人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

リチャード・パンチャス ✕ 服部百音 ✕ アジア・ユース・オーケストラでブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番」、リムスキー・コルサコフ:交響組曲「シェヘラザード」他を聴く / ツイッターを始めました

2019年08月31日 22時22分46秒 | 日記

9月1日(日)。今日から月9月です。8月にツキがなかった人はツキが変わります。希望を持ちましょう

さて、昨日は久しぶりに陽が射したので、午前中 網戸とガラス戸の清掃をしました 百円ショップで買っておいたミニ箒と網戸用ブラシを活用して外側をきれいにしました 内側はあまり汚れていないので乾拭きで済ませました いつもなら徹底的に清掃するのですが、午後にコンサートがあるので体力を温存せねば、と思いセーブしたわけです

話は180度変わりますが、昨日からツイッターを始めました ツイッターについてはあまりよく分かっていないのですが、早速「いいね」を一ついただきました しかし、当然ながら 現在フォロワーはゼロです 現在 toraブログのフォロワーは2030人ですが、私がこのブログを立ち上げた8年前の2011年2月15日の時点もゼロでした。何でも最初はゼロからのスタートです

ツイッターのアカウント名は tora  @tora76730618 です。toraブログ同様よろしくお願いいたします

ということで、わが家に来てから今日で1673日目を迎え、宿題や課題の「読書感想文」について、タブレット端末やスマートフォンなどで電子書籍を読んで書いた場合は、コンクールによっては「紙媒体に限る」と電子書籍の感想文を受け付けないので注意が必要である という記事を読んで感想を述べるモコタロです

 

     

     そもそも宿題や課題で読書感想文を書かせることが若者の読書離れを促進してる

 

         

 

昨日、東京オペラシティコンサートホールで「アジア・ユース・オーケストラ東京公演2019」第2日目を聴きました プログラムは①リムスキー=コルサコフ「スペイン奇想曲 作品34」、②ブルッフ「ヴァイオリン協奏曲 第1番 ト短調」、③リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェヘラザード」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=服部百音、指揮=リチャード・パンチャスです

リチャード・パンチャスは1987年に名ヴァイオリニスト、ユーディ・メニューインと共にアジア・ユース・オーケストラを立ち上げ、1990年から指揮をとってきました ツアーの最終公演はパンチャスが指揮をとることが伝統になっています

 

     

 

自席は1階28列11番、センターブロック左通路側です。会場は前日よりも埋っています

オケは前日同様、左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置をとります。コンミスは前日の後半と同じ日本人と思われる女性です

1曲目はリムスキー=コルサコフ「スペイン奇想曲 作品34」です この曲はリムスキー=コルサコフ(1844-1908)が1887年に作曲した作品です

パンチャスの指揮で演奏に入りますが、冒頭のクラリネットの演奏が素晴らしかったのが印象に残りました また、コンマスによるヴァイオリン・ソロ、チェロ首席による独奏が冴えていました 全体としてはロシア人から見たスペインが色彩感溢れる音楽で表現されていました

2曲目はブルッフ「ヴァイオリン協奏曲 第1番 ト短調」です この曲はマックス・ブルッフ(1838-1920)が1866年に作曲した作品です。第1楽章「前奏曲:アレグロ・モデラート」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「終曲:アレグロ・エネルジコ」の3楽章から成ります

ヴァイオリン・ソロを弾く服部百音は1999年生まれの弱冠20歳 内外のコンクールでグランプリを受賞している実力者です 現在はザハール・ブロン・アカデミー(スイス)に在籍、桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコースに在学中です

グリーン系の銀のラメ入り衣装で登場した服部百音がステージ中央にスタンバイし、さっそく演奏に入ります 演奏を聴く限り、高音も低音も音がとても綺麗で技術的には完璧です その上、聴く者を惹きつける力を持っています 思わず前のめりになって耳を傾けている自分に気が付きます もし初めてこの曲を彼女の演奏で聴く人がいたら、きっとブルッフのこの曲が好きになることでしょう

満場の拍手とブラボーに、エルンストの「夏の名残りのバラ」(日本では「庭の千草」として知られている)を、ヴァイオリンを自由自在に操りながら 超絶技巧であっけらかんと演奏し、泣く子を黙らせました 客席の聴衆に止まらず、舞台上の若者たちからもやんややんやの喝采を浴びました 鳴りやまない拍手に、イザイの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番」という これまた超絶技巧曲を涼しい顔で演奏し、再び満場の拍手とブラボーを浴び、会場の温度を上昇させました   この際、地球温暖化の問題は無視することにします とにかく凄い演奏でした 服部百音は、名前の通り百の音を奏でるアーティストなのではないか、と思ったくらいです


     


プログラム後半はリムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェヘラザード」です この曲はリムスキー=コルサコフが1888年に作曲した作品です 彼は最初、海軍の軍人でした。その経験が海にまつわる作品を作るうえで参考になったと思われます 第1曲「海とシンドバッドの船」、第2曲「カランダール王子の物語」、第3曲「王子と王女」、第4曲「バグダードの祭り、海、青銅の騎士の立つ岩での難破、終曲」の4曲から成ります

この曲の大きな特徴は、独奏ヴァイオリンによるシェへラザードのテーマが全曲を統一しており、オリエンタリズムと管弦楽法の妙味が発揮されていることです 独奏ヴァイオリンはコンミスが務めましたが、全体を通して曲趣を弾き分けながら素晴らしい演奏を展開しました 独奏チェロも良かったと思います また、木管楽器が素晴らしく、ファゴットをはじめクラリネット、フルート、オーボエ、ピッコロが冴えた演奏を展開しました また第3曲「王子と王女」における弦楽器によるアンサンブルはとても美しく響きました 何より、100人規模によるオケの音は迫力満点で、大きな音の波が客席に押し寄せてくる感じがしました

満場の拍手にパンチャス ✕ AYOはアンコールにリムスキー・コルサコフの「熊蜂の飛行」(オペラ「サルタン皇帝」第3幕に登場する曲)を高速で演奏しましたが、演奏の最中、打楽器の男子数名が蜂を追いかける小芝居を仕掛け、最後に手打ち式ムチ(2枚の板でパチンと音を出す)で蜂を仕留めた音で締め、聴衆の笑いを誘いました

次いで、パンチャスが例年通り、ステージ上のオケのメンバー105人を国別に紹介、国を呼ばれた人はその場で立ち上がり、大きな拍手を受けました 一番多いのは台湾の30人、次いで中国と日本の各14人、香港12人、韓国とフィリピンの各10人という順で、他にインドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナムから参加していました 政情不安を抱える香港、韓国そして日本のメンバー紹介の時はひときわ大きな拍手が送られました コンマスを務めた女子は日本の14人(うち女子13人)の一人でした プログラム冊子に掲載のメンバー表によると、オオキ・ユキコさん、オオツカ・サトリさん、サカモト・リサさんのいずれかです

最後にパンチャスが「AYOのメンバーが香港でのリハーサル・キャンプで最初に取り組んだのはエルガー『エニグマ変奏曲』の『ニムロッド』でした ツアーの最終公演の本日、アンコールにこの曲を演奏します」と説明し、演奏に入りました 今や この曲はAYOのテーマミュージックのような存在になっています つくづく良い曲で、この演奏を最後に 離れ離れになって それぞれの国に帰って行く若者たちの心情を思いながら聴いていたら、思わず熱いものが込み上げてきました

AYOの皆さん、素晴らしい演奏をありがとう   来年も厳しいオーディションを通過して、この会場に戻ってきてください。必ず聴きに行きます

 

     

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ジョセフ・バスティアン ✕ レイチェル・チャン ✕ アジア・ユース・オーケストラでラヴェル「ピアノ協奏曲」、ブラームス「交響曲第4番」他を聴く

2019年08月31日 07時30分04秒 | 日記

31日(土)。早くも8月も今日で終わりです。最近は1週間があっという間に過ぎていき、その流れで1か月が瞬く間に過ぎていきます 月日の流れの速さを感じる昨今です

ということで、わが家に来てから今日で1672日目を迎え、米環境保護局は29日、強力な温室効果ガスであるメタンの排出規制を撤廃する方針を明らかにしたが、これは産業開発を重視し、温暖化対策に後ろ向きなトランプ政権の姿勢を改めて鮮明にしたものである というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       これで産業界全体で約18億~20億円のコスト減になるそうだ 大統領選には有利だ

