とみぞうのお気楽ブログ

クルマ、日本、北海道を愛する生粋の道産子50歳♂です。カバー画像は、PC版は増毛駅、スマホ版は733系電車の大谷ver.

フェラーリ458イタリア試乗記?

2013-05-08 19:46:59 | クルマ
(この記事は、2013年3月23日に作成したものです)

フェラーリ458(写真はwikipediaから)
458.jpg

題名に?が付いてますから、当然私が運転したんじゃないですよ。

下っ端サラリーマンの私がフェラーリなんぞに試乗できるわけありませんので、福野礼一郎氏が乗った感想をここに載せるだけです。彼はフェラーリ458を輸入販売している代理店が貸し出した広報車を乗ったわけじゃないので、しがらみなく言ってます。こういう評価を私のようなクルマ好きは期待しているわけで、フェラーリやベンツがダメなクルマなわけがないというのは、いまやこれだけネットで情報が飛び交うのですから、いくらメーカーからカネもらって提灯記事書いてもすぐにバレますからね。

ということで、ちょっと古い記事ですが、今読んでもなかなか面白いです。個人的には若干疑問を感じることはありますが、あまり目くじらたてず「楽しんで読んで」みてください。

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カーセンサーエッジ2010.12月号より
福野礼一郎のいい加減放題
「幸福の塩梅」第9回  ハンドリング③
「フェラーリとは即ち絶叫マシンである」


カーセンサーエッジ(以下、CS):
えー、福野ハンドリング私論として、クルマのアシのセッティングというのは「ディープハンドリング」と「シャープハンドリング」に大別できるんじゃないか、というお話でしばし展開しております。これまでのところ「ディープハンドリング」の代表格はポルシェやVWや日本車、「シャープハンドリング」の典型がフェラーリ、ジャガー、ミニであって、福野さんの自動車評論では従来この「シャープハンドリング」車こそ実は「ゴミ」と称されてきた車の一種だったわけです。ところが昨今のタイヤや電制の進歩によって、今の「シャープハンドリング」はそれはそれでそれなりにクルマの走りの味付けの一種として認められるようになってきたと。こうなってくると福野論的にも「シャープハンドリング」=「ゴミ」とは決めつけることはできず、「ディープハンドリング」と並ぶサスペンション思想の潮流として認識してもいいのでは、ということですね。

福野:
安全性で結果オーライなら、あとはほとんど好みの問題ですからね。

CS:
で、福野さんは前号のラストでこう締めくくった。「いまの458なんか、多少フィーリングが気色悪いだけで一応まともに走るじゃないですか。どえらい進歩ですよ。まあ458に関しては、あれはもうほとんどクルマですらないんじゃないかと思ってますが」ということで今月はそのフェラーリ458イタリアの話です。それにしても458なんて、いつどこで乗ったんですか。広報車借りたっていう噂も聞かないし、原稿も読んでませんが。

福野:
広報車なんて貸してくれませんよ私なんかに。知人が購入したクルマ。ディーラー車です。

CS:
いつも皮肉ばっか書くからでしょう。「多少フィーリングが気色悪いだけで一応まともに走る」なんて、バカにしてるとしか思えない。

福野:
すみません。「フィーリングは自分の信念とは違うけど、走ってみて危険性や不安定性は特にない」という意味でした。

CS:
実は私も数ヶ月前458の広報車をちょっと運転させてもらったんですけど、踏めば8000まで軽々回ってもの凄く速いのに、アイドリングは静かだし低速のマナーはいいし、ハンドリングがレーシングカーみたいに安定してる割に、サスをソフトにセットしておけば市街地での乗り心地もポルシェターボなんかより遙かにいいので、本当に驚きました。ボディ剛性高いし運転しやすいし、見た目も内装もめちゃめちゃカッコいいし、もうこれは文句のつけようがないスポーツカーだなと。正直歴代フェラーリの中でも最高だと思いました。

福野:
はい

CS:
つまり全然気色悪くなんかなかったということですが。

福野:
乗った方は皆さんそうおっしゃいます。

CS:
じゃいったい何が不満なんですか。

福野:
いや不満というわけじゃないんですが。まあ気持ち悪いなと。

CS:
(笑)どのあたりがですか。

福野:
だからその、まさしく「シャープハンドリング」的なアシの設定の、その部分ですね。シャシーは新設計ですが、基本設計的に従来通りのサスのアーム長は前後とも短く、上下アーム長の差が大きい(※下記の図示参考)。つまり(キャンバー変化が大きくなるので)そもそもストロークさせられないアシ設計ですが、セッティングとしてもストロークを抑えて常に車体姿勢をフラットに保とうとしています。このせいで4輪の荷重が常時変化して設置感が非常に乏しい。操舵に対するヨーゲイン(回頭反応)が非常にシャープなのに対してフロントのロール剛性も高いから、切ったとたんにアウト側前輪に荷重が移動し、車体姿勢自体はフラットでも、旋回安定感としてはつま先立っているようなフィーリングになります。地に足が着いてないようなこういう走り感はとても気持ち悪いし、いつ前輪アウト側のグリップが抜けるか予測感知しにくく、言ってみれば「タイヤグリップにお任せ」「路面次第」という要素が大きいから、運転してて不安。首都高中央環状線の池尻大橋の螺旋カーブ、あそこを60km/hで回ってみたら本当に怖かった。

CS:
60km/hで怖かったって(笑)。それって先入観かなんかじゃないですか。そういうもんだとハナから決めつけちゃってるとか。

福野:
乗った方が絶賛されてるのを伺ってると、自分でもそういう気がしてきます。はい。まあ右側通行の国では左側は反対車線ですから仕方ないです。

CS:
え?

