30日(火)。特定健診(健康診断)の結果、血圧が高いということで、昨日午前、事前に予約しておいた池袋の豊島健康検査センターに行き、特定保健指導を受けてきました 食事や運動などにつきアドヴァイスを受けましたが、「自宅で毎日血圧を測って記録し、長く高血圧状態が続くようなら、行きつけのクリニックでデータを基に相談した方が良い」ということだったので、帰りがけに家電量販店で上腕式血圧計(消費税込みで14,380円)を購入しました 説明書を読んでから使い始めたいと思います
ということで、わが家に来てから今日で2788日目を迎え、朝日新聞社が27,28日に実施した全国世論調査の結果によると、岸田内閣の支持率は47%(前回7月は57%)と大幅に下落、不支持率は39%(同25%)に跳ね上がり、昨年10月の内閣発足以来最高だった2月の30%を大きく上回った というニュースを見て感想を述べるモコタロです
新型コロナ対応、安倍元首相の国葬、旧統一教会問題の3点セットが大きな要因だ
昨日、娘が職場の同僚から賞味期限ぎりぎりの「豚肩ロースのコク甘醤油味」を仕入れてきたので、夕食に焼きました あとは「生野菜とアボカドのサラダ」「冷奴」「ウインナとキャベツのスープ」です。豚肩ロースは柔らかくて美味しかったです
エマニュエル・トッド著「第三次世界大戦はもう始まっている」(文春新書)を読み終わりました エマニュエル・トッドは1951年生まれ。フランスの歴史人口学者・家族人類学者。国・地域ごとの家族システムの違いや人工動態に着目する方法論により、「最後の転落」(1976年)で「ソ連崩壊」を、「帝国以後」(2002年)で「米国発の金融危機」を、「文明の接近」(2007年)で「アラブの春」を予言、トランプ勝利、英国のEU離脱なども次々と予言した 「エマニュエル・トッドの思考地図」「シャルリとは誰か?」「問題は英国ではない、EUなのだ」「老人支配国家 日本の危機」など著書多数
様々な世界的な危機や事件を予言してきたトッド氏の結論は「本来、簡単に避けられたウクライナ戦争の原因と責任はプーチンではなく米国とNATOにある。”事実上”米露の軍事衝突が始まり『世界大戦化』してしまった以上、戦争は容易には終わらず、ロシア経済よりも西側経済の脆さが露呈してくるだろう」というものです
本書は次の各章から構成されています
1.第三次世界大戦はもう始まっている(2022年3月)
2.「ウクライナ問題」をつくったのはロシアでなくEUだ(2017年3月)
3.「ロシア恐怖症」は米国の衰退の現れだ(2021年11月)
4.「ウクライナ戦争」の人類学(2022年4月)
著者は「第三次世界大戦はもう始まっている」の中で概要次のように書いています
「今回の戦争に対する反応として、実はアメリカと西欧の間には大きな違いがある イギリス、フランス、ドイツなどの西欧諸国では、地政学的思考や戦略的思考がまったく姿を消してしまい、皆が感情に流されている それに対してアメリカでは、地政学的・戦略的視点からも論じられている その代表格が元米空軍軍人で、現在シカゴ大学教授の国際政治学者ジョン・ミアシャイマーである。彼は今回の戦争に関して、「まずは感情に流されず、リアル・ポリティクスの観点から、戦争の原因を考えなければならない」と問題提起している 彼の出した結論は「いま起きている戦争の責任は、プーチンやロシアではなく、アメリカとNATOにある」ということである 「ウクライナのNATO入りは絶対に許さない」とロシアは明確に警告を発してきたのにも関わらず、アメリカとNATOがこれを無視したことが、今回の戦争の原因だとしているのだ 「ウクライナはすでにNATOの事実上の加盟国だった」とミアシャイマーは述べている。また、彼は「ウクライナのNATO加盟、つまりNATOがロシア国境まで拡大することは、ロシアにとっては、生存に関わる『死活問題』であり、そのことをロシアは我々に対して繰り返し強調してきた」と述べている 非常に明快な指摘で、私(トッド氏)も基本的に彼と同じ考えである。ヨーロッパを”戦場”にしたアメリカに怒りを覚えている」
そして、「いま起きている戦争の責任は、プーチンやロシアではなく、アメリカとNATOにある」という理論の根拠を次のように書いています
「ドイツ統一が決まった1990年の時点で、『NATOは東方に拡大しない』といった”約束”がソ連に対して為されていたが、1999年にはポーランド、ハンガリー、チェコが、2004年にはルーマニア、ブルガリア、スロバキア、スロベニア、エストニア、ラトビア、リトニアがNATOに加盟した それでも、ロシアは不快感を示しながらも2度にわたるNATOの東方拡大を受け入れた しかし2008年のNATO首脳会議で、「ジョージアとウクライナを将来的にNATOに組み込む」ことが宣言されたことから、プーチンは緊急記者会見を開き、『強力な国際機構が国境を接するということはわが国の安全保障直接的な脅威とみなされる』と主張した つまり、この時点でロシアは、「ジョージアとウクライナのNATO入りは絶対に許さない」という警告を発し、「ロシアにとって越えてはならないレッドライン」を明確に示していたのだ。その後、2014年2月にウクライナで「ユーロマイダン革命」と呼ばれる「クーデター」(民主主義的手続きによらずに新EU派によって親露派のヤヌコヴィッチ政権が倒される)が発生した これを受けて、ロシアはクリミアを編入し、親露派が東部ドンバス地方を実効支配したが、それは住民の大部分がこの「クーデター」を認めなかったからだ」
つまり「過去に警告したにも関わらず、アメリカやNATOがプーチン・ロシアを追い詰めた」という結論です そして、現在のウクライナ戦争の現況について次のように書いています
「ウクライナ軍は、アメリカとイギリスの指導と訓練によって再組織化され、歩兵に加えて、対戦車や対空砲も備えている とくにアメリカの軍事衛星による支援が、ウクライナ軍の抵抗に決定的に寄与している。その意味で、ロシアとアメリカの間の軍事的衝突は、すでに始まっているのだ ただ、アメリカは、自国民の死者を出したくないだけなのだ」
アメリカが関与した戦争で、アメリカ本土が攻撃を受けたのは第2次世界大戦における日本軍によるハワイ「真珠湾攻撃」と、2001年9月11日にアルカイダが実行した航空機ハイジャックによる同時多発テロ事件しかありません ベトナム戦争やイラク戦争をはじめ他の戦争はすべて外国に行って爆弾を落とし、兵力をつぎ込んでその国の国民を殺し、建物を破壊しているのです
前述のジョン・ミアシャイマーは「ウクライナ側の軍事的成功と、ロシアが陥っている困難な状況を、われわれ西側の人間は手放しで喜んでばかりはいられない」と語っていますが、トッド氏はこれに同意し、次のように説明を加えています
「ミアシャイマーは、この問題はロシアにとって『生存をかけた死活問題』である以上、ロシアは困難な状況に陥ることで、さらに攻撃的、暴力的になるだろう と予測していたが、現状を見る限り、すべて彼の予測通りに事態は進んでいる 戦闘はますます容赦ないものとなり、ロシアはこの戦争にますます深くのめり込んでいる」
トッド氏は「一点だけミアシャイマーとは見解が異なる」として、次のように書いています
「『ロシアはアメリカやNATOよりも決然たる態度でこの戦争に臨むので、いかなる犠牲を払ってでもロシアが勝利するだろう』とミアシャイマーは予測したが、私はそうではないと考える もしアメリカがロシアの勝利を阻止できなかったら、アメリカの威信が傷つき、アメリカ主導の国政秩序自体が揺るがされることになるので、アメリカにとっても『死活問題』になると考える」
「死活問題」同士の対決は終わりがないのではないか、と危惧します
トッド氏は「『ウクライナ戦争』の人類学」の中で次のように書いています
「戦争が長期化すればするほど、多数のウクライナ国民が犠牲となり、難民として国外に流れ、ウクライナの建物や橋は破壊されていく ロシアによる侵攻前に、大量の人口流出によってすでに『破綻国家』に近かったウクライナが、この戦争によって、さらに破壊されていく 要するに、アメリカは”支援”することで、実はウクライナを”破壊”しているわけである」
これを読むと、ますますこの戦争に終わりはないのではないか、と思ってしまいます
本書はウクライナ問題を感情論ではなく冷静になって理論的に考えることの大切さを教えてくれます プーチン・ロシアのウクライナ侵略は決して許されることではありません このことは強調しておきたいと思います その上で、過去の歴史を整理してこの問題を捉え直すことも大事だと思います その意味で 本書は最適のテキストになると思います。お薦めします