人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「ブルーマーダー」「快楽上等!」「「ホテルローヤル」「ジャイロスコープ」「仙台ぐらし」を買う

2015年06月30日 07時01分10秒 | 日記

30日(火)。早いもので6月も今日で終わりです 1年の半分が終わってしまったことになります ということで,わが家に来てから264日目を迎え,ギリシャの財政危機の”記事”を逆さに見ながら,一心に新聞の”生地”をかじるモコタロです 

 

          

            国民投票やるんなら 誰が首相やったって同じじゃん

 

  閑話休題  

 

先週から今週にかけてコンサートが少なかったこともあり、家に居るときは音楽を聴きながら読書をするという日が多いような気がします サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデンでミロ・クアルテットによるベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲演奏会を聴いて以来、毎日のようにベートーヴェンの弦楽四重奏曲ばかり聴いています。演奏はイタリア弦楽四重奏団によるものです 

イタリア弦楽四重奏団によるベートーヴェンは「明るすぎる」とか「軽すぎる」という批評をたまに見ますが、私は先入観を一切排して耳を傾けています。イタリア弦楽四重奏団の演奏はモーツアルトも良いけれどベートーヴェンもいいですね 

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲に駄作は1曲もありません 1曲1曲がまったく違う顔を持っています。同じ曲を何度聴いても飽きません。名曲の名曲たる所以でしょう

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

本を5冊買いました 1冊目は誉田哲也著「ブルーマーダー」(光文社文庫)です.誉田哲也の本は文庫化されると必ず買います

 

          

 

2冊目は上野千鶴子,湯山玲子共著「快楽上等!~3.11以降を生きる」(幻冬舎文庫)です

 

          

 

3冊目は桜木紫乃著「ホテルローヤル」(集英社文庫)です.言うまでもなく第149回直木賞受賞作です

 

          

 

4冊目は伊坂幸太郎著「ジャイロスコープ」(新潮社文庫)です 伊坂幸太郎の作品も文庫化されると必ず買います

 

          

 

5冊目は同じ伊坂幸太郎著「仙台ぐらし」(集英社文庫)です これは仙台で暮らしながら小説を執筆している著者のエッセイ集です

 

          

 

それにしても,どうして私は,まだ買って読んでいない本が3冊もあるのに,新しい本を買ってしまうのでしょうか.病気でしょうかね

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吉田修一著「路(ルウ)」を読む~台湾新幹線開通を巡る日台の物語

2015年06月29日 07時01分44秒 | 日記

29日(月).昨日、注文しておいた冷蔵庫が届きました 今まで使っていた冷蔵庫は20年以上もわが家に仕えてくれました.昔の機械は長く持つように作られていますね 朝,配送の担当者から電話があり,午前10時から正午の間で,正午に近い時間帯に伺うことになると思う,という話でした.早くから中の物を外に出すと温まってしまうので,11時頃から取り出し作業を始めました.入口からキッチンまでの搬入ルートを確保するのも大変です 幸いちょうど作業が終わる11時半頃に玄関のピンポーンが鳴り,古い冷蔵庫を搬出し,新しい冷蔵庫を搬入する作業が行われました 今までと中の造りが違うので,どこに何を入れたらよいか戸惑いながら,取りあえず冷蔵庫と冷凍庫に分けてそれぞれ飲食料と調味料を入れました.やっぱり新しいのは良いものですね

 

          

 

ということで,わが家に来てから263日目を迎え,缶コーヒー相手に遊ぶモコタロです 

 

          

          ご主人はいつも 缶コーヒーほどマズイものはないと言っているよ

 

 

  閑話休題  

 

吉田修一著「路(ルウ)」(新潮文庫)を読み終わりました 吉田修一は1968年生まれ.高校まで長崎で過ごし上京,法政大学を卒業しています.2002年に「パレード」で第15回山本周五郎賞を,「パーク・ライフ」で第127回芥川賞を,2007年に「悪人」で第61回毎日出版文化賞と第34回大仏次郎賞を受賞しています

台湾に日本の新幹線が走ることになった.この作品は2000年の「逆転」,2001年の「着工」,2002年の「700系T],2003年の「レール」,2004年の「陸揚げ」,2005年の「試運転」,2006年の「開通式典」,2007年の「春節」というように,日本が台湾の新幹線の製造・工事を受注するところから,試運転を経て開通するまでの時代背景の中で,商社の台湾支局に勤める春香と,日本で建築家として働くことになる人豪との巡り合い,台湾で生まれ戦後引き揚げた老人の若かりし日の過ちの悔悟,経済的には恵まれない中でも懸命に生きる若者たちの姿を同時並行的に描いた渾身の作品です

 

          

 

最初にこの本のタイトル(路)と見出しを見た時は,台湾新幹線の建造・開通までの技術者たちの苦労話だと思っていたのですが,見事に(良い方に)外れました 作品を通して,日本人と台湾人との間の「予定」とか「締め切り」とかの考え方の違い,つまり「予定」とは「締め切り」までにその仕事を終えることだという日本の考え方に対し,「予定」とはあくまで「未定」で,締め切りに遅れるのは普通のことだという台湾の考え方の違いが描かれています もっとも,これは台湾だけでなくアジア諸国全般について言えることかもしれません

いくつかの物語が交錯して進められますが,登場人物が複雑に絡み合って一つの流れを形成していき,最後に静かな感動を呼びます 巻末の「解説」はありません.475ページの読み応えのある力作です.お薦めします

