再会
誰もいない
校庭をめぐって
松の下にきたら
秋がひっそりと立っていた
私は黙って手をのばし
秋も黙って手をのばし
まばたきもせずに見つめ合った
矢沢宰詩集 光る砂漠より 18歳の時の作品
矢沢宰は14歳の11月3日から日記を一日も欠かさず書き続け、わずか21歳10か月の短い生涯を閉じました。
詩は14歳の10月ごろから書き始め、生涯に500篇残しています。
彼は7歳の時にはすでに腎結核に冒されていて、8歳の時に右腎臓を摘出。
彼の一生は、病気に苦しめられながらも、短い生涯の中で、詩と思索が満ち溢れた奇跡のような光を放っています。
彼の短い一生は、その詩によって、死後、時間と距離を超えて、タンポポの綿毛が風に吹かれて飛んで行くよりももっと広い土壌に、信頼と愛の種子を播きました。
風が
あなたのふるさとの風が
橋にこしかけて
あなたのくる日を待っている
秋との出会い。季節との出会い。
こんな感じで出会いたいです。