 

         

 

昨日、夕食に「卵とトマトの炒め物」と「ウインナとレタスのスープ」を作りました 炒め物はウーウェン先生のレシピですが、美味しく出来ました

 

     

 

         

 

昨夕、東京オペラシティコンサートホールで「アジア・ユース・オーケストラ東京公演2019」第1日目を聴きました プログラムは①リヒャルト・シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」、②ラヴェル「ピアノ協奏曲 ト長調」、③ブラームス「交響曲第4番 ホ短調 作品98」です 演奏は②のピアノ独奏=レイチェル・チャン、指揮=ジョセフ・バスティアンです

ジョセフ・バスティアンはバイエルン放送交響楽団のバス・トロンボーン奏者から指揮者に転身した人です

アジア・ユース・オーケストラ(AYO)は中国、香港、台湾、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、マカオからオーディションにより選出された100人の若手演奏家から構成されています 香港で3週間のリハーサル・キャンプに続き、国際的に活躍する著名な指揮者やソリストと3週間のツアーを行い、毎夏6週間の活動をしています 私は毎年2日間とも聴いています

 

     

 

自席は2階C3列9番、センターブロック左通路側です。1階席も2階席も昨年より客の入りが良くないように思います あまり名の知れていない指揮者が一因かも知れません

オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置をとります。コンマスは女性(これまでの実績から推測すると中国か台湾か香港)です

1曲目はリヒャルト・シュトラウスの交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」です この曲はリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)が1894年から翌95年にかけて作曲した作品ですが、「ティル・オイレンシュピーゲル」は14世紀、職人となって各地を放浪し、いたずらを重ね逸話を残した人物のことです

この曲はオーケストラの力量を試すのにもってこいの技巧的な曲ですが、管楽器ではホルンの力強い演奏が印象に残りました あとは、何と言っても100人規模のオケの熱気に押され、風圧を感じます

2曲目はラヴェル「ピアノ協奏曲ト長調」です この曲はモーリス・ラヴェル(1875-1937)が1929年から31年にかけて作曲した作品です 第1楽章「アレグラメンテ」、第2楽章「アダージョ・アッサイ」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります

赤の鮮やかな衣装のレイチェル・チャンが登場、ピアノに向かいます チャンは幼少から香港の数々のコンクールで優勝し、イェール大学修士課程を修了、国内外の数々の音楽祭に招聘され演奏しているとのことです

オケは弦楽器を中心に縮小します バスティアンの指揮で演奏に入りますが、全曲を通して特に良かったのは、第2楽章「アダージョ・アッサイ」におけるチャンの抒情的な演奏です 彼女の”ポエム”をコーラングレ、フルート、クラリネットといった木管が支えました

満場の拍手に応え、チャンはラヴェルの「クープランの墓」から「トッカータ」を、それでも鳴りやまない拍手にシューマン(リスト編)の「献呈」を弾きました 「献呈」を聴きながら、松田華音のCD収録の「献呈」と比べていました はっきり言って、松田華音の演奏の方がいいと思います それを抜きにして「献呈」は名曲です

 

     


プログラム後半はブラームス「交響曲第4番 ホ短調 作品98」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1884年から翌85年にかけて作曲した作品です 第1楽章「アダージョ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ・モデラート」、第3楽章「アレグロ」、第4楽章「アレグロ・エネルジコ」の4楽章から成ります

再びフルオーケストラ態勢に戻ります。コンミスは別の女性に変わりました。何となく日本人みたいな顔付きです

バスティアンの指揮で演奏に入りますが、100人規模のオケとなると演奏の透明感は望むべきもありません やはり、マスによる熱量の高い風圧を感じます 音の塊りがステージから客席に押し寄せてくる感じです オーケストラ総動員による聴きごたえのある演奏でした

カーテンコールが繰り返され、アンコールが演奏されました 予想通りブラームスのハンガリー舞曲でしたが、ポピュラーな第1番や第5番ではなく第10番が選ばれたのは意外でした

この日は、出身国別による演奏者の紹介はありませんでしたが、ツアー最終日の本日(31日)は、リチャード・パンチャスが出身国をコールして、その国の出身者が立ち上がるシーンが見られることでしょう アンコールにはエルガーの「エニグマ変奏曲」から「ニムロッド」が演奏されることでしょう そしてこの夏の6週間 行動を共にした若者たちはハグし合いながら、それぞれの国に帰って行くのでしょう

 

     

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アダム・マッケイ監督、ブラッド・ピット製作「バイス」を観る ~ アメリカ史上最強で最悪の副大統領ディック・チェイニーの物語 / コンサート中に帽子を被っている人について

2019年08月30日 07時24分08秒 | 日記

30日(金)。わが家に来てから今日で1671日目を迎え、英国のジョンソン首相は28日、9月3日に再開する議会をすぐに閉会すると発表したが、野党に加え、与党の一部からも「議会の軽視で、『合意なき離脱』も辞さない政権の方針を押し通そうとする動きだ」という反発の声が出ている というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       「審議なき離脱」を狙う強引さが 英国のミニトランプと言われる所以じゃね?

 

         

 

昨日の夕食は、大学時代の友人S君が送ってくれた 「あこう鯛」を煮つけ、「イカ」をバター醤油焼きにしました あとは「小松菜のお浸し」と「豆腐とオクラの味噌汁」です。あこう鯛もイカも美味しかったです

 

     

 

         

 

一昨日、池袋の東京芸術劇場で開かれた「芸劇ブランチコンサート」の時のことでした 最前列ど真ん中の高齢男性が、帽子(野球帽のようなキャップ)を被ったまま演奏を聴いていることに気が付きました というのは、彼が帽子を脱いで被り直したのが目に入ったからです このホールに限らず、どこの会場でも演奏前に帽子を被っている人がいると、会場の係員が傍まで行って帽子を脱ぐように注意しています これは演奏者に対する礼儀であることは常識中の常識です ロックやポピュラーのコンサートではどういう常識があるのかは知りませんが、聴く側が演奏者に対して敬意を払うことにおいては違いはないと思います 

どうも最前列のど真ん中に座る輩にロクなヤツはいないようです このブログを普段からご覧いただいている方は、誰を指しているのかすぐにお分かりですね 幸いなことに、爺さんは7~8月の「フェスタサマーミューザ」にはお越しにならなかったようで、一度もお会いしませんでした 

コンサートの「帽子おじさん」がこのブログを観ているとはとても思えませんが、万が一観ていて、次回のコンサートから帽子を被らないようになったら、脱帽します

 

         

 

昨日、神楽坂のギンレイホールで「記者たち  衝撃と畏怖の真実」と「バイス」の2本立てを観ました

「記者たち 衝撃と畏怖の真実」(ロブ・ライナー監督・2017年)は、2002年アメリカのブッシュ大統領が「大量破壊兵器保持」を口実にイラク侵攻に突き進んでいた時期に、ニューヨークタイムズやワシントンポストなど大手新聞社が軒並み政府の方針に迎合する中で、不屈の精神で政府の巨大な嘘を暴いたナイト・リッダー新聞社の記者たちの奮闘を描いた作品です

映画の最後に、モデルとなった編集長と2人の記者本人が出演し インタビューに応じていますが、記者の語る「ニューヨーク・タイムズなどの大手紙は政権のトップ・レヴェルの人物に接触して取材するが、われわれは、その下の実務レヴェルの政府職員に接触して取材し、事実を積み重ねていった   それが政府の欺瞞を暴くことにつながった」という発言が印象的でした

この映画は今年5月1日のtoraブログでご紹介していますので、興味のある方はそちらをご覧ください

 

     

 

          

 

「バイス」はアダム・マッケイ監督・脚本による2018年アメリカ映画(132分)です

1960年代半ば、酒癖の悪い青年だったチェイニー(クリスチャン・ベール)は、後の妻となる恋人リン(エイミー・アダムス)に叱責されたことをきっかけに政界への道へと進み、型破りな下院議員ドナルド・ラムズフェルド(スティーブ・カレル)の下で政治の表裏を学んでいく やがて権力の虜となり、頭角を現すチェイニーは、大統領首席補佐官、国務長官を歴任し、ジョージ・W・ブッシュ(サム・ロックウェル)政権で副大統領の座に就く やがて2001年9月11日の忌まわしい「9.11」を迎える チェイニーは政治経験の浅いブッシュ大統領の陰で、実質的な最高権力者の地位を確保し、イラクが「大量破壊兵器」を保持しているとでっち上げ、若い兵士をイラクに送り込んだ


