人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「クラシックコンサート 2022年 マイベスト5」の発表です ~ 第1位はMETライブビューイングでお馴染みのあの歌手のリサイタルです / 2022年の新語大賞「タイパ」とは?

2022年12月31日 07時03分53秒 | 日記

31日(土)。月末を迎えたので恒例により今月の3つの目標の実績を発表します 12月の実績は①クラシック・コンサート=8回、②映画鑑賞=13本、③読書=4冊でした

各目標のトータルの実績と2023年の目標は明日のブログで発表します

ということで、わが家に来てから今日で2910日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は29日、完成した最新の原子力潜水艦「スボーロフ大元帥」などを実践配備する式典にオンラインで出席、軍艦建造を加速化し「世界の海でロシアの安全と国益を守る」と表明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     軍艦建造より ウクライナへの損害賠償資金を確保しておかないと ロシアは破産だぜ

 

         

 

前日の夕食で「牡蠣のカンカン焼き」を作った時に、缶の底に残った日本酒と牡蠣から出た汁のミックス・スープで、昨日の昼食に息子がスパゲティを作ってくれました 具はレタス、パプリカ、ツナです とても美味しくて、やっぱり息子に料理は敵わないと思いました

 

     

 

昨日の夕食は娘が「ローストビーフ」を、息子が「マッシュポテト」を、私が「生野菜サラダ」を作りました 家族3人共作の夕食は今回が初めてです ローストビーフはレアで美味しく、マッシュポテトはクリーミーで、シャンパンとワインによく合いました

 

     

 

         

 

息子が、この日に配達されるように「コーヒー豆」セットを送ってくれました ケニアの「レッドマウンテン」とCOEディオス農園の「エル・サルヴァドール」です 帰省した本人の前で梱包を解くと良い香りがしました お正月にゆっくりいただくことにします

 

     

 

娘には 遅れたバースデープレゼントとして紅茶とジャムのセットを送ってくれたようです なんだかんだ言っても、家族が一番大切です

 

         

 

昨日の朝日新聞朝刊第1面に「タイパ社会 豊かな時間はどこに ~ 時間効率求めて追われ」という見出しの記事が載っていました 超略すると以下の通りです

「費用対効果をあらわすコスパに加え、時間あたりの生産性を重視する『タイムパフォーマンス(タイパ)』が注目されている 調査会社クロス・マーケティングによる『映画やドラマなどの動画を”倍速視聴”したか?』という質問に20~60代の3人に1人がそうしたと答え、20代では半数近くにのぼった 読書、音楽、食事、健康、恋愛・・・『タイパ』重視の意識は、あらゆる領域に浸透してきている 三省堂の『今年の新語2022』で大賞に選ばれた。スマホの普及でSNSが全盛となり、定額見放題の動画配信サービスが広まった。消費しきれないほどの膨大なコンテンツの波が、押し寄せている 博報堂生活総研の調査によると、『日頃の行動を高速化したい』と考える人が1999年の37%から今年は57%に拡大した 一方、時計大手のセイコーグループの調査では、7割近くが『時間に追われている』と感じ、5割近くがその感覚が『強くなった』と答えた 20万部を超えたビジネス書『限りある時間の使いかた』は、『効率を上げれば上げるほど、ますます忙しくなる』という『生産性の罠』に警鐘を鳴らす

『タイムパフォーマンス(タイパ)』については、稲田豊史著「映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ ~ コンテンツ消費の現在形」(光文社新書)を6月24日付toraブログでご紹介しています コンテンツの「鑑賞から消費へ」という流れが分かりやすく書かれています 興味のある方はご覧ください

 

     

 

         

 

今年はクラシック・コンサートを144回聴きました 内訳は①オーケストラ=102回、②室内楽=28回、③オペラ・声楽=14回でした その中から、独断と偏見で今年最も印象に残ったコンサートの「マイベスト5」を選んでみました

第1位「エリーナ・ガランチャ メゾ・ソプラノ リサイタル」(6月28日:すみだトリフォニーホール)

これは断トツ1位です コロナ禍で延期に次ぐ延期を経て3年越しに実現したコンサートだけに期待度がマックスでしたが、期待にそぐわぬ素晴らしい公演でした サン=サーンスの歌劇「サムソンとデリラ」のアリア「あなたの声で心は開く」をはじめ最高のメゾを堪能しました アンコールにカルメンの「ハバネラ」をはじめ6曲も歌ったのには度肝を抜かれました また来日したら絶対 聴きに行きます

 

     

 

第2位「新国立オペラ ジュリオ・チェーザレ」(10月2日・新国立劇場「オペラパレス」)

この公演は、クレオパトラ役の森谷真理の歌唱力と演技力が群を抜いていたほか、トロメーオ役の藤木大地がコメディータッチの役柄に新境地を開拓、ニレーノ役の松村稔之が大健闘しました

 

     

 

第3位「新日本フィル  すみだクラシックへの扉第7回公演 ~ 新実徳英『和太鼓とオルガンとオーケストラのための”風神・雷神”』ほか」(5月13日・すみだトリフォニーホール)

この日のプログラムは①サン=サーンス「糸杉と月桂樹」から「月桂樹」、②新実徳英「和太鼓とオルガンとオーケストラのための『風神・雷神』」、③ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」第1組曲、第2組曲、④ラヴェル「ボレロ」で、演奏は②の和太鼓独奏=林英哲、オルガン独奏=石丸由佳、指揮=井上道義です 何と言っても②の『風神・雷神』が凄かった 林英哲の迫力ある和太鼓と石丸由佳の狂気とも言える熱演が、洋楽器のオーケストラの渾身の演奏と相まって素晴らしい音楽劇を繰り広げました

 

     

 

第4位「東京フィル第976回定期演奏会:ヴェルディ『ファルスタッフ』」オペラ演奏会形式(10月20日・サントリーホール)

出演はファルスタッフ=セバスティアン・カターナ、アリーチェ=砂川涼子、ナンネッタ=三宅理恵、フェントン=小堀勇介、メグ=向野由美子ほか、指揮=チョン・ミョンフンです この公演は楽しかったの一言です 指揮者のチョン・ミョンフン自らがオペラに参加し笑いを取っている姿が微笑ましく、歌手陣も表題役のセバスティアン・カターナをはじめ皆 充実していました

 

     

     

第5位「東京・春・音楽祭 ワーグナー『ローエングリン』」(3月30日・東京文化会館)

コロナ禍で中止が続き、今回が3年ぶりの待望の「ワーグナー・シリーズ」でした 出演はローエングリン=ヴィンセント・ヴォルフシュタイナー、エルザ=ヨハン二・フォン・オオストラム、テルラムント=エギルス・シリンスほか。管弦楽=NHK交響楽団、指揮=マレク・ヤノフスキです。いつもながら歌手陣が充実していました それに加え、ヤノフスキ指揮N響の渾身の演奏が光りました

 

     

 

こうして見ると、5公演のうち歌劇・声楽が4公演となっているのが大きな特徴です やっぱり私は総合芸術としてのオペラが好きなんだな、とあらためて思います

本当は新国立オペラを中心とする年13回程度でなく、もっと多くのオペラ公演を鑑賞したいのですが、何しろチケット代が高額なので二の足を踏んでしまいます しかし、来年は今年以上に回数を増やしたいと思っています

さて、皆さんの「2022年のマイベスト」はいかがでしょうか

今年1年間、toraブログをご訪問いただきありがとうございました 来年も毎日休まずアップして参りますので、モコタロともどもよろしくお願いいたします

 