 

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遠藤周作原作・松浦禎三作曲のオペラ「沈黙」を観る~重いテーマに立ち上がれず

2015年06月28日 08時09分56秒 | 日記

28日(日)。昨日午前、当マンション管理組合の定時総会があり,理事長として議長を務めしました 理事・監事は10人中5人の出席に止まり,一般の組合員は本人出席が何と3世帯(5人)のみでした.86世帯のうちでこれだけの出席状況ですから,理事長としてはやる気が失せます 半数以上を占めるワン・ルームからの出席がほとんどありません.これはどこのマンションでも同じなのでしょうか?予算・決算ほかの議題をすべて承認しましたが,その中に「管理費等を1年以上滞納している2名に対する訴訟の件」が含まれており,また私の名前で裁判を起こすことになりました 「また」というのは8年位前に私が理事長だった時,駐車場料金を長期間滞納している者に対して訴訟を起こしたからです.その時は,裁判では勝ったものの,当人が夜逃げをして滞納分と弁護士費用を回収できませんでした それにしても,どうして私が理事長になると裁判沙汰が表面化して私の名前が前面に出ることになるのか,星回りが悪いとしか言いようがありません 管理費の滞納というのは,まあ簡単に言えば「エレベーターは使用するな,ゴミも自分で処理しろ」という話です.集まった管理費でエレベーターの保守をやり,分別ごみを含めて清掃作業を専門業者に依頼しているわけですから それにしても,同じマンションに住んでいて相手の顔が分かる状況の中で訴訟を起こすわけですから,ボランティアに過ぎない理事長としては,やるだけ損で,やりきれない思いです というわけで,わが家に来てから262日目を迎え,ご主人が観に行ったオペラの予告をするモコタロです 

 

          

          

               この人だ~れ?  ・・・・・・・・  沈黙 

 

  閑話休題  

 

昨日、新国立劇場で松浦禎三のオペラ「沈黙」を観ました。これは松浦禎三(1929-2007)が遠藤周作の原作による小説をオペラ化したものです キャストは、ロドリゴに小餅谷哲男、フェレイラに黒田博、ヴィリニャーノに成田博之、キチジローに星野淳、モキチに吉田浩之、オハルに高橋薫子、おまつに与田朝子ほかで、下野竜也指揮東京フィルの演奏、演出は宮田慶子です

若き宣教師ロドリゴは、キリシタンへの弾圧が過酷を極めていた17世紀初頭の長崎に密かに渡ってきた 目の前で村の貧しい信者たちが次々と捕えられ、厳しい拷問を受けて死んでゆくが、彼らを助けることが出来ず、神からも救いの手が差し伸べられることもない やがて自らも捕えられ、信者を救うためにはまず自らが棄教すべきだと恩師フェレイラに説得される。ロドリゴは神に祈るが、神の沈黙は破られず、絶望の中で踏絵と向かい合うことになる

 

          

 

新国立劇場での「沈黙」は前回,2012年2月に「中劇場」で今回とほぼ同じキャストで上演されていますが,その時,私は夕方から中東某国のVIPの記者会見のため第1幕だけ観て出勤したので,第1幕・第2幕を通して観るのは今回が初めてです しかも今回は大劇場(オペラ・パレス)での上演です

日本人が作曲したオペラは空席が目立つのですが,会場に入って驚きました.ほぼ満席です 中劇場でなく大劇場での満席は相当の数です 照明が落とされ,指揮者・下野竜也がオーケストラ・ピットに入ります.舞台上の大きな特徴は中央やや左に大きな十字架がそそり立っていることです しかもそれはやや右に傾いています.この傾斜は演出上大きな意味があるように感じます

オール日本人キャストによる日本語オペラなので,外国オペラに比べればすんなりとストーリーが入ってきます 歌を聴けば,やっぱり日本人の作品は日本人が歌うのが一番自然で安心して聴いていられるな,というのが本音です 歌手陣が良かったのはもちろんですが,下野竜也指揮東京フィルの演奏も冴えていました

モキチ,じさま達はキリストの踏絵を踏むことを拒否して水磔(海の中でのはりつけ)に処せられるわけですが,キチジロは踏絵を踏みロドリゴを役人に”売って”生き延びる道を選びます さて,われわれはキチジロを責めることができるのか 

役人によるキリスト教徒排斥行動を目の当たりにして,宣教師ロドリゴは,救いを求める民衆に対し祈ること以外何も出来ない.神も”沈黙”を破って何かを言うこともない キリスト教の力とは? 宗教とは何か? 遠藤周作の原作によるこのオペラのテーマは,非常に重い

最後の場面,ロドリゴが踏み絵を踏んで,キリストの顔の描かれたその踏絵を両手で抱き,幕が静かに降りるや否や,拍手とブラボーが叫ばれましたが,私は拍手をする気になれませんでした しばし呆然とこのオペラの重いテーマを考えていました.オペラを観てこういう気持ちになったのはこれが初めてです

舞台上の大きな十字架の傾きは,困難に直面した時も神は助けてくれないという,キリスト教に対する民衆の不信感の表れなのかも知れません

 

          

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「ベルリン・フィルのフックスを迎えて」,「小林美恵ヴァイオリン・リサイタル」のチケットを買う

2015年06月27日 07時47分59秒 | 日記

27日(土)。わが家に来てから261日目を迎え,漢方風邪薬で遊ぶモコタロです 

 

          

                 何か怪しげなものがあるぞ・・・・

 

          

                 鼻もちならない匂いがするぞ

 

          

                 鼻はだ迷惑なやつだ どかそう

 

          

                  必殺45度回転技で勝負!

