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日本人の忘れ物 ドラマ『ハッピーバースデー』を見て

2009-11-23 08:13:00 | 徒然なるままに
11月22日(日)

昨夜、『日本人の忘れ物』と言う番組の中で、『ハッピーバースデー』を見た。
この物語は以前、近所の小学校のPTA主催の『親子で映画を見る会』と言う企画で、アニメーション版を見た。
その後、原作を借りて読んだ。
photo by toliton717 from OCNフォトフレンド
ハッピーバースデー (単行本) 金の星社

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ハッピーバースデー 命かがやく瞬間(とき) (フォア文庫)

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アニメ版 ハッピーバースデー―命かがやく瞬間(とき)

原作者の青木 和雄 氏は小学校教師やカウンセラーの仕事をして、さまざまな親子の問題、いじめの問題に取り組まれてきたそうだ。それらの実話を基に構成した物語だと聴いている。
原作および、アニメ版は、母親からの虐待を受けて声が出なくなった11歳のあすかが、祖父母の愛情によって声を取り戻し、いじめ問題にも立ち向かい、障害児との心のふれあいなどから成長していく姿を描いている。

しかし、今回のドラマは、あすかの成長や、いじめ問題と言う面よりも、親子の絆や家族のあり方と言う面でのテーマに絞られていたように思う。
我が子を愛せない、子どもが生まれてきてくれたことすら幸せと思えない母親が、ネグレクト(育児放棄)を自覚し、自分の心の問題と向き合い、両親との確執の原因や夫婦のあり方、自分にとっての仕事についても葛藤する姿が描かれている。

娘を愛せない苦悩する母を木村佳乃が熱演、母親の虐待から声が出なくなった少女・あすか役に大橋のぞみちゃんが挑戦した。
実際に本当にビンタするシーンがあったり、母親のネグレクト発言には見ていて耳をふさぎ、目を背けたくなった。。
でも、その感情表現が冷たく激しいほど『この母親はどれだけ苦しんでいることだろう』と思い、胸が痛んだ。

誰だって、愛されたい。自分を認め、必要としてほしい。その気持ちが誰より分かっているはずなのに、我が子を愛せない、すべてを一番弱い立場の子どものせいにして当り散らし、放棄するしかない母親の心の闇と傷は深い。

一方で、分けも無く虐待を受け、自分の誕生すら忌まわしく思われて誕生日を祝ってももらえない11歳の娘は、声を失い、自分が生まれてきたことを後悔し、絶望する。
その傷ついた妹を救おうと兄は両親に働きかけるが、自分のことでいっぱいいっぱいの親達は、子ども達のSOSにも、家族の問題にも目を向けようとも耳を傾けようともしない。
それぞれが、一つ屋根の下に暮らしながら、全員が孤独なのだ。

自分の娘が我が子を愛せない原因を知った親達もまた苦悩する。
娘が一人傷つき、抱え、苦しんできた問題に思い当たった時、やはり、そこから救い出せるのは親でしかなかった。

「許す勇気も許される勇気も、怖くて・・・」
と言う台詞があったが、その言葉が胸に突き刺さった。
その冷え切った心を溶かし、開放してくれたのは、手のぬくもりと、一通の手紙だった。

長女が6年生のときに、私にこう言ったことがあった。
「ママ、心が石のようになった人の心をやわらかくするのには、お手紙を書くといいんだよ。それも、パソコンや携帯のメールじゃなく、手書きのお手紙。手書きだと書いた人の気持ちの動きが分かるの。
書き直した文字や、震えながら書いた文字、丁寧に書いた文字、涙でにじんだ文字、裏まで文字のあとが残るくらい力強い文字・・・。
でもね、お返事は期待したり、「お返事待ってます」なんて書いちゃいけないの。
返事が無くても、読んでもらえなかったとしても、心をこめて送り続けるの。
きっと石のようになった心もいつか柔らかくなることを信じて」
あの言葉に、私はどれだけ癒され、勇気付けられ、励まされたことだろう・・・。

でも、あの時の私はそれこそ自分のことでいっぱいいっぱいで、娘が何故あんなことを私に言ったのか、娘の心のSOSに気づいてあげることが出来ていなかったのだと思う・・・。

あすかちゃんがお母さんに送った手紙のシーンを見て、涙が止まらなかった。


私も、教育現場に勤めて7年が経つが、いろいろな子ども達や母子関係を見てきた。
子どもが問題行動を起こしたり、何か身体的なSOSを発信しているときは、子ども同様、親も苦しみ、傷つき、悩んでいる。
親が不安定だと子どもはどこにも身の置き場がなくなる。
甘えることも、ぶつかることも、頼ることも、寄り添うことも出来なくなる。
親のガス抜きが必要なのだ。
親が精神的に安定し、自立することで、子どもは安定し、安心できるのだ。

ドラマはハッピーエンドに終わっているが、実際はそんな短期間に解決する問題ではない。
でも、あすかの誕生日を家族で祝うことが出来たあの家族達の、再出発を感じさせる終わり方はとても爽やかだった。

劇中で登場するウインターコスモスの花言葉は「調和」「忍耐」「真心」。
photo by toliton717 from OCNフォトフレンド画像は夏子さんからお借りしました。

劇中歌として、特に母親が故郷を思うシーンに流れる『500マイルも離れて』はすごく心に沁みた。http://www.youtube.com/watch?v=GXOmSlcG3I0
【歌詞】http://musicfan.exblog.jp/10387093/

今回のドラマ含む番組企画のテーマは『日本人の忘れ物』。
3夜連続でいろいろな企画があったが、
日本人が、豊かさや便利さ個人の自由と引き換えに、どれほど大切な多くのものを失ってきたのかを考えさせる企画だった。

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