人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ローレル+エーベルレ+読響でオール・メンデルスゾーン・プログラムを聴く~サマーミューザ

2015年07月31日 07時02分07秒 | 日記

31日(金)。早いもので,今日で7月も終わりです.わが家に来てから294日目を迎え,シューマンのピアノ協奏曲のCDを押さえるモコタロです 

 

          

           アルゲリッチのピアノでチョン・ミュンフンの指揮 これいいぜ!

 

  閑話休題  

 

昨日午後3時からミューザ川崎で読売日本交響楽団のコンサートを、次いで午後7時からサントリーホールでKissポートクラシックコンサートを聴きました。今日は、読売日響のコンサートの模様を書きます

これは「フェスタ・サマーミューザ2015」の一環として開かれたコンサートです.オール・メンデルスゾーン・プログラムで①付随音楽「真夏の夜の夢」序曲、②ヴァイオリン協奏曲ホ短調、③交響曲第4番”イタリア”が、②のヴァイオリン独奏=ヴェロ二カ・エーベルレ、指揮=ジェレミー・ローレルによって演奏されました

 

          

 

演奏に先立って午後2時20分から読響メンバーによってプレ・コンサートが開かれました 8人の弦楽奏者が登場します.首席ヴィオラの柳瀬省太がマイクを持って演奏曲目を紹介します

「今日の本公演のプログラムはオール・メンデルスゾーンですが,プレ・コンサートもメンデルスゾーンです 『弦楽八重奏曲』を演奏しますが,全曲を演奏する時間はありませんので,第1楽章を演奏します

そして演奏者を紹介します.ヴァイオリン=ダニエル・ゲーデ(コンマス),對馬哲男,肥田与幸,太田博子,ヴィオラ=柳瀬省太.渡邉千春,チェロ=唐沢安岐奈,室野良史という面々です

ダニエル・ゲーデのリードで若き日のメンデルスゾーンの傑作が演奏されます 私はメンデルスゾーンが大好きですが,中でもこの『弦楽八重奏曲』が一番好きです 聴いているとウキウキワクワクしてきます.素晴らしいアンサンブルでした

 

          

 

さて,本番です.自席は1階C10列30番,センターブロック右から2つ入った席です 会場はウィークデーの昼間ということもあり6割程度の入りでしょうか.オケのメンバーが登場します.いつも思うのは,読響は男性比率が高いオケだなあ,ということです 男性対女性の割合は3:1ぐらいだと思います.弦楽器で言えば音が低くなるほど,つまり楽器が大きくなるほど女性が少なくなります

ジェレミー・ローレルが登場します.想像していたより若い指揮者です パリ国立音楽院を卒業し,マルコ・ミンコフスキとウィリアム・クリスティという古楽界の先輩のアシスタントを務め,自らピリオド楽器(古楽器)による音楽集団を設立して演奏活動を続けているとのことです そんなこともあって,メンデルスゾーンをいったいどういうアプローチで演奏するのか,興味を持っていました

最初はメンデルスゾーンが17歳のときに,シェイクスピアの戯曲を題材にして作曲した「真夏の夜の夢」序曲です 演奏は極めてオーソドックスです

2曲目は,1988年ドイツ生まれ(27歳)のヴェロ二カ・エーベルレをソリストに迎え,ヴァイオリン協奏曲ホ短調が演奏されます 演奏する彼女を見ていたらアメリカのヴァイオリニスト,ヒラリー・ハーンを思い出しました.雰囲気がちょっと似ています 起伏の大きな演奏で思いを込めて演奏しているのが分かります ストラディヴァリウス”ドラゴネッティ”の美しい音色が会場の隅々まで響き渡ります

鳴り止まない拍手に,エーベルレはバッハの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番」から「アダージョ」をニュアンス豊かに弾きました

それにしても,いつも思うのは,どうしてヴァイオリン協奏曲というとメンコンかチャイコンかべトコンかブラコンになってしまうんだろうか,ということです 今年はシベリウス生誕150年という記念すべき年なので,これにシベコンが加わりますが,いずれにしても,あまりにも限られた曲だけが頻繁に演奏され過ぎるように思います もちろん,これらの曲はどれもが『名曲』の名に恥じない素晴らしい曲ですが,あまりにも偏り過ぎていないか,と思うのです

さて,休憩後は交響曲第4番”イタリア”」です.この曲はメンデルスゾーンがイタリアを旅行した時の印象を音楽にした作品です 恥ずかしい話ですが,私はクラシック音楽を聴き始めた頃,メンデルスゾーン=イタリア交響曲のイメージが強く,メンデルスゾーン=イタリア人だと本気で思っていたのです ユダヤ人でドイツの作曲家であることを知ったのはずっと後のことでした

ローレルが指揮台に上がり,まさに演奏を開始しようとしている時,私の左後方で,高齢の男性がまだしゃべっています すると,近くの男性が「おじさん,始まるよ」と大きな声で注意し,黙らせました.その人も高齢男性でした.指揮者は後ろ向きなので,指揮権を発動してチョークを投げつけることは出来ません.もし,その高齢男性が「ジイさん,始まるよ」と言っていたら,あとで喧嘩になっていたかも知れません.注意されたおじいさんにレッド・カードを,注意にあたって「おじさん」に留めたおじいさんに川崎の商店街のポイント・カードを差し上げたいと思います

さて,指揮者ローレルが古楽器集団を率いて活躍していることから,演奏スタイルは古楽器奏法でも取り入れるのかと思っていましたが,まったく予想外で,極めてオーソドックスな指揮ぶりでした 読響独特のどっしりしたドイツ的とでも言うべき重心の低い演奏スタイルを生かすような指揮ぶりだったと言えば良いでしょうか

このコンサートは大好きなメンデルスゾーンばかり4曲も聴くことができて,とても幸せでした 

コンサート終了後,ヤフーの乗り換え案内でサントリーホールへの最短所要時間を調べ,川崎から東海道線で新橋に出て,地下鉄銀座線に乗り換え溜池山王に向かいました 軽く夕食を取って,午後7時から開かれた「Kissポートクラシックコンサート」を聴きました.その模様は明日のブログで書くことにします

 

          

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

尾高忠明+東京フィルでチャイコフスキー「交響曲第5番」を聴く~フェスタサマーミューザ

2015年07月30日 07時01分23秒 | 日記

30日(木)。わが家に来てから293日目を迎え,ぽち袋をもらって戸惑うモコタロです 

 

          

          ぽち袋もらった 何が入っているのかな? 僕たちの生活費?