          

          

              龍拡散の龍はどこ? 龍 隠さんでちょうだい!

 

  閑話休題  

 

チケットを2枚買いました 1枚は7月9日(木)午後7時から上野の東京藝大奏楽堂で開かれる「ベルリン・フィル首席クラリネット奏者ヴェンツェル・フックスを迎えて」公演です プログラムは①ベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第4番”街の歌”」,②シューマン「クラリネットとヴィオラとピアノのための”4つのおとぎ話”」,③プーランク「クラリネット・ソナタ」,④ヴェルディ「歌劇”運命の力”序曲」,⑤coba「30人のクラリネット達人のための~英雄の嘆き」,⑥メンデルスゾーン「コンツェルトシュテュック第2番」です.演奏は,クラリネット=フックス,山本正治,ピアノ=伊藤恵,チェロ=河野文昭,ヴィオラ=川崎和憲,指揮:三界秀実,東京藝大クラリネットアンサンブルです

入場料金の全席自由で2,000円は安い

 

          

 

もう1枚は10月16日(金)午後7時から上野の東京文化会館小ホールで開かれる「小林美恵ヴァイオリン・リサイタル」です プログラムは①フォーレ「ヴァイオリン・ソナタ第1番」,②プーランク「ヴァイオリン・ソナタ」,③ショーソン「ヴァイオリン,ピアノと弦楽四重奏のためのコンセール」です.出演はヴァイオリン=小林美恵,ピアノ=萩原麻未,弦楽四重奏=クァルテット・エクセルシオです.ショーソンはつい先日,サントリーホール・チェンバーミュージックガーデンで竹澤恭子,児玉桃ほかの演奏で聴いたばかりの曲です.これはヴァイオリニストよりも,むしろ萩原麻未が目的で買ったチケットです

 

          

 

どちらも楽しみです

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ジェフリー・アーチャー著「追風に帆を上げよ(下)」を読む~ページ・ターナーに恥じない作品

2015年06月26日 07時01分08秒 | 日記

26日(金)。昨夜,埼玉県S市の実家の妹から電話があり,「兄さんの大学時代の友人で千葉県K市在住のSさんという人から電話があった.電話番号を聞いているので折り返し電話してほしい」とのことでした さっそく電話をしてみると,まさに大学時代にいっしょにつるんでいたS君でした.所属するゼミこそ違うものの1年生の時から気が合ってずっと付き合っていました.卒業後,お互いの結婚式に出席しています 声を聞いたのは何十年ぶりでしょうか.明るい声と楽天的な話し方ですぐに分かりました なぜ今になって電話をくれたのかについて,彼は「先日,久しぶりにルネ・マグリット展を観に行って,そういえば大学時代にS君(私のこと)といっしょにマグリット展を観に行ったなぁ,と思い出して電話をかけてみたくなった」とのことでした 

S君というと思い出すのが,大学1年の時,大宮の校舎で心理学の授業中,なぜか彼が「三島由紀夫が自衛隊の本部で割腹自殺したらしい 彼の本が売り切れないうちに買いに行こう」と耳打ちし,二人して教室の窓から外に飛び出し,バスに乗って大宮駅近くの本屋さんに飛び込んで三島由紀夫の本を買ったことです 今となっては何の本だったのか思い出せませんが,難解な内容だったような気がします なぜ彼が三島事件のことを知ったのか・・・・たぶん授業中に携帯ラジオでも聴いていたのだと思います

7月に入ったら連絡を取り合って会おうと約して電話を切りましたが,こういう電話は嬉しいものです ということで,わが家に来てから260日目を迎え,鏡の中の自分に気が付かないモコタロです 

 

          

                     鏡の中にもう一人のぼくがいるって? シュールだねぇ

           

  閑話休題  

 

ジェフリー・アーチャー著「追風に帆を上げよ(下)」(新潮文庫)を読み終わりました 上巻ではセバスチャンの妹ジェシカ(ハリーとエマの養子)が,自分の生い立ちを知ったショックもあり,死に至るところで終わっています

ジェシカの死はハリー一家にとって最大のショックだった そうした中で,ハリー一家を憎むマルティネス親子は,エマが代表を務めるバリントン海運の株式を巧妙に操作して,会社の凋落を企てようとする しかし,ハリー一家を支援する仲間たちの力でそうした企みは排除される しかし,マルティネスはしつこく復讐を企て,ついにバリントン海運が建造した豪華客船”バッキンガム”の処女航海に焦点を当て,ハリー一家もろとも壊滅的に消し去る仕掛けを企てる さてハリーたちの運命はいかに・・・・

 

          

 

実は,下巻を読んでいる最中,これでマルティネス親子も観念し,豪華客船の処女航海は順調にいって,「めでたしめでたし」で終わると思っていたのです しかし,アーチャーは甘くありませんでした ハリー一家の生死を分ける事件を起こして,次回作に「つづく」と肩すかしを負わせるのです.もう一刻も早く続きが読みたい思いでいっぱいです.ページ・ターナー(ページをめくる手が止まないほど面白い作品)ジェフリー・アーチャーの面目躍如といったところです

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SPレコードから聴こえる声は?~鈴木清順監督「ツィゴイネルワイゼン」を観る