     

 

「記者たち  衝撃と畏怖の真実」を観た時は、それほどチェイニー副大統領の存在を意識しなかったのですが、この映画で主人公として描かれた彼を観ると、チェイニーという人物が如何に権力志向が強く、若いブッシュをいいように操っていたかが分かります   その一方で、家族を大切にする別の顔も描かれています。また、チェイニーを副大統領まで押し上げたのは妻リンの存在が大きかったのではないか、と思います   彼女自身も夫に負けない政治的な志向の強い女性でした

チェイニーを演じたクリスチャン・ベールは、役に成りきるため20キロも体重を増やし、特殊メイクをして完全な別人に変身して撮影に臨んだそうです ブッシュ大統領を演じたサム・ロックウェルと、ラムズフェルドを演じたスティーブ・カレルが、それぞれ本物に微妙に似ていて笑ってしまいました

この映画のタイトル「VICE(バイス)」は 言うまでもなく「Vice-president(副大統領)」を意味していますが、「悪徳」「不道徳」という意味もありあます その意味では、VICEほどこの映画に相応しいタイトルはないでしょう

「9.11」後のブッシュ政権の動きと、政権の嘘を暴こうと取材する新聞記者たちの動きを、それぞれの立場から観るという意味では、「記者たち」と「バイス」は続けて観ると良いと思います ギンレイホールでは9月20日(金)まで上映中です

 

     

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芸劇ブランチ・コンサートで「バッハ『第1番』大集合」を聴く~ヴァイオリン協奏曲第1番、ピアノ協奏曲第1番、無伴奏チェロ組曲第1番第1楽章ほか:伊藤亮太郎、大江馨、佐々木亮、富岡廉太郎他

2019年08月29日 07時21分01秒 | 日記

29日(木)。わが家に来てから今日で1670日目を迎え、トランプ米大統領は、フランスで行われた主要7か国首脳会議(G7サミット)の際に開いた26日の記者会見で、メラニア夫人が北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長と「知り合いだ」と語ったが、実際にはメラニア夫人は正恩氏と会ったことがなく、トランプ氏の勘違いだったようだ というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       普段からフェイクニュースを連発してるオオカミ老人トランプの発言は信じない

 

         

 

昨日の夕食は、娘がコストコで買ってきた「ハワイアンショウユポキ」をメインに、「焼肉」「生野菜サラダ」「冷奴」にしました 「ハワイアンショウユポキ」は初めてお目にかかりましたが、ひと言で言えば「マグロの漬け丼」みたいなものです 材料は下の容器の写真を参照してください。よく見ると賞味期限切れでしたが、乙な味でした


     

     

     

 

         

 

昨日、池袋の東京芸術劇場コンサートホールで「第20回芸劇ブランチ・コンサート バッハ『第1番』大集合」を聴きました プログラムはJ.S.バッハの①無伴奏チェロ組曲 第1番 BWV1007より「プレリュード」、②無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第1番 BWV1001より第1楽章「アダージョ」、第2楽章「フーガ:アレグロ」、③ヴィオラ・ソナタ 第1番 BWV1027より第1楽章「アダージョ」、第2楽章「アレグロ・マ・ノン・タント」、④ヴァイオリン協奏曲 第1番 BWV1041、⑤ピアノ協奏曲 第1番 BWV1052です 演奏はヴァイオリン=伊藤亮太郎(N響)、大江馨、藤江扶紀(トゥールーズ・キャピトル国立管)、ヴィオラ=佐々木亮(N響)、チェロ=富岡廉太郎(読響)、コントラバス=西山真二(N響)、ピアノ=清水和音です

 

     

 

会場はいつものように1階席も2階席もかなり埋っています

1曲目はJ.S.バッハの「無伴奏チェロ組曲 第1番 BWV1007」より「プレリュード」です この曲はヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750)が1720年頃に作曲したと言われている6つの「無伴奏チェロ組曲」の最初に置かれた作品です それまでチェロという楽器は通奏低音(つまり伴奏)として使用されていたのを、バッハが独奏楽器として主役に仕立て上げたのがこの組曲です

独奏するのは読響首席奏者・富岡廉太郎です ふくよかな音で、一音一音を慈しむように弾きました

2曲目は「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第1番 BWV1001」より第1楽章「アダージョ」、第2楽章「フーガ:アレグロ」です この曲もバッハが1720年頃に作曲したと言われている6つの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」の最初に置かれた作品です ヴァイオリン1本で旋律と和声の同時表現を意図した重音奏法が多用されています

独奏するのは今年6月にドイツのアウグスブルクで行われた「レオポルト・モーツアルト国際ヴァイオリンコンクール」で第3位入賞の大江馨です 重音奏法がとても美しく、とくに第2楽章のフーガは見事でした

3曲目は「ヴィオラ・ソナタ 第1番 BWV1027」より第1楽章「アダージョ」、第2楽章「アレグロ・マ・ノン・タント」です この曲は、本来ヴィオラ・ダ・ガンバ(チェロにエンドピンがない形態の古楽器)のための作品です。作曲年代は1720年以降と言われていますが正確には分かっていません

N響首席奏者・佐々木亮のヴィオラ独奏、清水和音のピアノによる演奏です 初めて聴く曲ですが、二人の息の合った演奏を聴いて、ヴィオラとチェロは限りなく音色が近いことをあらためて認識しました

ここで、いつものトークに入ります 清水氏が佐々木氏をつかまえて、「私はどうもバッハが苦手で、弾いているうち心が不安定になってくるんですよ 私のように感情の起伏が激しい者にはバッハは向かないのかも知れないですね 演奏していてどうですか?」と佐々木氏に振ると、「そうですね。楽譜に書かれているのは単純なんですが、演奏しているうちに訳が分からなくなってくることがあります 実に不思議です」と答えていました。次いで清水氏が「次に演奏するヴァイオリン協奏曲は本来、通奏低音としてチェンバロを使用するのですが、このブランチコンサートでヴィヴァルディの四季を演奏した時に、生まれて初めてチェンバロを弾いたんですが、難しくて二度と弾くまいと思いました 鍵盤の幅が狭く、打鍵がそのまま音に反映しないことがあったりして、演奏がすごく難しかったです。そんな訳で、私は演奏に加わりません。ごめんなさい」と語りました (いいんです。あなたがいなくても演奏は立派に成り立ちますから


     


さて、その「ヴァイオリン協奏曲 第1番 BWV1041」です この曲は1717年~1723年の間のいずれかの年に作曲されたと言われていますが、正確な作曲年代は分かっていません 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグロ・アッサイ」の3楽章から成ます

演奏は、ソロ・ヴァイオリン=伊藤亮太郎、第1ヴァイオリン=大江馨、第2ヴァイオリン=藤江扶紀、ヴィオラ=佐々木亮、チェロ=富岡廉太郎、コントラバス=西山真二です

伊藤氏だけ立奏でソロを務めます。清水氏のピアノ(チェンバロ代わり)が無くても西山氏のコントラバスだけで通奏低音は十分です 伊藤亮太郎氏の独奏は見事です この曲を聴いていて(特に第2楽章)感じたのは、極めてヴィヴァルディ(1678‐1741)のヴァイオリン協奏曲の曲想によく似ているな、ということです 7歳先輩のイタリアの作曲家の影響を受けたのではないかと思います

最後の曲は「ピアノ協奏曲 第1番 BWV1052」です この曲は1738年から42年の間に、自作のヴァイオリン協奏曲を編曲して作られたと言われていますが、原曲は不明です 8曲ある1台のチェンバロのための協奏曲のうちの一つです 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ」の3楽章から成ります

藤江扶紀のリード、全員の演奏により第1楽章に入ります。極めて速いテンポでサクサクと演奏が進みます 現代的でノリのいい演奏を聴いていて、「バッハはジャズだな」と思いました しかし これは逆で、ジャズがバッハの音楽に大きな影響を受けてきたのです   MJQ(モダン・ジャズ・クァルテット)、ジャック・リューシェ、キース・ジャレット・・・一流のアーティストはバッハの影響を受けています