 

  閑話休題  

 

昨夕、ミューザ川崎で東京フィルのコンサートを聴きました これは「フェスタ・サマーミューザ」の一環として開かれたコンサートで、プログラムは①武満徹「波の盆」、②グリエール「ホルン協奏曲」、③チャイコフスキー「交響曲第5番」。②のホルン独奏はイェンス・ブリュッカー、指揮は尾高忠明です

 

          

 

午後7時からの開演に先立って,午後3時半から同じ会場で公開リハーサルがあったので見学しました そうです.休暇を取りました.それが何か?

ゲネプロは自由席なので,2階右ブロック左通路側席に座りました ウィークデーの昼間ということもあり,聴衆は100人を少し超えるくらいでしょうか.ステージ上ではすでにオケの面々が各自のパートの練習にいそしんでいます ラフな服装はゲネプロならでは.指揮者・尾高忠明氏が登場します.黒のTシャツ+スニーカーという,1円玉のような・・・・つまり,これ以上崩しようのないラフなスタイルです さっそく「おはようございます」の挨拶もそこそこにタクトを振ります.Tシャツの背中を見ると,舟の上で釣り人が釣り糸を垂れている絵が描かれているのが見えます 尾高氏は釣りの趣味があるのでしょうか

演奏曲目順にリハーサルが行われます.最初の武満徹「波の盆」は,演奏しては止めてアドヴァイスをするということを繰り返します 短く切られた音楽を通しても美しさが際立ちます この曲には25分弱の時間を割きました.次に北ドイツ放送交響楽団のホルン奏者プリュッカーを迎えグリエール「ホルン協奏曲変ロ長調」のリハーサルに移ります.大柄なブリュッカーはそれだけで存在感があります この曲は途中で止めることなく全楽章を通して演奏し,最後にソリストの気になる部分をおさらいして終了です.この曲にも25分弱の時間を割きました

10分間の休憩後,チャイコフスキー「交響曲第5番」のリハーサルに入ります.尾高氏が再登場,背中を向けた時に「おやっ?」と思いました 黒のTシャツは変わらないのですが,「舟に釣り人」の絵ではなく,漢字で大きく「無釣人」と書かれているのです 尾高忠明という人はこういうユーモア精神に溢れた人ですが,”釣り”に引っかけてTシャツの図柄を変えて,聴衆の心を一本釣りしようとしたのかも知れません

チャイコフスキーの第5番は,あまり途中で止めることなくひと通りおさらいし,弦楽器の演奏部分を何か所かやり直しして終了しました.この曲には約50分かけました

 

          

 

さて本番です.自席は1C10列14番,センターブロック左通路側席です.会場は8割方埋まっている感じでしょうか コンマスの依田真宣の合図でチューニングが行われ,尾高氏が登場,さっそく1曲目の武満徹「波の盆」の演奏に入ります この曲はもともと1983年に放映されたテレビドラマのテーマ曲ですが,作曲者自身が1996年に演奏会用の組曲として編曲したものです

聴いていて思うのは,イギリスの作曲家,例えばディーリアスやヴォーン・ウィリアムスに曲想が似ているということです 一言で言えば”郷愁を誘う”音楽です.武満徹がイギリスの作曲家から影響を受けたかどうか不勉強で知りませんが,耳に訴えかけてくる音楽は良く似ています

2曲目のロシアの作曲家・グりエールの「ホルン協奏曲変ロ長調」は1951年に初演されましたが,3つの楽章から成ります 1951年と言えば現代の音楽と言えますが,聴く限りではシェーンベルクやベルクなどに代表される”聴いていて頭が頭痛になる”音楽ではなく,ちゃんとメロディーのある聴きやすい曲です ただ,ゲネプロと本番と2回聴いて思ったのは,「演奏者にとっては楽しい曲かも知れないけれど,聴く側からすれば3回以上は聴く気がしない作品」だということです.後半に聴くチャイコフスキーの交響曲のように,現代に至るまで演奏され続けている『名曲』は聴けば聴くほど新たな発見があり,その良さが一層分かってきますが,単に”聴き易いだけ”の曲は聴けば聴くほど飽きがきます

休憩後はチャイコフスキーの交響曲第5番です.第1楽章では冒頭の”運命的な暗いメロディー”が全体を覆い,いつまでも立ち上がれない状況に追い込まれていますが,第2楽章,第3楽章を経て,第4楽章に至ると,その同じメロディーが”勝利のテーマ”として生まれ変わって登場するのです ベートーヴェンの”苦悩を乗り越えての歓喜”というテーマが,チャイコフスキーのこの曲で再現されているかのようです

東京フィルの面々は,尾高の煽り立てる指揮によく付いていき,見事なアンサンブルを聴かせてくれました 何度かカーテン・コールがありましたが,尾高は拍手を制し,何かを言おうとします.聴衆は「おっ,アンコール曲の説明が始まるのか!?」,あるいは「炎のコバケンのように最後に一言あるのか!?」と期待して耳を傾けます が,尾高は「精根尽き果てて,アンコールはございません」と言って舞台袖に引き上げました

ここにきて初めて私は,ゲネプロで尾高氏が着ていたTシャツに描かれていた「無釣人」の意味を理解しました 尾高氏はアンコールなしで舞台を去る「つれない人」だったのではないか,と

 

          

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バッハ「ミサ曲ロ短調」を聴く~バッハ・コレギウム・ジャパン「サントリー音楽賞受賞記念演奏会」

2015年07月29日 07時01分08秒 | 日記

29日(水)。わが家に来てから292日目を迎え,サントリーホールの9月~10月のカレンダーを調べているモコタロです 

 

         

           ウィーン・フィルがまた来るんだね ご主人は行かないけど

 

  閑話休題  

 

昨夕、サントリーホールでバッハ・コレギウム・ジャパン(B.C.J)の「第45回サントリー音楽賞受賞記念コンサート」を聴きました 演奏曲目はJ.S.バッハ「ミサ曲ロ短調BWV232」です

 

          

 

自席は1階13列26番,センターブロック右から2つ入った席です.会場はB.C.J定期会員をはじめとして9割方埋まっている感じです 定期演奏会は東京オペラシティコンサートホールですが,今回の記念公演はより大きなサントリーホール ステージの左右,1階席センター後方,2階席左右にはテレビカメラが構えています このような大げさな態勢はNHKしか考えられません.いつか放映するのでしょう

 

          

 

