発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

笑顔の認知症、二刷できました!!

2019年02月09日 | 本について

 

『笑顔の認知症』おかげさまで、二刷できました。

◆新聞に広告を出稿したので、お問い合わせをいただいています。紀伊國屋書店丸善・ジュンク堂などのネット書店、アマゾン、実店舗は、地方小出版流通センターを通じて全国供給、きんぶん図書を通じて北部九州供給をしているので、まだ置いていないお店でも、注文いただければ必ず入手できます。書籍コードは、978-4-901346-64-1 本体1400円+消費税。

◆もちろん、のぶ工房へのメール(出て来るページの封筒マークをクリックしてくださいね)やファクシミリ092-524-1666でも受け付けています。送り先と電話とお名前をお忘れなく。コールバックでこちらからお問い合わせすることがございます。この場合は一冊送料180円、2冊以上は送料サービスします。

◆認知症にかかったおじいちゃんやおばあちゃんの事情をお子さまに知らせるためにも役に立ちます。たとえばこんな感じだと。離れて暮らしていても、たまに会いに行くことはあるでしょう。そのときにも、これを知っておけば心の準備になるでしょう。

◆大人だって知っておくべきことがあります。脳に何が起こっているのか、など、いろいろたくさん書いてあります。

◆受診すべきか様子をみるべきかどうか迷ったときにも。まだあまり気にしなくて良いのか、注意深く観察しておいたほうがいいのか、どういうところを観察すべきか、あるいは、一刻も早く受診した方がいいのか。

◆当人が医院に行きたがらないとき、どうしたらいいのでしょう。

◆そして、お医者さんを最大限に活用するかかり方も書いてあります。

◆どんな薬をもらうことになるのか、よく処方される薬についても説明します(そういえば、もらっている薬についてよく聞いてなかった、という場合にも)

◆あと、何と言っても大事なのは、予防法。この本は、三分の一近くが、予防法と進行防止法です。食べ物、お昼寝、心掛け。どんな病気も生活習慣が関わってくるというのは共通してます。自分の意志でなんとかなるところはなんとかしましょ。最新の情報をどうぞ。

 認知症になりたくてなる人なんていないのです。誰にも必要な予防策と心構えを、まずはこの一冊で。

 

 

 

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『笑顔の認知症』朝日新聞デジタルに載る

2019年01月17日 | 本について

◆『笑顔の認知症』朝日新聞デジタルで紹介される

「朝日新聞に載ってたので」と、注文の電話があった。ほんとだ。←有料記事だけど、途中までは読めます。ちなみに購入方法ですが、のぶ工房にメール、電話、ファクシミリなどでコンタクトを取るのが一番早いです。もよりの取り扱い書店をご紹介しますが、行動範囲になければ、定価+送料180円でお送りします。2冊以上なら送料は無料です。

 

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紀伊國屋書店福岡本店で『笑顔の認知症』3位!!!

2018年11月26日 | 本について

◆『笑顔の認知症』紀伊國屋書店福岡本店で3位

 なんと、博多駅のバスターミナルビルにある紀伊國屋書店福岡本店の週刊ベストセラーに!! 思わず写真撮っちゃいました。

 まあ、今度の参院選に出馬予定の方の組織や、百田尚樹氏に勝てるとは思ってませんけどね、でもうれしいな。でも

「前週は2位でしたよ」

「ええぇぇぇぇぇぇぇえええっつ?」

なんでその週たまたま本屋に行かなかったんだ、自分。

◆愛が進歩を生み出す

 本をつくることに関わると、本では触れていないこともあれこれ調べることになる。ある代表的な認知症薬を開発した人は、ご母堂に「お名前は? ◯◯さん? 私の息子も◯◯と言うんですよ」と言われたのが悲しくて、会社の反対を押し切って開発したという。スーパーでやってるテレビキャンペーンを横目に「愛に地球が救えるか?」と思ったりするひねくれ者の私であるが、愛が人類を救うこともありうる。要は正しい方向性を見いだすことである。