この日のコンサートはバッハの第1番だけを集めたコンサートでしたが、面白い企画だと思います 第2弾は第2番だけを集めたコンサートでしょうか

 

     

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中山七里著「秋山善吉工務店」を読む / 真山仁「バラ色の未来」、相場英雄「トップリーグ」「トップリーグ2」、山里亮太「天才はあきらめた」他を買う

2019年08月28日 07時21分35秒 | 日記

28日(水)。昨日は、9月下旬に予定している父母の法事の打ち合わせのため、埼玉県S市の実家に行ってきました 実家に向かう途中、空からゴーッという大きな音が聴こえてきました 近くにある自衛隊の基地から飛び立ったジェット戦闘機です 1964年の東京オリンピックの開会式では、この基地から飛び立った「ブルーインパルス」が5色の煙で東京の空に五輪のマークを描きました また、帰りに通りかかった神社の木々からは、賑やかな蝉しぐれが聴こえてきました 8月も残りわずか。そろそろ、油蝉から蜩(ひぐらし)に主役が交代する時期かな、と思いながら帰途につきました

ということで、わが家に来てから今日で1610日目を迎え、国連の安全保障理事会は26日、北朝鮮のミサイル発射問題を討議するため27日午前に緊急会合を開くことを決めたが、トランプ米大統領は「金正恩委員長は米朝の合意に違反しているわけではない」としてミサイル発射について問題視しない姿勢を示している というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       トランプは国連ではなく米朝合意を最優先にしてるから 世界の常識からズレてる

 

         

 

昨日、夕食に「鶏の唐揚げ」を作りました いつもの通り栗原はるみ先生のレシピで「旨味醤油」を作るところから始めました  揚げたのは700グラムですが、これで二人分です 何度か作ったのでコツが分かるようになりました 自分で言うのも何ですが、とても美味しく出来ました

 

     

 

         

 

池袋のジュンク堂で本を5冊買いました 1冊目は中山七里著「秋山善吉工務店」(光文社文庫)です 中山七里の本は文庫化されるたびに当ブログで紹介してきました

 

     

 

2冊目は真山仁著「バラ色の未来」(光文社文庫)です 真山仁の本についても文庫化されるたびにtoraブログでご紹介してきましたが、この本は今横浜市などで話題のIR(統合型リゾート)をテーマにしています

 

     

 

3冊目と4冊目は相場英雄著「トップリーグ」と「トップリーグ2~アフターアワーズ」(ハルキ文庫)です 彼の作品も、狂牛病を扱った「震える牛」をはじめ社会的なテーマを扱った作品を当ブログでご紹介してきました

 

     

     

 

5冊目は山里亮太著「天才はあきらめた」(朝日文庫)です ご存知「瓢箪から駒」で大女優との結婚を果たした南海キャンディーズの山里クンのエッセイです 果たして山ちゃんはボクシングではしずちゃんに勝てなくても 文章力では勝てるでしょうか

 

     

 

         

 

買ってきて早々、中山七里著「秋山善吉工務店」(光文社文庫)を読み終わりました

14歳の秋山雅彦と10歳の太一兄弟は父の史親が自宅の火災で死亡したため、母・景子とともに史親の両親である秋山善吉・春江の家に身を寄せることになる 彼らは工務店を営む昔気質の祖父・善吉が大の苦手だ 新しい生活環境に身を置いた彼らを思いもかけないトラブルが待っていた 小学4年の太一はクラスのボス・増渕から自分たちのグループに入るよう誘われたのを断ったことから彼らのいじめの対象になる 太一は反撃しないので、いじめは次第にエスカレートしていく もはやこれまでか となったところで、善吉が助け舟を出す(第1章)。中学2年の雅彦は太一とは正反対で、暴力には暴力で対抗するため、いつしか最強の一匹狼的な存在になっていた    そんな彼を中学の先輩がアルバイトに誘ったが、その先輩は暴力団の準構成員で麻薬取引に手を染めていたのだった   一旦高額なアルバイト代を手にした雅彦は辞めることができなくなるが、あることをきっかけに危ないアルバイトから足を洗いたいと申し出る しかし組織はそれを許さない。そこで登場するのが善吉だった(第2章)。母・景子はやっと見つけた就職先でモンスター・クレーマーの晴海に出会い、金をむしり取られることになる 彼女を救ったのは、祖母の春江だった(第3章)。警視庁捜査一課の刑事・宮藤は、秋山家の火事の原因と史親の焼死について疑問を抱き、秋山一家を追い詰めていく 宮藤は 善吉と史親との親子関係がうまくいっていなかったことから、善吉が放火した犯人ではないか、と疑っていた(第4章)。善吉は解体現場で防塵パネルの下敷きになって重体となり入院し、枕元で家族一人一人に遺言を残し息を引き取る それから8年後、史親と善吉が眠る墓の前で太一と刑事・宮藤が顔を合わせる。太一は宮藤に、8年前の火災の原因は何だったのかを語る(第5章)


     

 

太一と雅彦の物語では、「子どもの喧嘩に大人が口を出していいのか」という疑問が湧きますが、問答無用で相手をやっつけるのではなく、善吉さんはあくまでも正論で通していきます そうした祖父の姿を見ることを通して子どもたちは精神的に成長していきます 善吉が死の間際に太一に残した遺言は「うそをつくな」でした。最後の太一と宮藤との会話で過去の真相が明らかになります ”どんでん返しの帝王”中山七里の面目躍如です

いつものことですが、一気読み必須のミステリーです。お薦めします

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「『ベルリンの壁』崩壊から30年 響く第九」 ~ 朝日新聞の記事から / スティーブン・スピルバーグ監督「E.T.」、「ジョーズ」を観る ~ 新文芸坐

2019年08月27日 07時19分45秒 | 日記

27日(火)。昨日、自転車を粗大ごみに出しました 毎日最低8000歩 歩くことを目標にしてから自転車に乗る機会がめっきり減り、この1年間は一度も乗りませんでした マンションの自転車置き場には私と娘の自転車を1台ずつ駐輪していましたが、1台につき1か月500円、2台で年間12000円も駐輪料金がかかるのでバカになりません そこで、私のママチャリだけ手放すことにしました。コンビニで豊島区の粗大ごみシールを800円分買ってきて自転車に貼りました。20年以上使用し、パンクは数え切れず、ブレーキのワイヤは3回以上切れて取り替えたので、もうお役御免です。よく働いてくれました

ということで、わが家に来てから今日で1609日目を迎え、米中貿易摩擦をめぐる制裁措置の応酬を受け、26日の金融相場は円高と株安が進み、日経平均株価は前日比449円87銭安の20261円となった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                 トランプのひと言に左右されるトランポリン相場を止めるのは 習近辺の誰かか?

 

         

 

昨日、夕食に「ハッシュドビーフ」と「生野菜サラダ」を作りました ハッシュドビーフは久しぶりに作りましたが、美味しくてお代わりしました

 

     

 

         

 

昨日の朝日新聞朝刊・総合面に「『壁』崩壊30年  響く第九」の見出しによる記事が載っていました 超訳すると、

「ベルリン・フィルが24日夜、ベルリン市中心部のブランデンブルク門前の特設会場で野外公演を開き、ベートーヴェンの交響曲第9番を演奏した 今年は東西冷戦の象徴となった『ベルリンの壁』崩壊から30年。崩壊直後にも『第九』の演奏があった。この日は約2万人の市民が耳を傾けた ベルリン・フィルは、17年ぶりに首席指揮者が交代。新任のロシア出身、キリル・ぺトレンコ氏がライトアップされた門の前で指揮した

上の記事の中で、「崩壊直後にも『第九』の演奏があった」と書かれていますが、1989年11月のベルリンの壁崩壊を記念して、その1カ月後の12月25日にベルリンのシャウシュピールハウス(現コンツェルトハウス)で演奏されたのが、アメリカのレナード・バーンスタインが旧西ドイツのバイエルン放送交響楽団をメインに、旧東ドイツ(シュターツカペレ・ドレスデン)、アメリカ(ニューヨーク・フィルハーモニック)、ソ連(レニングラード・キーロフ劇場管弦楽団)、英国(ロンドン交響楽団)、フランス(パリ管弦楽団)の6つのオーケストラのメンバーから成る混成オケを指揮したコンサートです 残念ながらベルリン・フィルからは誰も参加していません その時の演奏はドイツ・グラモフォンからライブ録音CDとして発売されました 私は輸入盤を3000円で買いましたが、CDジャケットの右上にはベルリンの壁の一部の石片が収められています