         

【忘備録】

2022年12月31日におけるtoraブログのトータル・アクセス数とランキング

①トータル閲覧数   7,487,082 P V

②トータル訪問者数  2,313,157 I P

③gooブログ全体におけるランキング      3,140,875ブログ中 245位

④日本ブログ村「コンサート・演奏会感想」におけるランキング 54ブログ中 1位

⑤フォロアー数 2001人(ツイッター分47人を含む)

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日経「今年の収穫 映画」を読んで ~ 中条省平、宇田川幸洋、村上匡一郎、渡辺祥子、春日太一が選ぶベスト3 / 伊坂幸太郎著「シーソーモンスター」を読む

2022年12月30日 07時00分04秒 | 日記

30日(金)。昨日 午前中に年賀状を作成してポストに投函しました   もはや元日には着きませんね    面倒くさいので 毎年「今回で年賀状終いをしよう」と思うものの、すっかりご無沙汰している人たちに年に1度くらいは便りを出して自分が何とか生きていることを伝えると同時に、相手が生存しているかどうかを確かめておいた方が良いと思い直して、結局出しています この分だと当分止められませんね

昨日、山形県鶴岡市に単身赴任している息子が年末年始休暇で帰省しました 5月のゴールデンウィークに帰省して以来なので約7か月ぶりです 家に着いて早々、昼食に鶴岡の味噌ラーメンを作ってくれました

 

     

 

ところで、昨日の日経夕刊 文化欄に「今年の収穫 映画」が掲載されていました    毎週金曜日に掲載の「シネマ万華鏡」に寄稿する5人の評論家がそれぞれベスト3を選んでいます

中条省平氏は①戦争と女の顔(カンテミール・バラーゴフ監督)、②ケイコ  目を澄ませて(三宅唱監督)、③TITANE  チタン(ジュリア・デュクルノー監督)を挙げています

宇田川幸洋氏は①焼け跡クロニクル(原まおり、原将人共同監督)、②愛してる!(白石晃士監督)、③七人樂隊(サモ・ハン、アン・ホイほか共同監督)を選んでいます

村上匡一郎氏は①アネット(レオス・カラックス監督)、②土を食らう12か月(中江裕司監督)、③ミスター・ランズベルギス(セルゲイ・ロズ二ツァ監督)を挙げています

渡辺祥子氏は①アフター・ヤン(コゴナダ監督)、②ある男(石川慶監督)、③フレンチ・ディスパッチ  ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(ウェス・アンダーソン監督)を選んでいます

春日太一氏は①アンデス、ふたりぼっち(オスカル・カタコフ監督)、②RRR(S.S.ラージャマウリ監督)、③モガディシュ  脱出までの14日間(リュ・スンワン監督)を挙げています

上記の15作品のうち、私が観たのは①戦争と女の顔(カンテミール・バラーゴフ監督)、②アネット(レオス・カラックス監督)、③フレンチ・ディスパッチ  ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(ウェス・アンダーソン監督)、④モガディシュ  脱出までの14日間(リュ・スンワン監督)の4作品です

①戦争と女の顔(カンテミール・バラーゴフ監督)は、ウクライナ戦争直前にロシアで撮影された反戦映画です。戦闘場面が全くないのに戦争の悲惨さが伝わってくる傑作です

②アネット(レオス・カラックス監督)は、ミュージカル仕立てでストーリーが展開し、ファンタジックな世界が繰り広げられる作品です

③フレンチ・ディスパッチ  ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(ウェス・アンダーソン監督)は、20世紀のフランスの架空の都市で発行されたアメリカの雑誌「フレンチ・ディスパッチ」の最終号に掲載されたストーリーをオムニバスで描いた映画です。アンダーソン監督の遊び心満載の作品で楽しく観ました

④モガディシュ  脱出までの14日間(リュ・スンワン監督)は、1991年のソマリアの首都モガディシュで内戦により孤立した大韓民国と北朝鮮の大使館員とその家族が、生死をかけて脱出する様子を描いた作品です。事実に基づいた映画とのことですが、今では考えられません 春日太一氏は「今年は、上質な娯楽作をアベレージとして連発できる、韓国映画の制作能力の高さに感心した」と書いています

私は今年 87本の映画を観ましたが、そのうち10本がMETライブビューイングを中心とするオペラ映像でした それを除く一般映画77本の中で最も印象に残っているのは倍賞千恵子が主演を務めた「プラン75」(早川千絵監督)です これは超高齢化に対応するため、75歳以上が自ら生死を選択できる制度『プラン75』が施行された日本を描いた作品です 笑い事では済まされない近未来が見事に描かれています また、大きなくくりで言うと「ドキュメンタリー」映画をよく観た1年でした。「ナワリヌイ」「ウクライナから平和を叫ぶ」「Blue  Island 憂鬱の島」「時代革命」「戦場記者」といった映画です。それぞれロシア、ウクライナ、香港の現状を扱っています

ということで、わが家に来てから今日で2909日目を迎え、ロシア軍は29日朝、ウクライナ首都キーウを含む各地にミサイル攻撃を行ったが、ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は「露軍は120発以上のミサイルを発射した」と指摘、狙いは電力インフラの破壊だとした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシア軍によるウクライナの破壊は年末も止まないが プーチンが償う日は必ず来る

 

          

 

昨日の夕食は、娘が発注した「牡蠣のカンカン焼き」と「イカの一夜干しのバター醤油焼き」にしました 息子が持参したエノテカのシャンパン「アルパ・ソルシ/イル・ボッロ」と一緒にいただきました 牡蠣はボリュームがあり、イカは柔らかく、シャンパンは上品な味で、どれもが美味しかったです

 

     

     

     

 

         

 

伊坂幸太郎著「シーソーモンスター」(中公文庫)を読み終わりました 伊坂幸太郎は1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年「オーデュボンの祈り」で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー 2004年に「アヒルと鴨のコインロッカー」で吉川英治文学新人賞、「死神の精度」で日本推理作家協会賞(短編部門)、2008年に「ゴールデンスランバー」で本屋大賞と山本周五郎賞を受賞したほか受賞歴多数

 

     

 

著者は「あとがきにかえて」の中で次のように書いています

「『シーソーモンスター』は、今から10年ほど前に、仙台に住む著者のところにやってきた編集者が、『今度創刊する期間限定の雑誌があり、そこで、複数の作家が異なる時代を舞台に、小説を連載する企画を考えている』という話をしてくれた それをきっかけに①どの時代(どの作品)にも、Aという家系(血筋)と、Bという家系(血筋)に属する人物が出てくる、②AとBの家系の人物はどの時代(どの作品)でも対立するという条件を付けて企画『螺旋』を展開することになった

そして、「共通のルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなで一斉に書きませんか?」と伊坂氏が呼び掛けたところ、朝井リョウ、天野純希、伊坂幸太郎、乾ルカ、大森兄弟、澤田瞳子、薬丸岳、吉田篤弘の9人が執筆することになった、とのことです 伊坂氏は昭和後期を舞台とした「シーソーモンスター」とその約50年後の近未来を舞台とした「スピンモンスター」を書くことになりました

「シーソーモンスター」の粗筋は以下の通りです

「北山直人は製薬会社の営業マンとして働いているが、妻の宮子と同居している母親のセツとの嫁姑関係が悪いことに悩まされている 彼は会社の綿貫先輩に彼女たちの争いについてグチをこぼし相談する毎日を送っている そんな中、綿貫先輩から得意先の病院への営業を引き継いだことをきっかけに、直人は営業先の病院が保険料詐欺を働いていることを知ってしまう 実は、不正を持ちかけたのは綿貫先輩だった それが原因で直人は命を狙われるが、妻の宮子と母のセツの助太刀により命拾いする 実は宮子もセツも特殊部隊の出身者で、先輩後輩にあたっていた。しかし直人だけが知らないことだった 宮子とセツとが対立するのは海族と山族が対立しているからだった