拍手の中,オケのメンバーが入場します 向かって左サイドは,後方にトランペット3本,ティンパ二,前にヴァイオリンとヴィオラが配置され,中央にチェンバロ,その前にフラウト・トラヴェルソが構え,向かって右サイドに通奏低音(チェロ,ヴィオローネ,オルガン),オーボエ,ファゴットが配置されています

合唱団が入場すると一段と大きな拍手が起こります.世界に誇るB.C.Jの合唱団です 合唱団にはソリストが混じっています.ソプラノ1=ハンナ・モリソン,ソプラノ2=レイチェル・二コルズ,アルト=ロビン・ブレイズ,テノール=櫻田亮,バス=ドミニク・ヴェルナーです.最後に鈴木雅明氏が登場するとさらに大きな拍手が起こります

さてバッハの「ミサ曲ロ短調」は,完成された最後の作品ですが,作曲と言うよりは,むしろ過去の書かれた作品を寄せ集め,中には元曲の歌詞を変えるなどして改作した”パロディ”が多く含まれていると言われています しかし,プログラム・ノートに佐藤望さんが書いているように「ただひたすら苦悩し困難のなかを進み,自らの限界に何度も鞭打たれる.『ミサ曲ロ短調』を完成するという仕事は,バッハにとってそのような仕事であった」ようです 彼は晩年,視力障害を伴う重い病を抱えており,それが原因で失明して死に至ったわけですが,そうした困難な状況の中で最後の力を振り絞って『ミサ曲ハ短調』を作曲したのです

第1部:ミサ(キリエ・グロリア),第2部:ニケーア信経(クレド),第3部:サンクトゥス,第4部:オザンナ,ベネディクトゥス,アニュス・ディとドナ・ノビス・パーチェムの4部構成になっています 演奏は,第1部と第2部の間に休憩を取ります

第1部の冒頭,合唱が「キリエ」と歌い出します.緊張感に満ち,力強く,そして透明な歌声です B.C.Jの合唱の大きな特徴は”透明性”でしょう.そして,ドイツの批評家たちが驚いたという正確なドイツ語の発音です

ソリスト陣は全員絶好調と言っても良いでしょう 今回特に感心したのはテノールの櫻田亮です.かなり安定度が増したように思います 器楽では,いつものようにフラウト・トラヴェルソの菅きよみ,前田りり子,オーボエの三宮正満,ファゴットの堂阪清高,弦楽器ではコンマスの若松夏美,チェロの武澤秀平あたりが見事な演奏で存在感を高めていました

さて,この曲ではトランペットが活躍する場面が何か所かありますが,どんな格好をして吹いていると思いますか?例えば,その昔銭湯に行った時のことを思い出してみてください 湯上りに,両足を開いて,左手を腰に当て,右手にコーヒー牛乳を持って一気飲みするオジサンがいませんでしたか?ちょうどそんな感じです.ちょっと違うのは右足を前に出して,左手を腰に当て,右手でトランペットを掲げて一気に吹くのです それはそれは格好良いのです

最後の四部合唱「われらに 平安を 与えたまえ」は感動的です 私は「マタイ受難曲」にしても「ヨハネ受難曲」にしても,この「ミサ曲ロ短調」にしても,バッハの大規模な宗教曲を聴く時は,「バッハの旅」に出るような気持ちになります 最後の音楽が鳴り終ると「ああ,長い旅が終わったんだなあ」と感慨深いものがあります

B.C.Jの演奏を聴くたびに思うのは,世界に通用する数少ない音楽集団だということです

 

          

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

伊坂幸太郎著「ジャイロスコープ」を読む~もしもあの時・・・していれば

2015年07月28日 07時01分04秒 | 日記

28日(火).わが家に来てから291日目を迎え,電卓を食べようとしているモコタロです 

 

          

          人生 計算通りにはいかないもんだ・・・ン?兔に”人生”はないか 

 

  閑話休題  

 

昨日のブログでパーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団のチケットが取れなかったと書きましたが、ゆえさんのアドヴァイスで取れました 昨日の朝、ゆえさんからメールが入り、WEB上で10月23、24日のN響定期公演のチケットの空席状況を調べたら、まだ残席があるということでした 私はN響のWEB会員ではないので、早速会員登録して24日(土)の空席状況を調べたら、わずかに空席があったので、かろうじてB席(2階右サイド)を予約しました すっかり諦めていただけに嬉しさ100倍です。ゆえさんに感謝感激雨あられです プログラムは①トゥール「アディトゥス」、②ショスタコーヴィチ「ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調」、③バルトーク「管弦楽のための協奏曲」で、②のヴァイオリン独奏は五嶋みどりです 

 

          

          

          

  閑話休題  

 

伊坂幸太郎著「ジャイロスコープ」(新潮文庫)を読み終わりました 伊坂幸太郎の本はこのブログで何冊かご紹介してきたので,もうお馴染みですね.1971年千葉県生まれ.95年東北大学法学部卒業.2000年に「オーデュボンの祈り」で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し,デビューしています

 

          

 

この作品は「浜田青年ホントスカ」,「ギア」,「二月下旬から三月上旬」,「if」,「一人では無理がある」,「彗星さんたち」,「後ろの声がうるさい」の7つの短編から成ります

「浜田青年ホントスカ」は,スーパーの駐車場で”相談屋”を営む稲垣さんのアシスタントとして働くことになった浜田青年ですが,ある日,その稲垣さんが相談にやってきて驚くべき事実を語ります それ,ホントスカと言いたくなるような打ち明け話の行方はいかに,という話です

「if」は,通勤バスに乗ろうとするとき,困っているお年寄りを見かけたが,バスに乗り遅れるので声を掛けるのを止めた.そしたら,バス・ジャックに遭ってしまった.もし,あの時バスに乗っていなかったらバス・ジャックに遭うことはなかっただろう,という誰にでもありそうな話です

「彗星さんたち」は,テレビでも取り上げられた「7分間の奇跡」で有名な新幹線清掃の会社をモデルにして,女性を主人公として書いた物語です 伊坂氏はこの作品を書くためにその会社に取材に行ったり,新幹線清掃の本『新幹線お掃除の天使たち』を読んだそうですが,「清掃の中でのドラマが感動的なんですよ」と巻末のインタビューで語っています.事実は小説よりも感動的といったところでしょうか

