31日(日)。月末を迎えたので、いつものように3月の3つの目標の実績をご報告します ①クラシック・コンサート=17回、②映画鑑賞=3本、③読書=9冊でした ①は本日の公演を含みます。②は腰痛悪化を防ぐため自粛したことにより大幅に減少しました。③は映画を観なかった分、多く読みました
ということで、わが家に来てから今日で3365日目を迎え、29日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、ロシアが同紙のエバン・ゲルシコビッチ記者を拘束してから1年に合わせ、1面で「彼の記事がここにあるべきだ」との見出しで中央部分に大きな空白を残し、抗議の意を示した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
ジャーナリストを拘束するのは 強権主義的な野蛮国家と認めているようなものだ
昨夜、サントリーホールで東京交響楽団「第718回定期演奏会」を聴きました プログラムは①藤倉大「Wavering World」、②シベリウス「交響曲第7番 ハ長調 作品105」、③ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18」です 演奏は③のピアノ独奏=オルガ・カーン、指揮=原田慶太楼です
オケは14型で、左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置をとります。コンマスは小林壱成です
1曲目は藤倉大「Wavering World」です この曲は藤倉大(ふじくら だい:1977~)がシアトル交響楽団からの依頼で、シベリウスの「交響曲第7番」と共演できる作品を求められたのに応じて作曲した作品です 本人のプログラム・ノートによると「シベリウスの創作背景を調査し、フィンランド神話と日本神話に興味を持った 特に天地分離のイメージが作曲のインスピレーションとなった」としています
原田の指揮で演奏に入りますが、まさにミステリアスな曲想で、タイトルの通り音楽が揺らいでいます 特に印象的だったのは中間部におけるティンパニの強打です 何かを模索しているようにゆっくりと連打されます ただ、シベリウスの第7番との繋がりということで言えば、全体として薄かったと思います
2曲目はシベリウス「交響曲第7番 ハ長調 作品105」です この曲はジャン・シベリウス(1865-1957)が1924年に作曲、同年3月25日に作曲者自身の指揮によりストックホルムで初演された最後の交響曲です 単一楽章ですが、アダージョ ~ ヴィヴァーチッシモ ~ アレグロ・モデラート ~ ヴィヴァーチェの4つの部分から成ります
原田の指揮で演奏に入ります この曲ではトロンボーン、ホルン、トランペットといった金管楽器が素晴らしい演奏を繰り広げていました また、弦楽器もヴィオラを中心に渾身の演奏を展開しました
プログラム後半はラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)が1900年に作曲、1901年にモスクワで初演されました 第1楽章「モデラート」、第2楽章「アダージョ・ソステヌート」、第3楽章「アレグロ・スケルツァンド」の3楽章から成ります よく知られているように、ラフマニノフは1897年の「交響曲第1番」初演の失敗により大スランプに陥っていましたが、神経科医ニコライ・ダーリ博士の暗示療法により作曲の意欲を取り戻し、1900年春に作曲したと言われています これについては高橋健一郎氏が「プログラム・ノート」に「当時、ダーリ博士の家に滞在していた女性エレーナにラフマニノフが恋心を抱いたとされ、むしろそれが曲のインスピレーションの源になったという説も存在する」と書いています 「事件の裏に女あり」だけでなく「作曲の裏に女性あり」といったところでしょうか このエレーナという女性、本当にラフマニノフの作曲意欲を引き出したとすれば 偉えな
ピアノ独奏のオルガ・カーンは1975年ロシア生まれ。第1回ラフマニノフ国際ピアノコンクールで第1位、第11回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール優勝 2017年よりマンハッタン音楽院教授を務め、オルガ・カーン国際ピアノ・コンクールの芸術監督も務める
協奏曲のためオケが12型に縮小します 金髪で赤の勝負衣装で登場したオルガ・カーンがピアノに向かい、彼女のソロで第1楽章に入ります ロシアの教会の鐘の音を模した和音が徐々に大きくなって会場に響き渡ります それからは分厚い弦楽セクションのサポートのもとロマンティシズムの極致をいく演奏が繰り広げられます 第2楽章では竹山愛のフルート、エマニュエル・ヌヴーのクラリネットがソリストのリリカルな演奏に華を添えます ここまでは特に大きな特徴のない演奏でしたが、第3楽章に入るとソリスト、指揮者 ✕ オケともに弾けました テンポが目まぐるしく変わり、ソリストとオケとの”競争曲”が展開します 原田が仕掛け、はたまたオルガが仕掛け、といったドラマテックな演奏です ソリストの力演とオケの総力を挙げた渾身の演奏によるフィナーレは圧巻でした
満場の拍手とブラボーが飛び交い、カーテンコールが繰り返されました オルガ・カーンはアンコールにプロコフィエフ「4つの練習曲」より「第4番」を超絶技巧で演奏、再び大きな拍手に包まれました すると、原田が彼女に「フィナーレもう一回やろうぜ」と半ば強引に促し、彼女が「えっ、マジ」と迷いながらも椅子に座り、原田の指揮で、今演奏したばかりのラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」より「第3楽章」のフィナーレをアグレッシブに演奏し、再び聴衆からヤンヤ ヤンヤの喝さいを浴び、会場の温度が2度上昇しました(個人の感想です)
こういうところは、”エンターテイナー”原田慶太楼を感じさせます
この日は開演前にサントリーホール前「カラヤン広場」で 桜が迎えてくれました 春ですね