長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

さよならだけが人生だ

2015-03-01 08:55:25 | Weblog

今、井伏鱒二さんの珍品堂主人を読んでいる。とてもおもしろい小説で、

骨董好きにはたまらん内容。左党のあこがれに「唐津の徳利に斑唐津の杯」

というのがある。どうもこれも井伏さんがいいだしたことらしい。先日ぼう女子大の先生

が昼酒を飲みにきたときにそんな蘊蓄に興味を示した。根来盆にのせると、なおいい。

さて今日から3月。卒業式があったり、昔から3月は「別れの月」でもある。

井伏さんの名訳で、「さよならだけが人生だ」というのがある。

唐の詩人于武陵(うぶりょう)の詩「勧酒」(かんしゅ)を訳したものだ。

・・・・「花に嵐のたとえもあるぞ さよならだけが人生だ」

別れたり、出会ったり・・・人は毎日・生・滅・生・滅の繰り返しの刹那の中に

生きている。終わりは始りであるし、刹那は永遠に通じるものだし、さよならだけが人生

だから、また味わい深い。

今日は日曜日なので16時で閉店。近くのカフェ関連の連中が味噌作りにこられる。

昨日も近所の「ふれあい館」の素敵な女性たちが、味噌つくりにこられた。中條きよしの

「うそ」の詩みたいに、エプロン姿が似合い、普段からワークショップなどを日常にする人

たちなので、出際がよく、あっという間に味噌ができた。もとい、味噌の元ができた。これから

約一年間は、麹くんたちががんばって、味噌の元を味噌にしてくれる。

春を待つ、味噌ができる間を待つ、出番を待つ・・・「まつ」というのは、とても大事な才能だ。

だからこの星で一番最初に生まれた植物に「松」という名をつけた先人もまた素晴らしい。