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笑顔の認知症

2018年11月11日 | 本について

◆新刊『笑顔の認知症』音成龍司著 

1400円+税 ISBN978-4-901346-64-1

本日発売

 

◆認知症は、他人事ではない。

 なにしろ高齢化社会がすでに来ているというのに、65歳の10人に1人、85歳を超えると3人に1人が認知症なのである。しかも30代後半から忍び寄って来ているというのだ。しかも少子化時代。夫婦の両親4人が健在ということになれば、ほとんどの人が親の認知症とつき合わざるを得ないことになる。自分たちが現役で働いていれば、当然かなりの負担になるし、定年退職していれば老老介護、そのうちに、配偶者の認知症問題も浮上してくる。そして本人も。

 だから対策。身近な人と自分自身のために、転ばぬ先の心構えである。久留米市で日々認知症の患者さんを診ている脳神経内科医、音成龍司氏は予防も治療も「笑顔が大事」と語る。

 この本では、まず、劇の脚本の形式で、ある家庭でのできごとが描かれる(これは久留米市で過去に上演され、おじいさん役を音成医師が演じた)

 その家庭ではおじいさんが認知症にかかり、お世話を主にしているお嫁さんと喧嘩が絶えない。ある日、オレオレ詐欺とおぼしき電話をおじいさんがとってしまう。おじいさんはお金を持って行こうとするが、財布が見つからず、お嫁さんが盗った(もの盗られ妄想)と大喧嘩となり怒って家を飛び出してしまうが、何のために外に出たかわからなくなり町をさまよう(徘徊)。さて、どうなるのか? この項目で私たちは認知症の患者さんとの対応方法を学ぶ。

 それから音成医師の診察室「もの忘れ外来」の様子がいくつかの物語として描かれる。認知症の物忘れとして注意が必要になるのはどの段階か。運転免許をどうする?(←これは映画「家族はつらいよ2」の主なテーマでしたね)受診したがらない人をどうやって医院に連れて行く? いろいろな問題と解決方法が出て来る。

 そして、予防方法についてかなりのページが割かれ、それから治療方法のところでは、医院で処方される薬などの説明がある。笑顔が大事。知ることで笑顔になれる。この本は、すでにやって来ている高齢化社会を私たちが生き抜く糧となってくれる。

 (直接申し込みは送料実費180円いただきます。



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クリスマス絵本 クリスマスに忙しい両親を持つ子どもたちのための「GIFT」

2018年10月24日 | 本について

◆クリスマスが近づく

 ハロウィンのお菓子や装飾が並ぶなか、クリスマスケーキの予約カタログもお店に並んでいる。冬遠からじ。当日暇なら作ってみよう。忙しければ買う。まあ、どこそこのでなくっちゃあ、というよほどのこだわりがない限りは、当日予約なしでも買えることは買える。天神か博多に出ていればどこかデパートで。南の方を通りかかればサイラーあたりで買うんだと思う。

 ◆クリスマスは誰にもやってくる♪のか?

 そういえばサンタクロースに家庭はあるのだろうか?と考えたことはないだろうか。

 サンタクロースに妻子がいたら、そして妻もサンタクロースの仕事を手伝っていたとしたら、その家の子どもはクリスマスの時期、とても寂しい思いをしているのかもしれない。現実の世界でのサンタクロースの配下の人々、つくることや運ぶことや売ることに携わるひとたちは、12月ともなれば繁忙期、超ハードなシフトで働くことになる。家族全員でのクリスマスイブなど無理無理無理っという家庭も少なくはないはずだ。

 ◆あるサンタクロースの家庭でのこと。

 サンタの家の子どもは、よその子たちのためのクリスマスプレゼント準備のためにしっちゃかめっちゃかになっている家で、父であるサンタクロースをつかまえ、

「僕の家のクリスマスは来るんだろうか?」

 と聞いてみる。すると父であるサンタクロースは、息子にクリスマスの時期に旅に出るように言う。世界中をめぐって、前の年に子どもたちに贈ったクリスマスプレゼントをたどる旅だ。(サンタクロースの家にあるそりには、時空を超える、おそらくテレポートや短かめ過去専用タイムマシンの機能があるのだと思う)どんな冒険が待っているのか。

