人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

東京藝大「ブラームス室内楽の喜び 第4回」を聴く~河野文昭+伊藤恵の「チェロ・ソナタ第2番」ほか

2015年11月30日 07時22分34秒 | 日記

30日(月)。月日の流れは速いもので今日で11月も終わりです。ということで、昨夜もゲージからなかなか出てこず自分の陣地に立てこもる、わが家に来てから429日目を迎えたモコタロです

 

          

          モコタロ~ 周りは警察官に囲まれている 観念して出てこ~い

 

  閑話休題  

 

昨日、上野の東京藝大奏楽堂で東京藝大「ブラームス室内楽の喜び 第4回」公演を聴きました プログラムはブラームスの①ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調、②チェロ・ソナタ第2番ヘ長調、③ハンガリー舞曲集第1集から第17番~第21番、④ピアノ五重奏曲ヘ短調です

 

          

 

午後3時開場ですが、全自由席のため1時間前の2時に会場に着きました。楽勝で1番乗りか、と思いきや、何とすでに80人くらいの人が並んでいました それでも1階7列13番、センターブロック左通路側席を押さえることが出来ました。会場はほぼ満席です

最初の「ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調」はヴァイオリン=東京藝大演奏藝術センター准教授の野口千代光、ピアノ=東京藝大准教授の東誠三です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「ウン・ポコ・プレスト・エ・コン・センティメント」、第4楽章「プレスト・アジタート」から成りますが、第1楽章の冒頭が演奏されたとき「ああ、ブラームスは良いなあ」と思いました。ヴァイオリンは美しい音で旋律を奏でています ピアノもぴったり付けています。ブラームスはこの曲をスイスのトゥーン湖畔で作曲に着手したそうです。プログラムにその湖の写真が載っていますが、非常に美しいところです こういう場所でブラームスは名曲を作ったのだな、と感じ入りました

2曲目の「チェロ・ソナタ第2番ヘ長調」はチェロ=藝大教授の河野文昭、ピアノ=同じく藝大教授でソリストとしても活躍している伊藤恵です この曲は第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アダージョ・アッフェットゥーソ」、第3楽章「アレグロ・パッショナート」、第4楽章「アレグロ・モルト」から成ります

第1楽章冒頭は伊藤恵のピアノから入りますが、気合が入っています すぐに河野文昭のチェロが入りますが、このチェロが素晴らしい 何回かこの人の演奏を奏楽堂で聴いていますが、明るく明快なチェロで、演奏に安定感があります 伊藤恵との相性もぴったりです。こういう演奏でブラームスを聴くと、「やっぱりブラームスは室内楽だよね」と言いたくなります。第3楽章が終わると、曲全体が終わった印象があるので、普通のコンサート会場だと、間違えてフライングの拍手が起こるところですが、藝大奏楽堂でのコンサートは耳の肥えた聴衆が揃っているのか、席が早い者勝ちのため早めに来てプログラムを読んでこの曲が4楽章から成ることを”予習”しているせいか、ただの一人もフライングがありません そのあとの第4楽章のフィナーレは圧巻でした

 

          

 

休憩後の最初は、「ハンガリー舞曲集」から第17番~第21番が、藝大非常勤講師の伊藤わか奈と同じく佐々木崇のピアノ連弾で演奏されました ブラームスの時代には、コンサート会場で演奏される交響曲などの大曲よりも、このような家庭で演奏できる小曲が人気を博したようですね

さてコンサートを締めくくるのは「ピアノ五重奏曲ヘ短調」です。演奏は第1ヴァイオリン=藝大准教授で紀尾井シンフォ二エッタでも活躍中の玉井菜採、第2ヴァイオリン=藝大大学院在学中の三輪莉子、ヴィオラ=藝大准教授の市坪俊彦、チェロ=河野文昭、ピアノ=ザルツブルク・モーツアルテウム大学教授のジャック・ルヴィエです

この曲は、最初は弦楽五重奏曲として作曲されましたが、破棄され、2台のピアノ版に改訂されました。そして、最終的にピアノ五重奏曲として完成されたものです ブラームス自身がこの曲を「演奏が難しい作品の一つ」と述べているとおり、かなりの実力者ぞろいでないと弾きこなせない曲です 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ・ウン・ポコ・アダージョ」、第3楽章「スケルツォ」、第4楽章「フィナーレ」から成ります。第1楽章の有名なテーマが演奏されると、「ああ、ブラームスだなあ」と思います。そして第3楽章のスケルツォを聴くと、すごい推進力だなあと感心します もちろん第4楽章のフィナーレは感動的です

これだけの演奏が3,000円で聴けるのですから東京藝大の一連のコンサートはありがたいです とにかく生演奏至上主義の私にとってはコストパフォーマンスの高いコンサートです。これからも安くて質の高いコンサートに期待したいと思います

 

          

 

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ジョナサン・ノット+東響でバルトーク「弦と打とチェレスタ・・・」、ドヴォルザーク「第8交響曲」を聴く

2015年11月29日 08時23分45秒 | 日記

29日(日)。わが家に来てから428日目を迎え、椅子の下にもぐって出てこないモコタロです

 

          

             だって まだ おやつの用意してないじゃん

 

  閑話休題  

 

新宿ピカデリーでMETライブビューイング、ワーグナー「タンホイザー」の指定席を取ってきました  来週水曜日(2日)午前10時からの部です。左ブロック後方の右通路側席を押さえました

 

          

 

ついでに来年1月以降のライブビューイングの3枚綴りチケットを買ってきました。1枚だと3,600円ですが3枚綴りだと9,300円なので1枚当たり3,100円です

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、初台の東京オペラシティコンサートホールで東京交響楽団の「東京オペラシティシリーズ第89回演奏会」を聴きました プログラムは①モートン・フェルドマン「ヴィオラ・イン・マイ・ライフⅡ~ヴィオラと6つの楽器のための」、②ベラ・バルトーク「弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽」、③ドヴォルザーク「交響曲第8番ト長調」です

 

          

 

