世田谷パブリックシアターで『ロックンロール』を鑑賞。市村正親さんと武田真治さんが出演。このタイトルと出演者名から歌あり踊りありのミュージカルを期待するな、という方が無理な話でしょう。が、開演後10分経たずして事前の予習不足を怠った自分を呪った次第・・・。
8月10日と26日の2回鑑賞したんですが、10日に関しては終演後のトークショーしか覚えていません。「1幕が終わった後に観客のみなさんの頭の上に?マークが見えた」と苦笑しながら出演者の方々が仰っていたとおり、私の頭の中も「?」ばかり。しかも1幕後だけでなく終演後も「?」。市村さんが「自分達も難しい話だということはわかっている。でも演出家の栗山民也さんが、演劇界のためにもこういう劇をやっていかないとダメなんだ、と言っていた。」というようなことを仰っていました。その話を聞いて先日お亡くなりになった井上ひさしさんも同じような主旨の話をされていたことを思い出しました。集中して何かを見たり聞いたりして、それを自分の頭で考えるということができなくなっていることを深く反省。トークショーでの真治さんのキラキラスマイルや「実は肉襦袢着てるんです」発言で喜んでるだけじゃダメなんだよ、私
・・・と、気合いを入れて臨んだ26日。1幕冒頭のセリフからしっかり聴きこみ、キャストの動きをしっかり目で追いました。1幕では時代を象徴する音楽と政治的背景がパズルのピースのように断片的に出てきます。2幕では時の経過と共に完成されたパズルの絵ではなく、1ピースに隠されていた意味が明らかになっていく・・・というような話だったように思います。「思います」・・・って言ってるあたりで、ダメだなぁ。2回見ても「こういう話だった」とあらすじも言えないし、感想も出てこない。
真治さんが出てるから・・・という軽い動機で鑑賞した私への罰だったんじゃないかと鑑賞後は思いました。そして感想として「難しい」という言葉を軽はずみに使ってはいけないようにも思いました。「どうすれば理解できるんだろう」と全場面集中して舞台上を見つめ、セリフを聞き逃さないようにしていたので終演後はかなりのお疲れ状態。ただ受身で見ているだけでは理解できない作品で、能動的に舞台上から情報を集め考えないと「ロックンロール」の世界はわからない。観客に対して「しっかり観ろ!しっかり考えろ!」と演出家が戦いを挑んできたような作品です。もう1回観たらわかるかなぁ・・・でも、それはしんどいなぁ。