人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立オペラでヤナーチェクのオペラ「イェヌーファ」を観る~秀逸な舞台づくり

2016年02月29日 07時27分39秒 | 日記

29日(月)。わが家に来てから519日目を迎え、「2月も今日で終わりだねぇ」と白ウサちゃんに声を掛けるモコタロです

 

          

             白ウサちゃん、君はいつもムクチだねぇ 六口・・・口が六つあるってか

 

  閑話休題  

 

昨日、ラ・フォル・ジュルネのチケットを追加で4枚買いました 新宿伊勢丹会館内のチケットぴあで買ったのは次の4公演です

①5月3日午前11:45~ ホールB7 公演番号122 シンフォニア・ヴァルソヴィア。シュターミッツ「交響曲ニ長調」他。

②5月3日午後3:30~  ホールC   公演番号144 新日本フィル。グローフェ「グランドキャニオン」。

③5月4日午後3:15~  ホールC  公演番号244 カンマー・アカデミー・ポツダム。ヘンデル「水上の音楽」。

④5月5日午後1:45~  ホールC  公演番号343 桐朋学園オケ。レスピーギ「ローマの松」他。

一番欲しかったのは4日午後5:15からの公演番号225(アンヌ・ケフェレック他。ベートーヴェン「スプリング・ソナタ」、ブラームス「雨の歌」)だったのですが、予想どおり売り切れでした 

これで3日=5公演、4日=4公演、5日=5公演の合計14公演になりました。今年はもうこれでいいかなと思います

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、初台の新国立劇場でヤナーチェクのオペラ「イェヌーファ」を観ました キャストは、ブリヤ家の女主人にハンナ・シュヴァルツ、ラツァ・クレメニュにヴィル・ハルトマン、シュテヴァ・ブリヤにジャンルカ・ザンピエーリ、コステルニチカにジェニファー・ラーモア、イェヌーファにミヒャエラ・カウネほかです。バックを務めるのはトマーシュ・ハヌス指揮東京交響楽団、演出はクリストフ・ロイで、ベルリン・ドイツ・オペラで2012年に上演されたものと同じです

 

          

 

話題のオペラの初日公演ということで、会場はほぼ満席です 私は2月2日に新国立劇場(中劇場)で、ヤナーチェクの生涯を描いたチェコ映画「白いたてがみのライオン」を観たので、このオペラを身近に感じることが出来ます あらすじは次の通りです

イェヌーファは義兄弟のシュテヴァの子を妊娠しており、彼に結婚を迫るが取り合ってもらえない 一方、シュテヴァの異父兄ラツァは彼女を愛している イェヌーファは秘密裏に出産するが、彼女の継母コステルニチカは世評を恐れ彼女を家に匿い、外部の人間との接触を断つ そして、世間体から、シュテヴァにイェヌーファと結婚してくれと頼むが拒否される。そこで、彼女はイェヌーファがラツァと結婚できるよう、赤ん坊を川に捨て、子どもは死んだとイェヌーファにウソをつく 二人の結婚式の日、川から赤ん坊の死体が見つかる。人々は母親であるイェヌーファが殺したと疑うが、コステルニチカが真実を明らかにし、イェヌーファとラツァはお互いの愛を確認し、苦難を乗り越えて共に生きていくことを誓う

 

          

 

指揮者のトマーシュ・ハヌスが指揮台に上がり、さて幕開けか、と待っていると、会場の照明がすべて消され真っ暗になります 音楽も鳴らず、無音の中、小さな窓が開いて次第に広がっていくように舞台が明るくなっていき、音楽が始まります。この演出は斬新です

ステージは傾斜舞台になっており、白い壁の部屋に机と椅子があるだけのシンプルな舞台設定になっています これが、場面によって背面の壁が取り払われて外のシーンになったりしますが、それでもこれ以上ないほどのシンプルな舞台です 「必要にして十分」「シンプル イズ ベスト」といったキャッチがピッタリの演出・舞台です

 

          

 

タイトルロールのイェヌーファを歌ったミヒャエル・カウネは2010年「アラベッラ」のタイトルロールを歌って以来の新国立オペラ再登場です ハンブルク出身のソプラノですが、1997年からベルリン・ドイツ・オペラに所属し、2011年からベルリン宮廷歌手の称号を授与され、世界の歌劇場で活躍しています 今回の「イェヌーファ」は全幕ほぼ出ずっぱりですが、美しい声で聴衆を魅了しました

イェヌーファの継母コステルニチカを歌ったジェニファー・ラーモアはアメリカ出身のメゾソプラノですが、世界の主要なオペラハウスで歌っています 赤ん坊殺しの苦悩を見事に歌い演じていました

出番は少なかったものの、その存在感を見せつけたのはブリヤ家の女主人を歌ったハンナ・シュヴァルツです ハンブルク生まれのメゾソプラノですが、ワーグナーなどを中心に歌って活躍しています。深みのある声で会場を圧倒しました

歌と演技で際立っていたのはラツァを歌ったヴィル・ハルトマンです 1996年から10年間ハノーファー州立歌劇場の専属歌手として活躍し、その後は世界の歌劇場に招かれ歌っています。この人は、歌に力があります

さて、今回、歌手以外で目立った働きをしたのは、チェコ出身の指揮者トマーシュ・ハヌスと東京交響楽団です ハヌスは「ヤナーチェクのオペラなら任せておけ」といった頼もしさを感じさせる指揮ぶりで、メリハリのある音楽づくりが際立っていました

終演後の長いカーテンコールは久しぶりでした この公演はシンプルな舞台づくりと相まって、日本のオペラの歴史に新たな1ページを加えるに相応しい素晴らしい公演でした

 

          

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「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2016」のチケット、オリヴァー・サックス「音楽嗜好症」他を買う

2016年02月28日 09時01分16秒 | 日記

28日(日)。わが家に来てから今日で518日目を迎え、遠くの幸せより近くの幸せに期待を寄せるモコタロです

 

          

           そんな高尚な話じゃないんだよ 早くオヤツをおくれ!