このライブ録音では、第4楽章の合唱部分が「歓喜」という歌詞を「自由」に置き換えて歌われています 指揮者はバーンスタイン。言うまでもなく熱い演奏が繰り広げられていますが、この時、彼は肺がんに侵されていたといいます

 

     

     

 

         

 

昨日池袋の新文芸坐でスティーブン・スピルバーグ監督による「E.T.」と「ジョーズ」の2本立てを観ました

「E.T」は1982年製作アメリカ映画(115分)です

アメリカの とある森に地球の植物を調査するため宇宙船が飛来する。人間たちの追跡が迫り、宇宙船は逃げるように飛び去るが、その時一人の異星人が取り残されてしまう 森のそばに暮らす少年エリオットは、その異星人と出会い家に匿う。兄と妹を巻き込んでE.T.と名付けた異星人と交流を深めていくが、地球人の言葉を理解するようになったE.T.は自分の生まれた星に帰りたいと言う E.T.はゲーム機やがらくたを集めて宇宙との通信器を作り、迎えに来るよう発信するが、なかなか迎えが来ない そのうち異星人に興味を持つ科学者たちに見つかり捕獲されてしまう。一度は命が尽きるが、宇宙との通信が通じ復活する そして迎えに来た宇宙船に乗って飛び去っていく

 

     

 

この映画を初めて観たのは、日本でのロードショー公開時だったので、今から35年以上も前のことでした 今回 映画を観ながら「ああ、こういうストーリーだったんだな」と思い出していました まさに大人も子供も感動するSFファンタジーです ラスト近くで、パトカーに追われながら森を目指すエリオットたちの自転車が、E.T.を籠に載せたまま空に舞い上がるシーンでは 思わず拍手をしたくなります そのシーンに深みを与えているのは、ジョン・ウィリアムズの音楽です このシーンに限らず、彼は感動的な音楽を付けています

電話機が通信手段だと知ったE.T.が指で空を指してエリオットに「 E.T.  home  phone 」と言いますが、その後テレビで放映された「E.T.」では「 E.T.  おうち  帰る 」と訳されていました このセリフ、当時はやったように思います

 

         

 

「ジョーズ」は1975年製作アメリカ映画(124分)です

海水浴客でにぎわう夏の海に突如として巨大な人食いザメが出現し、若い女性が無残に食い殺される 警察署長のブロディ(ロイ・シャイダー)は海水浴場の閉鎖を訴えるが、町の財政は夏の観光で成り立っているため、意見を聞き入れてもらうことができない すると、第2、第3の犠牲者が発生し、町はたちまちパニックに陥る ブロディは若き海洋学者のフーパー(リチャード・ドレイファス)と 荒くれ者の地元の漁師クイント(ロバート・ショウ)とともに、独断でサメ退治に乗り出す しかし、サメは彼らが予想していたよりもはるかに巨大で力が強く、3人はサメと死闘を繰り広げることになる

 

     

 

この映画は、製作当時 弱冠27歳だったスピルバーグが、ピーター・ベンチュリ―の同名小説を映画化し、大ヒットを記録したパニック映画です

この映画が怖いのは、なかなか姿を現さないサメの存在と、サメが近づくことを暗示する重低音の音楽です おそらくコントラバスによる音だと思いますが、小さな音からだんだん大きくなって、いきなり牙を剥きだした巨大なサメが目の前に現れます この音と映像との相乗効果が怖いのです

この手の映画は、屋内のプールでミニチュアを使った特殊撮影でお茶を濁すケースが多いようですが、この「ジョーズ」は、設定どおりの大きさのサメを作って海に沈め、俳優たちと実際に格闘させ、それをもう1隻の船から撮影するという前代未聞のロケーション撮影を行ったそうです それが、リアルで迫力ある映像に結実しているということです

今回観た2本の映画は、監督としてのスティーブン・スピルバーグの凄さと、映画音楽のスペシャリストとしてのジョン・ウィリアムズの凄さを再認識させられた作品だったと言えます

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ヨルゴス・ランティモス監督「女王陛下のお気に入り」、ルカ・グァダニ―ノ監督「サスペリア」を観る ~ シューマン「ピアノ五重奏曲作品44」の第2楽章も流れる

2019年08月26日 07時26分37秒 | 日記

26日(月)。わが家に来てから今日で1608日目を迎え、韓国の文在寅政権が日本と韓国の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄に踏み切ったことで、文氏を支持する革新陣営と保守陣営との分断が増幅している というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     北朝鮮のミサイル発射実験、側近 秘書官のスキャンダルと次々と追い詰められる

 

         

 

昨日、早稲田松竹で「女王陛下のお気に入り」と「サスペリア」の2本立てを観ました

女王陛下のお気に入り」はヨルゴス・ランティモス監督による2018年アイルランド・イギリス・アメリカ合作映画(120分)です

18世紀初頭、ルイ14世が統治するフランスと交戦中のイングランドでは、揺れる国家と女王のアン(オリヴィア・コールマン)を、女王の幼馴染みで女官長を務めるレディ・サラ(レイチェル・ワイズ)が操っていた そこに、サラの従妹で上流階級から没落したアビゲイル(エマ・ストーン)がやってきて、召使として働くことになる サラに気に入られ、侍女に昇格したアビゲイルだったが、彼女の中に上流階級への復活と生き残りをかけた野望が芽生え始める。サラが戦争終結派と続行派に分かれた権力争いに没頭しているうちに、アビゲイルは少しずつ女王のお気に入りの座をつかんでいく


     

 

この映画は、イングランド女王、スコットランド女王、グレートブリテン王国女王だったアン(1665~1714年)が、父の宮廷の女官で 後のマールバラ公チャーチル夫人となるサラ・ジェニングスと幼なじみであり、サラは戦争の続行を女王に助言していたが、女王は次第に和平推進派に傾き始め、サラを憎むようになり彼女を宮廷から追放し、サラの従妹アビゲイル・メイシャムを重用したという史実に基づいて描かれています

史実かどうかは不明ですが、アンは室内でウサギを17匹飼っており、それぞれに名前を付けて呼んでいますが、それは死んでいった自身の子どもたちの名前でした アンは6回の死産、6回の流産を含め生涯に17回妊娠したものの、一人の子も成人しなかったそうです。どれほど悲しかったことでしょう しかし、それほど多くの子どもを妊娠したのに、画面には夫(デンマーク・ノルウェー王フレデリック3世の次男ヨウェン)の姿がまったく現れません。彼を表に出さないことによって女性同士のバトルを際立たせたのだと思います 何かを生かすためには何かを消す必要があるということでしょうか

ところで、アンは肥満体質で、ブランデーが大好きだったとのことで、この映画では痛風を患っている設定になっており、杖をついたり車椅子で移動したりしています

この映画は、何と言ってもアン役のオリヴィア・コールマン、レディ・サラ役のレイチェル・ワイズ、そしてアビゲイル役のエマ・ストーンの個性派女優3人による三角関係の闘いが見ものです

舞台が18世紀初頭となっていることから、バロック(らしい)音楽が全編にわたり使われていましたが、悔しいことに作曲者・作品名は一つも分かりませんでした その一方で、ロベルト・シューマンの「ピアノ五重奏曲変ホ長調作品44」(1842年)の第2楽章冒頭の葬送行進曲風の音楽が2つのシーンで使われていたことに気が付きました 女王陛下の物語にシューマンの音楽・・・斬新だと思います

 

         

 

