31日(土)。月日の流れは速いもので8月も今日で終わり。まだ暑さは相変わらずですが、暦の上ではとっくに秋です。油断していると9月もあっという間に過ぎ去ってしまいます
閑話休題
一昨日に続き、昨夕、東京オペラシティコンサートホールでアジアユースオーケストラ(AYO)東京公演を聴きました プログラムは①ブラームス「交響曲第3番ヘ長調」、②ハイドン「チェロ協奏曲ハ長調」、③ベートーヴェン「交響曲第5番ハ短調」で、指揮はAYO芸術監督リチャード・パンチェス、②のチェロ独奏はスティーヴン・イッサ―リスです
アジアユースオーケストラ(AYO)については昨日のブログで書きましたので省略しますが、アジア各国から選抜された若い演奏家たちによる夏季限定の臨時編成オーケストラです
自席は1階19列10番、左ブロック右通路側です。会場は前日とほぼ同じ7割位の入りです 前日と同様、パンチェスがマイクを持って登場 挨拶をしましたが、その中で「在日韓国大使が会場に見えることになっているが、光栄である」旨の発言、挨拶が続く中、それらしき人物が数人のSPに囲まれて入場し、会場の中央VIP席に着席しました。舞台上の演奏者の中に韓国出身者は一人しかいません(首席チェロの女性)が、自国の演奏者の人数の問題ではないのでしょう。文化度の高さを感じます
パンチェスが一旦舞台袖に退場し、オケのメンバーが登場します この日のコンマスは女性(香港出身)です。ショートカットの髪型でボーイッシュです
パンチェスがタクトを持たずに登場、1曲目のブラームス「交響曲第3番ヘ長調」が開始されます フル・オーケストラでブラームスに対峙しましたが、全体を通して、この曲を演奏するにはちょっと人生経験が浅いかな、と思いました 背伸びしてブラームスに近づこうとする気配を感じます。むしろベートーヴェンの方が合っているのではないか、と思いました
2曲目はハイドンの「チェロ協奏曲ハ長調」です。イッサーリスが颯爽と登場します オケは35~36名程度まで縮小し、こじんまりとした態勢を採ります。イッサーリスは明るく、楽しく、伸び伸びと演奏します 顔の表情で曲を楽しんでいることが分かります。オケも1曲目のブラームスと違い、肩の力を抜いてリラックスして演奏を楽しんでいるように見えます イッサーリスは前日のドヴォルザークのチェロ協奏曲の時と違い、目をしっかり開けて中空を見上げながら演奏します。曲想に合わせています。鮮やかな演奏です
鳴り止まない拍手に、ピチカートによる楽しげな曲を演奏し、拍手喝さいを浴びます 弦楽器の面々も弓を掲げて喝さいします。後でその曲はカバレフスキーの「ダンス」であることが判ります それでも鳴り止まない拍手に、ピチカートだけによる曲を演奏しました。これは掲示にChonguri by tsiutsadseとありました イッサーリスは、チェロの首を持ってお辞儀をさせ、聴衆に「これで終わり」と合図を送りましたが、それでは収まらず、ついに3曲目のアンコールとして前日に演奏したカタロニア民謡「鳥の歌」を静かに演奏しました 舞台上の若き演奏者たちも真剣な表情で演奏に聴き入っていました
最後はベートーヴェン「交響曲第5番ハ短調”運命”」です。若き演奏家たちが登場する中、拍手が一段と大きくなったと思ったら、何とイッサーリスがチェロ・セクションの一番後方席にスタンバイしました こんなことは滅多にないでしょう。オケは冒頭から集中力に満ちた演奏を展開します。やはり、このオケにはブラームスよりもベートーヴェンが合っているように思います 力強く、自信に満ちて、堂々と演奏を展開します フィナーレが終わると会場一杯の拍手 とブラボーが押し寄せます
パンチェスは一旦引っ込んで、マイクを持って再度登場、前日と同様、国別にオケのメンバーを紹介しました
中国 19人
韓国 1人
日本 14人
同じ音楽を演奏することにおいては尖閣列島問題も、竹島問題も存在しません。それが文化です
最後にパンチェスが英語で、今年の夏季限定臨時編成オーケストラAYOのオーディションからアジア各国を回るコンサートツアー最終日までの経緯を説明、「この演奏会が最後で、オケのメンバーはそれぞれの国に帰っていく。最後に1曲演奏して今回のツアーを締めくくりたい」とあいさつし、エルガーの「エニグマ変奏曲」から『ニムロッド』を静かに、感動的に演奏しました
パンチェス、そして演奏を終えた若き演奏家たちの目には涙が見えました。若き演奏家の皆さん、2日間の素晴らしい演奏をありがとう 私たちはあなたたちを忘れない また来年も日本に来て演奏を楽しませてください。待っています