ここでは時々「お茶会」のときに、「鬼饅頭」がでることがある。名前は懐かしい気がするが、味は格段の差がある。現代風にアレンジがしてあるのだ。
実は子供の頃サツマイモの入った鬼饅頭もおかゆも、そんなに好きではなかった。その当時食糧が乏しい時代に好き嫌いなど言える贅沢さはなかった。黙って食べるよりしかたがなかった。そんなイメージがあるので「お茶会」が鬼饅頭の時は殆ど欠席していた。
ところが。主人から子供時代の鬼饅頭の話を聞いた。皮つきの大きい薩摩芋が入っていてお釜で湯を沸かしせいろの上に饅頭を並べる。お釜から湯気が出てくるころ、とても良い匂いがただよったという。出来上がっても熱くてすぐに食べられないので家の周りを一周してから食べたそうだ。だから、主人の懐かしいイメージは、味にあるのだと気付き以来ずーっと出席している。
子供の頃の鬼饅頭は大きかった。皮つきサツマイモがゴロゴロ入っていた。味も素朴であった。和菓子屋さんが造る現代の鬼饅頭は大きさも半分ぐらい。サツマイモに皮など付いていなくて見るからに上品。もっちりしていて、どちらかというと、和菓子に近い。味も主食の代用品の気がしない。十分にお菓子として対抗できる。そのせいかとても人気があるらしい。他にもサツマイモを使った和菓子やチーズやコーヒーまで入れた和菓子がでる。
つくづく食生活は豊かになったと思う。そのうえ昨日は、新作のお菓子が出た。その名も”つくしの”。白い皮の上に土筆の絵がふたつ。其れだけで十分春の感じがでており、美味しくいただいた。(E)
”つくし野”