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工事進行基準(その1) 誤った認識?

2008-01-22 22:53:17 | IT
受託開発するソフトウエアに適用される会計基準が、
来年から「工事進行基準」へと全面移行するらしい。

進行基準が日本のIT産業の“ガラパゴス化”を止める

それはそれでルールの変更だからしょうがないとしても、
これで「ガラパゴス化」を止めるとはどういうことか?
よくわからない。

記事中には、

>きちんと要件定義を済ませて仕様を確定させておかないと、
>当然のことながら精度の高い見積原価は算定できない。
>(略)
>要件を確定させないままプロジェクトを走らせる──などという、
>これまでありがちだったことは、今後は許されなくなる。

とあるが、
はっきり言って、これは工事進行基準と何の関係もない。

工事進行基準だろうが無かろうが、要件定義を明確にして、
見積もりをきちんとすることは当たり前のことだ。

大体、工事進行基準なんてのは、私の認識では
公共事業など複数年の長期にわたる受注の場合に
完成まで売り上げが立たないと経理処理上いろいろと支障が出るから、
(はっきり言うと、途中で税金が取れないから)
「疑似」分割売り上げをするためのもので、
見積り精度や、きちんとした要件定義とはとは何の関係もない。

工事進行基準は、
経理の本来の姿である発生主義とは異なる「仮売り上げ」で
利益を計上させ、税金を踏んだくろうという、
税務当局の悪だくみとしか思えない。

以下、「工事進行基準」をとらない、売上原価の発生主義の立場から、
受託開発の本来の姿である「個別原価計算」による計上と、
「工事進行基準」による計上の違いや問題点について述べてみたい。

で、
一通り書いてみたら、ものすごい長文になったので
何回かに分けて書いていきたい。

まずは、原価計算について。

原価計算は文字通り、製品の原価を計算することであるが、

大まかに言って「総合原価計算」「個別原価計算」がある。
古くは「個別原価計算」から始まったようだが、
これは個別受注品、オーダーメイド、
つまり一つ一つの製品の仕様や原価が大きく異なる場合に用いられる。

それに対し大量生産品は「総合原価計算」を用いる。

受託計算は多くが一品生産であり、受注生産、オーダーメイドであるので、
「個別原価計算」を適用することとなる。

次回は、個別原価計算の仕組みについて、考えてみよう。

***

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