GIFT サンタJr.の旅  ISBN978-4-901346-71-9 1300円+税

   サンタの息子の成長物語であるこの楽しい絵本は、子どもたちが、世界中の子どもたちの事情に目を向けるきっかけとなるかもしれない。タンザニアの雄大な風景や、モルディブの美しい海。広場で楽しくサッカーをするブラジルの子どもたち。そればかりではない。内戦で両親に死なれた子ども、おそらくはサブプライムローン危機のあおりを受けて家を立ち退く予定のアメリカの家庭。幼くして過酷な経験を味わっている子どもたちもたくさんいるのだ、ということは知っておいた方がいい。とはいえ親が「◯◯の子どもたちはそれどころじゃない大変さなんだぞ」と言おうものなら「へー、そーですか(棒読み)」という返事が帰ってくるのがオチである。いろんな立場の子どもがいることはかように教えにくい。こういうことは、本で自分から知らないといけない。

 この本のいいところは、去年出たばかりの新しい本で、しかも少部数なので、プレゼントにするにも、すでにある本とダブってしまうことはまず考えられないことである。お申し込みは本屋さんかネット書店かこちらへ。

 

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あれから七十三年 十五人の戦後引揚体験記  15/1,390,000ということ

2018年07月18日 | 本について

◆発売中の新刊です。

『あれから七十三年 十五人の戦後引揚体験記』堀田広治監修 ISBN978-4-901346-63-4

 どうぞよろしく。1500円+税

 ◆博多港引揚に関する本です。表紙は「那の津往還」。豊福知徳氏の作品で、博多港中央埠頭、マリンメッセ横に設置してあります。これは引揚げた人々の記念碑です。

 ◆マリンメッセは、大きなコンサートや、モーターショーや、アイススケートのグランプリファイナルの会場にもなる多目的の建物です。すぐ近くには国際旅客ターミナルがあり、今では、釜山に行く定期フェリーや高速艇のほかに、巨大なビルディングにそのままスクリューをつけたような客船が、外国からのお客様を何千人も載せて毎日のようにやってきます。平和と繁栄の象徴のようなウォーターフロント地区の一角にこの記念碑はあります。

◆ 博多港にもうじき着く引揚船の写真は、どれも、甲板は人でぎっしりです。能古島と志賀島の間を通って博多湾に入ると、船からは博多福岡の町が見えてきます。その後背には緑の山々が控えています。あれは立花山、油山、叶山、背振山……この記念碑は、背伸びをして祖国の影を見つけた人々の姿だと、私は思いました。

◆博多港には139万人が引揚げてきました。139万通りの引揚体験が存在するのですが、この本にはそのなかの15人の引揚者の手記を掲載しています。壮絶な体験です。あの戦争とはどういうことだったのか、の欠片の15個です。

 

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広告掲載。耶馬渓紀行と引揚げ関連の本

2018年05月30日 | 本について

◆2018年5月30日、毎日新聞西部版朝刊、テレビ面、半三段広告。

これは、九州と山口県、沖縄県、島根県西部石見地方の新聞に載りました。『あれから七十三年』の発刊予告と、発売中の本の紹介。左半分は、福岡の出版社木星舎の広告です。この『国東六郷満山』は、弊社編集長にして写真家の遠藤薫(写真家のときは遠藤カヲル名義)がほとんどの撮影を行っています。

←詳細が見たい方は、こちらをクリックすると、かなり大きく出てきます。
せっかく枠買ったから、こちらでも紹介しようっと、ということなのです。 

『あれから七十三年』の、下のイラスト。こんな恐怖を味わい、命からがら逃げて来た人たちがたくさんいたのです。体験記をたくさん載せています。戦争関連の調べごとなど、夏休みの自由研究にも使えます。

