スティーブン・スピルバーグが監督した問題作。
なかのZERO(中野ZEROホール)での開催。
1290余席の会場だが、ある程度の傾斜が確保されていて見やすい。
「トロイ」のヘクトルとしてブラピのアキレスと一騎打ちを演じたエリック・バナが、
イスラエルの特殊部隊モサドの暗殺隊のリーダー、アヴナーを演じる。
5人の暗殺チームメンバーは、リーダーのエリック・バナのほかに、
「ロード・トゥ・パーディション」「トゥームレイダー」
そして「新007」のダニエル・クレイグ、
「トゥームレイダー2」「オペラ座の怪人」などの大御所、キアラン・ハインズ、
「クレムゾン・リバー」「ゴシカ」のマチュー・カソヴィッツ、
「二人のロッテ」などのハンス・ジシュラー(ハンス・ジッヒラー)。
モサドの幹部に「パイレーツ・オブ・カリビアン」などのジェフリー・ラッシュ。
***
物語は、1972年のミュンヘン・オリンピック選手村。
何人かの男が塀を乗り越えて選手村に入り、イスラエル選手を人質にする。
このあたりは、(たぶん本当の)TVニュースなども織り交ぜて語られる。
当時の西ドイツ政府は、犯人の要求を呑んだ振りをして逃亡用の飛行機を用意。
空港で犯人を全員射殺するが、人質9人も全員死亡してしまう。
イスラエル政府はこのテロを計画した11人を特定し、
特殊部隊モサドの除隊者でチームを編成し、暗殺を画策する。
5人はイスラエルから金銭的支援は受けながら、
身元の保証も安全保障もなく、ターゲットを殺していく。
最初は銃を撃つのをためらっていた(結局は撃つのだが)彼らも、
徐々に慣れるとともに、逆に人間性を失っていくのだった。
CIAやKGBも絡んで、暗殺チームの任務はいったいいつまで続くのか。
また、パレスチナも報復を行い、報復合戦となる。
この戦いに終わりは来るのだろうか。
***
久しぶりにシリアスな映画を見ました。
「そんなこと無いやろー」と突っ込めるような部分はなかったです。
射殺、流血などの残酷シーンや爆破、撃ち合いのシーンもありますが、
全体に派手な演出ではなく淡々と事実を見せている、風に作られています。
「シンドラーのリスト」「プライベート・ライアン」が
チラシに取り上げられていますが、
(スピルバーグ映画ではないが)「戦場のピアニスト」の
リアリティに近い物を感じました。
ただ、このいがみ合いはわれわれが一朝一夕に論じたり
理解できるものではなく、どちらがいいとか悪いとか、
正しいとか間違っているとか言える代物ではありません。
スピルバーグは殺し合いでは解決しないということを言いたかったのでしょうが、
平和ボケの日本で通じるかどうかは難しいところです。
***追記(1/27)***
いろんな意味で、あまり詳しく触れたくはないのだが、
と前置きしておいて。
ミュンヘンオリンピックのテロだけをとらえてひどいことだと
書いている人が多いが、そんな単純なものではない。
モサドはもともとはナチのホロコーストの責任を追求する組織。
逃亡していた元ナチのアイヒマンを探し出し捕まえたことでも有名。
モサドによるパレスチナゲリラの暗殺はこの映画の以前からあって、
1970年9月に起きた同時多発ハイジャックの犯人の一人は、
その直前にモサドが暗殺に失敗した女性だったりするらしい。
その結果、パレスチナ人のイスラエル入国が難しくなり、
パレスチナで軍事訓練を受けていた日本人をイスラエルへ潜入させる作戦が浮上、
1972年2月の日本赤軍によるテルアビブ空港乱射事件につながっていく。
このニュースを聞いたときは、外国で大勢の民間人を殺して、
一体、日本赤軍ってなに考えてんの、くらいにしか思わなかったが、
実はパレスチナとイスラエルの戦いの連鎖のひとつだったことになる。
イスラエルはこれに対してPFLPに報復。
さらにPFLPの報復がこのミュンヘン事件だったわけだ。
映画でもあったようにモサドがパレスチナの幹部を殺せば、
PFLPもそれに報復する、の繰り返し。
双方とも「そもそもわれわれは、そもそも相手は」
というところから始まり、互いに相手方による殺戮を非難して
自分たちは正しいと考えている。
その後も対立は延々と続き、現在に至っている。
単純にテロはいかんとか、報復するなとかではすまない根深さで、
軽々にどちらがどうとはいえないものがある。
なかのZERO(中野ZEROホール)での開催。
1290余席の会場だが、ある程度の傾斜が確保されていて見やすい。
「トロイ」のヘクトルとしてブラピのアキレスと一騎打ちを演じたエリック・バナが、
イスラエルの特殊部隊モサドの暗殺隊のリーダー、アヴナーを演じる。
5人の暗殺チームメンバーは、リーダーのエリック・バナのほかに、
「ロード・トゥ・パーディション」「トゥームレイダー」
そして「新007」のダニエル・クレイグ、
「トゥームレイダー2」「オペラ座の怪人」などの大御所、キアラン・ハインズ、
「クレムゾン・リバー」「ゴシカ」のマチュー・カソヴィッツ、
「二人のロッテ」などのハンス・ジシュラー(ハンス・ジッヒラー)。
モサドの幹部に「パイレーツ・オブ・カリビアン」などのジェフリー・ラッシュ。
***
物語は、1972年のミュンヘン・オリンピック選手村。
何人かの男が塀を乗り越えて選手村に入り、イスラエル選手を人質にする。
このあたりは、(たぶん本当の)TVニュースなども織り交ぜて語られる。
当時の西ドイツ政府は、犯人の要求を呑んだ振りをして逃亡用の飛行機を用意。
空港で犯人を全員射殺するが、人質9人も全員死亡してしまう。
イスラエル政府はこのテロを計画した11人を特定し、
特殊部隊モサドの除隊者でチームを編成し、暗殺を画策する。
5人はイスラエルから金銭的支援は受けながら、
身元の保証も安全保障もなく、ターゲットを殺していく。
最初は銃を撃つのをためらっていた(結局は撃つのだが)彼らも、
徐々に慣れるとともに、逆に人間性を失っていくのだった。
CIAやKGBも絡んで、暗殺チームの任務はいったいいつまで続くのか。
また、パレスチナも報復を行い、報復合戦となる。
この戦いに終わりは来るのだろうか。
***
久しぶりにシリアスな映画を見ました。
「そんなこと無いやろー」と突っ込めるような部分はなかったです。
射殺、流血などの残酷シーンや爆破、撃ち合いのシーンもありますが、
全体に派手な演出ではなく淡々と事実を見せている、風に作られています。
「シンドラーのリスト」「プライベート・ライアン」が
チラシに取り上げられていますが、
(スピルバーグ映画ではないが)「戦場のピアニスト」の
リアリティに近い物を感じました。
ただ、このいがみ合いはわれわれが一朝一夕に論じたり
理解できるものではなく、どちらがいいとか悪いとか、
正しいとか間違っているとか言える代物ではありません。
スピルバーグは殺し合いでは解決しないということを言いたかったのでしょうが、
平和ボケの日本で通じるかどうかは難しいところです。
***追記(1/27)***
いろんな意味で、あまり詳しく触れたくはないのだが、
と前置きしておいて。
ミュンヘンオリンピックのテロだけをとらえてひどいことだと
書いている人が多いが、そんな単純なものではない。
モサドはもともとはナチのホロコーストの責任を追求する組織。
逃亡していた元ナチのアイヒマンを探し出し捕まえたことでも有名。
モサドによるパレスチナゲリラの暗殺はこの映画の以前からあって、
1970年9月に起きた同時多発ハイジャックの犯人の一人は、
その直前にモサドが暗殺に失敗した女性だったりするらしい。
その結果、パレスチナ人のイスラエル入国が難しくなり、
パレスチナで軍事訓練を受けていた日本人をイスラエルへ潜入させる作戦が浮上、
1972年2月の日本赤軍によるテルアビブ空港乱射事件につながっていく。
このニュースを聞いたときは、外国で大勢の民間人を殺して、
一体、日本赤軍ってなに考えてんの、くらいにしか思わなかったが、
実はパレスチナとイスラエルの戦いの連鎖のひとつだったことになる。
イスラエルはこれに対してPFLPに報復。
さらにPFLPの報復がこのミュンヘン事件だったわけだ。
映画でもあったようにモサドがパレスチナの幹部を殺せば、
PFLPもそれに報復する、の繰り返し。
双方とも「そもそもわれわれは、そもそも相手は」
というところから始まり、互いに相手方による殺戮を非難して
自分たちは正しいと考えている。
その後も対立は延々と続き、現在に至っている。
単純にテロはいかんとか、報復するなとかではすまない根深さで、
軽々にどちらがどうとはいえないものがある。
この映画は上映時間が長いですが、無駄なシーンは一切なく、
素晴らしい作品でした。
しかし、日本人(私もそうですが)に、どこまで通じるかは疑問ですね・・・
http://news.goo.ne.jp/news/jiji/kokusai/20060127/060126155824.dheiq1wo.html
http://news.goo.ne.jp/news/asahi/kokusai/20060127/K2006012701230.html
ネタバレにならないように映画の感想を書くのは難しいですね。
しかも、この映画微妙なところで終わりますよね?
その方が考えさせられる事が多いような気もしますが…。
自分がこの映画について消化不良状態なので色々な方のコメントを拝見しているのですが、厳しい意見も多いようです。日本以外の国でも、難しいと受け止められるんじゃないかな。それにアヴナー達は「テロリスト」と言われた人を殺すことには、疑問を感じていなかったように見えました。
でも、平和ボケなおかげで、そうした映画を見る時間的金銭的余裕があるのだとしたら・・・うーん・・・
なんだかとってもちっちゃいことに悩みつつ、TBありがとうございました。
日本赤軍、日本も関係していたんですね。
とうてい理解できないことですが、
理解できないでは済まないほど、
世界的規模になっていますからねぇ、、、