月を掛けて築き上げてきた世界は幻想でしかなく、滅び去った世界こそが真に調和した秩序ある美しい世界といえるのかもしれない。
しかし、僕を信じて必要としてくれている彼女を護ることが、僕の生まれてきた意味であり、生きている意味だと分かったのだから、神の創造物である僕達の魂から湧きおこった意志は、彼女が問い続けている「摂理」なんじゃないかと思った。
そして、なによりも、自身にしがみついていれば傷つくこともないけれど、勇気を出して一歩踏み出せば、失敗も多いけれど、未来は開けてゆくのだと気づいた。

僕は、深く深呼吸をして、自分を取り戻すと、涙を流している彼女を励まさなければと、思わず口にしたけれど、

「もう泣かないで。僕には愛と勇気があるからなんとかなるよ。」

と言う、恥ずかしくなるくらい幼い言葉だった。こんな時、気の利いた事を言えればいいのにと後悔したけれど、意外にも、彼女は、くすっと笑い「まるで、アンパンマンね」と言った後、彼女が難攻不落だった理由を知った。

「やっぱり、あなただった。」

「僕 ?」

「そう。私の救い主・・・。私も君の事が好きだったんだよ。入学式の時、大勢の人の中で、あなたを見つけた時からずっと。」

「ずっとって・・・。」

「ずっとだよ。」