ステージ上を見ると、いつもと違って椅子の並び方が変わっています その上、登場したのがソロのヴィオラ奏者(武生直子)をはじめたったの9人です。1曲目のサブ・タイトルが「ヴィオラと6つの楽器のための」とあるので納得しましたが、6つの楽器なのでなぜ9人?と思い直しました 楽器編成を見るとヴィオラのほかに、ヴァイオリン、チェロ、フルート、クラリネット、ティンパ二、スネア・ドラム、テナー・ドラム、カスタネット、マラカス、チェレスタと、合計11の楽器があります。6つの楽器というのはティンパ二以外の打楽器をまとめて1つとして数えているのではないかと思われます

フェルドマンはアメリカの作曲家ですが、20歳代半ばにジョン・ケージと出逢い、影響を受けたようです。「ヴィオラ・イン・マイ・ライフⅡ~ヴィオラと6つの楽器のための」は1970年から71年にかけて作曲された全4曲のシリーズのうちのⅡです 音楽評論家の奥田佳道氏の解説によると「限定された音素材を弱音で奏し、それらを編み合わせ、反復させるスタイル」という音楽で、耳を澄ませて聴いたところでは、「四谷怪談」とでもタイトルを付けたくなるような、静かで、ちょっとゾッとするような曲想です

2曲目のバルトーク「弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽」を演奏するため、楽員が登場します。弦楽器の編成は、ヴァイオリン・セクションだけでなくヴィオラ、チェロ、コントラバスとも左右に分かれて向かい合う対向配置を取ります 後方には管楽器はなく、ピアノとチェレスタとハープが中央に配置され、その後方左右にシンバル、タムタム、シロフォンがスタンバイします

この曲は第1楽章「アンダンテ・トランクィロ」、第2楽章「アレグロ」、第3楽章「アダージョ」、第4楽章「アレグロ・モルト」から成ります 印象に残るのは第2楽章「アレグロ」で、全体的に民族的とでもいうような曲想ですが、ときにストラヴィンスキーの「春の祭典」のようなバーバリズムが聴こえてきます そして第4楽章のアレグロ・モルトは弦楽器、打楽器、チェレスタが民族的な舞曲を賑やかに繰り広げ、圧倒的なフィナーレに突入します

 

          

 

休憩後はドヴォルザーク「交響曲第8番ト長調」です このブログの読者・ゆえさんはこの曲が大好きですが、私も昔から、あまりにも有名な第9番”新世界より”よりもこの第8番の方が好きでした 

オケは態勢を整え直し、いつもの「ジョナサン・ノット・シフト」をとります。左奥にコントラバス、前に第1ヴァイオリン、右にチェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという編成です

この曲は第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグレット・グラツィオーソ」、第4楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」から成りますが、この曲の一番の魅力は第3楽章「アレグレット・グラツィオーソ(優美に)」でしょう 稀代のメロディーメーカー、ドヴォルザークの作品の中でも指折りの美しい曲です。ノーブルで郷愁を誘う旋律です

全体を通して感じたのは、このホールの特性なのか、管楽器が強く出すぎるということです ときに弦楽器の美しいメロディーを消してしまうことがあり、もう少し管楽器を抑え気味にした方が良いのではないかと思いました もちろん、人によっては、管楽器をガンガン鳴らした方がスッキリするという向きもあるでしょうが。同じ曲でもサントリーホールで演奏したら、印象が違っていたかも知れません

 

          

 

さて、話は変わりますが、この日のコンサートからコーヒーをホワイエで買うのを止めました 1杯400円は絶対に高いです 東京文化会館の450円は論外です この日はオペラシティ地下1階のロッテリアで250円のコーヒーをテイクアウトして会場に持ち込みました 一番良いのはマックで100円コーヒーを買って持ち込むことです。コンサートホールの近くにマックがあればもう決まりです 最近はコンビニでも売ってますね。私の場合コンサートは、多くの”オトナ”の方々が休憩時間にワインやコーヒーを飲みながら談笑する”社交場”と捉えているのと違って、あくまでも音楽を聴くことを第一と考えているので、絶対に寝ないためにコンサートの前にコーヒーを飲みます 休憩時間はチラシの選別に忙しいので飲みません 飲みたいときに飲むには携帯用の断熱ボトルを買うのも一つの方法ですね

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「新クラシックへの扉」「クラシカル・プレイヤーズ東京」「浜松国際ピアノアカデミー」他のチケットを買う

2015年11月28日 10時18分03秒 | 日記

28日(土)。わが家に来てから427日目を迎えたモコタロです

 

          

               ご主人は久々にゲージュツを狙ってるな

 

  閑話休題  

 

昨日、池袋の新文芸坐で高倉健一周忌特集の最終回「ブラック・レイン」と「四十七人の刺客」を観ました 「ブラック・レイン」はリドリー・スコット監督による1989年制作映画です

大阪空港で凶悪犯・佐藤(松田優作)を日本の警察に引き渡すことに失敗したアメリカの刑事ニック(マイケル・ダグラス)とチャーリー(アンディ・ガルシア)は、大阪府警の刑事・松本(高倉健)を強引に仲間に引き入れて佐藤の逮捕に向け全力を傾ける。佐藤の背後には偽札の原板をめぐるヤクザ同士の抗争があった

          

          

 

アメリカ映画なので仕方ないのですが、主演はマイケル・ダグラスです。高倉健は縦割り社会の典型的な組織・大阪府警の堅物刑事として共演しています 

最初は上司の命令に逆らえない松本刑事は、事件の真相が明らかになるに連れて、ニックに共感し共同捜査に巻き込まれていきますが、高倉健は翻弄される一介の刑事を好演しています。この映画では悪役・佐藤を演じた松田優作の迫力に圧倒されました

この映画での”見もの”は、松本刑事が大阪のクラブでチャーリーと一緒に歌うレイ・チャールズです どうしてどうして、高倉健は歌が上手い

2本目の「四十七人の刺客」は市川崑監督による1994年制作映画です。タイトルからも分かるように「忠臣蔵」を題材にしています 高倉健のちょんまげ姿を初めて見ましたが、この人はどんな格好をしていても様になります 池宮彰一郎原作によるこの映画の面白いところは、「忠臣蔵」を情報戦として捉えているところです

 

          

 