どれもが伊坂幸太郎らしい洒脱な会話ととぼけた味わいのある文体で読者を引き込みます.手軽に読める短編集としてお薦めします

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

上岡敏之+読響メンバーでモーツアルトとブラームスの室内楽を聴く~読響アンサンブル

2015年07月27日 07時01分05秒 | 日記

27日(月)。昨日はN響の秋季シーズンの1回券の発売日でした.以前から会員になろうかと迷っていましたが,狙いはパーヴォ・ヤルヴィのN響首席指揮者就任記念公演のみなので単発で買うことにしました 10月24日(土)午後3時からのCプログラムを神保町のチケットぴあに行って申し込んだのですが,「すべてのランクで,ぴあでの扱いが終了しました」と冷たくあしらわれてしまいました ショスタコービチの「ヴァイオリン協奏曲」を五嶋みどりが弾き,メーンがバルトークの「管弦楽のための協奏曲」とあれば即日完売はある程度予測できたことです それにしてもヤルヴィはすごい人気です.ということで,わが家に来てから290日目を迎え見慣れない胸像に出逢って戸惑うモコタロです 

 

          

           君だれよ? なに モーツアルトだって? ほんまかいね

 

  閑話休題  

 

昨日、よみうり大手町ホールで「読響アンサンブル・シリーズ」第6回公演を聴きました プログラムは①モーツアルト「ピアノ四重奏曲第1番ト短調K.478」、②ブラームス「ピアノ五重奏曲ヘ短調」で,ピアノは指揮者の上岡敏之が弾きます

開演30分前からプレトークがあり,読売新聞編集委員の鈴木美潮さんのインタビューに上岡氏が応える形で進められました 「モーツアルトってどんな人だったと思いますか?」との問いには,「面白い人だったと思います.この人と飲んだら楽しいだろうなと」と答えていました.一方,「ブラームスはどんな人だったと思いますか?」という問いには,「とっつきにくい人ですが,入って行くと良い人かも知れません.しかし,一緒に飲んだらずっと愚痴を聞かされるかも知れません」と答えていました

その後はピアノの前に座ってインタビューを受けました.1曲目のモーツアルトのピアノ四重奏曲第1番がト短調であることから,同じ調性の交響曲第25番の冒頭をピアノで弾き,次々とモーツアルトの短調の曲を演奏し解説しました 続いてブラームスのピアノ五重奏曲の各楽章のサビの部分をピアノで弾いて解説を加えました.これらすべてを暗譜で弾いていたのには驚きました

 

          

 

さて本番です.1曲目のモーツアルト「ピアノ四重奏曲第1番」は,ヴァイオリン=山田友子,ヴィオラ=長岡晶子,チェロ=松葉春樹,そしてピアノ=上岡敏之によって演奏されます

モーツアルトのピアノ四重奏曲は2曲ありますが,歴史に残る中では史上初のピアノ四重奏曲と言われています 1785年10月16日に完成していますから,モーツアルトが29歳の時の作品です 短調特有の悲壮感の漂う曲想から始まります.指揮者である上岡は相当ピアノの演奏に熟達している様子で,しかも,専門外であることから返ってリラックスして弾いているように見受けられました 彼がヴッパ―ダール市立歌劇場管弦楽団を引き連れて来日公演をした時に,彼の指揮姿を見たことがありますが,常にリラックスしている姿が印象に残っています 3人の弦楽奏者も素晴らしいアンサンブルを奏でています 第3楽章の終盤でピアノが不安定になる場面がありましたが,何とかクリアして拍手喝さいを浴びました

 

          

 

休憩後はブラームスの「ピアノ五重奏曲ヘ短調」です この曲にはいわく因縁があり,最初は「弦楽五重奏曲」として構想されましたが,敬愛するクララ・シューマンなどの批判によって「2台のピアノのためのソナタ」に編曲されました これも同様の批判を受けて,結局ピアノ五重奏曲として完成したのです 解説によると,ピアノ・パートは「音が異様なほどビッシリ書き込まれているので,演奏至難な点では間違いなくこの曲が随一」ということなので,楽譜は音符で真っ黒け.ピアニストとしての上岡敏之は苦労の連続ではないかと推測します

第1ヴァイオリンに赤池瑞枝が加わり,態勢を整えます.この曲は第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」と第3楽章「スケルツォ」がとても印象的で素晴らしい音楽なのですが,今回,読響メンバーによる演奏を聴いていて,第2楽章「アンダンテ,ウン・ポコ・アダージョ」がこんなにニュアンスに富んだ良い曲だったのか,と再認識しました 間違いなく演奏が優れていたからこそ気が付いたことです そして第4楽章のフィナールの見事さ.上岡のピアノも絶好調です

私はこれまで何度かブラームスのピアノ五重奏曲を生演奏で聴いてきましたが,今回のアンサンブルによる演奏がベストと言っても良いでしょう

5人はアンコールにモーツアルトのピアノ五重奏曲を演奏しましたが,「待てよ,モーツアルトは確かにピアノ五重奏曲を作曲したけれど,ピアノと弦楽の合奏ではないのでは???」と首をかしげながら耳を傾けていました 後でロビーの掲示を見ると「アンコール曲=モーツアルト作曲『ピアノと管楽器のための五重奏曲』(弦楽四重奏版)から第3楽章」と書かれていました.つまり『ピアノ,クラリネット,オーボエ,ホルン,ファゴットのための五重奏曲K.452』の第3楽章「ロンド」でした

今回のアンサンブル・シリーズはピアニストとしての上岡敏之と,読響の弦楽トップ奏者の確かな実力を垣間見ることが出来た貴重な機会でした

 

          

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

飯森+東響でマーラー「交響曲第1番」を聴く~フェスタサマーミューザ・オープニングコンサート

2015年07月26日 09時02分42秒 | 日記

26日(日)。昨日の朝のことです.8時半頃起き出してきた娘が騒いでいます

「あ~,今日キャンプに行くんだった 忘れてた~ 2週間後だと思ってた~

「え~

「ねえ,まな板借りてっていい?」

「いいけど,どこ行くの?」

「奥多摩だよ」

「ああ,奥多摩は魔女の?」

「それは奥様は魔女,でしょ」

「ああ,そうか.それでいつ帰ってくるの?」

「日曜の夜だよ」

どうやら高校時代の友人と車で奥多摩にキャンプに行くことになっていたようです それにしても,普通,約束した日を2週間も間違えることありませんよね まな板とともに送り出しましたが,まさか父親のブログで,自分がまな板の鯉になっているとは思ってもいないでしょうね ということで,わが家に来てから289日目を迎え,ご主人が聴きに行ってきた「フェスタ・サマーミューザ」のコンサート・プログラムをかじるモコタロです 

 

          

            うん,噛める 確かに純金に間違いないですな・・・ン?

