ITニュース、ほか何でもあり。by KGR

ITニュースの解説や感想。その他、気になる話題にもガンガン突っ込む。映画の感想はネタばれあり。

偽装。一目瞭然のはずがない、と信じる

2005-12-04 17:08:36 | Weblog
耐震偽造で相談窓口を強化 不安の軽減で国交省 (共同通信) - goo ニュース

今までこの話題を避けていたわけではないが、
事の本質がどこにあるか見極めたいと思っていた。

今日当マンションで住民参加の会議があり、
もともとの趣旨はこの問題ではなかったが、
当然のように質問がいくつか出た。

その中で、一部住民から次のような質問が出た。
「専門家が見れば、一目でおかしいとか大丈夫とか判るはず。」
「まず大丈夫かどうかを知ってから、詳しく調べて欲しい。」

みんな心配してんだよね、それはわかる。

でも、構造設計上の問題が一目でわかるなんて、そんなはずはない。
もし一目でわかるくらいなら、相当ひどいよ。

おそらく、めざましTVで小倉智昭が毎度、
「友人の建築士に聞いたら、
 この大きさでこの鉄筋ならおかしいなんてすぐ判るそうだ。」
と言っていることに代表されるように、
マスコミの連中がそら見たことかとそれこそ鬼の首でも取ったように、
いんちきなんかすぐ判るはず、と連呼しているからだろう。

どんなものでも「おかしいことが一目瞭然」なんてのは「相当おかしい」ので、
おかしいはずだと先入観を持ってみれば見破る率は高くなるかもしれないが、
大体すぐ判るくらいなら、分厚い計算も必要ないし、検査機関も要らない。

よくよく見てみないとおかしいかどうか判らないから、
それを確認するための仕掛けが作ってあるわけで、
簡単にわかる、なんていうのは無責任極まりない。

たまたま、今回の姉歯は極端にバカをやっているから、
専門家が見ればどうもおかしいと思えるだけであって、
なんでも簡単に(勘で)わかれば苦労はない。

おかしいって事だって今だからいえるとか、
どうもおかしいと思ってたんだ、と言うことでしょ。

「いや、そうじゃない、俺が見ればおかしいかおかしくないか、
 大丈夫か危ないか一目で判る。」
と言う人がいたら、構造計算書の良否を俺が一目で切り分けてやる、
と国交省へ進言してください。
そういう人が10人もいれば、全国のビルの再確認なんてあっというまでしょう。

今回のケースと一般論をごちゃで話するから、
あるいは視聴者が今回の話と一般論を混同するような報道をするから、
それこそ社会不安を煽る結果になっている。

マスコミがこれらの制度を批判するなとは言っていない。

むしろ、どんどんこの仕組みを批判してもらって、
なぜ不正が摘出できなかったのか、
どこがおかしいのか、何が悪いのか、
ごく一部の問題か、業界全体にあることなのか、
再発防止にはどうすれば良いのか。

事業者や設計者や検査機関だけでなく、
政治家や政府や省庁、自治体には問題はないのか、
どんどん議論してもらいたい。

しかし、十把一絡げで、判んない筈がないとか、すぐ判るとか
言うのは止めてくれ。

時間が限られているからか、どうしても一方的な決め付けが多いのは問題だ。
TVの言ってることは何でも正しいと思う人が多いんだから。
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