「スピンモンスター」の粗筋は以下の通りです

「交通事故により水戸直正の家族は死亡した しかし相手の車に乗っていた家族も同様だった たった一人生き残った水戸と相手の檜山景虎はなぜか会うだけで対立してしまう 水戸は事故の経験から自動車を避けて新幹線に乗っていた 水戸の仕事は配達人で、手紙を依頼人から相手に届けるのが仕事だった 電子情報が氾濫した2050年には、何が本当の情報かが分からなくなり、重要な情報はアナログの手紙で伝達するのが普通の世の中になっていた たまたま居合わせた隣席の男(後で寺島テラオと判明する)が一通の手紙を水戸に渡すところから物語が始まる その手紙は、数十年前に再会を約束した友人(中尊寺敦)に宛てたものだった。寺島テラオは中尊寺の大学院時代の同級生であり、AI(人工知能)の天才科学者で、人工知能「ウェレカセリ」を開発し、2050年当時には社会に普及していた しかし、寺島は事故で死亡してしまう 約束通り中尊寺は再会すべき場所に来ていた。水戸は寺島の手紙を中尊寺に渡したが、そこには「君の言う通りだった。オッペルと象」としか書かれていなかった 中尊寺から「君も一緒に来てくれ」と言われたことから水戸は彼と行動を共にすることになる 一方、檜山景虎は警察組織の一員になっていたが、何の因果か水戸は檜山から追われる立場になる それは海族と山族が対立しているかららしい 中尊寺敦はAIが発達した世の中で、AIが人間よりも賢くなっていくことに疑問を感じ研究を止めたが、寺島からの手紙にはAIの暴走を止める自己破壊のプログラムのありかに関するヒントが隠されていたのだった    果たして中尊寺はAIの暴走を止めることが出来るのか

「シーソーモンスター」は宮子が絵本を出すところで終わっていますが、その50年後の「スピンモンスター」では宮子が「せつみやこ」というペンネームで「アイムマイマイ」という絵本シリーズの作者として登場し、中尊寺や水戸たちを警察の追及から救い出すという活躍を見せます 中編2作品で合計460ページを超えますが、両方のストーリーはスピード感に溢れ、読み始めたら止まりません お正月休みにいかがでしょうか。お薦めします

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日経「今年の収穫 音楽」を読んで思うこと / ピル・カムソン監督「人質 韓国トップスター誘拐事件」を観る ~ 韓国の俳優ファン・ジョンミンが実名役で登場するサスペンス

2022年12月29日 07時04分25秒 | 日記

29日(木)。昨日は、レンジフードの油汚れを落として、ガラス窓・戸を拭き掃除しました いつも「大掃除は夏の暑い時にやれば効率がいいんだよな」とか言いながら、「めんどくさいなぁ、やっぱ年末にしよう」となって、今年もその轍を踏みました 我ながら優柔不断というか日和見主義というか前例踏襲というか意志薄弱というか、情けないです

ところで、一昨日の日経夕刊 文化欄に「今年の収穫  音楽」が掲載されていました 「クラシック」では3人の評論家が印象に残った公演ベスト3を選んでいます

江藤光紀氏(クラシック)は①サイモン・ラトル指揮ロンドン交響楽団(10月6日、サントリーホール)、②ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団(11月26日、サントリーホール)、③松田華音(9月17日、彩の国さいたま芸術劇場)を挙げています 私はこのうち②を聴いていますが、プログラムは①シューマン「マンフレッド序曲」、②同「ヴァイオリン協奏曲」(Vn:ヴァイトハース)、③ベートーヴェン「交響曲第2番」でした 江藤氏は「じっくり信頼関係を築いてきたノット&東響の以心伝心ぶりに手ごたえを感じた」と評しています   よく「ノットは現代曲」がいいと言われますが、私はベートーヴェンが断然いいと思います 数年前に聴いた第5番は今まで聴いた中で一番素晴らしい「運命」だと思いました

山崎浩太郎氏(オペラ)は①「フィガロの結婚」(8月、まつもと市民芸術館)、②大野和士指揮「ボリス・ゴドゥノフ」(11月、新国立劇場)、③濱田芳通指揮「ジュリオ・チェーザレ」(3月、川口総合文化センター・リリア)を挙げています 山崎氏は①について「海外からの歌手と演出に、新鋭沖澤のどか指揮のオーケストラを合わせて、総合点の高さで群を抜いていた」と評しています。②は私も鑑賞しましたが、山崎氏は「ショッキングな演出が、オペラの無限の可能性を再認識させてくれた ウクライナでの戦争が原因で主役歌手が交代し、画竜点睛を欠いたのが残念」と評しています 私は、ウクライナ戦争があったからこその演出だったと思います

小石かつら氏(クラシック・関西)は①鈴木秀美指揮神戸室内管弦楽団(6月、いずみホール)、②準・メルクル指揮京都市交響楽団(8月、京都コンサートホール)、③関西歌劇団「偽の女庭師」(9月、メイシアター)を挙げています ①について小石氏は「バッハを根幹に据えつつ、モーツアルト『ジュピター』とベートーヴェン『運命』を『体感』する仕掛け 時代の変化と作曲家同士の尊敬を肌で感じ、アンサンブルから湧きあがる響きに驚愕した」と評しています

リード記事にあるように、「2022年はコロナ禍で途絶えていた海外アーティストの来日が本格的に再開した」1年でした 私にとってはどんな1年だったのか、12月31日のブログで振り返ってみたいと思っています

ということで、わが家に来てから今日で2908日目を迎え、ジャニーズ事務所や関連会社2社が2022年までの5年間に約9千万円のお年玉を払い、それぞれ「交際費」として税務申告していたことに対し、東京国税局が事務所の藤尾ジュリー景子社長の個人的支出に当たるとして、事務所側に所得税の源泉徴収漏れを指摘していたことが27日、関係者への取材で分かった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     年間1800万円ものお年玉を出せるは藤尾ジュリー景子社長は 相当儲けているな

 

         

 

昨日、夕食に「鶏の唐揚げ」を作りました いつもは隔週金曜日に作っていますが、金曜日は別のメニューが決まっているので、急きょ前倒ししました 唐揚げにはサッポロCLASSICです

 

     

 

         

 

新文芸坐でピル・カムソン監督による2021年製作韓国映画「人質  韓国トップスター誘拐事件」(94分)を観ました

記者会見から帰宅の途についた国民的スター俳優ファン・ジョンミン(実名・本人)が、ひと気のない路地で何者かに連れ去られた 警察や関係者は必至で行方を捜すが、証拠も目撃情報もない 一方、パイプ椅子に縛り付けられた状態で意識を取り戻したファン・ジョンミンは、自分が身代金目的で誘拐されたことを知る まるでゲームのように犯行を楽しむ若者たちは、ソウルを震撼させている猟奇殺人事件の犯人だった ファン・ジョンミンは唯一の武器である卓越した演技力で犯人たちに対峙する

 

     

 

残念ながら私は”国民的スター俳優”ファン・ジョンミンを知りません 知っていればもっと面白く観ることができたと思います この映画を観ていて「おやっ?」と思ったのは、犯人グループが全員、顔を晒して人質を相手にしていることです 映画の中ではファン・ジョンミンがもう一人の人質に「彼らが顔を見せているのは、よほど逃げ切る自信があるのか、あるいは身代金を奪った後に我々を殺すつもりでいるかのどちらかだ」と言いますが、どうも説得力に欠けるように思います ただ、それを除けばストーリーにしても登場人物の演技にしてもリアリティーがあり、先がどうなるか全く読めないサスペンスとして楽しめました

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東京シティ・フィル「ティアラこうとう」会員に / ビョン・ソンヒョン監督「キングメーカー 大統領を作った男」を観る ~ 韓国大統領・金大中を支えた選挙参謀の実話がベース

2022年12月28日 07時05分27秒 | 日記

28日(水)。昨日、東京シティ・フィル「ティアラこうとう定期演奏会」会員になりました 私はすでに「東京オペラシティ定期演奏会」の会員ですが、プログラムが充実しているので両方の会員になりました 年4回シリーズですが、第1回目(4/15)は吉田南によるブラームス「ヴァイオリン協奏曲」、第2回目(9/9)は角野隼斗によるモーツアルト「ピアノ協奏曲第26番」、第3回目(11/23)は朴葵姫のギターによるロドリーゴ「アランフェス協奏曲」、第4回目(1/27)は目等貴士によるカーゲル「ティンパニとオーケストラのための協奏曲」がプログラミングされています  どれもが魅力的です

ということで、わが家に来てから今日で2907日目を迎え、NHK党のガーシー参院議員から動画投稿サイトで中傷や脅迫を受けたなどとして、複数の著名人が提出した告訴状を警視庁が受理していたことが捜査関係者への取材でわかった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     こいつは何のために国会議員になったんだ? 文春か新潮に行くべきだったんじゃね     

 

         

 

昨日、夕食に大学時代の友人S君が送ってくれた「鯵を塩焼き」「イカをバター焼き」にして、「生野菜サラダ」「豚汁」と一緒に食べました 鯵は身が厚くて脂がのっていて、イカは柔らかくてとても美味しかったです

 

     

 

         

 

新文芸坐でビョン・ソンヒョン監督による2021年製作韓国映画「キングメーカー  大統領を作った男」(123分)を観ました

時は1961年。韓国北東部の高原道で小さな薬局を営むソ・チャンデ(イ・ソンギュン)は、世の中を変えたいという思いから野党の新民党に所属するキム・ウンポム(ソル・ギョング)に肩入れし、ウンポムの選挙事務所を訪ねて、選挙に勝つための戦略を提案する その結果、ウンポムは補欠選挙で初当選を果たし、63年の国会議員選挙では地元で対立候補を破り、新進気鋭の議員として注目を集めるようになる その後もチャンデは影の参謀として活躍するが、勝利のためには手段を選ばないチャンデに、理想化肌のウンポムは次第に理念の違いを感じるようになる

 

     

 

この映画は、第15代韓国大統領・金大中と彼の選挙参謀だった厳昌録の実話をベースに、生き馬の目を抜く苛烈な大統領選挙の裏側を描いています

民主主義を標榜し理想を掲げるキム・ウンポムに対し、ソ・チャンデの理論は単純明快です 「理想を実現するためには、当選しなければならない」ということです 「そのためには、自らの主張を訴えることだけでは弱く、相手の弱点を突くことも視野に入れなければならない」ということです しかし、それが行き過ぎると「目的のためには手段を選ばない」ことになり、違法行為に走ることに繋がります その辺の駆け引きが難しいところです

結局ソ・チャンデは”やり過ぎて”キム・ウンポムに解雇されてしまいます そして、決して政治の表舞台に立つことのない「影」の存在に不満を抱いていたこともあり、敵側陣営に寝返ってキム・ウンポム陣営に対峙することになります こういう政治の舞台裏の話は韓国に限らず日本でも結構あるのではないか、と思います

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リッカルド・ムーティとマリア・カラス ~ 日経「私の履歴書」から / ヴィム・ヴェンダース監督「夢の涯てまでも」(ディレクターズカット4Kレストア版・4時間47分)を観る

2022年12月27日 07時03分08秒 | 日記

27日(火)。日経朝刊に連載の「私の履歴書  リッカルド・ムーティ」は昨日第25回目を迎えました この回ではマリア・カラスの思い出を語っています。超略すると次の通りです

「1974年の時に、伝説の歌姫、マリア・カラスをヴェルディの『マクベス』の舞台に立たせることができないかと思った もう何年もオペラの舞台からは遠ざかっていたが、マクベス夫人の役は彼女だという思いが強かった ヴェルディが言ったように『魂を込めて演じる女優』カラスの姿を見たかったのだ。懇意のEMIのプロデューサーに『マクベス夫人をカラスに頼めないだろうか』と話した数日後、本人から電話がかかってきた 『わたしのことを考えてくださってうれしいです』。さらに『ラ・トラヴィアータ』のヴィオレッタのセリフそのままに『でも、もう遅いです』と言った あの声音は今でも鮮明に耳に残っている。彼女については多くが語られているが、私が強調したいのは歌手としての姿勢だ 彼女はオペラのリハーサル全てに立ち会ったという。自分の出番がないときでも劇場に顔を出し、オーケストラだけの練習も聴きに来ていた。スター性のある歌手には多忙のあまり、自分が歌うシーンがない稽古には来ない人が多い 『時代が変わった』『喉の負担は最小限にすべき』『だからマリア・カラスは歌手寿命が短かった』。そうかもしれない。だが、カラスはこうだったということを私は知ってほしい。来年はマリア・カラス生誕100年の記念すべき年となる。いろいろな催しがあるだろうが、もう一度、歌手としての彼女の真摯な姿を世界の人々が知る機会になってほしい

マリア・カラスということでは、「リハーサルや本番で、自分が歌っていない時でも、役に成り切った集中力が凄い」とどこかで読んだ記憶があります これも「自分の出番がないときでも劇場に顔を出し、オーケストラだけの練習も聴きに来ていた」に繋がる話だと思います 本当の「プロフェッショナル」とは彼女のような人のことを言うのでしょう

ということで、わが家に来てから今日で2906日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は25日放送の国営テレビのインタビューで、ウクライナ侵攻を巡り「我々は正しい方向にあり国益を守っている」と述べた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     そう思わなければやってられないか? いずれロシアはウクライナに弁償することに

 

         

 

昨日、夕食に「豚肉のクリームシチュー」と「生野菜とツナのサラダ」を作りました 寒いとシチューとかカレーとか鍋とかが多くなりがちですね

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹でヴィム・ヴェンダース監督による1991年製作フランス・ドイツ・日本・アメリカ・オーストラリア合作映画「夢の端てまでも」(ディレクターズカット4Kレストア版・4時間47分)を観ました

物語の舞台は近未来の1999年。制御不能に陥った核衛星の墜落が予測され、世界中が滅亡の恐怖におののいていた クレア(ソルヴェーグ・ドマルタン)はヴェネツィアの友人宅からあてもなく車で出発する。途中で何者かに追われるトレヴァー(ウィリアム・ハート)という謎の男と出会い、パリまで送る その後、元恋人の作家ユージーン(サム・ニール)の許に身を寄せたクレアだったが、なぜがトレヴァーのことが気になり、彼を追ってベルリンへ向かう 私立探偵ウィンター(リュディガー・フォーグラー)からトレヴァーがお尋ね者であることを聞いたクレアは、ウィンター、ユージーンと共に奇妙な追跡劇を開始する クレアは遂に東京でトレヴァーに追いつく 実はトレヴァーは、科学者の父ヘンリー(マックス・フォン・シドー)が発明したカメラで盲目の母エディス(ジャンヌ・モロー)に見せる映像を集めるために世界中を旅しており、その新発明を狙う各国のエージェントに追われていたのだった 訪れた各国で様々な映像を収め、両親の待つオーストラリアへと向かうトレヴァー達だったが、その途中で核衛星が遂に爆発する