 

  閑話休題  

 

今年も暑くて熱い「フェスタ・サマーミューザ」が始まりました 7月下旬から8月上旬にかけて毎年川崎に通っていますが,今年も熱い夏になりそうです.昨日も朝から暑い一日になりました

 

          

 

という訳で,昨日ミューザ川崎で「フェスタ・サマーミューザ」のオープニング・コンサートを聴きました プログラムは①ショパン「ピアノ協奏曲第1番ホ短調」、②マーラー「交響曲第1番ニ長調”巨人”」で、①のピアノ独奏は横山幸雄、指揮は飯森範親、オケは東京交響楽団です

 

          

 

午後3時からの開演に先立って,午前11時半から同じ会場で公開リハーサルが開かれました 自由席だったので2階のセンターブロック左通路側席に座りました.リハーサルでも相当の数の聴衆が集まっています 最初に事務局からリハーサルの概要と注意事項の説明があり,指揮の飯森,ピアノの横山の両氏が登場,さっそく演奏に入りました 楽員はラフな普段着姿で,リラックスして臨んでいるようです.意外だったのは赤系統の衣装を着た人が2人しかいなかったことです.ほとんど地味で落ち着いた色調の衣装を身に付けています

ショパンのピアノ協奏曲は第1楽章から第3楽章まで,途中で音楽を止めることなく通して演奏しました その後で,横山氏の気にかかる部分を再度おさらいして45分で終了しました

15分の休憩を取った後,後半のマーラー「交響曲第1番」のリハーサルに入りました 冒頭,指揮の飯森氏が会場に向かって「短く切って演奏します.えっ,それしか演奏しないの?と思われるかも知れませんが,お許しください」と説明して演奏に入りました.飯森氏の言われた通り,演奏しては止め,次の個所に移るといった方法で,15分ほどリハーサルをして終了しました あっけないマーラーのリハでした

開演時間の3時まで2時間以上あるので,駅の反対側に出てコーヒーショップに入り本を読んで過ごしました

 

          

 

さて本番です.自席は1C10列15番,センターブロック左から2つ入った席です.会場はほぼ満席です ステージに登場する東響のメンバーはいつもの通り男女とも黒の衣装ですが,男性はいつもの蝶ネクタイではなく,各自が普段着用しているネクタイをしています

オケは左奥にコントラバス,前に左から第1ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,第2ヴァイオリンという対向配置をとります 横山幸雄がグレーのシャツの上にホワイトのベストを身に付けて登場します.なかなかオシャレです こういうのをベスト・ドレッサーと言うのでしょうか 飯森の合図で第1楽章が始まりますが,横山は「おちゃのこさいさい」といった感じで,何の苦も無く滑らかに演奏します ショパンのピアノ・ソロ全212曲を一挙に演奏してギネス記録を作った横山のことですから,ノー・プロブレムなのでしょう 素晴らしかったのは第2楽章でファゴットの伴奏に乗せてピアノがソロを奏でるところです ファゴットの福士マリ子の演奏は地道ながら完璧にピアノをフォローし引き立てていました 終演後,大きな拍手のに応えて,横山は福士を立たせるよう飯森にアドヴァイスし,福士はその場で立って大きな拍手を受けました 前日に東京ニューシティ管弦楽団で同じ曲を聴いたわけですが,どうしても比較してしまいます やはり,東響の方が弦も管も実力は上で,個々人の力量が勝っていると思います

 

          

 

15分の休憩後はマーラーの交響曲第1番です.第1楽章を聴いていると,途中で舞台裏からトランペットの音色が聴こえてきて,会場の楽器とやり取りします マーラーの交響曲ではよく見かけるシーンですが,あれは,パイプオルガンの左下に設置されたスタンドの上に監視カメラが取り付けられており,舞台裏の演奏者は,そのモニター画面を見て演奏しているのです トりフォニーホールと違い,今回のは形が明らかにカメラと分かる代物でした

弦も管も相当力の入る演奏なので,第2楽章が終わったところでチューニングを挟みます 第3楽章は管楽器が活躍しますが,とくにオーボエの荒絵理子,ファゴットの福士マリ子の演奏が際立っていました 第4楽章のフィナーレで飯森は,ホルン8,トランペット1,トロンボーン1を立たせて演奏させます.これはマーラーの指示によるものだと思いますが,圧巻です

マーラーは,約100年前の当時「いつか私の時代が来る」と語っていますが,このフィナーレを聴くと,「今,あなたの時代が来た」と叫びたくなります

 

          

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

内藤彰+東京ニューシティ管弦楽団でブルックナー「交響曲第5番」を聴く

2015年07月25日 07時48分17秒 | 日記

25日(土)。ウィーンへの「音楽を聴く旅」から帰ってきたゆえさんと,昨日新橋の中華料理S亭でランチしました ゆえさんが聴きに行かれたウィーン楽友協会大ホールとシェーンブルン宮殿のコンサートのプログラムを見せてもらいましたが、やはりと言うか、ウィーンゆかりのモーツアルトとシュトラウスの”超有名定番曲”で埋め尽くされていました

 

          

          

ゆえさんは実質的に2日半くらいの短い滞在期間中に、2つのコンサート鑑賞のほか、ウィーン美術史美術館に行って美術鑑賞したり、ウィーン・フォルクスオパー(の建物)を見に行ったり、あちこち訪ね歩いたそうで、かなりハードなスケジュールだったようです 「コンサートに出かける時にホテルの部屋の鍵が開かなくなって焦った 事前に”伝統的な”ホテルだと聞いていたが,その時初めて”伝統的”の本当の意味が分かった」という面白い話(本人にとっては冷や汗ストーリー)も聞けました.思い切って決断した”女の一人旅”を存分に楽しんできたことがよく伺え、ン十年前にウィーンに行った時のことを思い出して、しばし懐かしい想いに浸りました ゆえさん、楽しいお話をありがとうございました またランチ行きましょうね ということで、わが家に来てから288日目を迎え,健康志向の胡麻麦茶の飲み口を食いちぎろうとするモコタロです 

 

          

                なに,ゴマ麦茶だって?・・・・・ゴマねぇ

 