 

  閑話休題  

 

本を2冊買いました 1冊目はオリヴァー・サックス著「音楽嗜好症~脳外科医と音楽に憑かれた人々」(早川文庫)です オリヴァー・サックスって映画「レナードの朝」の原作者です

 

          

 

2冊目は山田耕作著「自伝 若き日の狂詩曲」(中公文庫)です 日本のクラシック音楽は、山田耕作を抜きにしては語れません

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

5月の3連休に東京国際フォーラムで開かれる「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2016」のチケットを買いました 

まず、先行抽選販売ですが 当選したのは何と たったの2枚でした 5月3日午後1時45分からホールCで開かれる公演番号143番(メンデルスゾーン「夏の夜の夢」序曲、ベルリオーズ「夏の夜」)の公演と、5月5日午後5時30分からホールD7で開かれる公演番号355番(ストラヴィンスキー「春の祭典」2台ピアノ版ほか)の公演です

仕方ないので、昨日から始まった先行予約販売で購入するため午前10時に池袋パルコ内のチケットぴあに行って、抽選に外れた日時の公演を中心に8枚買いました したがって、現在手元にあるRFJ音楽祭のチケットは次の10枚です

①5月3日午前10時~   ホールB7 公演番号121 アルデオ弦楽四重奏団。ハイドン「弦楽四重奏曲第49番”蛙”」、「第39番”鳥”」。

②5月3日午後1時45分~ ホールC 公演番号143 浜田理恵、マカオ管弦楽団。ベルリオーズ「夏の夜」他。

③5月3日午後5時15分~ ホールC 公演番号145 シンフォ二ア・ヴァルソヴィア。フィールド「ピアノ協奏曲第5番」他。

④5月4日午前10時~   ホールC 公演番号241 ウラル・フィル。チャイコフスキー「交響曲第1番」。

⑤5月4日午前11:45~ ホールA 公演番号212 小曽根真ほか。サン=サーンス「動物の謝肉祭」。

⑥5月4日午後2:00~  ホールA 公演番号213 ウラル・フィル。ストラヴィンスキー「火の鳥」他。

⑦5月5日午後12:15~ ホールA 公演番号312 小林愛実ほか。モーツアルト「ピアノ協奏曲第27番」他。

⑧5月5日午後3:30~  ホールC 公演番号344 ポーランド室内管弦楽団。ヴィヴァルディ「四季」。

⑨5月5日午後5:30~  ホールD7 公演番号355 カドゥシュ他。ストラヴィンスキー「春の祭典」。

⑩5月5日午後7:00~  ホールC 公演番号346 トレヴィーノ。シマノフスキ「ヴァイオリン協奏曲」他。

今年のラインナップを見ると、どうしても聴きたいと思う公演(アンヌ・ケフェレック、広瀬悦子など)は小さなホールで開かれるので抽選に外れる可能性が高く、大きなホールで開かれる公演は、例年ほどは 積極的に聴きたいと思うものが少ないように思います 

いま一度 上のスケジュールに重ならない公演で聴きたいものがあるかどうか吟味したいと思いますが、売り切れていたらお終いです

 

          

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バッハ・コレギウム・ジャパンで世俗カンタータ「静かに流れよ、たわむれる波よ BWV206」他を聴く

2016年02月27日 07時25分12秒 | 日記

27日(土)。わが家に来てから517日目を迎え、狭い廊下で ブツブツ独り言をつぶやいている クレーマーのモコタロです

 

          

                   ビデオデッキ もう無いのにVHSで廊下が狭い! 捨てれば!?

 

  閑話休題  

 

昨日は、夕食に餃子を焼きました。あとは生野菜と鮭のサラダです 餃子は冷凍ものです。娘と一緒の時はひき肉をこねるところから すべて手作りするのですが、一人だと手間が大変なので今回は勘弁してもらいます 焦げているように見えますか?・・・・・・そう見えたらあなたの目は正常です

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、METライブビューイング、プッチーニの歌劇「トゥーランドット」の座席指定を取ってきました 3月3日(木)午前10時開演の部です。いつも通り左ブロックの後方、右通路側席を押さえました。ついでに、3枚綴りチケット(通常1枚3,600円のところ3枚で9,300円)を購入しました

 

          

 

  最後の、閑話休題  

 

昨夕、初台の東京オペラシティコンサートホールでバッハ・コレギウム・ジャパンの第116回定期演奏会を聴きました バッハの世俗カンタータ・シリーズ第7回公演です。プログラムは①オルガン協奏曲ト長調 BWV592」、②カンタータ「汝の果報を称えよ、祝福されしザクセンよ BWV215」、③カンタータ「静かに流れよ、たわむれる波よ BWV206」です 出演は、ソプラノ=ハナ・ブラシコヴァ、アルト=青木洋也、テノール=チャールズ・ダニエルズ、バス=ロデリック・ウィリアムズ、オルガン独奏=鈴木優人、指揮は鈴木雅明です

 

          

 

いつもなら会場に入ってすぐ、プログラムを買って読むのですが、毎回1,100円の支出は痛い 今回から買わないことにしました

1曲目のバッハ「オルガン協奏曲ト長調 BWV592」は、鈴木優人のパイプオルガンにより演奏されます 「協奏曲」という名前ですが、オーケストラの伴奏はありません。3つの楽章から成りますが「ト長調」という調性から明らかなように、明るく楽しい曲です

オケのメンバーと合唱団が入場します。この日のコンマスは、いつもの若松夏美ではなく寺神戸亮が務めます トランペット3人が左サイドに、フラウトトラヴェルソ2人(菅きよみ、前田りり子)がセンターに、オーボエ2人(三宮正満、荒井豪)が右サイドにスタンバイします チェロの武澤秀平(元・新日本フィル)、コントラバスの西澤誠治(読響)も健在です

この日の2つの世俗カンタータは、1733年に逝去したアウグスト強王を継いで即位したザクセン選帝侯アウグスト二世の即位と誕生日を祝って演奏された作品です 最初に演奏される音楽劇「汝の果報を称えよ、祝福されしザクセン BWV215」は、後に「ミサ曲ロ短調」のオザンナに転用された作品です