2015年06月25日 07時01分15秒 | 日記

25日(木).わが家に来てから259日目を迎え、ディズニーのお菓子で白ウサちゃんを口説こうとしているモコタロです 

 

          

             ねえねえ そのお菓子をあげるから 仲良くしようよ

 

  閑話休題  

 

23日(火)に早稲田松竹で鈴木清順監督の浪漫三部作『夢二』『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』のうち『夢二』と『ツィゴイネルワイゼン』の2本を観ました 昨日『夢二』について書いたので,今日は1980年公開の『ツィゴイネルワイゼン』について書きます

士官学校教授の青地と元同僚で無頼の友人・中砂(なかさご)は,旅先で,弟の葬式帰りだという芸者・小稲に会う.その1年後,中砂が結婚したというので青地が訪ねると,妻は小稲とそっくりの園という女性であった.中砂と園の間に娘が生まれ,青地の名前の一字をとって豊子と名付けられるが,その翌年,園はスペイン風邪にかかって死ぬ 新しい乳母ができたというので青地が中砂家を訪ねると,死んだはずの園が赤ん坊を抱いているのに驚く しかし,それはかつて芸者だった小稲だった.中砂が病死した数年後,小稲が青地邸を訪ね,中砂が貸した蔵書を返してほしい言う.そして最後に「サラサーテのレコードを返してほしい」と しかし,青地には借りた覚えがない.実は青地の妻・周子が額縁の裏に隠していたのだ.なぜ小稲がそれら一連のことを知ったのかというと,中砂の霊が豊子と交信して豊子に教えたからだという

 

          

 

原作は内田百の「サラサーテの盤」等のようですが,残念ながらまだ読んでいません 映画の冒頭,蓄音機の上に載せられた1枚のSPレコードからサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」のメロディーが流れてきます 演奏の途中,人の声が聴こえ,中砂が「いま何か言ったか?」と訊ねるが青地は「何も言わない」と答えます 実はそのレコードはサラサーテ自身が演奏した音が入っていて,演奏の途中でサラサーテが何かをしゃべっているのですが,何を言っているのか二人には聴き取れないのです

キャストでは,何と言っても”鈴木清順ファミリー”の俳優・原田芳雄が無頼の中砂を個性豊かに演じています 相手役の青地には映画監督の藤田敏八が渋い役割を担い,大谷直子がミステリアスな一人二役を演じています 珍しいところでは,若き日の樹木希林がチョイ役で出ています.もう1本の映画,沢田研二主演の「夢二」に出ていたら「ジュリ~」と言って悶えたでしょうか

鈴木清順の映画の大きな特徴は豊かな色彩感で彩られた幻想的な世界の表出です.とくに赤色の使い方が鮮やかです また,いきなりドッキリするような画面を突き付け観衆を驚かせます 144分の大作です.第31回ベルリン国際映画祭審査員特別賞をはじめ多くの賞を受賞しています

「浪漫三部作」の早稲田松竹での上映は明日までです.上映時間はホームページをご覧ください

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鈴木清順監督「浪漫三部作」の一つ「夢二」を観る~沢田研二の好演が光る

2015年06月24日 07時01分14秒 | 日記

24日(火).わが家に来てから258日目を迎え,おねーちゃんの2回目の大阪出張の”オミヤ”を確かめるモコタロです 

 

          

             食べ物かと思ったらボール型のストラップだってさ 

 

          

          ”オミヤ”にはタイガース創設80周年記念タオルも たこ焼き(写真略)もあるよ

 

  閑話休題  

 

昨日の各紙朝刊は,次期ベルリン・フィルの首席指揮者がキリル・ペテレンコに決まったことを伝えていました 現在の首席指揮者サイモン・ラトルは2018年に退任するため,後任の首席指揮者を誰にするか5月に楽団員による投票が行われたものの意見の一致を見なかったため,再調整になったものです

キリル・べテレンコはロシア出身で43歳.現在バイエルン州立歌劇場の音楽総監督を務めています 彼が選ばれた理由は,レパートリーが広く,ロシア系だけでなくドイツ系の作品の解釈でも高い評価を得ているからのようです とくに2013年からバイロイト音楽祭に連続して登板し,ワーグナーの「ニーベルングの指輪」を振って実力を発揮したと言われています

私にとってこの人選は”無印良品”でした.英語に直せばノーマークでした 一度も彼の指揮で聴いたことがないので,演奏がどうのこうのと言えない立場です.いつかチャンスがあれば生で聴いてみたいと思います

ところで,当ブログの読者Nさんから「昨日NHKは朝6時から毎回このニュースを流していた.そんなに大ニュースなのか.偏りがあるのではないか」という趣旨のコメントをいただきました NさんはN響の定期会員で,ご子息をアメリカの音楽院に通わせているほどのクラシック音楽通ですが,そうした人から見ると世界でいくつものオーケストラがあるのに,なぜ日本が,日本の”国営放送”が繰り返しベルリン・フィルの次期首席指揮者に時間を割くのか,報道すべきニュースは他に多くあるはず,と疑問に思われるのでしょう