【追伸】昨日のモコタロの写真説明で「多摩川で長い間行方不明になっていたゴマちゃん」と書いたところ、「正しくは『多摩川で長い間行方不明になっていたゴマアザラシのたまちゃん』ですよ」という『小さな親切大きなお世話』的な指摘がありました 適当に胡麻麦茶でお茶を濁してゴマかそうかと思いましたが、あとで後ろ指を指されるのもタマらないので、朝日新聞紙上で最近珍しくなくなっている「訂正」に倣って、お詫びして訂正いたします

 

  閑話休題  

 

昨夕、池袋の東京芸術劇場で東京ニューシティ管弦楽団の第100回定期演奏会を聴きました プログラムは①シベリウス「交響詩:フィンランディア」、②ショパン「ピアノ協奏曲第1番ホ短調」、③ブルックナー「交響曲第5番変ロ長調」ですが、「世界初演シリーズ再演第1回」と称していることから,他のコンサートとはアプローチが違うようです.②のピアノ独奏はフィリップ・コバチェフスキー、指揮は内藤彰です

 

          

 

オケは左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスといったオーソドックスな態勢をとります 会場は8割方埋まっているでしょうか.プロのオケで一番小規模なオケの割には入っていると思います

1曲目はシベリウスの交響詩「フィンランディア」です.重々しい管楽器の音色から入りますが,輝かしい曲想に変換していきます おやっ?と思ったのは,オケから出てくる音が団子状にまとまって聴こえてくることです 会場の特性なのでしょうか.迫力のある演奏なのですが,ちょっと気になりました 初めて見る内藤彰氏は典型的な日本人の体型で,指揮姿もどこかぎこちなさを感じさせます

 

          

 

2曲目は1990年モスクワ生まれのフィリップ・コパチェフスキーをソリストに迎えたショパンのピアノ協奏曲第1番ホ短調です フィンランディアで感じた「団子状」は感じなくなったものの,管楽器にやや不安があるように思いました コパチェフスキーは終始軽快にショパンのリリシズムを表現していました こういう演奏を聴くと,男であるショパンが作曲した曲は,やはり男が弾くのが相応しいと思ってきます 男のロマンティシズムとでも言えば良いでしょうか 大きな拍手に,彼はショパンの「マズルカ変ロ長調」とグリーグの「夏の夕暮れ」を詩情豊かに演奏しました

 

          

 

休憩後は,本日のメーン・イベント,ブルックナーの交響曲第5番変ロ長調です.川崎高伸氏の「オリジナル・コンセプツ」の考えに基づく原初稿による楽譜を再現するとのことですが,専門外の私にはよく分かりません ブルックナーは自分が作曲した交響曲について,他人が批判すると自信を無くして改訂していたので,いくつも改訂版があり,演奏者はいったいどの版を基に演奏すれば良いのか迷う訳です.その改訂の試みの一つと言っても良いでしょう

さあ,集中して聴くぞ,と第1楽章に耳を傾けていると,途中で1階席センター後方席からケータイの着信音が聴こえてきました 幸か不幸か,オケの音が比較的大きい時だったのでそれほど目立ちませんでしたが,もう絶滅していたと思っていた非常識人種が生き残っていたことに,あらためて驚きました

前に演奏した2曲よりも,ブルックナーの方が,オケの力の入れようが違うようで,管楽器も弦楽器も見違えるように生き生きと演奏していました しかし,内藤彰の指揮がやや平板というか単調でメリハリがないので,聴いている方はややつらいものがありました

もちろん終演後には会場一杯の拍手とブラボーが待っていましたが,私としてはちょっとつらかったというのが正直なところです やはり,マーラーとかブルックナーとかの大曲を指揮するのは,相当,指揮に熟達したメリハリの効いた演奏が期待できる人でないと無理だと思います

 

          

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第6回音楽大学オーケストラ・フェスティバル2015のチケットを買う

2015年07月24日 07時02分02秒 | 日記

24日(木).今日の朝刊各紙を見てびっくりしました.「日経FTを買収」の大見出しで,日本経済新聞社が英国の有力紙フィナンシャル・タイムズを約1,600億円で買収することで合意したというニュースです 日経は株主総会で社長が交代したばかりです.新社長のO氏,なかなかやりますね

ところで,昨日の朝日朝刊・オピニオン欄は「『私たち』の民主主義」というテーマで,作家の赤坂真理さんがインタビューに答えていました 赤坂真理と言えば,1980年にアメリカの高校に留学した少女が,自らの手で日米の戦後史を問うた自伝的な小説『東京プリズン』で有名になった人です もちろんこの本は読んで当ブログに感想を書きましたし,日本記者クラブ主催の原武史・明治学院大学教授との対談も聞き,その感想もブログに書きました 一言で言えば,赤坂真理という人は書くのは上手だが,多くの人の前で話すのは苦手なのではないか,ということです しかし,今回は記者と1対1のインタビューなので,その点はある程度自分のペースで話が出来たのではないかと推測します

このインタビュー記事を読んでいて「そうだ,その通りだ」と思わず膝を打ったのは次の行(くだり)です

「法案を成り立たせている日米関係の構造が見えて興味深かったのが,今春,首相が米議会で行った演説『希望の同盟へ』でした ある意味,衝撃的.日本の国益の主張も立場の説明もなく,笑っちゃうほどアメリカ人の一員になりきったようなスピーチだったからです」「たとえば,『申し上げたいことは多々あるが』と訳されたくだりです.『tell』という動詞を使っていて『discuss』(議論する)などではない.全面的に対米追随するのは決まった上で,お伝えすることを持ってきました・・・・政治の言葉というよりラブソングのようでもあって

私は『tell』と『discuss』の違いを聞き逃さない耳の良さ(感覚の鋭さ,か)に感心しました 記者の「『私たち』の民主主義の実現のために,何が必要でしょう?」という質問には

「やはり教育じゃないかな.大人が子どもに歴史観や価値観を押し付けるようなことではなく,愛国教育でもありません 相手になりきったら,どんなものが見えるか,『しくみ』を体験してみることです.私は小説に仮面劇やディペートを持ち込みましたが

と答えています.そのことは『東京プリズン』を読めば理解できます 自分が受けてきた教育を振り返ってみる時,ディベートに欠ける受動的な教育ばかりだったな,と思います これから,世界の中で生きて行くにはディベートの能力が求められるは必至です ということで,わが家に来てから287日目を迎え,多摩川で長い間行方不明になっていたゴマちゃんと遭遇するモコタロです 

 

          

           君 たしか玉川のゴマちゃんだよね ゴマかしてもムダだよ

          

  閑話休題  

 