「サスペリア」はルカ・グァダニ―ノ監督による2018年イタリア・アメリカ合作映画(152分)です

1977年、ベルリンを拠点とする世界的に有名な「マルコス舞曲団」に入団するため、スージー・バニヨン(ダコタ・ジョンソン)は夢と希望を胸にオハイオ州からやってくる 初のオーディションでカリスマ振付師マダム・ブラン(ティルダ・スウィントン)の眼に留まり、すぐに重要な演目のセンターに抜擢される そんな中、マダム・ブラン直々のレッスンを続ける彼女の周りで不可解な出来事が頻発、ダンサーが次々と失踪を遂げる 一方、心理療法士クレンペラー博士は、患者だった若きダンサー、パトリシアの行方を捜すうちに、舞踏団の闇に近づいていく やがて、舞踏団に隠された恐ろしい秘密が明らかになり、スージーの身にも危険が及んでいた


     


この映画は、ダリオ・アルジェント監督の伝説の傑作「サスペリア」(1975年製作)のリメイク版とのことです あらかじめ「オリジナル版」を観ていれば、この難解なリメイク版を容易に理解することができたと思います 簡単に言ってしまえば、「マルコス舞踏団」は魔女が牛耳る集団だったということですが、予想していたよりもちっとも怖くなかったというのが正直な感想です

舞踏団の生徒たちがモダン・バレエを踊るシーンを観ていたら、いつか映画で観たピナ・バウシュ率いる「ヴッパタール舞踏団」のバレエ・シーンを思い出しました あれを観て「バレエは芸術だ」と思いました

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沼尻竜典 ✕ 森麻季 ✕ 東響でモーツアルト「交響曲第40番ト短調」、「ドン・ジョバン二」序曲&アリア「むごい女ですって」他を聴く ~ 第37回モーツアルト・マチネ「モーツアルト✕晩年」

2019年08月25日 07時21分17秒 | 日記

25日(日)。昨日の朝日新聞・別刷り「be」の「be  between 読者とつくる」コーナーのテーマは「料理を作るの、好きですか?」でした 

beモニターの回答者1724人による集計結果によると「はい」が54%、「いいえ」が46%だったそうです 「はい」の理由は「健康的、栄養のバランスがいい」(479人)、「経済的だから」(472人)、「作って食べたい献立がある」(412人)、「手作りはおいしい」(401人)、「楽しい、気分転換」(336人)がトップ5となっています 一方、「いいえ」の理由は「調理作業が面倒」(496人)、「料理が下手」(316人)、「他の人が作ってくれる」(273人)、「献立を考えるのが面倒」(254人)、「食材をそろえるのが面倒」(219人)がトップ5になっています

私は週5日間(月~金)は夕食を作りますが、その一番の理由は「働く娘と同居しているから」です もし家族がいない単身家庭だったら食事は作らず 総菜を買ってきて済ますかも知れません ただ、独身時代に1年間アパートで一人暮らしをした経験から言うと、どうしても食べるものが偏ります。ラーメン、餃子、カツ丼、牛丼、焼き鳥、カレーライス・・・毎日のようにこういう料理ばかり食べていたら健康に良いわけがありません したがって、単身の場合でも栄養のバランスは考えると思います それでも、外食は必ず飽きます その一方、「いいえ」の理由はよ~く分かります 私の場合、一番の理由は「献立を考えるのが面倒」だからです。でも、一旦メニューを決めてしまえば、あとはレシピ通りにさっさと作るだけなのであまり悩むこともありません 最近、外食して「これだったら自分で作った方がよっぽど美味しいし経済的だ」と思うことが多くなりました わが家の強みは、山形に単身赴任している息子は毎日自炊して料理の腕を磨いているし、娘は私が現役の時には毎日夕食を作ってくれていたので料理は得意だし、私はまだ半人前とは言え 少しずつレパートリーを増やしつつあるし、と 3人とも料理が出来ることです    さて、お宅はいかがでしょうか

ということで、わが家に来てから今日で1607日目を迎え、トランプ米大統領は23日、中国が米国への報復関税を発表したことに関連し「偉大な米国企業に対し、米国内への生産移管も含め、中国の代替先をすぐに探し始めるよう命じる」とツイッターで述べ、中国からの撤退を呼びかけた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     米国の大統領はいつからそんな権限を持つようになったんだ?  共産主義国家か?

 

         

 

昨日、ミューザ川崎で「第37回 モーツアルト・マチネ モーツアルト✕晩年」を聴きました   プログラムはモーツアルト①オペラ「ドン・ジョバンニ」K.527から序曲、②同:アリア「むごい女ですって」、③「コジ・ファン・トゥッテ」K.588から序曲、④同:アリア「恋人よ、許してください」、⑤交響曲第40番 ト短調 K.550です   ②④のソプラノ独唱は森麻季、管弦楽=東京交響楽団、指揮=沼尻竜典です

沼尻竜典氏は1990年ブザンソン国際指揮者コンクール優勝。現在、びわ湖ホール芸術監督、トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア音楽監督を務めています

森麻季さんは東京藝大大学院、文化庁オペラ研修所修了。ミラノとミュンヘンに留学。プラシド・ドミンゴ世界オペラコンクール等、国内外のコンクールで上位入賞を果たしています

 

     

 

ミューザ川崎でコンサートを聴くのは「フェスタサマーミューザ」のフィナーレコンサートのあった8月11日以来、ほぼ2週間ぶりです   月日の流れの速さを感じます

自席は1階8列センターブロック右側です

オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置 チェロのトップにはソロや室内楽の活動でお馴染みの上森祥平氏がスタンバイしています コンミス(客員)は1992年生まれ、2014年ロン・ティボー=クレスパン国際コンクール第2位入賞の青木尚佳さんです

1曲目はオペラ「ドン・ジョバンニ」K.527から序曲です オペラ「ドン・ジョバンニ」はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756‐1791)がプラハ国民劇場の委嘱により1787年に作曲しました 1786年にオペラ「フィガロの結婚」がウィーンで大評判を呼びましたが、プラハでも上演されることになり、モーツアルトは1787年にこのオペラの上演のため当地に招待されます その年の1月に彼はプラハに赴きましたが、その時に新しいオペラの作曲を依頼されます。それが「ドン・ジョバン二」です このオペラは同年10月29日にプラハ国民劇場で初演され大成功を収めました

沼尻氏の指揮で演奏に入ります 冒頭の衝撃的な和音はドン・ジョバンニの悲劇的な運命を暗示するかのようです モーツアルトのオペラはその序曲にエッセンスが集約されています 指揮棒を持たない沼尻氏は大きな身振りでデモーニッシュな音の世界を構築します

淡い紫色のエレガントなドレスに身を包まれた森麻季さんが登場し、「ドン・ジョバンニ」第2幕第12場でドンナ・アンナが恋人のドン・オッタ―ヴォに向かって歌うレチタティーヴォとアリア「むごい女ですって」を歌います 森さんの特徴はクリアな歌声です とくに高音部が綺麗で、後半のコロラトゥーラが鮮やかです 目をつぶってブラインド・テストをやっても森さんの声は判別できると思います。声に個性があります

次いでオペラ「コジ・ファン・トゥッテ」K.588から序曲が演奏されます 「コジ・ファン・トゥッテ」は1789年から翌90年にかけて作曲され、1790年1月26日にウィーンの宮廷劇場で初演されました この序曲もオペラのエッセンスを凝縮したような明るく軽快な曲想になっています オーボエの荒木奏美、ファゴットの福士マリ子、フルートの柳原佑介(客員)による掛け合いが楽しく聴けました

再度 森麻季さんが登場し、「コジ・ファン・トゥッテ」第2幕からフィオルディリージのアリア「恋人よ、許してください」を歌います 森さんはこの曲でも透明感のある美しい歌声で、良心の呵責に苦しむヒロインの心情を歌い上げました


     


プログラムの最後は「交響曲第40番 ト短調 K.550」です この曲は1788年6月から8月までの3か月間に「第39番 変ホ長調 K.543」「第41番ハ 長調K.551」とともに作曲されました モーツアルトの交響曲の中で短調の曲は、この第40番の他には「第25番 ト短調 K.183 」があるのみです 言うまでもなく、どちらも名曲です 第1楽章「アレグロ・モルト」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「メヌエット(アレグレット)」、第4楽章「アレグロ・アッサイ」の4楽章から成ります

演奏に先立って、ティンパニ奏者が退出しました。今までは深く考えなかったのですが、第40番はティンパニの出番がないのです これは数年前に、第39番にオーボエの出番がないのに気付いた時以来の衝撃的な出来事です 「何年クラシック聴いてきたんだ」と非難されそうですが、あらためて自分の無知蒙昧さに呆れています