城内で吉良上野介に対し”刃傷に及んだ”浅野内匠頭に切腹を命じ、赤穂藩を取り潰した幕府を、赤穂藩の大石内蔵助(高倉健)は仇討ちによって面目を叩き潰そうとする 一方、米沢藩江戸家老・色部又四郎(中井貴一)は、吉良上野介(西村晃)を守ることにより幕府の権勢を維持しようと、大石らの反逆を阻止しようとする。この映画は、この二人の謀略戦を中心に描いたものです

面白いのは、浅野内匠頭が吉良上野介に対して”刃傷(にんじょう)に及んだ”理由が不明な中で、大石内蔵助は吉良の屋敷に討ち入りするまでの間に、市中に金を配って浅野の信用を失墜させるような噂を流したり、大石らが浅野の屋敷に奇襲をかけるのではないかと噂を流して警備陣を不安に貶め疲労困憊させたりと、情報戦を仕掛けたことです。したたかな大石内蔵助が描かれています

この映画では、大石と一文字屋の娘・かるとの恋も描かれていますが、かるを演じた宮沢りえが若く美しく新鮮でした

 

  も一度、閑話休題  

 

来年2月開催のコンサートのチケットを4枚買いました 1枚目は2月5日(金)午後2時から すみだトリフォニーホールで開かれる新日本フィル「新クラシックへの扉~R.シュトラウス&シューマン、揺れ動く光と影」公演です プログラムは①R.シュトラウス「クラリネットとファゴットのための二重コンチェルティーノ」、②シューマン「交響曲第2番ハ長調」です。①のクラリネット独奏は重松希巳江、ファゴット独奏は河村幹子、指揮はフィリップ・フォン・シュタインネッカーです。2人の首席演奏者の技に期待します

 

          

 

2枚目は2月6日(土)午後3時から東京芸術劇場で開かれるクラシカル・プレイヤーズ東京のコンサートで、プログラムは①メンデルスゾーン「序曲”フィンガルの洞窟”」、②モーツアルト「ピアノ協奏曲第17番ト長調K453」、③メンデルスゾーン「交響曲第3番イ短調”スコットランド”」です ②のフォルテピアノ独奏は上原彩子、指揮は有田正広です。クラシカル・プレイヤーズ東京は、言わずと知れた古楽器演奏集団です。ソロ・コンサートマスターは新日本フィルのコンマスでもある豊嶋泰嗣です

 

          

 

3枚目は2月8日(月)午後7時からサントリーホールで開かれる「浜松国際ピアノアカデミー 第20回開催記念コンサート」です プログラムは①モーツアルト「ピアノ・ソナタ第12番K332」(P:河村尚子)、②ラフマニノフ「前奏曲ト長調」(上原彩子)、③同「ピアノ・ソナタ第2番」(同)、④ショパン「ピアノ・ソナタ第2番」(チョ・ソンジン)、⑤モーツアルト「2台のピアノのためのピアノ・ソナタK448」(上原彩子、河村尚子)⑥ラフマニノフ「6手のためのワルツとロマンス」(上原彩子、河村尚子、チョ・ソンジン)です

 

          

 

4枚目は2月11日(木・祝)午後3時から東京藝術大学奏楽堂で開かれる「東京藝大チェンバーオーケストラ第26回定期演奏会」です プログラムは①メンデルスゾーン「弦楽のためのシンフォニアより」、②モーツアルト「フルート協奏曲第1番k.313」、③メンデルスゾーン「交響曲第4番”イタリア”」です ②のフルート独奏は高木綾子、指揮者なしで演奏します

 

          

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「深代惇郎の天声人語」を読む~1970年代の名コラムニストのエッセイ

2015年11月27日 07時27分43秒 | 日記

27日(金)。わが家に来てから426日目を迎え、室内で不審物を発見し警戒するモコタロです

 

          

            これはいったい何だ!イスラム国が侵入したか?!

 

                     

            あやしい匂いはしないが・・・・でも臭いぞ・・・・

 

                    

           なに ヌガーのお菓子だって? ぼく食べられないし・・・

 

  閑話休題  

 

昨夜はカレーを作りました。私のは極めてオーソドックスなカレーで、具は、牛肉の切り落とし、ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、マッシュルームです。ただし、今回は初の試みとしてシメジを入れてみました。美味しいです なお、カレー皿はその昔、ミスター・ドーナッツでもらったライオンの顔を型取ったお皿です。ご飯の中央がライオンの鼻になっているのが分かりますか

 

          

 

ところで、カレーというと向田邦子のエッセイ集「父の詫び状」に収録された「昔カレー」を思い出します。彼女は書きます

「カレーライスとライスカレーの区別は何だろう。カレーとライスが別の容器で出てくるのがカレーライス。ごはんの上にかけてあるのがライスカレーだという説があるが、私は違う 金を払って、おもてで食べるのがカレーライス。自分の家で食べるのがライスカレーである。厳密にいえば、子供の日に食べた、母の作ったうどん粉のいっぱい入ったのが、ライスカレーなのだ」

つたない記憶によると、私が子供の時に家で食べたカレーも「うどん粉いっぱいの」こってりしたカレーだったように思います。それにしても、向田邦子のエッセイは素晴らしい

 

  も一度、閑話休題  

 

「深代惇郎の天声人語」(朝日文庫)を読み終わりました 深代惇郎は1929年東京生まれ。東大法学部卒業後、53年に朝日新聞社入社。ロンドン、ニューヨーク各特派員、ヨーロッパ総局長などを経て、73年に論説委員となる。同年2月15日から75年11月11日、入院するまで朝日新聞1面コラム「天声人語」を執筆、同年12月17日に急逝骨髄性白血病のため死去。享年46.