第6回音楽大学オーケストラ・フェスティバル2015のチケットを2枚買いました 今回のフェスティバルは全4公演ありますが,11月8日の武蔵野音大,洗足学園音大のコンサートと,11月28日の昭和音大,桐朋学園のコンサートは,すでに別のコンサートの予定が入っているので聴きに行けません

 

          

 

聴きに行くのは2つです.1つは11月15日(日)午後3時から東京芸術劇場で開かれるコンサートです 上野学園大学のプログラムは①ストラヴィンスキー「管楽器のための交響曲」,②ぺルト「カントゥース~ベンジャミン・ブリテンの思い出に」,③ブリテン「シンフォニア・ダ・レクイエム」で,指揮は下野竜也です.東京藝術大学のプログラムはR.シュトラウス「交響詩”ツァラトゥストラはかく語りき”」で,指揮は山下一史です

2つ目は12月6日(日)午後3時からミューザ川崎で開かれるコンサートです 東邦音楽大学のプログラムはシベリウス「交響曲第2番ニ長調」で,指揮は田中良和.東京音楽大学のプログラムはムソルグスキー(ラヴェル編)「組曲”展覧会の絵”」で,指揮は現田茂夫.国立音楽大学のプログラムはラフマニノフ「交響曲第2番ホ短調」で,指揮は尾高忠明です

 

          

 

私は,主義としてプロのオケの演奏も,アマチュア・オケの演奏も,学生オケの演奏も,何の先入観も持たず分け隔てなく聴くことにしています いつも書いていることですが,学生のオケだからと言ってバカにしてはいけません.彼らの演奏は,プロのように生活がかかっている訳ではないので,純粋に音楽が好きで演奏している様子が伝わってきます 今回のフェスティバルは入場料金が1回1,000円と格安です.4回セットで3,000円とさらに格安になっています.普段クラシック音楽に馴染みのない方は,こういう機会に彼らの演奏に耳を傾けてはいかがでしょうか

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

浅丘ルリ子「私の履歴書」を読んで思い出すこと~映画「男はつらいよ 寅二郎忘れな草」

2015年07月23日 07時10分10秒 | 日記

23日(木).昨夕、当ビルの有力テナントK事務所のKさん、Oさん、Fさん、当社のS君、T君と私の6人で、近くのIビル地下のI屋で暑気払いをしました I屋は鳥取県の老舗酒蔵の直営店です.鳥取県と言っても,私などは「鳥取県が生んだ20世紀最大の芸術家・小野ヤスシ」と鳥取砂丘くらいしか馴染みがありません 最初に生ビールで乾杯して,その後はアルコールが基本的に苦手なS君を除き,この店自慢の「稲田姫」の利き酒セットを飲みました 山田錦を使ったお酒で,好みによって醸造用アルコールを加えない「純米酒チーム」と,それを加え米をより芯に近いところまで削った「吟醸酒チーム」に分かれて試飲しました その後,ワインをボトルで入れて軽く1本空けました

KさんはK事務所の共同代表者で,テレビドラマが大好きという弁護士さんです.普段は観られないのでビデオに録画しておき休日にまとめて観ているそうです Kさん,Fさんとは2年前の7月24日にFビル地下のOで暑気払いをしています.その時の様子は翌日のブログに書いてあるはずです Oさんは将来有望のイケメン弁護士で,昼休みにはいつも2~3人の女性職員を両脇に抱えて昼食に出かける(あるいは弁当を買いに行く)姿がよく見受けられます FさんはK事務所の実務責任者で,一言で言えば,お淑やかな美人です.入社試験の成績はこれまで破られたことがないと言われるレジェンド的な人で,秘書にしたら絶対に手放せない信頼感抜群の女性です

話題はKさんを中心に,過去のトレンディー・ドラマからNHKの朝の連続ドラマまで,モーツアルトの「フィガロの結婚」からヴェルディの「椿姫」まで,東日本大震災の時のビルの揺れ状況から当ビルの耐震構造まで,といったように多岐にわたりました.朝の連続ドラマの話では「『おしん』の配役が小林綾子から田中裕子へ,そして音羽信子へと代わって行ったが,小林綾子が一番良かった」という話あたりまでは何とか付いていけたのですが,普段テレビを観ない私は,その後にKさんの口から次々と繰り出されるドラマのヒロインの名前はまったく分かりませんでした.とにかく,Kさんの芸能情報通ぶりにはあらためて驚きました

その後,モノクロ・テレビを初めて観たのはいつだったか,あるいはカラー・テレビを観たのは・・・という話題で盛り上がりました 話の中で,Kさんの口から「日経の『私の履歴書』に連載している浅丘ルリ子・・・」と言う言葉が出たので,思わず「明日のブログに書きます」と宣言しました.武士に二言はありません.武士じゃないけど 2時間半があっという間に過ぎてお開きにしましたが,実に楽しいひと時でした 

Kさん,Oさん,Fさん,お忙しい中お付き合いいただきありがとうございまいた.これに懲りずに引き続きよろしくお願いいたします と言うわけで,わが家に来てから286日目を迎え,ガールフレンドの白ウサちゃんに話しかけるモコタロです 

 

           

            モ「内緒の話なんだけど」 白「お口臭い あっち行って!」

 

  閑話休題  

 

ウィーンへの「音楽を聴く旅」から帰国したゆえさんからお土産をいただきました ゆえさんは某公益社団法人で機関誌の編集をしている優秀な女性で、当ブログの読者です ヴァイオリンを形どった瓶のラヴェルに「NANNERL LIQUEUR」と書かれているので、モーツアルトのお姉さんナンネル・モーツアルトの名前を冠したリキュールのようです ゆえさんはウィーン楽友協会大ホールでのコンサートもシェーンブルン宮殿のコンサートも聴いたそうで、楽友協会では「ウィーン・フィル・ニューイヤー・コンサート」のアンコール曲で有名な「ラデツキー行進曲」に合わせて手拍子をして楽しんできたそうです 私はン十年前にシェーンブルン宮殿のコンサートは聴きましたが、楽友協会では聴いたことがないので羨ましくてたまりません さて、いったい彼女は何を聴いてきたのでしょうか?今度ゆっくり訊いてみたいと思います

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日の朝日朝刊・国際面の「特派員メモ」でギリシャを取り上げていました Tシャツにプリントされていた文字に目を奪われたというものです。そこにはこう書いてあったといいます