最初からトランペットが華やかに鳴り渡る祝祭感溢れる曲です バスのロデリック・ウィリアムズ、テノールのチャールズ・ダニエルズ、ソプラノのハナ・ブラシコヴァの3人によって歌われますが、ウィリアムズは深みのある美声です ダニエルズは高音部がちょっと無理があるような箇所もありました ブラシコヴァは、水晶のような透明感のあるノン・ヴィブラートの美しい歌声で、思わず聴き惚れてしまいます

休憩後は「静かに流れよ、たわむれる波よ BWV206」です ザクセン周辺を流れる4つの川が競い合う物語仕立てになっています 3つの大きな川=ヴァイクセル川をウィリアムズ、エルベ川をダニエルズ、ドナウ川を青木洋也が歌い(鈴木雅明氏いわく”青木ドナウ”)、ライブツィヒを流れる最も小さなプライセ川をブラシコヴァが歌います この曲では、ブラシコヴァの美声が際立っていたのに加え、青木洋也の成長ぶりが頼もしく感じられました

この曲は15年前、B.C.Jが初めて参加したライプツィヒ・バッハ音楽祭で演奏して絶賛を博したとき以来の再演とのことでしたが、素晴らしい演奏でした

今回は今年度最後の定期演奏会ということで、1階21列21番ともお別れです 新年度(3月25日~)も会員継続しますが、1階後方のA席に移ります

 

          

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イェンセン+新日本フィルでチャイコフスキー「交響曲第5番」他を聴く

2016年02月26日 07時29分54秒 | 日記

26日(金)。わが家に来てから516日目を迎え、手もみをして家族のご機嫌伺いをするモコタロです

 

          

          こんち おひがらもよろしいようで・・・ ごきげん いかがっすか?

 

   閑話休題  

         

昨日は、夕食に「豚の生姜焼き」「生野菜サラダ」「ワンタンスープ」を作りました 生姜焼きは娘のリクエストですが、前回 キャベツを付けるのを忘れたので、今回はちゃんと刻みました ただし、”千切り”でなく”百切り”ですが

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、タワーレコードに行ってCD探しをしました きっかけは当ブログの読者ゆえさんからの『お尋ねメール』です

「映画『ロイヤル・コンセルトべボウ オーケストラがやってくる』を観ました ところで、公式サイトの『予告編』で 指揮者のヤンソンスが『ワン・トゥ』の掛け声で始める曲が印象的でしたが、誰の何という曲か分かりません 教えてください」

というものでした。公式サイトを確かめ、『使用楽曲一覧』を見ると、唯一 見たことも聞いたこともない名前の作曲家・曲名がありました それはオランダの作曲家ヨハン・ワーヘナール(1862-1941)の序曲『じゃじゃ馬鳴らし』という曲でした そこで、ゆえさんには、「同オケの来日公演でも演奏されたというワーヘナールの序曲『じゃじゃ馬ならし』の可能性がありますが、分かりません そのCDは出ているようです。どこかで視聴出来ればよいのですが」という旨の返信をしました。ゆえさんも そうではないかと見当を付けていたようです

分からないことを分からないままにしておくのは 気持ちが落ち着かないので、さっそく新宿のタワーレコードに行ってCD(ヘルムス指揮北西ドイツ・フィル。cpoレーベル)があるかどうか調べてみました  しかし、残念ながら在庫切れで、「お取り寄せになります」と言われたので、「結構です」と断って、渋谷のタワーレコードに行きました しかし、やはり「お取り寄せになります」と言われたので 諦めました せっかく久しぶりに2店もタワレコに寄ったのだから何か買って帰ろうと思ったら、すぐ隣がワーグナーのCDコーナーになっていました(WagenaarとWagner)。そこで発見したのが下のCDです

 

          

 

マレク・ヤノフスキ指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団によるワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」全曲です 「ラインの黄金」「ワルキューレ」「ジークフリート」「神々の黄昏」の4部作が分厚いブックレット付(英・独・仏語)CD14枚組で何と3,661円です。これは買うしかない というのは、現在 所有している約4,000枚のCDの中に「ニーベルングの指環」全4部作は1セットもないからです かつて、ショルティ指揮ウィーン・フィルの全曲盤LPを持っていたのですが、「ワーグナーを聴くのにレコード盤をいちいちひっくり返して聴くのは面倒だ」というので売り払ってしまったのです。したがって、生でワーグナーの歌劇や楽劇を聴くときは いつも予習なしの ぶっつけ本番という無謀なことを繰り返してきたわけです これからは、少なくとも予習は出来ます

 

          

 

同じクラシック・コーナーに作曲家・吉松隆著「調性で読み解くクラシック」(ヤマハミュージックメディア)が売っていたので購入しました

 

          

 

話を元に戻します。映画「ロイヤル・コンセルトへボウ オーケストラがやってくる」の公式サイトの予告編でヤンソンスが「ワン、トゥ」と合図して演奏を始める曲がワーヘナールの序曲「じゃじゃ馬ならし」か、そうでなければ誰の何という曲か、どなたかお分かりになる方がいらっしゃったら当ブログにコメントをお寄せください

 

  またまた、閑話休題  

 

昨夕、サントリーホールで新日本フィルの第555回定期演奏会を聴きました プログラムは①フランク「交響的変奏曲」、②ラヴェル「ピアノ協奏曲ト長調」、③チャイコフスキー「交響曲第5番ホ短調」です。①②のピアノ独奏はアレクサンドル・タロー、指揮はエイヴィン・グルベルク・イェンセンです

 

          

 

指揮者のエイヴィン・イェンセンは1972年ノルウェー生まれですから、今年44歳 2009年から5年間、ハノーファー北ドイツ放送フィルの首席指揮者を務め、2010年にはベルリン・フィルのデビュー、2017年にはウィーン国立歌劇場へのデビューが決まっているという前途洋々の中堅指揮者です

実はイェンセンは昨年5月の読響定期演奏会で、ショスタコーヴィチ「交響曲第7番”レニングラード”」と、シュタイヤーをソリストに迎えてモーツアルト「ピアノ協奏曲第17番」を振っていて、私も1階後方席で聴いています

オケのメンバーが入場します。弦は左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対向配置をとります。センターにはグランドピアノが威容を誇っています