この曲を最後に生演奏で聴いたのはいつだったろうか、と考えてしまうほど聴いていません 久しぶりにト短調交響曲を聴いて、あらためて「ロマン溢れる哀しみの推進力」とでも表現すべき音楽と感じました この曲の演奏は、木管楽器の誰それとか、金管の誰それとか、誰かの演奏が突出していたということではなく、弦楽器と管楽器がよく溶け込んで見事なハーモニーを奏でていたというのが相応しい言い方だと思います

ところで、この曲の第4楽章「アレグロ・アッサイ」の冒頭部分の演奏を聴いて思い出したのは、小林秀雄の「モオツァルト」です 

音楽評論と言ったらよいのか、文芸評論と言ったらよいのか、単にエッセイと言えばよいのか分かりませんが、あまりにも有名なこの作品の「1」は、

「エッケルマンによれば、ゲエテは、モオツァルトに就いて一風変わった考え方をしていたそうである」

という書き出しで始まっています そして「2」は交響曲第40番の第4楽章の冒頭部分の楽譜を載せた上で、

「もう二十年も昔の事を、どういう風に思い出したらよいかわからないのであるが、僕の乱脈な放浪時代の或る冬の夜、大坂の道頓堀をうろついていた時、突然、このト短調シンフォニイの有名なテエマが頭の中で鳴ったのである。僕がその時、何を考えていたか忘れた。いずれ人生だとか文学だとか絶望だとか孤独だとか、そういう自分でもよく意味のわからぬやくざな言葉で頭を一杯にして、犬の様にうろついていたのだろう」

と書き出しています(新潮文庫:小林秀雄「モオツァルト・無常という事」13ページ)。

そして、彼は次のように続けています

「兎も角、それは、自分で想像してみたとはどうしても思えなかった。街の雑踏の中を歩く、静まり返った僕の頭の中で、誰かがはっきりと演奏したように鳴った。僕は、脳味噌に手術を受けた様に驚き、感動で慄えた。百貨店に駆け込み、レコオドを聞いたが、もはや感動は還って来なかった。自分のこんな病的な感覚に意味があるなどと言うのではない。モオツァルトの事を書こうとして、彼に関する自分の一番痛切な経験が、自ら思い出されたに過ぎないのであるが、一体、今、自分は、ト短調シンフォ二イを、その頃よりよく理解しているのだろうか、という考えは、無意味とは思えないのである

「モオツァルト」が書かれたのは昭和21年(1946年)でした 当時の「知」の最先端を行く小林秀雄がここで語っている「一体、今、自分は、ト短調シンフォ二イを、その頃よりよく理解しているのだろうか、という考えは、無意味とは思えないのである」という言葉は、73年後における現代の聴衆にも重くのしかかってきます


     

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新国立オペラ「エフゲニ・オネーギン」オペラトークに参加申し込む / ロバート・フラハティ監督「ルイジアナ物語」&「モアナ 南海の歓喜」を観る~ドキュメンタリーと呼ばれた初めての映画

2019年08月24日 07時17分30秒 | 日記

24日(土)。わが家に来てから今日で1606日目を迎え、韓国政府が日本との軍事情報包括保護協定を破棄すると正式に日本側に通告した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      文政権の選択は北朝鮮の思う壺だ  下手をすると韓国は北朝鮮に併合されるぞ!

 

         

 

昨日、夕食に「ラタトゥユ」「焼肉」「冷奴」を作りました 「ラタトゥユ」は脇雅世先生のレシピですが、食材はナス、赤パプリカ、ズッキーニ、トマト、カボチャ、紫玉ねぎ、にんにく、ロリエです 調味料は塩しか使っていませんが、その塩加減が非常に難しく、今回は2度目ですが塩をちょっと入れ過ぎました 今回の失敗を次回に生かしたいと思います

 

     

 

         

 

9月23日(月・祝)11時半から新国立劇場オペラパレスのホワイエで開かれる「エウゲニ・オネーギン」オペラトークに参加申し込みをしました 演出のドミトリー・ベルトマン氏(司会・通訳=一柳富美子)のトークのほか、カヴァー歌手による演奏があります 料金は全自由席で1500円です

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹で「ルイジアナ物語」と「モアナ 南海の歓喜」の2本立てを観ました

「ルイジアナ物語」はロバート・フラハティ監督・脚本による1948年アメリカ映画(モノクロ・78分)です

ルイジアナの広大な湿地に両親と住む少年アレクサンダー(ジョゼフ・ブドロー)。自然と野生動物に囲まれた彼の生活は、ある日、父親が油田掘削の許可書にサインしたことで大きく変わる アレクサンダーはほどなく始まった掘削作業に魅了されていき、作業員との和やかな交流が生まれるが、突如石油ガスの発生によるトラブルによって掘削は中止の危機に陥ってしまう。しかし、やがて作業は再開され石油が発掘される


     


この映画はモノクロですが、鮮明な映像に惹かれます アライグマと一緒にカヌーに乗って湿地帯を行くアレクサンダー少年の姿が頼もしく見えます 少年を演じたジョゼフ・ブロドーはオーディションで選ばれた素人とのことですが、笑顔に魅力があります アレクサンダーといつも一緒にいるアライグマは、木に登ったり、カヌーから沼に飛び込もうとしたり、泳いでカヌーを引っ張ったり、一時は沼に棲むワニに食われかかったりと、ハラハラドキドキさせながらも愛嬌があり、隠れたヒーローです

音楽はヴァージル・トムソンという人が担当していますが、演奏しているのはユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団です オーマンディ(1899-1985)はハンガリー出身のユダヤ系アメリカ人ですが、1938年からレオポルド・ストコフスキーの跡を継いでフィラデルフィア管弦楽団の音楽監督を42年間にわたり務めました 彼の在籍中、このオケの音は「フィラデルフィア・サウンド」「オーマンディ・サウンド」と呼ばれました 私はン十年前にこのコンビの来日公演(ブラームスの交響曲第3番ほか)を東京文化会館で聴きましたが、あまりにもゴージャス過ぎて、渋いブラームスには向かないな、と思いました それに引き換え、シベリウスの交響曲第2番のLPは最高とも思える演奏でした


         


「モアナ 南海の歓喜  サウンド版」はロバート・フラハティ監督・撮影による1926・1980・2014年アメリカ映画(モノクロ・78分)です

南太平洋サモア。楽園のような島で暮らす一家の長男モアナにはフィアンガセという婚約者がいた タロイモを採り、丸木舟で海に出て魚を獲る、のどかな島の暮らしがある ただお祝いの儀式だけは特別だ この日はモアナの結婚式。ほら貝の音とともに太鼓が鳴り響き、村は子供から大人まで祝祭に満ち溢れている モアナは成人男性の印であるタトゥーを施し、フィアンガセとともに歓喜の踊りを舞い、盛大な挙式が行われる


     


この映画は1926年に公開された時、新聞の映画評で「ドキュメンタリー」という言葉で紹介された初めてのケースとして知られています 無声だった作品に1980年、娘モニカ・フラハティ監督が現地の人々による本物の音や会話や民謡を録音し付け加えました さらに2014年に最新のデジタル技術により生まれ変わりました

モアナたちが罠を仕掛けてイノシシを捕獲するシーン、モアナの弟が岩間に隠れた大きな蟹を煙で燻し出してつかまえるシーン、フィアンガセが生の魚を食べるシーン、透き通った海でウミガメを追い回すシーンなど、モノクロとは思えないほどリアルな映像が映し出されます

今から93年前にこのような素晴らしい映画が作られたとはとても信じられません 映像だけでも訴求力があると思いますが、娘のモニカ監督が音声を付け加えたことによって映画に命が吹き込まれたように思います

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東京藝大「ウィーン、愛の物語 ~ ウィーンを歌う、ウィーンは謳う」のチケットを取る / 「江戸川乱歩の陰獣」、「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」を観る ~ 新文芸坐

2019年08月23日 07時18分10秒 | 日記

23日(金)。わが家に来てから今日で1605日目を迎え、共同通信によると韓国政府は22日、日本と結んでいる軍事情報包括保護協定を破棄することを決めたと発表した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      北朝鮮がミサイル発射実験を繰り返す中  いいんですか? えっ 来年大統領選!?

