31日(土)。まだ桜も咲かないのに早いもので今日で3月も終わり、今年度が終了です 昨夕、10階ホールで記者クラブ主催の試写会「オレンジと太陽」を観ました
この映画は、イギリスが19世紀から1970年代まで、福祉の名のもとに行っていた「児童移民」の真実を明らかにした実在の女性、マーガレット・ハンフリーズの物語です あらすじは以下の通りです。
英国ノッティンガムでソーシャルワーカーとして働くマーガレットは、ある日、見知らぬ女性シャ―レットに「私が誰なのか調べてほしい」と訴えられます。幼いころにノッティンガムの施設に預けられた彼女は、4歳のときに多くの子どもたちとともに船でオーストラリアに送られ、自分がどこの生まれで、母親はどこにいるのかも判らないと言います マーガレットは半信半疑ながら、ある出来事を契機に調査を始めます。やがて彼女は、シャーロットのような子どもたちが数千にも上り、中には親が死んだという嘘を信じて船に乗った子どもたちもいたことを知ります。子どもたちは過酷な労働や虐待を強いられていたことがわかります。さらに、その強制的な「児童移民」が密かに政府によって行われていたことを突き止めます
マーガレットは粘り強い捜査活動によって数千の家族を再び結び合わせます。この活動によって、2009年11月にはオーストラリア首相が、2010年2月にはイギリス首相が事実を認め、正式に謝罪したということです
題名「オレンジと太陽」は、元孤児の男が移民の子供時代を振り返って「ある日、男の人が来てこう言った。君のママは死んだ。だから海の向こうの美しい国に行くんだ。そこでは毎日、太陽が輝き、そして毎朝、オレンジをもいで食べるんだ」と語るシーンから名づけられています
原作本はマーガレット・ハンフリース著「からのゆりかごー大英帝国の迷い子たち」で、ジム・ローチ監督作品。キャストはエミリー・ワトソン、デイヴィット・ウェナム、ヒューゴ・ウィ―ヴィングほかで2010年イギリス映画(106分)です
13万人もの子どもたちが「児童移民」としてキリスト教系の慈善団体などを通して”政府公認”のもとにイギリスからオーストラリアに送られていたことも、社会福祉の名のもとに国家的な犯罪とでもいうべき虐待があったことも、この映画を観るまでまったく知りませんでした
マーガレットは身の危険を感じながらも、夫や元孤児たちの支援を受けながら、今は大人になった迷い子たちの親の行方を捜します。そして現在でもなおその活動が続いていることを映画は語ります
重いテーマですが深く印象に残る映画として推薦します 4月14日(土)から岩波ホールでロードショー公開です