私もそう思わない訳ではないのですが,日本ではやはり「天下のベルリン・フィル」であり,「天下のウィーン・フィル」なのだと思います.それは”呼び屋”さんがそのように煽り立てて,チケット代を吊り上げていることが大きな要因だと思いますが,それにも関わらずこの2つのオーケストラは毎年のように来日して全国ツアーを挙行しています 世界中のオーケストラから,日本は”稼げる市場”だと位置付けられている原因にもなっています 私はここ数年,ベルリン・フィルをはじめとする世界的に著名なオーケストラを聴きに行っていません.それはチケット代が高すぎるということもありますが,オケに魅力がないのではなく指揮者に魅力を感じないからです かつてのカルロス・クライバーのようなカリスマ指揮者は,残念ながら現在では絶滅してしまいました もし,クライバーが生きていて来日公演をやるならベルリン・フィルやウィーン・フィルでなくても聴きに行きます

 

  も一度,閑話休題  

 

早稲田松竹で鈴木清順監督の浪漫三部作が上映されるというので,昨日休暇を取って観に行きました これは鈴木監督が大正時代を舞台に描いた『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』『夢二』の三部作です このうち『陽炎座』はすでに観たことがあるので,残りの2作を観ました.今日は最初に観た『夢二』について書きます.夢二とはもちろん竹久夢二のことです

夢二は恋人の彦乃と駆け落ちするため,親が煩い彦乃を東京に残し,一足先に金沢にやってきた.そこで彼は銃声を聞くが,隣の村で殺人があったと知る 殺人鬼・鬼松が妻と妻を寝盗った男・脇屋を殺して山に逃げ込んだという.脇屋の妻・巴代は湖で浮かび上がってくるはずの脇屋の死体を待っているが,偶然そこで夢二と出会う.脇屋が本当に死んだのか不安を抱きつつ夢二は巴代と逢瀬を重ねる.しかし,不安は現実になり,脇屋は生きて夢二の前に現われ,夢二にピストルでの決闘を申し込む.さて夢二の運命は

 

          

 

”ジュリー”こと沢田研二が夢二を好演しています ”飄々とした絵描き”夢二を自然体で演じています.両手を挙げて踊るシーンなどは彼のヒット曲「勝手にしやがれ」を彷彿とさせます 原田芳雄は鈴木清順監督のお気に入り俳優ですが,死んだはずの脇屋をユーモアを交えて見事に演じています 女性陣では毬谷友子,宮崎萬純がいかにも夢二好みの女性を演じています 珍しいところでは,坂東玉三郎が初めて男役に挑戦しています

1991年公開映画で,上映時間は128分.「浪漫三部作」の早稲田松竹での上映は26日(金)までです.3作の上映順は日替わりなのでよい子はホームページで確かめてから行ってね

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サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン「フィナーレ・コンサート」を聴く

2015年06月23日 07時58分08秒 | 日記

23日(火)。わが家に来てから257日目を迎え,新しいお菓子に感心を示すモコタロです 

 

          

             これがタバコだったらあやまるよ 吸いません!

 

  閑話休題  

 

21日(日)にサントリーホールに行ったのですが、ホール前のカラヤン広場に面したお店のテラスで本を読んでいると、”おこぼれ頂戴”狙いのスズメがやってきました 名前を訊いたら「ちゅんたろうだよ」と教えてくれました 「エサにありついたかい?」と訊くと「スズメの涙ほどだけどね」と答えました。なかなか出来たスズメでした

 

 

          

 

ということで,21日(日)午後1時半からサントリーホール”ブルーローズ”で「サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン」のフィナーレ・コンサートを聴きました プログラムは①メンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第2番イ短調」、②シュルホフ「フルート、ヴィオラとコントラバスのための小協奏曲」、③サントリーホール・オペラ・アカデミー選抜メンバーによる演奏,④サン=サーンス「七重奏曲変ホ長調」、⑤シェーンベルク「清められた夜」です

 

          

 

自席はC6列2番,センターブロック左から2つ目.会場はほぼ満席です 1曲目のメンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第2番イ短調」は、カルテット・アルパによる演奏です この四重奏団のメンバーは東京藝大の学生で,ヴァイオリン=小川響子、戸原直、ヴィオラ=古賀郁音、チェロ=伊東裕です

この作品は1827年,メンデルスゾーンが18歳の時の作品です.1827年と言えばベートーヴェンが弦楽四重奏曲第14番,第16番,第13番第6楽章「アレグロ」を作曲した翌年の病死した年です 同じドイツ・オーストリー圏に生きていたメンデルスゾーンはベートーヴェンの死をいち早く知ったはずです 短調のこの曲はベートーヴェンの後期の弦楽四重奏曲の影響がそこかしこに表われています.その中で,メンデルスゾーンらしい軽快な音楽は第3楽章「間奏曲」です 歌心に溢れた軽快な曲です.4人は大きな拍手に包まれました

2曲目のシュルホフ「フルート、ヴィオラとコントラバスのための小協奏曲」は、フルート=高木綾子、ヴィオラ=池田菊衛、コントラバス=吉田秀による演奏です エルヴィン・シュルホフは1894年生まれのチェコの作曲家です.この曲は1925年に作曲されました フルートとヴィオラとコントラバスの組み合わせは聞いたことがありません 全体的に民族音楽的な曲想ですが,フルートはピッコロに持ち替えて演奏するので,コントラバスとの音域は最大になります 難しい曲かと思って警戒して聴いていましたが,愉悦感に溢れた軽快な曲で,十分楽しめました