このコラムが書かれたのは、私が社会人になる前後の時期に当たります。当時から私は朝日新聞の読者でしたが、読ませるコラムの書き手として深代惇郎は新聞紙上で最高のコラムニストでしょう。ズバリとモノを言って、それでいてウィットに富んだ文章は誰にもまねのできない境地に達していました

 

          

 

例えば昭和49年4月18日の「天声人語」は”男と女”を取り上げていますが、最後のところで次のように書いています

「ドイツでは百キロ走りつづけた女性がいたそうだ。スピードを問題にしなければ女の方が長時間、長距離を走り続けることができるらしい 威勢よくダッシュして、やがてへばってしまう男をゆっくり抜いていく。男は最初に勝負し、女は最後に勝負するということか

この短い文章には、正確な起承転結はないけれど、独特のリズム感があります そして、最後のフレーズで思わずニヤリとします

また、昭和50年4月10日の「天声人語」は”言葉遊び”を取り上げていますが、次のように書いています

「戦争中に『足らぬ足らぬは工夫が足らぬ』というポスターがあった。『工夫』の『工』を✖で消した人がいたそうだ。笑いのなかにほろ苦さ、もの悲しさがこもっている。『せいたくは敵だ』という標語には、『敵』の上に『素』という一字が書き加えられた。こうした言葉遊びは、当時の庶民感情を伝えて歴史に残っている

ちょっとニュアンスが違うかも知れないけれど、日陰者のような存在に光を当てるという意味で『ゴミ箱』を『護美箱』と書くことも一種の言葉遊びでしょう

昭和49年1月15日の成人の日の「天声人語」は次のように書いています

「二十歳とはどんな年かと聞かれて、そう、ピカソが個展を開き『青の時代』が始まった。勝海舟は免許皆伝の剣客になった。ハンブルクの歌劇場でヘンデルは指揮者をやっていたなどと答えると、『しらけちゃうな』といっせいに反発を受ける・・・・七十四歳まで生きた孔子は生涯を顧みて、十五歳を志学、三十歳を而立、四十歳を不惑、五十歳を知命、六十歳を耳順、七十歳を従心の年といった。二十歳が抜けているのは、孔子さまでもそのころを一言でいうのが難しかったのかも知れぬ

こういう文章を読むと、筆者がいかに知識人であるかが窺えます。最後の言葉が効いています 美術、音楽、文学、歴史・・・”文化”全般に通じたコラムニストと言うべきでしょう

以上はこの本のほんの一部にすぎません 全体を「世相」「社会」「政治」「経済」「若者」「戦争」「国際」「日本と日本人」「人」「人生」「文化」「自然」「歴史」のテーマで分けて編纂されています。530ページのエッセイ集は読みごたえがあります。いい文章に接したい人にお勧めします

 

  最後の、閑話休題  

 

コンサート会場入口で配られるチラシの中から比較的安価なコンサートを順不同でご紹介します 最初は3月25日と26日に川崎と池袋で開かれる「音楽大学フェスティバル オーケストラ」コンサートです プログラムは①チャイコフスキー「交響曲第5番」、②ショスタコーヴィチ「交響曲第5番」で、尾高忠明が音楽大学の選抜メンバーを指揮します。チケット代はS席2,000円、A席1,500円です

 

          

 

次のコンサートは2月11日にティアラこうとうで開かれる東京シティ・フィルの公演で、プログラムは①バルトーク「ヴァイオリン協奏曲第2番」、②プロコフィエフ「交響曲第5番」です。①のヴァイオリン独奏は会田莉凡(りぼん)、指揮は高関健です これは若手のヴァイオリニストの中で私が注目している会田莉凡さんの演奏が聴きものです。S席3,700円、A席3,000円、B席2,300円です

 

          

 

次は1月27日に紀尾井ホールで開かれる「KSTメンバーによるモーツアルトの室内楽」コンサートです KSTというのはキオイ・シンフォ二エッタ・トウキョウの略です。オール・モーツアルト・プログラムで①ディヴェルティメント第7番K205、②同第11番K251、③カッサシオンK63、④同K99です。チケット代はS席5,000円、A席3,500円です。この日はモーツアルトの誕生日です(1756年1月27日)

 

                          

 

次は3月13日に東京オペラシティコンサートホールで開かれる「東日本大震災復興支援チャリティコンサート」です バッハ「2つのヴァイオリンのための協奏曲」ほかが演奏されます。チケット代は全席指定5000円です

 

                         

 

最後は1月5日北とぴあ さくらホールで開かれる東京ニューシティ管弦楽団の「ニューイヤーコンサート」です S席5,000円、A席4,000円、B席3,000円、C席2,000円です

 

                         

 

以上のコンサートはほとんど他のコンサートの予定が入っていて行けません。どなたか行ってください

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パソコン問題解決!/高倉健主演映画「君よ憤怒の河を渉れ」「野生の証明」を観る

2015年11月26日 07時43分21秒 | 日記

26日(木)。わが家に来てから425日目を迎え、ダイニング・テーブルの下にもぐって出てこないモコタロです

 

          

             ぼく 暗いところが好きなんだよ 暗いMaxな所が

 

  閑話休題  

 

昨夜は、これも和食の定番”肉じゃが”を作りました 前日と同様 きぬさや が無かったので スナックエンドウで代用しました。あとは いつもの野菜サラダ、ごはん、ホウレン草の味噌汁です。子供たちにも好評でした

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

この3週間ほど未解決だったパソコンの「オフィス」がダウンロード出来ず、ワードもエクセルも利用出来なかった問題は、昨夜、娘の尽力で一気に解決しました もともと私がアカウントのパスワードを忘れたことから、あらゆることに問題が波及して、あれも出来ず、これも出来ずといった状態になっていたものです これまでのD社のパソコン・サポート・サービスとのやり取りなどについて、娘から警視庁並みの事情聴取を受けて、「刑事さん、信じてくれ、おれはやっちゃいねえんだ」と言い訳しながら、思い出す限り思い出して、手探りで解決策を探りました その結果、「オフィス」のダウンロードができるようになったのです きっかけは、メールに添付されてきたマンション管理組合の理事会議事録が開けなかったのを娘に相談したことです。開けないのはワード、つまりオフィスがダウンロードされていないからだろう、ということで、一から出直して再度トライしたのです。さすがはダテにIT関係企業に勤めていません。喉に刺さった小骨が取れたようにすっきりした気分です 娘には感謝感激雨あられです

 

  最後の、閑話休題  

 