スリムな身体のアレクサンダー・タローがガッチリした体形のイェンセンとともに登場します 1曲目のフランク「交響的変奏曲」はピアノと管弦楽のための曲で、1885年に作曲されました。初めて聴く曲でしたが、リストのように技巧が目立つ曲ではなく、フランクの「交響曲ニ短調」のような堂々たる曲想で、ピアノはオケと混然一体となって展開していました

2曲目もタローがソリストになり、ラヴェル「ピアノ協奏曲ト長調」の演奏に入ります。この曲はラヴェルが1927年から翌年にかけて行ったアメリカ演奏旅行後の1929年に着手されました。そのため、随所にジャズのイディオムが顔を見せます

ピアノ協奏曲の冒頭が”パシッ”という鞭の音で始まるのはこの曲しかないでしょう ラヴェルは独創的です 私はこの曲が大好きですが、とくに第2楽章「アダージョ・アッサイ」がしみじみとしていて好きです タローのピアノが静かに奏でられる中、重松希巳江のクラリネット、古部賢一のオーボエ、白尾彰のフルート、さらには森明子のコーラングレが美しいメロディーを奏でていくところは、まさに”美の極致”です 一転、第3楽章「プレスト」はわき目も降らずに突っ走ります 最後の音が鳴り終わるや否や、拍手とブラボーの嵐です

タローはアンコールにスカルラッティの「ピアノ・ソナタ」から第1楽章「アレグロ」を軽快に演奏、大きな拍手を受けました

 

          

 

休憩後は、チャイコフスキー「交響曲第5番ホ短調」です。第1楽章冒頭に現れるクラリネットによる『運命の主題』が循環主題となり、この交響曲全体にわたって回帰します この楽章は暗いです 第2楽章はホルンの独奏が、運命には逆らえない”諦め”を表すかのように静かに響き、それを慰めるかのような音楽が続きます 第3楽章はワルツですが、これを聴いて想い起すのはベルリオーズの「幻想交響曲」のワルツです

そして、第4楽章フィナーレに移ります。第1楽章冒頭では”絶望の象徴”のように現れた『運命の主題』が、第4楽章では まるで”勝利の凱歌”のように堂々と響きます 全体を通して聴くと、やはりチャイコフスキーは凄いなあ、と思います

さて、演奏を振り返ってみると、イェンセンの演奏には2つの大きな特徴がありました 一つは全体的にテンポをかなり動かして演奏していたということ。しかし、それがわざとらしくならず自然に感じさせていたところは流石です もう一つは、4つの楽章を 間を置かずに続けて演奏したことです。楽章間のザワザワ感や咳払いのない こういう演奏スタイルは初めてです

それでは何故 彼は間を置かず連続して演奏したのか? それには2つの理由があるように思います 一つは、演奏するオケの側にも、それを聴く聴衆の側にも、緊張感を持続させるため もう一つは、実はこちらの方が大きな理由だと思われますが、この交響曲は最初に現れる『運命の主題』が全曲を支配することから、全体を一つの大きな『交響詩』のように捉えて、次々と変容する『運命の主題』を一つの大きな流れの中でノンストップで明らかにしようとしたのではないか、ということです

いずれにしても、第4楽章におけるフィナーレは、途中でテンポを落とすことなく一気に駆け抜けた感があり、実に見事でした 新日本フィルは渾身の演奏でイェンセンの意図に応えました

 

          

 

  最後の、閑話休題  

 

今日から、コーヒーは、当ブログの読者Nさんから戴いた「ブロワ珈琲焙煎所」のエチオピア産”アビシニカ”です 戴いた後、「注意書き」にあった通り冷凍保存しておきました。さっそく今朝 今日が卒論の締め切りの息子と一緒にいただきましたが、『今まで飲んだ中で一番美味しいコーヒー』ということで意見が一致しました。あらためてNさんに、ありがとう

 

          

 

          

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細田守監督映画「バケモノの子」「おおかみこどもの雨と雪」を観る

2016年02月25日 07時44分04秒 | 日記

25日(木)。わが家に来てから515日目を迎え、ついに人生の壁に突き当たり、乗り越える前に匂いを嗅いで 危険がないかどうか調べているモコタロです

 

          

            ベルリンの壁は崩壊したけど 38度線はどうかなぁ・・・高度!

 

  閑話休題  

 

昨日は、夕食に「鶏もも肉の照り焼き」「トン汁」「生野菜とワカメとシラスのサラダ」をつくりました  「鶏もも~」を作ったのは2度目ですが、今回も子どもたちに大好評でした フライパンで焼きますが、味付けは醤油と砂糖だけです

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、早稲田松竹で細田守監督・原作・脚本のアニメ映画「バケモノの子」と「おおかみこどもの雨と雪」の2本立てを観ました 私は、アニメ映画は積極的に観ようとは思わないのですが、昨年「バケモノの子」が公開された時、日経夕刊の映画評で推薦していたので気になっていた作品でした

「バケモノの子」は2015年の作品(119分)です

ある日、”人間界の”渋谷にいた独りぼっちの家出少年が、”渋天街”のバケモノ・熊徹に出逢う ”渋天街”は人間界と交わるはずのないバケモノの街で、熊徹は孤独なバケモノで、いつか弟子を取りたいと思っていた 少年は強くなりたい一心で熊徹の弟子になるが、9歳だったことから九太と名付けられる 成長して人間界に戻った九太は、女子高生の楓と出会い、勉強を教えてもらうことによって幅広い知識を吸収する そうした中、もう一人の若者が渋天街から人間界に舞い戻ってきて、九太と闘うことになる

 

          

 

久しぶりにアニメ映画を観ましたが、最先端のアニメ技術には驚きます。アニメなのか現実なのか判別できないほどのシーンがいくつもあります

2本目の「おおかみこどもの雨と雪」は2012年の作品(117分)です タイトルの意味は、狼と人間との間に生まれた姉の雪と弟の雨の成長物語です

おおかみ男と恋に落ちた女子大生・花はやがて二人の子供を授かる 雪の日に生まれた姉・雪と雨の日に生まれた弟・雨だ。子供たちは人間と狼の顔を併せ持った「おおかみこども」だった おおかみ男が交通事故で死んでしまい、花は子供たちの秘密を守るため都会を離れ、自然に恵まれた田舎町に移り住む。やがて村人たちとの交流が始まり、子どもたちも成長していく 姉の雪はあくまでも人間として生きていくことを選び、弟の雨は山の中で狼として生きていく道を選ぶ

 

          

 

こういう作品を観ると、日本のアニメが世界的に認められ海外に進出していくのも分かるような気がします。精緻で生き生きと描かれています。予想以上に楽しめました 

いま思い出しましたが、この作品は今年観た50本目の映画です 2か月弱で年間目標の半分を達成したことになります

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「顔のないヒトラーたち」を観る~新文芸坐

2016年02月24日 07時15分00秒 | 日記

24日(水)。昨日は午前中、在京オーケストラの総合パンフレットやコンサートのチラシを整理しました 私はこれらの資料類を4つのクリアホルダーに分けて保管しています。①在京オケの今年度の総合パンフレット類(東京交響楽団、新日本フィル、読売日響、東京フィル文京シビック、バッハ・コレギウム・ジャパン、新国立オペラ等)、②在京オケの次年度の総合パンフレット類(会員になっていないオケも含む)、③現在手元にあるチケットに対応するチラシ類(各オケの定期公演、「東京・春・音楽祭」、「サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン」ほか)、④これから購入する予定のコンサートのチラシ類(「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2016」ほか)です これに⑤として映画のパンフレット、チラシのクリアホルダーが加わります

このうち、①や②はそれほど増えることはありません ③は新たにチケットを買うたびに増えていきますが、聴いたコンサートはブログに書いた後 チラシは廃棄します。④はチケットを購入すると③に移しますが、購入しないといつまでも残ったままになります。さらに次のコンサート会場で新しいチラシをもらってくると、また溜まっていきます。コンサート会場で配布されるチラシはその場で選別して5%くらいを残して95%は捨ててきますが、それでも④は際限なく増加していきます したがって、1か月に1度程度すべてを点検して不要なものは捨てるようにしているのです

ということで、わが家に来てから514日目を迎え、世間に顔が広い、もとい、顔の幅が広いだけのモコタロです

 

          

             この辺界隈じゃ おいら 顔だかんね ウサギの

 

  閑話休題  

 

昨日は、夕食にホッケを焼きました あとは「生野菜とワカメとシラスのサラダ」と「インゲンのお浸し」です

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、池袋の新文芸坐で2014年ドイツ映画「顔のないヒトラーたち」を観ました この映画は、第二次世界大戦中にナチスが犯した罪をドイツ人自らが裁き、戦争責任に向き合う契機となった1963~65年のアウシュビッツ裁判開廷までの道のりを、事実の基づいて描いたドラマです

 

          

 

1958年のフランクフルトが舞台です。第二次世界大戦が終わってから十数年が経ち、西ドイツは西側諸国との結びつきを強くして経済復興を成し遂げようとしていた 大半の人々は戦争は過去のものとして、自分たちが犯した罪を忘れようとしていた ある日、あるジャーナリストが、かつてアウシュビッツ強制収容所にいた元親衛隊員が規定を破り教職についていることを突き止める。それを聞いた新米検事官のヨハンは、上司の静止も聞き入れず、ジャーナリストのゲルニカや強制収容所の生き残りであるユダヤ人シモンとともに調査を開始する 様々な妨害に遭いながらも、検事総長バウアーの指揮の下、生存者の証言や実証を得ながらナチスがアウシュビッツで犯した罪の詳細を明らかにしていく

 

          

 

この映画は、多少の脚色があるでしょうが、事実に基づいて作られたということで、1970年代の半ばに、正義感の強い検察官が 自国の恥部を暴き 罰せられるべき者を罰するために懸命な努力をしたことに衝撃を覚えます 組織のトップである検事総長がユダヤ人であったことが幸いして、トップダウンで調査が出来たことが大きな要因だったと思います それにしても、8000件にも及ぶ途方に暮れる資料を調査しなければならないのに、苦労を厭わず、ついに過去に残虐行為を行って平然と市民生活を送る元ナチ党員を裁判にかけるまで持って行ったのには頭が下がります

どこの国でも、過去に向き合うのは大切なことだということを教えてくれる映画です

 

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「モーツアルト~作曲家の物語」「あなたが愛した記憶」「残り全部バケーション」を買う

2016年02月23日 07時28分13秒 | 日記

23日(火)。昨日の午前、まだ風邪が治り切らないので近くの内科に行きましたが、何組かの親子連れが受診に来ていました 母親と乳幼児、母親と小学生といった組み合わせがほとんどで、父親と小学生は一組しかありませんでした これを見て、長男が小さい頃のことを思い出しました

今から20年以上前のことになりますが、長男がゼロ歳児保育園に通っていたとき、私がほぼ100パーセント保育園への送り迎えをしていました。わが家は一姫二太郎ですが、男の子は女の子よりも病気にかかりやすく、会社を遅刻したり、休暇を取ったりせざるを得ないことが少なくありませんでした 

ある日、私が仕事の関係でどうしても迎えにいけず、保育園帰りに小児科に連れて行かなければならない時があり、母親(配偶者)に迎えに行ってもらったのですが、残業を終えて家に帰ると、「この子ったら、病院に連れてったのに、ずーっと泣きじゃくってて診療できなかったのよ」と一人で怒っています。その時は私も呆れて、「普段 送り迎えもしない母親が 急に病院に連れてったって、子どもは素直に言うことを訊かないだろうよ。子どもは正直だからね」と思ったものです

今でこそ 育児をする父親を「イクメン」と称してもてはやしていますが、当時はそんな言葉もなく、あくまでも子供を中心に考えて生活を組み立てていました。今となっては懐かしい思い出ですが、当時は 時に応じてベビーシッターに頼りつつ 仕事をしながら必死に子育てをしていました そんなこともあって、子ども連れの父親や母親を見ると他人ごととは思えず、心の中でエールを送っています

ということで、わが家に来てから513日目を迎え、オヤツにつられてゲージから顔を出すモコタロです

 

          

          ピンクの物体は何かって? 温度計だよ いいからオヤツくれ!

 

  閑話休題  

 

今週末、息子が大学の卒論提出の締め切りを控えているので、月曜日から精力を付けてもらおうと、昨日の夕食は「ステーキ」と「生野菜サラダ」と「卵スープ」にしました  息子が帰宅するのは毎日深夜か翌日の夜ですが、昨夕は珍しく22時に帰ってきました。夜10時過ぎに食べるステーキも素敵 なんて言う余裕もなく 黙々と食べていました

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

本を3冊買いました。1冊目は ひのまどか著「モーツアルト 作曲家の物語」(新潮文庫)です ひのまどかは1942年東京生まれ。東京藝大器楽科を卒業、東京ゾリステンなどでヴァイオリニストとして活躍し、その後、作曲家の伝記や小説、音楽解説などの執筆活動に入りました。現地取材、遺族・関係者への直接取材がモットーで、「作曲家の物語」シリーズは全20巻中19巻を手掛けています 今までに知らないモーツアルトが発見できるかどうか、楽しみです

 

 

          

 

2冊目は誉田哲也著「あなたが愛した記憶」(集英社文庫)です 誉田哲也の作品はこのブログでも何冊かご紹介してきました。これはホラー・サスペンスです

 

          

 

3冊目は伊坂幸太郎著「残り全部がバケーション」(集英社文庫)です 伊坂幸太郎の作品も文庫化されると必ず購入して、このブログでもご紹介してきました。この人の小説は例外なく面白いです

 

          

 

いずれもこのブログでご紹介していきます。お楽しみに

 

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三浦友理枝「CDデビュー10周年記念 ピアノリサイタル」を聴く~ヤマハホール

2016年02月22日 07時30分44秒 | 日記

22日(月)。わが家に来てから512日目を迎え、まるで月曜日の朝 会社のデスクに座ったサラリーマンのごとき表情のモコタロです

 

          

          あ~あ あっという間に また月曜日がきちゃったよ サラリーマンはつらいよ ってか

 

  閑話休題  

 

昨日、銀座のヤマハホールで三浦友理枝「CDデビュー10周年記念 ピアノリサイタル」を聴きました 三浦友理枝は1981年東京生まれ。3歳からヤマハ音楽教室に入会、1993年からヤマハマスタークラスに在籍。2005年英国王立音楽院大学課程を首席で卒業、07年同音楽院・修士課程を首席で修了。01年には第47回マリア・カナルス国際音楽コンクール”ピアノ部門”第1位ほか、内外のコンクールに入賞しています ヤマハ音楽教室出身者と言えばピアニストの上原彩子もそうですね

プログラムは①シマノフスキ「ロマンティックなワルツ」、②同「創作主題による変奏曲 変ロ長調」、③同「『仮面』より第1曲”シェヘラザード”」、④同「マズルカ作品50-1、50-6」、⑤同「ピアノ・ソナタ第3番」、⑥酒井健治「ピアノのための練習曲集」より「グルーヴ」、⑦リゲティ「ピアノのために練習曲集」より「開放弦」「金属」「魔法使いの弟子」、⑧プロコフィエフ「ピアノソナタ第6番イ長調”戦争ソナタ”」です

 

           

 

座席指定とばかり思っていたら チケットに「全席自由」とあり、あわててヤマハホールに行きました 「人気ピアニストの三浦友理枝で なぜ自由席なのか?」と疑問を感じつつ開場10分前の1時20分に着きましたが、エレベーター前には かなりの人が並んでいました

何とか1階L列5番の左ブロック通路側席を押さえ、プログラムと文庫本を席に置いてトイレに行きました 戻ってくると、その席に夫人用コートが置いてあり、私のプログラムも本もありません さてはL列の奧の席に入ろうとした人が椅子の座面に引っかかって下に落としたな、と思いました 椅子の下を調べると やはりそこに落ちていました。コートを置いたご婦人は下に落ちたプログラムと本に気づかず、通路側席が空いていたので これ幸いにコートを置いたのでしょう。500ページ以上もある重い本まで置いてせっかく早めに良い席を押さえたのに 何にもなりません 本人が席に戻った時に捕まえて理由を話して席を取り戻すこともできたでしょうが、周りの人に迷惑がかかるので、その後ろの左端M1番に座りました。こういう時には自分の心をコントロールしてクールダウンしないと コンサートを聴く気構えが出来ません これは自分に対する試練だ、と自分に思い込ませてジッと耐えることにしました

プログラムの前半は、今 彼女がライフワークとして取り組んでいるポーランドの作曲家カロル・シマノフスキの作品です。三浦友理枝がシルバーの輝くドレスで登場、1曲目の「ロマンティックなワルツ」の演奏に入ります この曲に限らず、この日演奏するシマノフスキの曲は初めて聴く曲です。何とか音を追っていくのが精一杯です 2曲目の「創作主題による変奏曲」が終わり、3曲目の「仮面~シェヘラザード」の演奏に入って 音が最高音に達したあたりで、すぐ後ろの列で、テクノポップス調のケータイ着信音が鳴りました 演奏がフォルテの時だったから目立たず良かったのですが、これがピアノの時だったら、当人はもう二度とヤマハホールには入れないでしょう、恥ずかしくて

三浦は次の「マズルカ」までは暗譜で演奏していましたが、「ピアノ・ソナタ第3番」では、さすがに複雑な曲なのでしょう、譜面を置いて演奏しました とは言うものの、かなり速いパッセージで超絶技巧を要する曲なので、譜面を見ながら演奏するヒマもない程です 完璧な演奏と言っておきましょう

 

           

 

プログラム後半の第1曲目は酒井健治の「ピアノのための練習曲集」から「グルーヴ」です 三浦友理枝が鮮やかなブルーの衣装に”お色直し”して登場します この曲も初めて聴く曲ですが、一種のミニマル・ミュージックのように思いました。相当速いパッセージで駆け抜けます 彼女は次のリゲティ「ピアノのための練習曲集」から「開放弦」「金属」「魔法使いの弟子」を続けて演奏しました

最後にプロコフィエフ「ピアノ・ソナタ第6番イ長調”戦争ソナタ”」の演奏に入ります プロコフィエフの第6番から第8番までのピアノ・ソナタは第二次世界大戦中の1939年~40年に作曲されたことから「戦争ソナタ」と呼ばれています。とくに第1楽章と第4楽章はプロコフィエフ特有のリズムによって戦時下の不穏な空気を表しているかのようです 三浦のピアノは時にロマンティックに 時に鋭角的にプロコフィエフの音楽を表現していきます 第4楽章のフィナーレにおける畳みかけは見事でした

文字通り満席の会場から大きな拍手を受け、シマノフスキの「エチュード作品4」から「第3番」をアンコールに演奏しました そして、マイクを持って再登場し次のように挨拶しました

「今日はたくさんの方々にご来場いただきありがとうございました。今日のプログラムを見て『いったい何事が起ったのか?』と思われた方も多いと思いますので、少し説明させていただきます 2005年にエイベックス・クラシックスから初めてのCDを出してから今年度(2015~16)は10周年ということで、昨年はフィリアホールで『ラヴェル ピアノ作品全曲演奏会』を行ったりしてきましたが、今回は自分で弾きたい曲を選んでプログラムを組み、初めての『自主企画』の形でリサイタルを組むことにしました 自主企画なので、何から何まで自前でやらなければならないということで、こんなことにもお金がかかるのか、こんなに手間がかかるのか、と いろいろと勉強になりました  すべて自分で選んだ曲ですが、どれもが難しい曲で、この半年間は準備が大変でした。今になって『何でこんな大変な曲ばかり選んだんだろう?』と思い、半年前に戻って こんな選曲をした自分を殴りたい気分です

これを聞いて「なぜ全席自由なのか?」という理由がやっと分かりました。「自主企画」なので運営、経費の両面でいろいろと合理化しなければならなかったのでしょう

最後に2曲目のアンコールとしてプロコフィエフの「シンデレラ」からの6つの小品より「ワルツ」を演奏、大きな拍手を受けました

今度はショパンだけのリサイタルがあれば是非聴いてみたいと思いました

 

          

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エルディーティ弦楽四重奏団でベートーヴェンとメンデルスゾーンのクァルテットを聴く

2016年02月21日 08時27分19秒 | 日記

21日(日)。わが家に来てから511日目を迎え、撮影者にイチャモンをつけているモコタロです

 

          

           どこにピンとを合わせてるんだよ?! せっかくの男前が・・・

 

  閑話休題  

 

昨日、5月の3連休に東京国際フォーラムを中心に開かれる「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」の先行抽選販売の申し込みをしました この音楽祭は毎年テーマを決めて開催されていますが、今年のテーマは「ナチュール(自然と音楽)」です 分かり易く言えば、ベートーヴェンの「交響曲第6番”田園”」であるとかヴィヴァルディの「四季」であるとか、自然と関わりのある音楽を集めて、1公演平均45分のコンサートを大小6つのホールで開くというものです 取りあえず3日間で20公演申込んでおきましたが、もし全部に当選すると全部に行かなければなりません ただし、収容人数が153席、221席という公演も複数申し込んでいるので、それらの当選の確率は極めて低いと思われます。最終的には例年どおり17~18公演あたりで落ち着くのではないかと思っています

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、晴海の第一生命ホールでエルディーティ弦楽四重奏団のコンサートを聴きました プログラムは①メンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第2番イ短調」、②ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第15番イ短調」です エルディーティ弦楽四重奏団は、1989年東京藝術大学出身者4人で結成されました。第1ヴァイオリン=蒲生克郷、第2ヴァイオリン=花崎淳生、ヴィオラ=桐山建志、チェロ=花崎薫というメンバーです

 

          

 

自席は1階5列13番、センターブロック左通路側です。会場は5割程度でしょうか。ちょっと寂しい感じです

1曲目のメンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第2番イ短調」は1827年、18歳の時に書かれました 第1番が1829年に作曲されたので、実質的にはこちらが第1番になります。ショパンのピアノ協奏曲の第1番と第2番もそうですが、おそらく出版の順番が入れ替わったのだろうと言われています メンデルスゾーンがこの第2番を作曲した1827年は、奇しくもベートーヴェンが死去した年で、後半に演奏されるベートーヴェンの「弦楽四重奏曲第15番イ短調」が作曲された2年後に当たります。そのため、この曲にはベートーヴェンの弦楽四重奏曲の影響が色濃く反映されています

この曲については、ここ1週間ほど、アメリカの若手弦楽四重奏団、パシフィカ・クァルテットのCDで予習してきたので、メロディーは頭に入っています 第1楽章「アダージョーアレグロ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アダージョ・ノン・レント」、第3楽章「インテルメッツォ」、第4楽章「プレスト」から成ります

 

          

 

舞台上の4人の演奏を聴いていると、「これが本当に18歳の青年が書いた曲なのだろうか」と驚きを禁じえません。もっとも、メンデルスゾーンは16歳の時にあの名曲「弦楽八重奏曲」を書き、17歳の時に「真夏の夜の夢」序曲を書いたのですから、不思議でも何でもないのかも知れません

18歳の若き作曲家による作品ですが、4人は円熟したベテランの演奏を展開、短調という曲の調性とも相まって ほの暗い感動をもたらしました         

 

          

 

休憩後はベートーヴェンの「弦楽四重奏曲第15番イ短調」です。この曲は1824年の「第9交響曲」の初演の翌年 1825年に作曲に取り掛かったようです その後、ベートーヴェンは大病を患い、その病から回復したのちに、5つの楽章から成る、真ん中の第3楽章に「モルト・アダージョ”病癒えた者の神への聖なる感謝の歌”」を据え、それを中心とするシンメトリーな形で第15番を作曲しました

この曲でも、4人は円熟の演奏を聴かせてくれましたが、とくに第3楽章の演奏はしみじみと心に沁みました

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は第13番以降、生前に出版されませんでした。さぞ心残りだったことでしょう

4人はアンコールに最後の弦楽四重奏曲「第16番」から第3楽章「レント・アッサイ、カンタンテ・エ・トランクィッロ」を、これもしみじみと演奏し 盛んな拍手を受けました

