鬼山竜也の住宅業界 商売の王道

良い家づくりに真剣に取り組んでいる方々が、お客様のためにより良い仕事が出来るようになるためのヒントになれば、嬉しいです。

【第1472回】 次世代省エネ基準、長期優良住宅の断熱の基準なんて話にならない

2015年01月11日 | 住宅コンサルタントとして
1996年の4月から2005年の7月まで、私は北海道の旭川市と北見市に住んでいて、
北海道の住宅業界で仕事をさせていただいておりました。

夏は気温が30℃前後まで上がりますが、湿度は低めでからっとしていて、
エアコンが無くとも過ごすことが当時はできました。
(実際、住んでいたアパートはストーブしかついてなくて、エアコンは無かったです)

しかしながら、冬は氷点下10℃以下が当たり前。
寒い日は氷点下20℃以下ということもありました。

そんな北海道では、基本的に冬、暖房機器はつけっぱなし。
家に居るときだけ付け、外出時に消していくと大変な事になるのです。

一度、ストーブの灯油が真冬に切れてしまい、
2日間、暖房を一切しない部屋で過ごしたことがあります。

あまりに寒すぎて、こたつの中から出ることができませんでした。

そして灯油を入れていただき、ストーブをつけたのですが、
家全体があたたまるまで、丸2日、ストーブは最高出力で燃え続け、
通常2ヶ月近くもつ灯油が1ヶ月持たなかったのです。

このときに私は学習しました。

断熱材や木材が熱をため込んでしまうと、
その暖かさを維持するのにエネルギーは大して必要としないが、
一旦、断熱剤や木材がキンキンに冷えてしまうと、
それらをあたたかくするために莫大なエネルギーを必要とする、と・・・。

だから北海道の冬は、旅行などで長期外出する際も
部屋の暖房を18℃設定などにして、つけっぱなしで出かけるのです。

これは、北海道の家の基本的な断熱性能が高いからOKな話であって、
今の日本の次世代省エネ基準や長期優良住宅という、
くそレベルの基準をクリアした程度の家では
こんなことやったら、暖房代がもの凄いことになってしまいますが・・・。

今、各クライアント様に取り組んでいただいている家で、
私が推奨する商品を使っていただいた場合、
基本的に冷暖房機器の使い方も大きく変わります。

要するに、局所暖房、在宅時のみ暖房という、これまでの本州の住み方ではなく、
全館暖房、常時暖房という住み方をしていただかなくてはなりません。

でないと、本当の高気密高断熱住宅の住み心地の良さを
お客様に体感していただくことができないのです。

床暖房なんていらない。
冬でも裸足で暮らせる。
冬用の布団という概念が無くなる。
冬でもアイスが美味しい。
冬でもお風呂上がりのビールがうまい!

そんな暮らしをしても、暖房を家に居るときだけ付け、
トイレや脱衣室、お風呂が凍えるくらい寒く、
練るときは思いっきり布団をかぶらないと寒くて眠れない、
普通の家で凍えながら暮らした場合の光熱費と大して差がない家が
世の中に広まっていけばなぁ、と思っています。

逆に言えば、今の日本の次世代省エネ基準をクリアしただけでは、
そんな暮らしはできません。

要するに、価格だけ異常に高く、性能はビックリするほど低い、
暴利を得ている大多数の大手ハウスメーカーと、
現場のことを何も知らない、頭の悪い役人で決めた基準だからです。

勉強不足の大手に負けない、正しい家をつくって参りましょう!
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