休憩後の最初はサントリーホール・オペラ・アカデミー選抜メンバーである2人の歌手の卵によってアリアが歌われました 最初は東京藝大出身のソプラノ・迫田美帆さんです.ヴェルディ「ストルネッロ」とプッチーニ「死とは?」を迫力ある声で歌いました 次に国立音大出身の新造太郎さんが,トスティ「もう君を愛していない」とマスカー二「セレナータ」をバリトンで歌いました いつの日か,オペラ劇場で観ることを期待したいと思います

次のサン=サーンス「七重奏曲変ホ長調」は、トランペット=高橋敦、コントラバス=吉田秀、ピアノ=若林顕、弦楽四重奏=クアルテット・エクセルシオ(ヴァイオリン=花田和加子、山田百子、ヴィオラ=吉田由紀子、チェロ=大友肇)によって演奏されます エクセルシオの女性陣はグリーン系のドレスで統一しています

この曲も編成が変わっています.何しろ弦楽五重奏にピアノとトランペットが加わるのですから この曲はエミール・ルモワーヌという数学者でアマチュア・トランペット奏者だった人が創設した室内楽団体の看板作品として依頼されたものです したがって,トランペットが大活躍する曲です

曲を聴いていると,サン=サーンスらしい曲想だなと思う個所が何か所かあります.何故か「動物の謝肉祭」を思い出しました 東京クヮルテットで長年第2ヴァオリンを弾いていた池田菊衛氏の髪は真っ白です 往年のヴァイオリニストも白髪か・・・・と感慨深いものがあります.演奏は7人の技のぶつかり合いと言ったら良いでしょうか

最後のシェーンベルク「清められた夜」はミロ・クアルテット、ヴィオラ=磯村和英、チェロ=堤剛による演奏です 東京クヮルテットの結成メンバーでヴィオラを弾く磯村氏も髪が真っ白です ミロ・クァルテットの間にチェロの堤とヴィオラの磯村が挟まるという態勢をとります

この作品は,ドイツの詩人デーメルの詩集「女と世界」に収められた同題の詩を基に書かれた「弦楽六重奏による単一楽章の交響詩」です

月明かりの夜,森の中を歩く恋人同士.女は,身ごもっている子は彼と出会う前にあった男との間に出来た子供であることを打ち明ける.男は,「その子を自分の子として産んでほしい」と語りかける.二人を月が照らす.

この曲は1896年の作品ですが,先人のブラームスやワーグナーの影響を垣間見ることが出来ます 曲の冒頭は静かなヴィオラの演奏から入りますが,なぜか音楽として聴こえてきません すこしモタモタした感じがします.だんだんテンポを上げてきて問題は解消しましたが,曲の冒頭というのは難しいですね 若い壮年期のミロ・クァルテットと熟年のベテラン奏者とのコンビネーションは,後半に行くほど冴えてきて,最後は静かに演奏を閉じました 私がシェーンベルクで唯一素晴らしいと思う作品「浄められた夜」は大きな拍手で称えられ,6月6日から続けられてきたチェンバーミュージック・ガーデンを締めくくりました

私は「サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン2015」を6月7日のミロ・クァルテットの「ベートーヴェン・サイクルⅠ」から聴き始め,6月21日の「フィナーレ・コンサート」まで合計11公演を聴き続けてきましたが,終わった今,長い旅の終わりを感じています また来年の『室内楽音楽祭』を楽しみにしたいと思っています

       

          

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ミロ・クアルテットでベートーヴェン「弦楽四重奏曲第14番、第16番、第13番第6楽章」を聴く

2015年06月22日 07時01分08秒 | 日記

22日(月)。娘は先々週も先週も出張だったのに,昨日からまた出張で大阪に出かけました.まだ前回の大阪出張のお土産が食べきれずに置いてあります ということで,わが家に来てから256日目を迎え,おねーちゃんの前回の大阪土産を吟味するモコタロです 

 

          

            おねーちゃんの大阪”おみや”だけど いったい何やねん?

 

  閑話休題  

 

昨夜9時半過ぎ,何気にテレビを点けたら,大好きなシューマンのピアノ協奏曲の第3楽章のメロディーが流れてきました それはEテレの「クラシック音楽館」という番組で,当ブログの読者Nさんからいただいたチケットで聴いた4月22日のNHK交響楽団第1807回定期演奏会のライブ録画でした(サントリーホール).フランスの若手ピアニスト,シャマユが軽快にアレグロ・ヴィバーチェを弾いていました それにしても,この曲は何回聴いても良い曲ですね

次に後半のプログラム,ブルックナーの交響曲第4番”ロマンティック”の演奏に入る訳ですが,指揮者のミヒャエル・ザンデルリンクがタクトを上げて曲を開始しようとした時,彼は迷惑そうに顔をしかめてタクトを一旦下ろし,最初からやり直しました 私は,ここで当日のことを思い出しました.あの時,会場のどこかでケータイの着信音が鳴ったのですその時の様子は4月23日のブログに書きましたので興味がある方はご覧ください

 

  も一度,閑話休題  

 

20日(土)午後2時から新日本フィルの定期演奏会を、午後7時からミロ・クアルテットの「ベートーヴェン・サイクルⅤ」を聴きました 昨日、新日本フィルの模様を書いたので、今日は「ミロ・クアルテット・ベートーヴェン・サイクルⅤ」の模様を描きます 弦楽四重奏曲全曲を一気に演奏するベートーヴェン・サイクルもこの日が最終日 プログラムはベートーヴェン①弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調、②同第16番ヘ長調、③同第13番変ロ長調から第6楽章「アレグロ」です

 

          

 