この日のコンサートは、ベートーヴェンと、ベートーヴェンの影響を受けたメンデルスゾーンとの組み合わせという絶妙のプログラミングでした 今後もこの組み合わせのコンサートが開かれると良いな、と思いながら家路に着きました

 

          

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新国立劇場オペラ研修所修了公演「フィガロの結婚」を観る~スザンヌにピッタリの種谷典子

2016年02月20日 09時22分54秒 | 日記

20日(土)。わが家に来てから510日目を迎えた(出番だよ!顔はどーした?!)モコタロです

 

          

           これ しっぽじゃないよ おいらの胴体だよ 伸びをしてるんだよ

 

  閑話休題  

 

昨日は、夕食に「豚ひき肉と大根の甘辛煮」と「生野菜とワカメとサーモンのサラダ」を作りました こちらから訊かないうちに、娘から「美味しかったよ」というひと言がありました

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨夕、初台の新国立劇場(中劇場)で「新国立劇場 オペラ研修所修了公演 モーツアルト『フィガロの結婚』」を観ました

新国立劇場オペラ研修所は毎年5名の入所者を迎えながら3年間の研修を経て修了となりますが、現在、16期から18期までの15名の研修生が学んでいます 今回の公演は修了を迎える第16期生5人にとっては卒業公演となります

出演者は19日(金)・21日(日)と20日(土)とでダブルキャストになっています 初日の19日は、フィガロに松中哲平、スザンナに種谷典子、アルマヴィーヴァ伯爵に小林啓倫、伯爵夫人に飯塚茉利子、バルトロに氷見健一郎、ケルビーノに高橋紫乃、マルチェリーナに藤井麻美、バジリオに岸浪愛学、ドン・クルツィオに水野秀樹、アントーニオに山田大智、バルバリーナに砂田愛梨というメンバーです

自席は1階7列33番、と言ってもオーケストラピットが5列まで使用しているので、席としては前から2列目のセンターブロック左通路側です。ピットの中の最後列の演奏者の顔が見え、歌手の顔や仕草も良く見える位置です オペラは観て聴いて楽しむことに醍醐味があるとすれば、最高の座席です。強いて欠点を言えば、あまりにも前過ぎて 字幕スーパーが見にくかったということですが、オペラの筋は頭に入っているので困ることはありませんでした

 

          

 

結論から先に書きます。歌も演技も演奏も舞台も演出も素晴らしい公演でした

第1幕冒頭からこの役にピッタリだと思ったのはスザンナを歌った種谷典子(たねたに のりこ)です 国立音楽大学大学院を修了しています。声の質がスザンナにピッタリです。可愛らしくて、機転が利いて、歌も上手な、望むべきスザンナを体現しています 「フィガロの結婚」を聴いていて いつも残念に思うのは、スザンナがソロで歌うアリアがほとんどないということです もちろん、全幕を通して彼女が歌う場面は多くあるのですが、フィガロ、伯爵、伯爵夫人、ケルビーノ等とのデュエットが多く、ソロと言えば第4幕の「やっと待ってた時がきた・・・・さあ早く来て、いとしい人よ」くらいしかないのです 私は、このオペラの本当の主人公はフィガロではなくてスザンナだと思っていますが、彼女のためのソロのアリアがもっと欲しかったと思います。モーツアルトが生きていたら是非お願いしたいと思います

 

          

 

迫力があったのはアルマヴィーヴァ伯爵を歌った小林啓倫です。声量があり迫真の演技でした フィガロを歌った松中哲平は「もう飛ぶまいぞこの蝶々」をはじめソロで歌うアリアを決めていました

最初はこの役には荷が重いと感じていたものの、アリアを聴いてその雰囲気が払しょくされたのは伯爵夫人を歌った飯塚茉利子です 第2幕冒頭の「愛の神よ、安らぎを与えたまえ」、第3幕の「楽しい思い出はどこへ」のアリアは素晴らしいものがありました

高橋紫乃が歌ったケルビーノのアリア「自分で自分が分からない」、「恋とはどんなものかしら」も良かったです

岸浪愛学が第1幕で歌ったバルトロの「復讐だ、ああ、復讐とは楽しみだ」も素晴らしかったし、マルチェリーナを歌った藤井麻美の迫力にも圧倒されました

 

          

 

さて、この公演を成功に導いたもう一つの大きな原因は、河原忠之の指揮と粟國淳による演出です モーツアルトの歌劇、とりわけ「フィガロの結婚」の一番肝心な要素は”小気味の良いテンポ”です 河原の指揮はテンポ感が良く、前へ前へ音楽がグングン進みます。それに合わせるかのように、粟國による舞台転換は速く無駄がありません。舞台は左右に移動するだけなのですが、左、中央、右のスペースをうまく使って演出を施します

例えば、第2幕で伯爵夫人とスザンナがケルビーノを女装させているところに伯爵が帰ってくるシーンで、伯爵と夫人が部屋の外に出て行ったあと、スザンナは衣裳部屋に隠れていたケルビーノを逃がして、自分が衣裳部屋に隠れるわけですが、オーソドックスな演出では、衣裳部屋に隠れたスザンナの様子は聴衆には見えないのですが、この公演の演出では、見えるようにしています

さらに、この公演のもう一つの特徴は、第1幕と第2幕を続けて演奏し、休憩を入れ、第3幕と第4幕を続けて演奏していることです これが独特のスピード感を醸し出しています

このオペラの正式なタイトルは「フィガロの結婚。または狂おしき一日」です。観ていると、次から次へと事件が起こるので 何となく長い日時の物語のように思いがちですが、たった1日のことを描いています それで「狂おしき一日」なのです。フランス語では「ラ・フォル・ジュルネ」です。5月の3連休に東京国際フォーラムを中心に開かれる「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」(熱狂の日 音楽祭)はここから採られました 昨日から先行抽選販売の受付が始まりました。今日にでも、聴きたい公演を選んで応募しておこうと思います

昨日は 生でモーツアルトのオペラが観られる幸せをかみしめることが出来た 熱狂の日でした

 

          

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