「春はのみぞ風の冷たさ」は抒情歌「早春歌の一節ですが、丁度今の季節にピッタリである。
夕食後すぐにベッドに寝ては体に悪いと思い「館内散歩」と称して車いすを漕いで3階に行って広い窓から夜景を見に出掛けた。眼下に国道41号線と21号線が見える。と云っても流れる車のライトと信号機の赤いランプによってそれとわかるだけである。
ひっきりなしに走る大型トラック。終戦直後なら「逞しい復興の鎚音」とでも叫びたいところでしょうが、今ではとてもそんな気分になれず、「そんなに急ぐな、危ないじゃないか!」と叫びたくなる。
それにしても、大型トラックで、大きな荷台の側面を赤や緑の電飾で飾り立てた車の多いこと。聴くところによると、これらは、運送会社のトラックではなく、個人所有のトラックで時に「トラック野郎」と呼ばれるトラックのようである。
大手運送会社の下請けとして、若干条件の悪い仕事も引き受け、長距離運転も頑張って生計をたてておられるということだ。
3階の窓から流れるようなトラックのライトを見ていると、「どうか事故が起きないように!」と祈りたい気持ちになって、手を合わせてしまう。
暫く見ていて急に寒くなり体を震わせて部屋へ戻った。(T)