昨日、池袋の新文芸坐で高倉健主演「君よ憤怒の河を渉れ」と「野生の証明」の2本立てを観ました 「君は憤怒の河を渉れ」は1976年の作品です

検事の杜丘冬人(高倉健)は新宿の雑踏で見知らぬ女から「金品を盗まれた」と告発され逮捕される。別の男からも「カメラを盗まれた」と訴えられる 杜丘の部屋から、盗まれたとされる”証拠物件”が発見される。自分にかけられた身に覚えのない嫌疑を晴らすため、現場検証の途中で逃走を図る 女の正体をつかむため彼女の郷里に赴くが、女は何者かによって殺されている。今度は殺人犯として追われる立場になる 逃走途中、日高山中でクマに襲われそうになった女性(中野良子)を救ったことから、”命の恩人”として逃走と真犯人追及を助けられることになる どうやら自分をはめた真犯人は政界の黒幕である長岡ではないかと思い始め、彼を追い詰めることを決意する日本中に厳戒態勢が敷かれる中、杜丘は東京に戻り真犯人を追い詰めることができるのか・・・・・

 

          

 

何といっても高倉健がカッコいいです それとクマに襲われ杜丘に助けられる社長令嬢役の若き日の中野良子が懐かしい 杜丘の逮捕に全力を傾ける刑事(原田芳雄)は、刑事としてはあり得ないラフな格好で捜査の采配を振るっています 最後には追う側と追われる側とが手を組んで真犯人を追い詰めることになりますが、新宿の街を馬で疾走するシーンを見て、いったいどこからあんなに多くの馬が出てきたんだろうか、と考えてしまいました

この映画は、中国で開放政策後初めて上映された外国映画として大ヒットし、高倉健は絶大な人気を博したということです

さて、次の映画は1978年制作の「野生の証明」です

東北の寒村で大量虐殺事件が起こった。唯一生き残った少女・頼子(薬師丸ひろ子)はショックから記憶喪失となっていたが、当時山中で自衛隊特殊部隊のサバイバル訓練をやっていた味沢に引き取られることになった 自衛隊を退役した味沢と頼子は地方都市で平穏な生活を送っていたが、頼子が予知能力を持っていることが分かる。頼子の予知する通りに敵が襲い、人が殺されることにな。いつしか味沢は地元の名士による陰謀に巻き込まれていく

 

          

 

この映画の魅力は、何といっても高倉健とこの作品が映画デビューの薬師丸ひろ子でしょう

ところで、この映画で1カ所だけクラシック音楽が使われていました 喫茶店でのシーンですが、ほんの短い間バックに流れていたのはブラームスの「弦楽六重奏曲第1番」の第2楽章「アンダンテ・マ・モデラート」です。憂いに満ちた”静かな情熱”とでも表現すべき曲想です。こういうのは聴き逃しません

 

          

 

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是枝裕和監督映画「海街diary」、「歩いても歩いても」を観る~早稲田松竹

2015年11月25日 07時01分27秒 | 日記

25日(水)。わが家に来てから424日目を迎え、どうしても屋根のあるスペースで暮らしたいと思うモコタロです

 

          

          君も入れよ ちょっと窮屈だけど ヤーネーなんて言わないでさ

 

  閑話休題  

 

昨夕は、和食の定番”筑前煮”に挑戦しました。その昔は自己流で市販の”だしの素”をベースに適当に作っていたのですが、今回は初めて料理本を見ながら”基本に忠実に”作りました 材料のうち きぬさや が売っていなかったのでスナック・エンドウで代用しました あとはいつも通り野菜サラダとごはんと味噌汁ですが、味噌汁はジャガイモをスライスしただけです。半分は溶けましたが、これが美味しいのです。結構好きです

さて、娘が帰ってきたのでさっそく一緒に食べましたが、しばし沈黙しています。何かあるな、と思っていると、「鶏肉が1つしか入っていないんですけど」と言います。お皿に盛りつける時にどうやら鶏肉だけが偏ってしまったようです。今回の教訓は”料理は盛り付けが終わるまで続く”ということです

 

          

 

  も一度、閑話休題   

 

昨日、早稲田松竹で是枝裕和監督映画「海街diary」と「歩いても歩いても」の2本立てを観ました

「海街diary」(2015年制作)は、長女(綾瀬はるか)、次女(長澤まさみ)、三女(夏帆)の住む古い一軒屋に腹違いの妹(広瀬すず)が同居することになったことから生じる、四姉妹の心の交流や葛藤を描いた作品です

 

          

 

しっかり者の長女、唯我独尊の次女、自由気ままな三女、中学生なのにしっかりしている腹違いの妹を、それぞれの女優が”適材適所”と言いたくなるほどぴったりの役柄を演じています また、この物語は長女と、離れて暮らす母親との葛藤の物語でもあるのですが、二人が対立する時のおばあちゃん役の樹木希林の演技は素晴らしいですね 「はい、その話はそれでおしまい」で否応なしに決着をつけてしまうのですから

女ばかりの三姉妹、あるいは四姉妹というのは実際どうなんでしょうか 女同士であることから、たぶんお互いライバルでもあるのではないか、と思ったりしますが

さて2本目は「歩いても歩いても」(2007年)です 医者の家に生まれた長男は、15年前に人を助けたことによって死んでしまい、次男は親の家業を継がず生活が不安定な絵の修復師で生計を立てています。物語は、父親と次男との心の葛藤を軸に、死んだ長男のことがいつまでも忘れられない母親の心の動きが描かれています

 

          

 

頑固な父親(原田芳雄)、母親(樹木希林)と次男(阿部寛)、その妻(夏川結衣)が中心となって物語を紡いでいきますが、この映画でも樹木希林の演技が光っています この人は別格です。一言でいえば”演技とは思えない演技”によって、自然体でその役柄を演じることが出来る人です  もう一人、味のある演技をしていた人がいます。それは次男の妹役(2人の子持ち)のYOUです。あの独特の甘ったるい語り口で軽妙な会話を展開します

さて、このタイトルから思い浮かべたのは1970年ごろに流行った いしだあゆみの「ブルーライト横浜」でした 『街の明かりがとてもきれいね ヨコハマ ブルーライト ヨコハマ あなたと二人 幸せよ』という出だしです 映画では、母親が父親に内緒でこっそり聴いていた曲として「ブルーライト横浜」がEPレコードで再生されます このエピソードで、次男が 子連れで結婚した妻に「君にも、こっそり聴いている曲があるのか?」と訊くと、妻は「内緒」と答えて教えてくれません。次男は「女は怖いなあ」と言います。すると妻は「そうよ、女は怖いのよ」と答えます。深いですね