 

     

 

興味深かったのは日本におけるクレアたちの行動を映し出したシーンです クレアたちがカプセルホテルに紛れ込んで、浴衣を着た日本人から「ここは女の人は来ちゃだめだよ」と言われたり、パチンコ屋に紛れ込んだり、そうかと思うと、小田急ロマンスカーで箱根湯本に行って、旅館に泊まって疲れを癒したり、そのバックに流れているのが琴と尺八の音楽だったりと、いかにも外国人が日本に抱くであろうイメージそのものを登場させています 1999年の日本は、外国人から見たら「カプセルホテル」「パチンコ」「旅館」が象徴的な存在として映り、琴と尺八による演奏が典型的な日本の音楽として捉えられていたのです   23年後の今ではもうそのイメージはない、と言えるだろか

この映画は「旅」をテーマとしてきたヴェンダース監督の集大成的な内容ですが、NHKの全面協力によりハイビジョン撮影も導入され、ソニーをはじめ日本の有力企業が「未来製品」の製作に協力しています

上映時間4時間47分の超長編大作ですが、不思議に長く感じませんでした 途中で25分間の休憩が入りました

 

     

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バーバー「アダージョ」~作家・小池真理子さんのクリスマスの思い出 / 佐藤正午著「書くインタビュー 5」を読む ~ 作家と担当編集者の間のメールによるインタビュー

2022年12月26日 07時00分05秒 | 日記

26日(月)。昨日の日経朝刊 文化欄に作家の小池真理子さん(1952~)がエッセイを寄せていました 小池さんは「恋」で直木賞を受賞したほか数々の文学賞を受賞しています 2020年1月30日に夫・藤田宣永氏を癌で亡くしています エッセイはこんな風に始まります

「空を見るのが好きで、しょっちゅう眺めている。空がよく見える土地に長く暮らしてきたせいだと思う

小池さんは現在、軽井沢にお住まいです 夫が元気だったころのクリスマスの思い出を語っています

「数日前に降った雪が庭を白く染めていた。よく晴れた日だったので、気温はぐんぐん下がっていき、氷点下の凍てつく空では月が静かなつめたい光を投げていた 折しも、つけっ放しにしていたクラシック専用の音楽チャンネルからは、アメリカの現代作曲家、バーバーの『弦楽のためのアダージョ』が流れてきた 夫が言った。『この曲ってさ、ケネディの葬式の時に流れたんだよ』。何でもよく知ってる男だった。私たちはケネディが暗殺された時のことを話題にし、クリスマスケーキを余さず食べ、コーヒーを2杯ずつ飲んだ

文中にある『弦楽のためのアダージョ』は、サミュエル・バーバー(1910ー1981)が1936年に作曲した「弦楽四重奏曲ロ短調作品11」の第2楽章を1937年に編曲、1938年11月5日にニューヨークでアルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団により初演されました

著名人が亡くなった時に流れるのは、この曲とJ.S.バッハ「管弦楽組曲第3番」の第2曲「アリア」とベートーヴェン「交響曲第3番”英雄”」の第2楽章「葬送行進曲:アダージョ・アッサイ」が定番です また、映画では「プラトーン」や「エレファントマン」、日本では東日本大震災の直後に公開された「ヒミズ」で使われました

ということで、わが家に来てから今日で2905日目を迎え、ロシア司法省は23日、今年のノーベル平和賞を受賞したロシアの人権団体「メモリアル」創設者の一人で、人権活動家のスベトラーナ・ガヌシュキナ氏や政治学者、反政権派の団体などを「外国の代理人」に指定した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     政府に抵抗する人物や組織にスパイのレッテルを貼るのは 独裁政権の大きな特徴だ

 

         

 

昨日は全国的にクリスマスでしたが、わが家では娘の誕生日でした 前日のイヴが鶏の丸焼きだったので、この日はピザを取ってサッポロCLASSICで乾杯しました

 

     

 

夕食後、一休みしてからモンシェールのチョコレートケーキでお祝いしました 賢いウルトラの父はお花も忘れませんでした

 

     

 

         

 

佐藤正午著「書くインタビュー 5」(小学館文庫)を読み終わりました 佐藤正午は1955年長崎県生まれ。1983年「永遠の1/2」で第7回すばる文学賞を受賞。2015年「鳩の撃退法」で第6回山田風太郎賞を、2017年「月の満ち欠け」で第157回直木賞を受賞 地元の長崎で執筆活動を続けており、著書多数

 

     

 

本書は「きらら」2019年3月号から2020年10月号、「WEBきらら」2020年11月号から2021年2月号に掲載された「ロングインタビュー  小説の作り方」をまとめた文庫オリジナル作品です タイトルの「書くインタビュー」というのは、佐藤正午氏と編集者の間で取り交わされたメールによるインタビューを収録したことから名付けられています 「4」まではフリーライターの東根ユミさんがインタビュアーを務めていましたが、産休の関係で「5」から編集者のオオキ氏に代わりました 東根さんは一癖も二癖もある佐藤正午という作家の本当の性格を知らなかったことから、最初のうちはどうインタビューしたらよいか相当迷い、佐藤氏から「おまえ、俺に喧嘩売ってんのか」と罵倒されてノイローゼ気味になったこともあります それにもめげず、東根さんは佐藤氏の作品を徹底的に読んで、勉強して喰いついていきました 私はそんな彼女を密かに応援していました

一方、東根さんの後を受け継いだオオキ氏は、佐藤氏と同じように競輪が趣味で、インタビューでも競輪の話が結構出てきます 競輪の専門用語満載のメールのやり取りを読んでいると、思わず「この2人、バカなんじゃないの」と思ってしまいます もちろん「専門バカ」に近いニュアンスですが 個人を特定しないで一般論として言うと、競馬・競輪・競艇のような他力本願のギャンブルにうつつを抜かしている人たちは、タバコをポイ捨てする人たち同様、私の生き方と合い入れません

さて、オオキ氏は佐藤氏の小説に登場する人物の呼び方について尋ねます

「『月の満ち欠け』で、たとえば正木瑠璃に対しては、『瑠璃さんは』と下の名前にさん付けで書いている 三角哲彦には『三角は』と苗字だけのときもあれば、たまに『三角哲彦は』とフルネームを使っる場面もある 苗字だったり、下の名前だったり、さん付けだったり、時にはフルネームだったりと、正午さんは地の文で登場人物それぞれにいろいろな呼び方を採用しています。コレどうしてなんですか?」

これに対し佐藤氏は次のように応えています

「『小説の地の文で、登場人物たちの名前をそれぞれ何と呼ぶ(書く)のか、どんなふうに決めているのでしょうか?』 そんなこと訊くか?  正月から。正午さんすこし太りましたか?  から正午さんはなんでみんなから正午さんて呼ばれてるんですか?  に行って、そこから小説の地の文に飛ぶか?  訊かれた方が戸惑うわ こんなのすぐには対応できないわ。こっちは前もって返信メールの書き出し用意してたわけだし、それで安心しきって、まだ正月気分抜けきらないし ほんと質問見てタマげたわ。嫌がらせかと思ったわ、ケントク買いでグランプリ当てた人間への、ガチ予想ではずした人間からの

オオキ氏は佐藤氏の担当編集者なので、彼の作品はすべて読んでいるし、思考回路から行動様式まで人並み以上に理解しているはずです しかし、質問に対してはとんでもない回答が返ってくるし、逆質問を浴びせらてタジタジになることもしばしばです お互いに「言葉」や「文章」についてはプロなので、それぞれに知識とプライドがありますが、この「書くインタビュー」はプライドとプライドのぶつかり合いのようなところがあります また、それを通して、佐藤正午という作家の人柄を垣間見ることができます 佐藤正午ファンにとっては必読書です

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朝日新聞「クラシック回顧2022」(吉田純子編集委員)を読んで思うこと ~ 総花的に1年間のコンサートを振り返る

2022年12月25日 07時01分07秒 | 日記

25日(日)。昨夜が世界的にクリスマスイヴで、今日がクリスマスです クリスチャンも仏教徒もイスラム教徒も世界平和不統一家庭連合の信者も「メリークリスマス」とお祝いしているようです ケーキやらディナーやらクリスマスプレゼントで出費が嵩む親たちにとっては「ベリークルシミマス」ですね

ということで、わが家に来てから今日で2904日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は22日、開始から間もなく10か月になるウクライナ侵攻について、「早期の終結を望んでいる。終結は話し合いで解決できる」と主張した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシア軍がウクライナから完全撤退し 破壊した領土の再建を約束するのが最低条件

 

         

 

昨夜はクリスマスイヴだったので、夕食は「鳥の丸焼き」、「ローストビーフ」、「海老とポテトのサラダ」、「クラムチャウダー」にしました 残念ながらすべて自作ではありません お酒はもちろんシャンパンです

 

     

 

          

 

22日付朝日新聞朝刊に「回顧2022 音楽(クラシック)」が掲載されていました 執筆者は同社編集委員の吉田純子さんです。見出しは「挑戦 聴き手を突き動かすメッセージ」です 一通り読み終わって「ずいぶん多くのコンサートを総花的に詰め込んだな」という印象を持ちました 限られた紙面スペースで、この1年間のクラシック・コンサートの中から特徴的な公演を選んで紹介するわけですから、それなりの数の公演を紹介することになりますが、それにしても多いと思います

吉田さんは冒頭、次のように書いています

「クラシック界の今年の漢字を問われたら、迷わず『挑』と答えたい 演奏会という営みが決して当たり前のルーチンではないという気付きを経て、制度化したクラシック公演への問題提起や、大きな価値観の転換を促す多くの挑戦に出会った

そして没後30年のメシアンを取り上げた公演から、エマールの「鳥のカタログ」、児玉桃の「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」を紹介します

次に「来日公演も再始動」というサブタイトルのもと、ラトル ✕ ロンドン響、ティーレマンのブラームス、ネルソンスを取り上げ、都響とパリ管を振ったクラウス・マケラの活躍を「問答無用の輝き」と表現します さらにマナコルダ ✕ 紀尾井ホール室内管弦楽団、ネトピル ✕ 読響によるヤナーチェクを紹介。山田和樹 ✕ 日本フィルに貴志康一とウォルトンを取り上げたうえ、山田が来年、バーミンガム市交響楽団の首席指揮者に就任することに触れます さらに下野竜也が広島で国際指揮者コンクールを創設したことを紹介します これは知りませんでした

次に「人生を懸け伝える」というサブタイトルのもと、ジョナサン・ノット✕ 東響の「サロメ」、チョン・ミョンフン ✕ 東京フィルの「ファルスタッフ」を取り上げます   さらに坂入健司郎 ✕ 東京ユヴェントス・フィル、飯守泰次郎 ✕ 東京シティ・フィルのシューマンを紹介します    そして大野和士による新国立オペラ「ボリス・ゴドゥノフ」、沼尻竜典 ✕ 粟国淳による「セヴィリアの理髪師」、園田隆一郎による「泥棒かささぎ」、沖澤のどか ✕ サイトウ・キネン・オーケストラによる「フィガロの結婚」の成果を紹介します

次に「商業主義の鎧脱ぐ」のサブタイトルのもと、藤田真央、庄司紗矢香、クレーメル、小林武(Vn:91歳)、小林道夫(Chem:89歳)、大西宇宙を紹介し、鈴木秀美 ✕ オーケストラ・リベラ・クラシカによる「運命」を取り上げ、「レヴィットや角野隼斗は己を信じ切ることで自ずと枠を超え、規格外の飛翔を見せた」と評価しています

最後に今年亡くなった音楽家として、江崎浩司、ラドゥ・ルプー、ラルス・フォークト、一柳慧、佐藤陽子、野島稔、大町陽一郎、テレサ・ベルガンサを挙げています ラルス・フォークトは10月に新日本フィルとベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番」で共演する予定でしたが、実現しませんでした モーツアルトを歌ってもロッシーニを歌ってもグルックを歌っても透明感のある歌唱で魅了したスペインのメゾ・ソプラノ、テレサ・ベルガンサのファンでした 私がソプラノよりもメゾ・ソプラノを好むのも彼女の影響が大きいと思います

 

     

 

吉田さんが取り上げた上記のコンサートの中で私が聴いたのは、飯守泰次郎指揮東京シティ・フィルによるシューマン「交響曲第3番・第4番」(6月)、クラウス・マケラ指揮東京都交響楽団によるショスタコーヴィチ「交響曲第7番」(6月)とマーラー「交響曲第6番」(7月)、チョン・ミョンフン指揮東京フィルによるヴェルディ「ファルスタッフ」(10月)、大野和士指揮東京フィルによるムソルグスキー「ボリス・ゴドゥノフ」(11月)の5公演です いずれも印象深いコンサートでしたが、12月31日のブログで「今年のマイベスト5」を発表する予定です

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新国立劇場オペラ研修所修了公演「コジ・フアン・トゥッテ」のチケットを取る / 小野寺史宣著「まち」を読む ~ 尾瀬を出て東京の下町で一人暮らしをする青年の物語

2022年12月24日 07時02分19秒 | 日記

24日(土)。新国立劇場オペラ研修所修了公演「コジ・フアン・トゥッテ」のチケットを取りました 同公演は2月17日、18日、19日の3日間、新国立劇場 中劇場で上演されますが、他のコンサートの日程の都合で18日(土)14時開演のチケットを取りました 同研修所からは何人もの歌手たちがプロとして巣立っていき、内外で活躍しています 若手の歌手たちの歌を聴くのはとても楽しみです

 

     

     

     

東京フィルから一昨日、やっと来年1月から始まる新シーズンのチケットが届きました 先日のブログに書いた通り、1月27日(金)19時から同フィル「第1回 定期演奏会」があるのに、何をとち狂ったか同じ時間帯の都民芸術フェスティバル参加「読響コンサート」のチケットを取ってしまいました 仕方ないので東京フィルの公演を1月29日(日)15時からオーチャードホールでの公演に振り替えました

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2903日目を迎え、ジョー・バイデン政権は22日、金正恩総書記率いる北朝鮮がロシア民間軍事会社「ワグネル」に武器を売却したことを確認したと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     これで金ちゃんは バイデンちゃんに相手にしてもらえなくなったな 自業自得だね

 

         

 

昨日、夕食に「麻婆茄子」「生野菜とアボカドとヒジキのサラダ」「大根の味噌汁」を作りました 久しぶりの麻婆茄子でしたが美味しかったです

 

     

 

         

 

小野寺史宣著「まち」(祥伝社文庫)を読み終わりました 小野寺史宣(おのでら ふみのり)は千葉県生まれ。2006年「裏へ走り蹴り込め」でオール読物新人賞、2008年「ROCKER」でポプラ社小説大賞優秀賞を受賞 「ひと」が2019年本屋大賞第2位となり、累計36万部のベストセラーになった

 

     

 

主人公の江藤舜一は、尾瀬ヶ原が広がる群馬県利根郡片品村で歩荷(ぼっか:荷運び)をしていた祖父に育てられた 高3の春、後を継ぎたいと相談したが、祖父は意外にも「東京に出ろ。よその世界を知れ。知って人と交われ」と言う 舜一は高校卒業とともに上京し、コンビニや引っ越しの日雇いアルバイトをしながら荒川沿いのアパートに住んで4年になる かつて故郷で宿屋を営んでいた両親は、小学3年生の時に火事で亡くなった 2人は自分を助けようとして亡くなったのではないか、という思いがずっと消えずにいた 以前アルバイトをしていたコンビニの仲間や、今の引っ越しのアルバイト仲間と他愛のない話をしたり、アパートの隣の母娘に頼まれて虫の退治をしたり、周囲の人たちと馴染みつつあった そんなある日、突然祖父が東京にやってきた。一緒に食事をしたり河川敷を散歩したりして2晩泊って帰っていった 「人を守れる人間になれ」と言う言葉が頭に残った。その祖父は翌年、突然、膵臓癌で亡くなった 余命宣告を受けていたらしいが、東京に来た時、舜一には言わなかった。余計な心配をかけてはいけないという祖父の心遣いがあった 舜一は「人を守れる人間になりたい」と思い、消防士になる試験を受けることを決意する

この小説は、田舎から出てきた素朴な青年が、下町で一人暮らしをしながら、アルバイトの仲間たちやアパートの住人たちとの触れ合いを通して、優しく、時には強く、成長していく姿を描いた作品です とくに大きな事件が起こるわけでもなく、淡々と舜一の日常生活が描かれていきますが、何気ない会話の中に著者の優しさが垣間見られます

ところで、舜一と隣家の母娘が砂町銀座を散歩する場面があり、3人が「おかずの田野倉」という総菜屋でコロッケを買うのですが、この店は前作「ひと」の舞台になったお店です

近所の高校生と河川敷をランニングするシーンでは、東京の景色について舜一に次のように語らせています

「方角が変われば、景色も変わる。いつも不思議に思う。でもやはりそうなのだ。東京は特にそう。なれない場所で同じ道を反対から歩いてくると、その道だと気づかなかったりする 目に入ってくるものが多すぎて、目標物をはっきりこれと定められないからだろう でもそれで景色が変わってくれるなら、楽しめる

これは東京に限らず言えることだと思います 「行きと帰りと景色が違う」というのは、よく考えたら当たり前のことですが、分かっていながら道に迷うのは私だけでしょうか

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METライブビューイングでヴェルディ「椿姫」を観る ~ ネイディーン・シエラ、スティーヴン・コステロ、ルカ・サルシにブラボー!

2022年12月23日 07時03分18秒 | 日記

23日(金)。わが家に来てから今日で2902日目を迎え、ロシア大統領府のぺスコフ大統領報道官は21日、プーチン大統領が連邦議会で内政や外交の方針を示す「年次教書演説」について「スケジュールは非常に厳しい」と記者団に述べ、2023年に延期する方針を示した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      ウクライナからは反撃されるし 国際社会からは非難されるし 演説どころじゃない

 

         

 

昨日、夕食に「ビーフシチュー」と「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました ビーフは牛バラ肉を使っていますが美味しかったです シチューには赤ワインです

 

     

 

         

 

昨日、新宿ピカデリーで「METライブビューイング2022-2023」の第2作、ヴェルディ「椿姫」を観ました これは今年11月5日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラ公演のライブ録画映像です キャストは、ヴィオレッタ=ネイディーン・シエラ、アルフレード=スティーヴン・コステロ、ジェルモン=ルカ・サルシほか。管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、合唱=メトロポリタン歌劇場合唱団、指揮=ダニエレ・カッレガーリ、演出=マイケル・メイヤーです

昨日が上映最終日だったと気が付いて、急きょ滑り込みで観に行きました

 

     

 

オペラ「椿姫」はジュゼッペ・ヴェルディ(1813ー1901)がアレクサンドル・デュマ・フィスの小説「椿を持つ女」を原作として1853年に作曲、同年3月6日にヴェネツィアのフェニーチェ大劇場で初演されました なお、オペラの本当のタイトルは「ラ・トラヴィアータ(道を踏み外した女)」です

物語の舞台は19世紀半ばのパリ。高級娼婦ヴィオレッタの自宅での夜会に、ガストン子爵が、彼女に憧れる青年アルフレードを連れてくる 本気にしないヴィオレッタだが、人々を舞踏会に誘ったのち、椅子に倒れ込んでしまう 彼女はすでに肺病に侵されていた。アルフレードは心配してその場に残り、思いを告白する 彼女は戸惑いながら、椿の花を渡して再会を約束する 人々が帰宅すると、ヴィオレッタは心のときめきを覚えながら、自分は快楽に生きるのだ、と邪念を打ち払う(以上、第1幕)

アルフレードは娼婦を辞めたヴィオレッタとパリ郊外で暮らしているが、生活費のために彼女が財産を処分していると知り、買い戻しにパリへ行く 入れ替わりにアルフレードの父ジョルジョ・ジェルモンが現れ、息子の相手が娼婦では娘の縁談に差し障るからと、ヴィオレッタに別れを強要する 泣く泣く受け入れた彼女は置手紙を置いて友人のフローラからの誘いの手紙を見て夜会に行く 一方、別れの手紙を受け取ったアルフレードは、その夜会に押しかけてヴィオレッタを罵倒、彼女は自分の愛情が伝わらないのを嘆く(以上、第2幕)

それから1か月、肺炎の病状が進んでベッドに伏せるヴィオレッタは、アルフレードが謝罪に行くと伝えるジェルモンの手紙にわずかな希望を持ちつつ、絶望している 通りを謝肉祭の仮装行列が通り過ぎると、急にアルフレードが現れる やり直そうと語り掛けられたヴィオレッタは、再会を祝福すべく教会に行こうとするが、身体が動かない そこにジェルモンも現れる。死期を悟った彼女は自分の肖像をアルフレードに渡し、いったん力を得て立ち上がるが 息を引き取る(以上、第3幕)

 

     

 

「椿姫」は往年の名歌手がMETで歌ってきましたが、ヴィオレッタを得意にしていたマリア・カラスはMETでは2回しか歌っていないそうで、これは意外でした

マイケル・メイヤーの演出でMETの「椿姫」を観るのは今回が2度目です オペラの冒頭には上のチラシの写真のような大きな椿の花がスクリーンに映し出され、花の命が短いようにヴィオレッタの命も短いことを暗示します