福野:
先月も言いましたが、実際は感じているよりもずっと安全なクルマだと思うんですよ。もともと車体重心低いしトレッド広いし、今回はボディ剛性本当に高いし、タイヤグリップとにかく強大。車検証の表示で1580kgと重いですが(メーカー公称値1485kg)、たぶん実際にはほとんど何の問題もないでしょう。路面変化の大きい道とか低ミューとか、そういうところでハイスピードで走らない限りは。

CS:
だけど、福野さん的には評価しないと。

福野:
いや、というかハンドリングとか何とかそんなことはこの際どうだっていいと思ってるんですよ、ホントに。乗ってみてともかく画期的なクルマだと思いましたね。インテリアの雰囲気とか凄いでしょ。あのハンドル、メーター。ここまでやるかという演出ですよ。レクサスLFAもインテリアはがんばってるけど、F1的な総合的雰囲気再現という点では458にとてもかなわない。でもってシートに座ってエンジンかけると拍子抜けするくらいアイドル振動低くて、こりゃMR流体液封マウントでアイドル対応制御したのかというくらいでしょ。気分はまるでGT5の試遊台、走り出すとおっしゃるとおり低速トルクあるし、低速域でのエンジンマナーはおおむね高級乗用車。扱いやすくスムーズ。で踏めばあのパワーとあの音。ハンドル切ればあのシャープ回頭&フラットライド。私は怖いけど、あなたもみんなも怖くない。それにたぶんきっと昔に比べたら遙かに安全。ハンドルのスイッチ、カチカチいじって、あの音聞いて、右に左にハンドル切って加速して。で思ったわけです。ああこれはもう1から10まで本当に100%徹底してるんだなと。

CS:
快感に徹底してる。

福野:
公道F1シミュレータにですよ。

CS:
公道F1シミュレータ。確かにそれは言えますね。あの車をまさにずばり表してるかもです。フェラーリF1アミューズメントシミュレータとか。そういえばフェラーリはアブダビにテーマパークを作りましたよねえ。フェラーリF1の格好した絶叫マシンがあったりして。

福野:
だからつまりまさにあれの実車版ですよ458というのは。

CS:
一種の絶叫マシンということですか。

福野:
誰でも入場料払えばフェラーリF1の疑似体験ができる。加速、音、ハンドリング、コックピットのムード。めっちゃ怖いけど危険じゃない。めっちゃ速いけどボクでも運転できる。絶叫マシンじゃないですか。

CS:
それってひょっとしてまた遠回しにバカにしてます?

福野:
いやいやいやいやしてません。バカになんか絶対してない。ていうかむしろ心底感心してるんですよ。これはクルマという商品の商品力に関する画期的な提案だとすら思ってます。クルマが今直面している大きな障壁は技術や安全やリコールだけじゃありません。商品価値そのもののあり方です。需要飽和の過当競争、そこで一体自動車という一商品として「なにを『売り』として掲げてなにを『売る』のか」。みんなそこが分からなくて右往左往している。技術的には何やればいいか分かってんですよ。分からないのは商品の価値観の創出方法です。ベンツもBMWも試行錯誤の末SUV作ってミニバン作って、しまいに自分を見失っている。ところがフェラーリというメーカーは唯一、完全に覚醒してるんですね。己は誰なのか。何を求められ期待されているのか100%分かっている。実際に体現できているというのは、分かっていることよりさらに1000倍凄いね。分かってたって実行できないというのが世の中ですから。ですからアブダビのテーマパーク、あれこそフェラーリがこれから売ろうとしているモノやコトに対する完璧で明快な回答だと言ってよいでしょう。それは「F1エンタテイメント」ですよ。458も同じ。これはクルマじゃない。公道F1シミュレーター、フェラーリF1アミューズメント、フェラーリ絶叫マシン、「フェラーリ」というエンタテイメントを提供する商品の一つです。これを考えてるやつは恐ろしくアタマがいいですよ。

CS:
フェラーリ絶叫マシン。

福野:
だからもうアシがどうとかなんだとかの問題じゃないですね。そんなことはどうだっていい。クルマの未来ですよ。EVだハイブリッドだ燃料電池だとバカマスコミは騒ぐけど、あんなものは代替エンジンの種別に過ぎないわけでね、クルマの本質論ではないでしょう。むしろこのクルマが提示しているものの中にこそ、クルマの未来の何かが垣間見えているのではないかと思いますね。

「サスのアーム長」参考(「クルマンガ4」福野礼一郎 著 8頁)
サスアーム写真


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以上が記事でしたが、皆さんはどんな感想を持たれましたか?
今やこういうことを言う自動車評論家は少なくなってきました。一番いいのは福野氏のような方の評論を読んで、次に自分自身でそれがホントかどうか確認できれば一番いいのですけど、いかんせんスーパーカーは試乗させてもらえない。よって、常日頃読んでいる評論家のうち、比較的自分の感性に近い人のスーパーカー試乗記を読み、それを事実だろうと想像するしかないのです。ま、そんな想像してる時点でやっぱり変態ですね(笑)

(以下、フェラーリofficial HPより、458Italiaのデータ)
全長4527 mm /全幅1937 mm/全高1213 mm/ホイールベース2650 mm/乾燥重量1380 kg(車検証上では1580kg)
パワーウェイトレシオ2,42 kg/前後重量配分前/後・42%/58%
エンジンタイプフロント縦置き・ 90度V型8気筒/総排気量4499 cc
最高出力578PS(419 kW)** @ 9000 rpm/最大トルク540 Nm (398 lbs/ft) @ 6000 rpm
リッターあたり出力127 CV/?/圧縮比12.5:1
タイヤサイズ 前235/35 ZR20 8.5”/後295/35 ZR20 10.5”
最高速度>325 km/h/
ギアボックスデュアルクラッチ式 7速F1
価格 2830万円



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