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大正の耶馬渓を旅する『耶馬渓紀行』

2018年05月01日 | 本について

 この春の新しい本はこれ。『耶馬渓紀行』

 昭和のはじめの復刻本である。

 耶馬渓は、むかーし、観光キャンペーンを行って全国区になった観光地なのだ。

  大正末期、作家の田山花袋と画家の小杉未醒が耶馬渓を旅して『耶馬渓紀行』という本にした。田山花袋は『蒲団』『田舎教師』。文学史のテストに出る文豪だ。小杉未醒は、小杉放庵(放菴)の別号だ。日光出身の画家で、東照宮のところに美術館がある。東大安田講堂の壁画で有名。都市対抗野球の優勝旗「黒獅子旗」は、この人のデザイン。画像検索してみて。画力はもちろんのことユーモアのセンスにあふれる守備範囲の広いアーティストなのですよ。ちょうど今、門司港の出光美術館の特別展で、上村松園や佐伯祐三などとともに展示されている。昭和6年の仙人風サンタクロースとか昭和26年の笠置シヅ子がモデルの神話ダンサー(アメノウズメノミコト)とか。ね、観たいでしょ。これは近いうちに行くと決めてる。

 文豪の旅日記に、画伯の絵がついたこの本は、スポンサーが別府の油屋熊八で、つまり油屋熊八の仕掛けた観光キャンペーンの一環なのですね。インターネットもテレビもない、もうじきラジオがはじまるよ、といった時代の古式ゆかしき観光キャンペーンには、有名な作家や画家を招聘し、紀行文や絵を書いてもらう、というものがあったのだ。

 彼らが名所をめぐったり泊ったり食べたり、地元名士にもてなされたりしているお話なんだけど、そのころの人々がどんな余暇を過ごしていたのか、というのも興味深い。乗り物や旅館のほかの客の様子などの描写がある。シーズンともなれば列車もバスも宿も満員となる。紅葉狩りドライブもすでに存在している。また、あのころにはもう職場(出て来るのは学校の教師の団体)で泊まりがけの旅行にやってきた人々もいた。

 明治大正の教養人は、漢詩がつくれないといけないのかな。田山さんはしょっちゅう漢詩を書いてる。途中で出くわした教授は、小杉さんの絵に賛を入れてる。昔の掛け軸の絵に別の人が書いた文字が入ってるあれだ。その場で当然のようにスラスラと書き入れたりするのだ。これも昔の教養人の必須科目なのかな。

 耶馬渓といえば、最近ニュースで……と思った読者も多いと思う。その金吉の地名もこの本に出てくる。小杉未醒が、裏耶馬渓の金吉渓にスケッチに出かける。今は車で簡単に行けるが、当時は徒歩だけが手段の不便な場所で、メタボ気味の田山花袋は連れに迷惑がかかってはいけないと宿に残るのだが、帰ってきた小杉末醒の話を聞いたりスケッチを見たら羨ましくてならなくなった、という話がある。「(危ない道だったので)君は行かないで好かった」と言いながら「別天地だよ。所謂桃原だよ」と、帰って来た小杉さんは田山さんに言うのである。ニュースに出た金吉には後藤又兵衛の墓もあり、その話も出てくる。

 復刻にあたり、すべての文字入力を行った。つまり字を打ち直した。当時の活字の書体と、今のフォントは違っていて、もちろん近いものを探して使うのだが、今のフォントには存在しない字も多く、それは、のぶ工房がバソコン画面でローテクにコツコツと作った。滑らかな中性紙に印刷すると、それはそれで味わい深いものとなった。

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新刊 九州アーカイブスB 『あれから七十年』博多港引揚を考える

2017年08月08日 | 本について

 ◆新刊が出るよ。

 プリンティングなう、ということで久しぶりにホームページを更新し、バグだらけなのに愕然とする。ちょこちょこ手直しするのも大事な仕事だよ、と自分に言い聞かせる。検索して、ホームページより先にこちらにたどり着いた方のために、本の内容を紹介しておきましょう。

 

『博多港引揚』の続編的な本です。今回は、若い参加者も多いのです。

「昨年は引揚が集中的に行われた昭和二十一年から七十年めに当たる年でした。この間、引揚体験者は次々と旅立ち、当時の状況を語り継ぐ人は残りわずかとなりました。この一年を振り返るとき、戦争のない平和な世界を念願すね私たちの気持ちは、かなえられるどころか世界は混迷の中に漂い、展望が見いだせない状況に陥っているようにさえ見えます。昨年私達は七十年を機に改めて引揚の歴史を少しでも多くの人に知ってもらい、平和の尊さや戦争の悲惨さを考えていただきたいと、非力を顧みず、展示会『あれから七十年ー博多港引揚げを考える』を開催し………(発刊のことばより)」

 戦争関連の夏休み自由研究にもぴったり。 

 2200円+消費税。弊社へのお申し込みは、電話 092-531-6353 ファクシミリは092-524-1666

 メールは、fuyuharu3529@yahoo.co.jpへどうぞ。

 

 

 で、発行人MTJも、久々にポエマーが降臨し、ちょいと書いてみたりするわけです。「那の津往還」は、博多埠頭、マリンメッセそばにある、博多港引揚記念碑のことで、豊福知徳氏の作品です。今、私が撮った画像が見当たらないので、それはまたアップするとして。

 

 

    朱いモニュメント(那の津往還に寄せて)

 

甲板は人で溢れていた

立てるものは皆背伸びをした

 

誰かが、見えてくる山の名前を口にした

やまとことばの山が連なる

九州だ祖国だ

 

1945年8月に「始まった」戦争

引き剥がされる

追われる

無法地帯 銃弾  略奪(書けない苛酷)

恐怖と欠乏 寒い冬 飢餓(書けない苛酷)

病気 行列

置き去りにされたもの

命尽きたもの

行列

これは何の巡礼だ

何の科をもって行進しているのだ

生きろ

生きろ

生きろ

生きる決意だけが

重い足を前へと進ませた

 

無蓋貨車の臭気

 

 やっと乗った船

(ここで命尽きたものは水葬される)

嵐と機雷をやりすごし

たどり着いたのは

古代の湊

那の津だ

 

懐かしい祖国にせよ

初めてみる祖国にせよ

生きる強い決意とともに

帰ってきた

焼かれた故郷荒れた田畑が待っていようとも

苛酷な旅の始まりの終わりに過ぎぬとも

 

忘れるな

ここに帰ってきた(帰れなかった)

人びとを忘れるな

体験を心に閉じ込め

口をつぐまなければ

とても生きられなかった

人びとが大勢いたことを忘れるな

平和と繁栄は何の上にあったのか

あの日背伸びをして

祖国の影を見つけた人びとのことを忘れるな

 

彫刻家は、そのモニュメントを朱く塗った

遠くからも見落とされることのないように

見たものの網膜に焼き付くように

 

(MTJ)

 

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その時代、つけまつげを自作する乙女たちがいた

2016年09月13日 | 本について

◆別冊太陽『中原淳一のそれいゆ』

 中原淳一が戦後に発刊した『それいゆ』を紹介する本。『それいゆ』は、私がものごころついた頃にはとうに廃刊となっていたが、戦後の十数年、当時の女性のライフスタイルのアイコンとしての地位を持っていた。美輪明宏の著書『美輪明宏のおしゃれ大図鑑』を参照するに、美輪氏も大好きな世界だったようである。戦後の、なにもかも足りない時代に女の子たちはどうやっておしゃれしていたのか。洋裁は乙女のたしなみ、ミシンは家に常備され、重要な嫁入り道具でもあった。乙女たるもの、自分の着るフレアスカートやブラウスやワンピースくらいは、自ら作れないといけなかったのである。フムフムと読みすすむ。『それいゆ』が廃刊になっても、70年代くらいまでは「実物大型紙」というのは女性向け雑誌の付録の定番だったよね。

 びっくりしたのは、「つけまつげの作り方」!!! これは想定外だ。『それいゆ』では、つけまつげを自作することを提案している。膠で植毛するのだ。つけまつげさえ自作!! そんな努力をする当時の乙女に幸せが訪れることを願わない人はいないであろう。 

 というより、すごく幸せで楽しそうじゃない? 自作の服で、自作のつけまつげで出かけるなんて。

 

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