ヴィオレッタを歌ったネイディーン・シエラは1988年フロリダ州生まれのソプラノですが、母親がポルトガル人なのでラテンの血も入っています 第1幕のアリア「花から花へ」、第3幕のアリア「さようなら、過ぎ去った日よ」をはじめ、最強音から最弱音まで完璧なコントロールのもと、ヴィオレッタの喜びや悲しみをドラマティックに歌い上げました 若手の「歌う女優」と言っても過言ではないほどヒロインに成り切った自然な演技力が光りました 第3幕の「さようなら、過ぎ去った日よ」では、彼女の眼から流れる一筋の涙をカメラが捉えていました 幕間のインタビューで、ルネ・フレミングから「過去のヴィオレッタ歌いで参考にする人はいますか?」と訊かれ、「デヴィーアの歌唱法を参考にしています」と答えていました マリエッラ・デヴィーアは1948年イタリア生まれのソプラノ歌手です 私は2017年の藤原歌劇団によるベッリーニ「ノルマ」公演でタイトルロールを歌うデヴィーアを聴いています 興味のある方は2017年7月5日付toraブログをご覧ください

アルフレードを歌ったスティーヴン・コステロは1981年フィラデルフィア生まれのテノールです 10代の時にトランペットを吹いていたそうで、その時に獲得した肺活量が力強い歌唱力に生きています 苦労知らずの純粋なキャラクターを見事に歌い演じていました

ジェルモンを歌ったルカ・サルシは1975年イタリア生まれのバリトンですが、ミラノ・スカラ座ではプリモ・バリトンとして活躍しているベテランです 歌唱に説得力があり、演技にリアリティーがあります 今まで見て聴いてきたジェルモンの中で最も感情移入できる役作りをしていました 第2幕におけるヴィオレッタとのドラマティックな二重唱、アルフレードを説得するアリア「プロヴァンスの海と土地」は聴きものでした

マイケル・メイヤーの演出の大きな特徴は第1幕冒頭です 悲しみを湛えた前奏曲が流れる中、舞台中央には死に瀕したヴィオレッタがベッドに横たわり、すぐそばにアルフレードが寄り添い、周囲にジェルモン、アンニーナ(ヴィオレッタの女中)、医師グランヴィル、ジェルモンの娘でアルフレードの妹(黙役)が佇んでいます そして、序曲が終わると、一転、賑やかな夜会シーンが繰り広げられます。つまり、そこからヴィオレッタによる回想シーンが開始されるという趣向になっています。この演出は素晴らしい また、中央に置かれたベッドは第2幕、第3幕でも設置されたままになっています つまり、常にヴィオレッタの死が舞台を支配する象徴として存在しているように思えます

特筆すべきはダニエレ・カッレガーリ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団の演奏です 歌手に寄り添いつつ、ヴィオレッタの感情が爆発するシーンではものすごい迫力で管弦楽が迫ってきます 同じように素晴らしかったのはメトロポリタン歌劇場合唱団のコーラスです また、第2幕第2場の夜会におけるバレエ団によるアクロバティックなバレエが素晴らしかった これら全てが「これぞMET 」と言いたくなるような総合芸術として花開いていました

ネイディーン・シエラは前シーズンのMETライブビューイング「ランメルモールのルチア」でタイトルロールを歌いましたが、演出が現代的だったので観ませんでした いずれ、アンコール上映があれば是非観たいと思います

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ブラームス「ヴィオラ・ソナタ第1番」(佐々木亮)、同「クラリネット・ソナタ第2番」(伊藤圭)を聴く ~ 第39回「芸劇ブランチコンサート ~ ブラームスのソナタ」

2022年12月22日 07時01分03秒 | 日記

22日(木)。わが家に来てから今日で2901日目を迎え、新型コロナウイルスの感染が拡大する中国で、今後数か月から来年末までの間に100万人前後のコロナ関連死が出る可能性があると英科学誌「ネイチャー」(電子版)が19日、複数の研究を引用して報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     習近平政権の日和見主義的なコロナ政策が 国民の不信感を増大させ 感染が拡大した

 

         

 

昨日、夕食に大学時代の友人S君が送ってくれた「赤尾鯛を塩焼き」にして、「海老団子スープ」と一緒に食べました 赤尾鯛は脂がのって美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで「第39回芸劇ブランチコンサート ~ ブラームスのソナタ」を聴きました   プログラムは①ブラームス「ヴィオラ・ソナタ第1番 ヘ短調 作品120-1」、②同「クラリネット・ソナタ第2番 変ホ長調 作品120-2」です 演奏は①のヴィオラ独奏=佐々木亮(N響首席)、②のクラリネット独奏=伊藤圭(同)、①②のピアノ=清水和音です

 

     

 

1曲目はブラームス「ヴィオラ・ソナタ第1番 ヘ短調 作品120-1」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833ー1897)が1894年に作曲した2曲の「クラリネット・ソナタ 作品120ー1,2」のうち第1番をヴィオラ用に編曲した作品で、オリジナル版は1895年1月にウィーンで初演されました ブラームスは1890年(57歳)に作曲した「弦楽五重奏曲第2番 ト長調 作品111」を最後に作曲活動を停止していましたが、翌1891年3月にマイニンゲン宮廷楽団のクラリネット奏者ミュールフェルトの演奏に創作意欲を刺激され、同年「クラリネット三重奏曲 イ短調 作品114」と「クラリネット五重奏曲 ロ短調 作品115」を作曲、次いで1894年に2つの「クラリネット・ソナタ 」を避暑地のバート・イシュルで作曲しました

ブラームスとミュールフェルトの関係はモーツアルトとウィーン宮廷楽団のアントン・シュタードラーの関係に似ています    モーツアルトはシュタードラーを念頭に「クラリネット五重奏曲K.581」や「クラリネット協奏曲K.622」をはじめ数々のクラリネットの名作を作曲しています 「名手の存在が名作の誕生に大きく貢献する」というということでしょうか

この曲は第1楽章「アレグロ・アパッショナート」、第2楽章「アンダンテ・ウン・ポーコ・アダージョ」、第3楽章「アレグレット・グラツィオーソ」、第4楽章「ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

N響首席・佐々木亮のヴィオラ、清水和音のピアノにより第1楽章が開始されます ブラームス特有の”ほの暗い情熱”とでも言うべき演奏が繰り広げられます 第2楽章はヴィオラの抒情的な演奏が印象的です 第3楽章を経て第4楽章は明と暗が微妙に交差した陰影に富んだ曲想が展開します つくづくヴィオラの音色はいいものだと改めて思いました

2曲目に入る前に、清水が「伊藤さんは無口で、トークは嫌だと言うし、この日のプログラムの2曲だけでは時間が余ってしまうので、”仕方なく”私のピアノ・ソロで1曲演奏します」とアナウンスして、ブラームス「6つの小品作品118-2”間奏曲”イ長調」(かな?)を演奏しました

 

     

 

2曲目はブラームス「クラリネット・ソナタ第2番 変ホ長調 作品120-2」です この曲は第1番とともに1894年に作曲、1895年にウィーンで初演されました 第1楽章「アレグロ・アマービレ」、第2楽章「アレグロ・アパッショナート」、第3楽章「アンダンテ・コン・モート」の3楽章から成ります

N響首席・伊藤圭のクラリネット、清水和音のピアノで第1楽章に入ります 伊藤のクラリネットはブラームスの指示通りの「アマービレ(愛らしい)」な演奏を展開します 第2楽章では、陰影に富んだ曲想が表情豊かに繰り広げられます 第3楽章では変奏が見事で、クラリネットとピアノの丁々発止のやり取りで鮮やかなフィナーレを飾りました

クラリネットは音域が広く、名手で聴くブラームスのソナタは格別の趣がありました

コンサート終了後、1階の芸劇ボックスオフィスで4月、6月、8月のブランチコンサートのチケットを購入しました 出遅れたため通路側席が取れず、通路から2つ目をかろうじて押さえました

 

     

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