GREEK  CRISIS 

No Job

No Money

No Problem

「ギリシャ危機 仕事ない 金ない 問題ない」。EC諸国の経済支援によって一時的に危機を脱したとは言え、借金が増える一方のギリシャ 自虐的なネタで商品を売る手法は「商魂たくましい」と言えなくもありませんが、一般市民としては、居直るしかないといったところでしょうか ちなみに記事の見出しは「金ない 笑うしかない」です。借金1,000兆円の日本だって他人事ではありません。ギリシャを『他山の石』としなければならないと思います

 

  最後の、閑話休題  

 

日経朝刊の最終面に「私の履歴書」が連載されています.筆者は政治家や財界人が多いようですが,最近では指揮者の小澤征爾氏も登場したし,キンちゃんこと萩本欣一さんも連載しました 現在は女優の浅丘ルリ子さんが連載中です 一昨日の連載20回目では「寅さんと共演,当たり役~男勝りの新しいマドンナ像」という見出しのもと,1973年公開の松竹映画「男はつらいよ 寅次郎忘れな草」のことを書いています

浅丘さんに山田監督からオファーがあったのは,北海道の農場で働く未亡人役で,けなげで耐える女性だったとのことですが,監督に,自分には合わないと訴えたところ,酔客を相手に売れない曲を歌い続ける根無し草のリリーの役を射止めたそうです

この映画には特別の思い出があります.私は元の職場である新聞関係の団体に入職した年の夏休みに,能登半島に一人旅に出ました 現地から「従業員の皆さまへ」という宛名で絵葉書を出したのですが,当時,総務で人事管理などをやっていたAさんが,「こんなことするの,あなたが初めてだわ!」と面白がって,職員用の掲示板にそれを貼り出したのです ちょっぴり恥ずかしかったのですが,1週間ほど経ってから「ねえ,このハガキ私にちょうだい」とおっしゃるのです.何の変哲もないただの絵葉書だったのですが,まるで自分に書いてくれたようだと思ったそうです.Aさんは元SKD(松竹歌劇団)に所属していた誰もが認める超美人で,男性からも女性からも憧れの的でした その当時50歳を超えていましたが,独身を貫いていました 朝の出勤はいつもAさんが1番で私が2番でした.「あなた,こんなに早く出勤しなくてもいいのよ」とよく言われました.そんなこともあって個人的に可愛がってもらい,彼女の演じる『助六』の舞台を観に行ったりしました

数年後,「わたし,寅さん大好き.いま浅丘ルリ子がマドンナをやっている2本立てをやっているから、いっしょに観に行きましょう」と誘われ,銀座の映画館にご一緒しました それが,リバイバル上映されていた「男はつらいよ 寅次郎忘れな草」(73年)と「寅次郎 相合い傘」(75年)だったのです 観終わってから「寅さんて,純粋でとても素敵.リリーの生き方は良く分かる」とおっしゃっていました

当時は定年が55歳だったので,その年で”卒業”されました.ある日,親戚から頼まれたからと言って、見合い相手を紹介されましたが,写真と実物のかい離の激しさにお断りすると,「そうよね,あんな頭にチョンチョリン載せてる人なんか嫌よね」と言って同情してくれました チョンチョリンというのは大きなリボンのことを言うらしいのです

六本木に住んでいらっしゃいましたが,住所が変わったのか,いつしか年賀状も届かなくなってしまいました いくつになっても少女のような人でした.今もご健在なのかどうか分かりませんが,どこかで元気にしていらっしゃればいいな,と思います

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画「フォックスキャッチャー」を観る~大富豪デュポンはなぜ金メダリストを撃った?

2015年07月22日 07時01分33秒 | 日記

22日(水).わが家に来てから285日目を迎え,せっかく買ってやった冷感プレートから外れて涼んでいる冷淡モコタロです

 

          

            だって 床の方が涼しいような気がするんだもんね

 

その後プレートの向きを変え,警視庁特別捜査隊爆弾処理班による2時間にわたる懸命な説得により,やっと冷感プレートに乗ったモコタロです

          

           

           お代官様 お許しくだせぇ やっぱこっちの方が涼しいだ

 

  閑話休題  

 

21日に早稲田松竹で「アメリカン・スナイパー」と「フォックスキャッチャー」の2本立てを観ました 昨日「アメリカン・スナイパー」について書いたので,今日は2014年,ベネット・ミラー監督「フォックスキャッチャー」について書きます

デイヴとマーク兄弟はレスリングのオリンピックメダリスト デイヴは結婚して妻子がいるがマークは独身で苦しい生活を強いられている ある日,デュポン財閥の御曹司ジョン・デュポンからソウル・オリンピック金メダル獲得を目指したレスリング・チーム『フォックスキャッチャー』の結成に誘われる 破格の年俸とトレーニング場が保証された理想的な条件だった デュポンは有り余る財産でマークを身近に置き自分の引き立て役として利用する一方,マークはデュポンの理想を叶えるためトレーニングに励む しかし,デュポンがマークにコカインを勧めたことから,マークはトレーニングに身が入らなくなり,世界的な大会でも勝てなくなる そんな中,デュポンは自分のチームがオリンピックに出場して勝つために,マークの兄デイヴをチームに引き入れる.ここから3人の間に微妙な関係が生じる ある日,デュポンは車でデイヴの家を訪れ,「何か不満でもあるのか?」と問い「何もない」と答えるデイヴに銃を向け発射する.1996年のことだった

 

          

 

これは事実を基にした映画ですが,分からないのは,なぜ大富豪のデュポンはオリンピック金メダリストを殺さなければならなかったのか,ということです デュポンは『フォックスキャッチャー』の創立者であると共に,表向きは選手たちのコーチとして振舞っています.選手たちに持論を語るシーンをビデオに撮り,内外にPRしようともします しかし,実質的なコーチはデイヴだということは誰もが認める事実でした.財産は有り余るほどあるのに,誰からもレスリングのコーチとしては認められない,そのような孤独感が発作的な行動に移らせたのでしょうか??? 

『デュポン』と言えば世界第3位の化学会社です.メロン財閥,ロックフェラー財閥と並ぶアメリカの3大財閥と称されることもあるほどの大企業です その御曹司が過去にこのような大事件を起こしたことはこの2014年制作の映画を観て初めて知りましたが,過去のこととは言え,デュポン社にとってマイナス・イメージとなる映画を撮るに当たって,デュポン社は何か言っていないのか,と疑問に思いました 当のジョン・デュポンは2013年に獄中で死去したそうですが,まさか彼の死を待って公開した訳ではないでしょうね

 

          

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする