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大名倒産、借金100億円の疑問

2023-07-01 12:55:54 | 政治経済
まず最初にお断りしておきますが、映画「大名倒産」に対する批判記事ではない。
たまたま「大名倒産」で、借金100億円と言うキャッチコピーが使われていたことから、
今までもよく感じていた疑問について改めて考えてみようということです。

時代劇を見る際に気になるのが、いったい1両は今の価値に換算していくらなのか、と言うこと。
1両=6万円と言うこともあれば、1両=10万円と言うこともある。

映画「大名倒産」では、藩の借金が100億円で破綻寸前。
このままでは藩のお取り潰し必至となっている状態から、奇跡の復活を遂げるお話であるが、

作中では1両=4万円としており、ゆえに25万両=100億円ということになっている。
100億円はわかりやすくするためであって、1両=10万円として250億円でもいいし、
25万両のままでもよかったんだろうと思う。
逆に100億円から逆算して、1両10万円なら10万両でもよかったのではないだろうか。

おそらくは100億円が先にあって、4万円で割って25万両としたのだと思うが、この辺りは
原作に当たってみないと何とも言えない。(原作は未読)

映画は江戸時代の米価で比較して1両=4万円にしたらしいが、日銀は米価の比較で1両=6万円としている。
同HPによれば、大工の日当で言えば、1両=35万円になるそうで、二八そば(当初は2×8=16文の意味)で
比べればまた違ったものになるようだ。

ところで、昔の貨幣を現代の価値に換算する場合、現在と江戸時代の物価をどう扱うかによって考え方が異なる。
昔の物価と今の物価をそのまま換算して良いものなのか、よく考えなければいけない。

例えば、今は高級なうなぎだが、江戸時代はその辺の水路にもたくさんいて、子供でも簡単に獲れてたらしい。
かば焼きは当時から人気だったらしいが、土用の丑に食べられるようになったのは、平賀源内によるものとされる。
うな丼、うな重の当時の価格がいくらだったかは知らないが、うなぎで比較しても意味がないと思える。

物価の基準に何を用いるかによっても、現代の価値との比較は大きく異なるが、そもそも「両」は重さの単位であり、
「一両小判」においては、もともとは含有する金の量を示していた。
江戸時代後期の金の大量の海外流出(金貨=小判と銀貨=一分銀などの両替率の海外との差を利用した)などが影響してか、
小判の金の量も減ったし銀との交換比率も大きく変わって、1両=4000文が末期には6000文程度になったらしい。
小判だけでなく、一分金、二分金、一分銀などもその時々によって金や銀の含有量は異なり、貨幣の価値をどう見れば
いいのかは、議論のあるところだろう。

現在は、金本位制でなく、紙幣も兌換紙幣ではないので、金の価格で1両を計るのは難しい。
しかも、金は現在相当値上がりしていて、田中貴金属によれば、5年前は5千円/gを切っていたものが、
本日の買取価格は9700円/gを超える。

これを基準に考えると、重さとしての1両は、大体37g(強)なので、金1両は35~6万円となる。
もっとも1両小判の金含有量は、時代によって異なり、最終的には2gもないので、それを金価格で換算すれば、
今の高騰した金価格でさえ、1万8千円程度にしかならない。
(最大は18g弱で金の現在価格での換算は17万円超)

個人的見解だが、結論から言えば、江戸時代の「1両小判」を単純に「今ならいくら」と換算しても無意味と言うこと。
江戸時代は260年もあったし、物価も物品の価値も大きく変化し、様変わりしていったと思われる。
どうしても換算したいなら、時代背景や、経済状況、地域格差、何小判なのかも含めて考えるべきだろう。

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