だれも知らない その人だけの曲ってあるんでしょうね 例えば、「私が死んだら、この曲を流してほしい」というような とっておきの曲が

「私のお葬式にはマスカー二の『カヴァレリア・ルスティカーナ』の間奏曲を流してほしい」という人を知っていますが、美しい曲ですね 気持ちはよく分かります。私の場合はモーツアルトか、マーラーか、ベートーヴェンか、ブラームスか、バッハか・・・・とても絞れ切れません 遅くとも死ぬ前に決めておこうと思います。ただ残念なのは、いくら頑張っても本人は聴くことが出来ないことです

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クァルテット・エクセルシオ+古部賢一でモーツアルト「オーボエ四重奏曲K370」他を聴く

2015年11月24日 07時11分40秒 | 日記

24日(火)。わが家に来てから423日目を迎え、最近「おやつだよ」と声をかけても、ゲージから出てくるのが遅くなり、いよいよ冬眠か?と疑われるようになったモコタロです

 

          

              面倒くさいんだよね 居間に行くの 今に行くよ

 

  閑話休題  

 

昨日は、息子が珍しく夕食を一緒に食べられる時間帯に学校から帰ってくるというので、3日早い誕生パーティーをやることにしました。急に決めたので宅配ピザを頼みました

 

          

 

                       

 

                      

 

ワインを飲みながら食べたのですが、3人では食べきれず大量に残しました 時間をおいて巣鴨駅近くのケーキ専門店 FRENCH POUND HOUSE で買ってきたケーキを食べました 息子はいつもよりワインを飲みすぎて、ろうそくの火を消して、ケーキを食べずベッドで寝入ってしまいました。おいおい、誰の24歳の誕生日だよ  と思いきや、どうやら夜中に起き出してケーキを食べてから今朝方まで勉強していたようです。理系は大変だ

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、東京文化会館小ホールでクァルテット・エクセルシオの第30回東京定期演奏会を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「弦楽三重奏のためのセレナード」、②コダーイ「弦楽三重奏のためのインテルメッツォ」、③モーツアルト「オーボエ四重奏曲ヘ長調K370」、④同「弦楽三重奏のためのディヴェルティメントK.563」です 出演は、第1ヴァイオリンの西野ゆかが左腕療養中のため、ヴァイオリン=山田百子、ヴィオラ=吉田有紀子、チェロ=大友肇、オーボエ=古部賢一というメンバーです

 

          

 

午後2時開演ですが、全自由席のため早めに並んだので、B20番、センターブロック前から2列目左通路側が押さえられました 会場は5割程度の入りでしょうか。もったいないです グリーン系のステージ衣装の山田百子、吉田有紀子と大友肇が登場、1曲目のベートーヴェン「弦楽三重奏のためのセレナード」の演奏に入ります 冒頭の数小節を聴いただけで「やっぱり常設の弦楽四重奏団は違うな エクは違うな」と思いました。オーケストラの団員が集まって臨時に室内楽を演奏することがありますが、それはそれで素晴らしいと思うのですが、やはり日常的に室内楽を主として演奏しているグループには到底及ばないと思います、日本に限っては この曲は、ベートーヴェン自身が「セレナード」と名付けました。聴いていて「いいな」と思うのは第4楽章のアレグロ・アラ・ポラッカです。舞曲ですね ベートーヴェンというと深刻な曲を頭に思い浮かべがちですが、こういう楽しい曲も作っているのだ、と思うと親近感を感じます

2曲目はコダーイがブタペスト音楽院を卒業直後に作った「弦楽三重奏のためのインテルメッツォ」です。初めて聴きましたが、とても良い曲です 民族的な曲想でメロディーが美しく、ピチカートも美しい曲です とくにヴィオラの音色が生かされた曲で、吉田有紀子さんの真骨頂です もっと、演奏会で取り上げてほしい曲です

次いで、山田百子さんの伴侶であり、新日本フィル首席の古部賢一氏を交えてモーツアルト「オーボエ四重奏曲ヘ長調」が演奏されます 左から山田、吉田、大友、古部の並びです。この曲は1781年に歌劇「イドメネオ」の上演のために滞在したミュンヘンで、当地の宮廷楽団のオーボエ奏者フリードリヒ・ラムのために作曲されました。各地での名演奏家との出会いが、モーツアルトに名曲を書かせたとも言えるでしょう

4人の演奏を聴きながら「やっぱりモーツアルトはいいなあ 生きてモーツアルトの曲を目の前で聴くことができるって最高の幸せだなあ」と感慨にふけっていました。素晴らしい演奏でした

 

          

 

休憩後はモーツアルト「弦楽三重奏のためのディヴェルティメント変ホ長調K563」です 彼は弦楽四重奏曲は23曲残していますが、弦楽三重奏曲はこの曲のみです。ディヴェルティメントは喜遊曲と訳されています。聴いていて思うのは四重奏曲ではなく三重奏曲でこれほどまでに深く感動的な曲が作曲できるモーツアルトとは、どんな人だったのか、ということです 1788年にフリーメーソンの仲間の依頼によって作られたこの曲は、三重奏で「必要にして十分」といった印象を受けます これにヴァイオリンを1本加えて四重奏曲にしたら、まったく違う曲想の楽曲を作っていたに違いありません この曲も、聴きながら幸せな気分に浸っていました。演奏が素晴らしかったからです

  

                           

 

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ジョナサン・ノット+東京交響楽団でショスタコーヴィチ「交響曲第15番イ長調」他を聴く

2015年11月23日 08時16分41秒 | 日記

23日(月・祝)。わが家に来てから422日目を迎え、体重計に乗ろうかどうか逡巡するモコタロです

 

          

 

  閑話休題  

 