 

         

 

昨日、夕食に「チキンステーキ」と「キャベツの中華スープ」を作りました チキンステーキを作るのは2度目ですが、とても美味しく出来ました

 

     

 

         

 

11月10日(日)午後3時から東京藝大奏楽堂で開かれる「ウィーン、愛の物語~ウィーンを歌う、ウィーンは謳う」のチケットを取りました これは「東京藝大うたシリーズ2019」の一環として開かれるコンサートです。プログラムは下のチラシの通りで、第1部がリート(モーツアルト、ヴォルフ、マーラー、コルンゴルト、シェーンベルク)、第2部がオペレッタ(レハール、J.シュトラウス2世)となっています 入場料金は全席自由で2000円です

 

     

     

     

         

 

昨日、池袋の新文芸坐で「江戸川乱歩の陰獣」と「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」を観ました

「江戸川乱歩の陰獣」は加藤泰監督・脚本による1977年製作映画(118分)です

本格探偵小説家の寒川光一郎(あおい輝彦)に、うなじに赤いミミズ腫れのある人妻・小山田静子(香山美子)が彼のファンだと言って近づいてくる 彼女は寒川に、変格派推理小説家で初恋の相手でもあった大江春泥から脅迫されていると訴える 寒川は自分が一番軽蔑している春泥の名を聞き興味を抱く。脅迫状には、静子と夫の夜の秘事までの完璧な観察記録があり、闇に潜む陰獣のような目に静子は恐れおののいていた 静子が物音がしたという小山田邸の天井裏を探ってみると誰かが這いまわったような跡があり、飾りボタンが一つ落ちていた。寒川は春泥の足取りを探る。そして、寒川の担当編集者で一度だけ春泥と面識のある本田(若山富三郎)は浅草でピエロ姿の春泥を見たと言い出したが、全く彼の足取りはつかめなかった 静子に第2の脅迫状が届き、その予告通り、静子の夫・六郎(大友柳太朗)が隅田川の船着き場に溺死体で浮かび上がった 六郎の通夜の席に顔を出したヘレン・クリスティに寒川は不審を抱いた。そんなある日、ヘレンは寒川をホテルに誘い、自分を鞭で打ってくれと懇願する。その時寒川はヘレンが天井裏で見つけたボタンと同じものが付いた手袋を持っていることを知る それは、六郎が英国出張中に二人で対で買ったもので、ヘレンは六郎の英国での情人だったのだ。寒川はヘレンのマゾヒズムの喜びと、六郎の部屋にあった乗馬鞭、そして静子のうなじのミミズ腫れを思い出し、静子を責めるだけでは満足できなくなった六郎が一連の脅迫犯人ではないか、と推理した しかし、納得できないことがあった。それは、編集者の本田が見た春泥は彼の本の奥付についている写真とは違う人物だったことだ その頃、寒川と静子は とある土蔵を借りて、親密な日夜を送る関係になっていた。ある日、歌舞伎役者の市川荒丸(川津祐介)が殺された。本田は、彼こそが自分が会った春泥だと言った また、小山田家の運転手が六郎からボタンが欠けたまま昨年11月に貰ったという手袋が天井裏のものと同一であることが判明する 春泥=六郎という寒川の推理は根底から崩れた。土蔵に戻ると、静子が寒川にヘレンが彼に懇願したことと同じことを求めてきた。その時 寒川は、一連の事件は変格派の春泥が本格派の自分に対し探偵作家として二重三重の巧妙なトリックを仕掛けてきたものではないかと閃いた そして脅迫状の送り主である春泥の正体を暴く


     


この映画はストーリーが複雑で登場人物も多いことから、ついていくのが大変でした 江戸川乱歩という人は、このような倒錯した世界を描いた作品も残したのだな、と新鮮な驚きを感じました 最後のシーンに登場する「赤い部屋」に象徴される鮮烈な映像美が、「ツィゴイネルワイゼン」の鈴木清順監督を想い起こさせました


         


「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」は石井輝夫監督・脚本による1969年製作映画(99分)です

人見広介(吉田輝雄)は過去の記憶がない 医学生だった彼は精神病院に閉じ込められているが、その理由も分からない サーカスの少女・初代(由美てる子)が歌う子守歌から記憶を取り戻しかけたが、目の前で少女が殺され、その犯人にされてしまう 逃亡者となった彼は北陸へ向かう列車の中で、自分と瓜二つの菰田源三郎(吉田輝雄)の死亡記事を目にする。広介は埋葬された源三郎が生き返ったように見せかけて源三郎に成りすます。こうして広介は奇妙な生活を送る羽目になる 源三郎の父・丈五郎(土方巽)は生まれながらの奇形で、執事の蛭川(小池朝雄)に家を任せ、沖にある無人島で島を改造しているという 間もなく菰田家で源三郎の妻・千代子が殺される。広介は執事の蛭川,遠縁にあたる娘・静子(賀川雪絵)、下男を連れて島に渡る。丈五郎は奇形人間を作り 島に自らの理想郷を作ろうとしていた。そこでは初代そっくりの秀子(由美てる子)という娘が男と人工的なシャム双生児にされていた 実は広介は源三郎の弟であり,広介が医大に通っていたのは丈五郎が奇形人間の製造を任せるためだったのだ 広介は自らが源三郎ではなく広介であると丈五郎に打ち明け、愛し合うようになった秀子に外科手術を施し、もとの身体にしてやる ところが、秀子には出生の秘密があった。秀子は丈五郎が浮気を憎んだ妻・ときをせむし男に犯させて生ませた子で、広介と秀子は兄妹だったのだ 丈五郎はピストルを出し、広介に奇形人間製造の協力を求めるが、下男の正体は明智小五郎であり、ピストルの弾はすでに抜かれていた。明智は執事の蛭川が静子と愛人関係にあるうえに、丈五郎を殺そうとして間違って千代子を殺してしまったことなどを暴く 計画の不可能を悟った丈五郎は自殺し、愛し合うようになった秀子と広介は心中し、花火となって空中に四散した

 

     


映画の冒頭で、精神病院の独房に拘束されている人見広介が「おれは気違いじゃない。ここから出してくれ」と叫ぶシーンがあります。この映画が作られた当時は「気違い」という言葉は普通に使われており、精神病院のことを気違い病院と呼ぶ 心ない人たちもいました   人権意識が高まってきた令和の時代、「野球気違い」などと言うことはあっても、「気違い病院」と言う人はいません

この映画とは直接の関係はありませんが、昨日の朝日新聞朝刊「オピニオン&フォーラム」欄に東京都立松沢病院の斎藤正彦院長のインタビューが載っていました 内容は、日本の精神医療は海外に比べて多い病床数や身体拘束、長期入院など、とかく人権上の課題を指摘されてきたが、松沢病院は身体拘束を大幅に減らすなど大胆な改革を進めているというものです ただし、理想の医療を追求するためには「年間65億円稼ぎ、130億円を使う」ため赤字が恒常化しているとのこと 斎藤院長は「精神医療の目的は、精神に障害があっても、ふつうに生活できるようにすることです 多額の税金によって運営される公立病院は、採算にとらわれずに必要とされる医療を提供するだけでなく、民間医療機関を支援し、精神医療を取り巻く環境全体を向上させなければなりません。できるだけ多くのニーズに応えるためにも、納税者が納得してくれる経営効率の達成は前提条件です」と語っています

この映画で言えば、常軌を逸した丈五郎こそ精神病院に長期入院しているべき人物だったのです

もう一つ、この映画で気になったのは「裏日本」という言葉です これも当時は普通に使われていた言葉です。つまり太平洋側にある地方の「表日本」に対する日本海側にある地方の「裏日本」です。これについては、「裏日本」という呼び方が差別的な印象を受けることから、NHK等でも表現方法を再考するようになり、現在では使われなくなっており、太平洋側、日本海側と表現しています 「歌は世につれ、世は歌につれ」と言いますが、「言葉は世につれ、世は言葉につれ」と言い換えても良いかも知れません 昔の映画は、その時代の風俗・風景を映し出しているので、それらを観るだけでも面白いと思います

映画のラストはカラフルな打ち上げ花火が夜空に咲くシーンですが、花火に混じって広介と秀子の首が浮かんでは消えていく場面はシュールでした


     

コメント
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