自席はRb2列6番,通し券だったので5回とも同じ席でした 会場は文字通り満席です.大きな拍手の中,ミロ・クァルテットの面々が登場します

1曲目の第14番嬰ハ短調・作品131は古今の弦楽四重奏曲の頂点にある曲だと言われています 7つの楽章から成りますが,切れ目はなく連続して演奏されます.この曲も他の弦楽四重奏曲と同じように”多様性”の魅力に溢れた曲です

第1楽章はフーガ形式による静かな音楽です.ワーグナーは「最も憂鬱な音楽」と表したそうですが,私には憂鬱というよりは思索にふけっているような音楽に聴こえます 第2楽章に入ると軽快なメロディーが流れ,救われるような気持ちになります 第3楽章は極めて短く第4楽章につなぎます.主題と変奏で変化に富んだ音楽が展開されます.続いて演奏される第5楽章は,アイロニカルでユーモアさえ感じさせる曲想のプレストです

そして第6楽章のアダージョに入りますが,ヴィオラが物悲しいカヴァティーナ風の旋律を歌い上げます そして最後の第7楽章の厳粛な気分の緊迫感漲るフィナーレを迎えます

休憩後は最初に第16番ヘ長調が演奏されます.この曲の最終楽章(第4楽章)に「ようやくついた決心」という副題が付けられており,「これでいいのか?」「そうでなければならぬのだ!」というテーマが中心動機になっているのですが,私はこの曲の第1楽章冒頭を聴いた時に「これでいいのか?」という言葉を思い浮かべました

この曲が長調であること(ヘ長調)から,明るい曲想が続くわけですが,「ベートーヴェンはなぜこんなに明るく振舞っていられるのか?」と思ってしまうほど開放感に満ちた音楽を書いています と言うのは,この曲を作曲した1826年には面倒を見ていた甥のカールがピストル自殺未遂事件を起こしているからです また彼自身も肺炎や黄疸の症状を抱えて健康的に不安を抱えていたからです ただ,その後カールはウィーンを離れ軍隊に入ることとなりベートーヴェンの元を離れることになったことから,ベートーヴェンも吹っ切れたのかも知れません

ベートーヴェン・サイクル最後の曲は第13番変ロ長調の第6楽章「アレグロ」です もともと第6楽章は「大フーガ」が置かれていましたが,初演のあと,大フーガの難度の高さと奇妙さについての噂が広まり,出版社が楽譜の売れ行きに不安を抱き,ベートーヴェンの友人たちに頼んで別のフィナーレを書くようベートーヴェンを説得したのです 「新しい作品には別途謝礼を支払う,大フーガは別途単独で出版する」という提案までしたとのことで,ベートーヴェンはこれを受け容れたのです

ミロ・クァルテットが再度登場,第6楽章「アレグロ」が開始されます.何と軽快で身軽な音楽なのでしょうか.長い旅から帰って重い荷物を肩から下ろしたような,安心した境地にあるベートーヴェンを思い浮かべ,私は涙さえ浮かべました.作品番号で言えば第16番作品135が最後ですが,実質的に最後の作品はこの第13番の第6楽章「アレグロ」なのです

ベートーヴェンは1824年(54歳)の時に第9交響曲を作曲して以降,弦楽四重奏曲だけを作曲,第12番から第16番と第13番第6楽章「アレグロ」の作曲に集中しました その最後の曲がこれほど軽く明るいことに驚くと同時に,ベートーヴェンはこれで良かったのかも知れないな,と思いました

 

          

 

演奏後,大きな拍手に応え,第1ヴァイオリンのダニエル・チンが英語で語ります

「今夜でわれわれのベートーヴェン・サイクルも終了します.今回,素晴らしいホールでベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲を演奏するという貴重な機会を与えてくださったサントリーホールにお礼を申し上げます われわれの演奏を聴くために会場にお越しいただいた皆さまにも感謝いたします

そして,ベートーヴェン自身も気に入っていたという弦楽四重奏曲第13番変ロ長調から第5楽章「カヴァティーナ」を穏やかに演奏しました 何という静けさを称えた音楽なのでしょうか 演奏が終わっても誰も拍手をしません.私の心は感動で満たされ,涙がこぼれそうになっていました.しばらく”しじま”があり,おもむろに4人の弦が下ろされた後,拍手とブラボーが彼らに押し寄せました 演奏者も感動の面持ちで,ヴィオラのラジェスは指で目頭を押さえています 私は心の中で彼らに叫んでいました「ありがとう!」 今回のミロ・クァルテットのベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲演奏会の中で最高の演奏でした

鳴り止まない拍手に,ヴィオラのラジェスが,

「オーケー(会場・笑).ベートーヴェン・サイクルはこれで終わりですが,サイクルは巡回します.アンコールも巡回して元に戻ります」と言って会場を沸かせ,弦楽四重奏曲第6番変ロ長調から第3楽章「スケルツォ」を明るく元気溌剌に演奏し,拍手喝さいを浴びました

チェンバーミュージック・ガーデンのベートーベン・サイクルを全曲通して聴いたのは今回が初めてでしたが,聴き終った今,自分が演奏した訳でもないのに充実感があります 来年のサイクルが楽しみです

 

          

 

6月1日(月)から昨日の21日(日)までの3週間は本当にシンドイ21日間でした 昨日の「チェンバーミュージックガーデン・フィナーレ」公演の模様は明日書くことにしますが,この間,18回のコンサートを聴き,そのうち12回はサントリーホール(大・小)に通いました きつかったのは3週連続で土曜日に2公演入っており,翌・日曜も公演があったことです 一言で言えばコンサート漬けで「休む暇がない」3週間でした.ただ聴くだけなら誰でも出来ますが,私の場合は翌朝にブログにアップするという”仕事”があるので,そちらの方がきつかったと言えるかも知れません.幸い今週は緩やかな日程なので,本来の仕事をこなしつつ,次のピークまで身体を休めたいと思います

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ストラヴィンスキー「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」を聴く~秋山和慶+新日本フィル

2015年06月21日 08時46分58秒 | 日記

21日(日)。わが家に来てから255日目を迎え,また”手違いの手”に遭遇するモコタロです。

 

          

            指が3本しかないし・・・・やっぱり手違いの手だな!?