昨日、サントリーホールで東京交響楽団の第635回定期演奏会を聴きました プログラムは①リゲティ「ポエム・サンフォニック~100台のメトロノームのための」、②バッハ/ストコフスキー「甘き死よ来たれBWV478」、③リヒャルト・シュトラウス「ブルレスケ」、④ショスタコーヴィチ「交響曲第15番イ長調」です。③のピアノ独奏はエマニュエル・アックス、指揮はジョナサン・ノットです

 

          

 

開演30分前の1時半に会場に入ると、ステージ中央にグランド・ピアノが配置され、舞台の前方左右には白いメトロノームが100台並べられており、それぞれ違う速度でカチカチとなっています すでに1曲目のリゲティ「ポエム・サンフォニック~100台のメトロノームのための」が始まっている寸法です。聴衆は舞台近くまで行ってメトロノームの動きを眺めたり、座席でプログラムを見ながらそれとなく耳を傾けたりしています プログラムに挟まれたお知らせには次のようなことが書かれていました

 

          

 

不思議なもので、100台がいっぺんに鳴っていたときは「それぞれが勝手に鳴っているな」と思っていたのですが、動いているメトロノームの数が少なくなるにつれて、規則的に動いているように聞こえてきました これがリゲティの狙いでしょう 照明が落とされた中、東響のメンバーが入場し配置につきます。コントラバスを左にして、対向配置をとります。第1ヴァイオリンの手前で最後まで鳴っていたメトロノームが鳴り終わると、いつの間にか指揮台にスタンバイしていた(ピアノの影で見えなかった)ジョナサン・ノットがタクトをとり、バッハの「甘き死よ来たれBWV478」が演奏されます この曲の原曲は1736年に出版された「シュメッリ宗教歌曲集」に収められている歌曲で、昨日の当ブログにも登場したストコフスキーがオーケストラ用に編曲したものです 曲名の通り静かで厳粛な曲です。曲の途中、ピアニストのエマニュエル・アックスが舞台左袖から登場、静かにピアノ椅子に座ります

バッハが終わると、舞台の照明が明るくなり、ノットの指揮でリヒャルト・シュトラウス「ブルレスケ」が開始されます 「ブルレスケ」というのは「軽妙で風刺的な」という意味です。アックスは世界に通用するピアニストの一人ですが、まさにその意味を体現するような軽妙洒脱な演奏を展開しました 会場いっぱいの拍手に気を良くしたアックスは、ショパンの「ワルツ第3番」をしみじみと演奏、クールダウンを図りました 

 

          

 

さて、問題は次のショスタコーヴィチの「交響曲第15番イ長調」です。この曲は馴染みがないのでCD(下の写真)で予習しておいたのですが、最初に聴いたとき「これは難物だな」と感じました。第1楽章は明るく親しみやすいメロディーが続くのですが、第2楽章以降は沈鬱になってくる楽想なのです この1週間、朝といい夜といい、新聞や本を読みながらこの交響曲を何度も何度も聴き、曲の全体像を耳に馴染ませてきました。その甲斐があってか、苦手意識が消えて素直に聴くことができたように思います

 

          

 

第1楽章は、ショスタコーヴィチが子供時分に好きだったというロッシーニの「ウィリアム・テル」序曲のメロディーが何度かパロディーで登場します 冒頭、甲藤さちのフルート独奏が光ります さて第2楽章「アダージョ」です。金管楽器のコラールから入りますが、重く暗い音楽が続きます。首席奏者・伊藤文嗣のチェロ独奏とコンマス、グレブ・二キティンのヴァイオリン独奏が光ります この曲を聴きながら思い起こしたのは、この曲はショスタコーヴィチの最後の交響曲であるという事実と、「ショスタコーヴィチの証言」にある「私の交響曲は墓碑である」という言葉です この曲は息子のマクシム・ショスタコーヴィチがモスクワ放送交響楽団を指揮して1972年1月8日にモスクワ音楽院大ホールで初演しましたが、当時マクシムは「この作品は人間の生涯を描いたものだ」と述べています

切れ目なく演奏される第3楽章「アレグレット」を経て、第4楽章「アダージョ」に移ります。ここではワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」の運命の動機、ジークフリートの葬送行進曲、「トリスタンとイゾルデ」冒頭部分などの音楽が引用されて演奏されます 面白いと言えば面白い音楽ですが、もっと興味深いのは、フィナーレがそっけないほど静かに終わることです 個人的には、皮肉屋ショスタコーヴィチに相応しいフィナーレだと思います

ジョナサン・ノットは人気があります 終演後は拍手とブラボーの嵐でした。もちろん私も惜しみない拍手を送りました

 

          

 

  閑話休題  

 

モカが無くなったので、池袋西武の地下のUCCショップで新しいコーヒーを買ってきました いろいろ試してみようと思ってBrazil No.2 #19という豆を挽いてもらいました  ということで、料理の方は土曜、日曜、休日はお休みです

 

                           

 

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バッハ・コレギウム・ジャパンでモーツアルト「ミサ曲ハ短調K427」ほかを聴く

2015年11月22日 08時20分12秒 | 日記

22日(日)。わが家に来てから421日目を迎え、白ウサちゃんに何やら耳打ちするモコタロです

 

          

            ご主人は右手中指打撲で 左手だけで打っているよ

 

  閑話休題  

 

昨日、初台の東京オペラシティコンサートホールで、バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の第115回定期演奏会を聴きました オール・モーツアルト・プログラムで、①雀のミサ曲K220、②エクスルターテ・ユビラーテK165、③ミサ曲ハ短調K427です 出演は、ソプラノ=キャロリン・サンプソン、アルト=オリヴィア・フェアミューレン、テノール=櫻田亮、バス=クリスティアン・イムラーです

 

          

 

スタンバイしたオケが第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが左右に分かれる対向配置を取っていたので、珍しいな、と思いました しかも、いつもよりオケの編成が大規模です。合唱も総勢24名態勢です。いつも演奏しているバッハではなく、モーツアルトを演奏するには態勢を変える必要があったのでしょう