 

  閑話休題  

 

昨日、午後2時からすみだトリフォニーホールで新日本フィルの第543回定期演奏会を、7時からサントリーホール”ブルーローズ”で「ミロ・クアルテット ベートーヴェン・サイクルⅤ」を聴きました 今日は新日本フィルの定期演奏会の模様を書きます

 

          

 

プログラムはオール・ストラヴィンスキー・バレエ音楽で、①火の鳥、②ペトル―シュカ、③春の祭典で、指揮は秋山和慶です 彼が新日本フィルを指揮するのを見るのは今回が初めてです

ステージ一杯に広がったフル・オーケストラのコンマスは豊嶋泰嗣,隣にはもう一人のコンマス・西江辰郎が控えます ロマンス・グレーの指揮者・秋山和慶が登場し,早速1曲目の「火の鳥」の演奏に入ります すると,1分も経たないうちに,自席の右側後方で「チリり―ン」というケータイの着信音が鳴りました すぐに切れたので大事には至りませんでしたが,もう絶滅したかと思っていたのに21世紀の今も生き残っているオオサンショウウオ的な非常識人種の生存に驚きを禁じ得ませんました

「火の鳥」は1909年冬から10年春にかけて作曲され,パリのオペラ座で初演されましたが,この曲は興行師セルゲイ・ディアギレフとバレエ・リュス(ロシア・バレエ)の打ち出すバーバリズム(原始主義)の出発点となりました 台本はロシア民謡に基づく伝説で,魔王に捕らわれた王女と,彼女に恋した王子の危機を,伝説の火の鳥が救うという物語です

秋山和慶は鋭い切り込みで,見事な指揮捌きを見せますが,個人的には「秋山和慶=東京交響楽団」というイメージが固定していて,指揮を見ていると違和感を感じてしまうのです なにせ秋山氏は1964年以来40年にわたり東京交響楽団の音楽監督・常任指揮者を務めてきたのですから

彼は昨年(2014年)に指揮者生活50年を迎えた大ベテランですが,指揮を見ていると,素人が見ても分かり易い指揮ぶりで,楽団員も演奏しやすいのではないかと想像できます

ピアノが指揮台の正面に据えられ,ピアニスト・三輪郁を迎え,2曲目の「ペトルーシュカ」が始まります 曲は「復活祭の市場」「ペトルーシュカ」「ムーア人」「復活祭の市場とペトルーシュカの死」の4つのシーンから成ります 全体の曲想としてはほとんどピアノ協奏曲のような感じです

曲の冒頭,フルートを中心に復活祭で賑わう市場の様子が色彩感豊かに表現されます.曲の中では,フルートの白尾彰,オーボエの古部賢一,ファゴットの河村幹子といった首席クラスの演奏が冴えに冴えわたっています 川瀬達也のティンパ二の連打が効果的です

 

          

 

さて休憩後を飾るのは「春の祭典」です.それまでもフル・オーケストラだったのですが,さらに拡大し100人を軽く超えています この曲が1913年5月29日にパリのシャンゼリゼ劇場でピエール・モントゥーの指揮で初演された際には,賞賛派と反発派が入り乱れ大混乱に陥ったと伝えられています 今でこそ”古典音楽”として人々は違和感なく受け入れていますが,当時その会場に居合わせていたらどういう反応を示していたでしょうか・・・聴衆の多くはいつでも保守的なものです

われわれが学生時代に音楽の授業で習った「音楽の3要素」は「リズム」「メロディー」「ハーモニー」でしたが,ストラヴィンスキーの「春の祭典」は「リズム」をしつこいまでに反復し,それをどこまでも強く”主張する”音楽です ドビュッシーは「現代的快適さをすべて備えた野生の音楽」と表したそうですが,まったくその通りです

冒頭はファゴットによって神秘的なメロディーが奏でられますが,首席ファゴット奏者・河村幹子の演奏は忘れられません アイ・ハブ・ネバー・ファゴットン

あらためて秋山和慶の指揮を見ると,「これが齋藤秀雄の下で指揮法を修めた,いわば”齋藤メソッド”による指揮法なのだな」と思います 素人目にも非常に分かり易い指揮で,一切無駄な動きがありません.最小限の動きで楽譜に書かれている作曲者の意図を的確に演奏者に伝えます

この日の前半は大管弦楽によるリズム中心の曲を3曲聴き,全身に音のシャワーを浴びて気分がスッキリしました この後,錦糸町を後に,地下鉄で六本木1丁目に向かいました サントリーホール”ブルー・ローズ”でのミロ・クァルテットによる「ベートーヴェン・サイクルⅤ」の模様は明日書くことにします

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