ソリストたちが入場し、ミサ曲ハ長調K220が開始されます ミサ曲なのに軽快な音楽です。4人のソリストは好調です

合唱団が舞台袖に引き上げ、ソプラノのキャロリン・サンプソンが再登場します。2曲目の「エクスルターテ・ユビラーテK165」は、レオポルト・ストコフスキーの指揮でディアナ・ダーヴィンが歌った第4曲「アレルヤ」を思い起こします。そう「オーケストラの少女」という映画でした と聞いて、ああそうだった、と思うあなたは古い もとい、頭がクラシック

キャロリンは美しく澄んだ歌声でモーツアルトの愉悦を歌い上げました 古楽を歌う時の声はノン・ヴィブラートとばかり思っていたのですが、 彼女は若干ヴィブラートをかけて歌っていました これについては、プログラムに掲載されたインタビューの中で、彼女は次のようにコメントしています

「いわゆる『古楽の声』というのはまっすぐでヴィブラートのかかっていない声だと思っている人が結構いますが、そんなことはなくて、古楽の歌手たちも多彩な色彩を持ち、そのうちの一つがヴィブラートなのです・・・古楽でも、ある程度のヴィブラートは自然かつ好ましいと思うのですが、重要なのは自分でコントロールし、自分で選んでかけているということです

このコメントは新鮮でした これまでBCJの公演に出演したソプラノ歌手たちがほとんど例外なくノン・ヴィブラートで歌っていたからです

 

          

 

休憩後は、ミサ曲ハ短調K427です。あらためてオケの態勢を見渡すと、普段BCJでは見かけない演奏家が何人か目に付きます。第1ヴァイオリンには新日本フィルの第1ヴァイオリン・フォアシュピーラー堀内麻貴さんが、ヴィオラには東京フィル首席の藤村政芳氏がスタンバイしています こういう人たちの加入が(一時的にしても)BCJの演奏に小さくない影響を及ぼしているのではないかと思います

このミサ曲を聴くたびに思うのは「まるでオペラだ」ということです。とくにソプラノの独唱などは、あまりにも美しすぎて、宗教曲の範疇を超えているのではないか、とさえ思ってしまいます

今回の演奏を聴いて感じたのは、大編成のオケにより、2000人収容のサントリーホールでなく1630人収容の東京オペラシティコンサートホールで演奏したことで、音の情報量が多くなり迫力があった半面、BCJ特有の透明感が薄れたのではないか、ということです バッハの曲で言えば「マタイ受難曲」や「ヨハネ受難曲」を演奏する規模をモーツアルトに求めたということでしょう

個人的な考えを言うと、会場の大きさを考慮すれば、サントリーホールであればこの態勢で良かったのかも知れませんが、オペラシティコンサートホールでは、いつもバッハのカンタータを演奏している時と同じ規模で、透明感のある演奏に徹した方が良かったのではないか、と思います

 

                           

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佐藤久成ヴァイオリン・リサイタルを聴く~超個性のヴァイオリニスト、本当の姿はどっち?

2015年11月21日 07時32分46秒 | 日記

21日(土)。わが家に来てから420日目を迎え、しばし思案にふけっているように見えるモコタロです

 

          

                    おしっこだよ ただ今 しっこー猶予中!

 

  閑話休題  

 

昨夕、上野の東京文化会館小ホールで、佐藤久成ヴァイオリン・リサイタルを聴きました 音楽評論家、宇野功芳氏の企画による第5弾(最終回)ですが、私が佐藤久成を聴くのはこれが2回目です。今回はオール・ベートーヴェン・プログラムで、①ヴァイオリン・ソナタ第8番ト長調、②同・第7番ハ短調、③同・第9番イ長調”クロイツェル”で、ピアノは杉谷昭子です

 

          

 

自席はG列27番、センター右ブロック右通路側です。会場は8割方埋まっているでしょうか 佐藤久成が、紫を基調とする鮮やかなドレスを身にまとった杉谷昭子とともに登場します 顔つきが、かつて阪神タイガースが優勝した時代に活躍した赤星選手にちょっと似ています

さっそくソナタ第8番の演奏に入りますが、この人の演奏姿を見ていると、自信に満ち満ちています 演奏を聴いていると、決して美しい音を聴いてもらおうという意識を感じさせません。どちらかと言えば、ぶっきらぼうな感じでスイスイと音楽を進めます 「おれのベートーヴェンはこうだ」とでも言いたげな表情で、滑らかに演奏するよりはスタッカート気味に演奏します。アンネ・ゾフィー・ムターの対極にある演奏です。これは第7番でも、第9番”クロイツェル・ソナタ”でも同様です

彼はヴァイオリンを弾きながら半径1メートル以内をよく動き回ります フレーズを弾き終わると、会場の方を向いて「どんなもんだい、おれの演奏は?」と自慢げに問いかけるような仕草を見せます まるで客席との対話を求めながら演奏しているように見えます。そして、明らかに演奏することを楽しんでいます

例えが適切かどうか分かりませんが、大道芸人がヴァイオリニストになって舞台の上でヴァイオリンの腕前を披露しているような感じです 誤解しないでいただきたいのは、これは否定的に言っているのではありません。なぜなら、彼の演奏は超個性的で、べらぼうに上手いからです こんな個性が強く出た演奏は今の時代、ほかに見い出せないでしょう

彼の演奏が良いと思う人はリピーターになるだろうし、嫌いだと思う人は演奏の途中で帰るでしょう それほど評価が分かれる演奏家だと思います。没個性の時代、こういう演奏家が熱望されているのだと思います

 

                           

 

2人はアンコールにエルガーの「愛のあいさつ」ほか2曲を演奏しましたが、これはベートーヴェンとは違って、極めてロマンティックで濃厚な演奏でした どっちが本当の佐藤久成なのか、どっちも本当なのかもしれません

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨夕は、私がコンサートで、娘が帰宅が遅いというので、深夜に帰ってくる息子のために夕食を作ってから出かけました メニューは、ポーク・ソテー、野菜サラダ、水餃子とエノキだけのスープです。ポーク・ソテーに添えた人参とジャガイモは皮付きで、ジャガイモの切れ目にバターを挟みました。夕食を用意する時は必ずと言ってもよいほど野菜サラダを作ります。私のこだわりと言っても良いかもしれません スープは水餃子だけでは何となく物足りないので、思い付きでエノキだけを入れてみたのですが、味がマイルドになりました

 

          

 

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