30日(月)。月日の流れは速いもので今日で11月も終わりです。ということで、昨夜もゲージからなかなか出てこず自分の陣地に立てこもる、わが家に来てから429日目を迎えたモコタロです
モコタロ~ 周りは警察官に囲まれている 観念して出てこ~い
閑話休題
昨日、上野の東京藝大奏楽堂で東京藝大「ブラームス室内楽の喜び 第4回」公演を聴きました プログラムはブラームスの①ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調、②チェロ・ソナタ第2番ヘ長調、③ハンガリー舞曲集第1集から第17番~第21番、④ピアノ五重奏曲ヘ短調です
午後3時開場ですが、全自由席のため1時間前の2時に会場に着きました。楽勝で1番乗りか、と思いきや、何とすでに80人くらいの人が並んでいました それでも1階7列13番、センターブロック左通路側席を押さえることが出来ました。会場はほぼ満席です
最初の「ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調」はヴァイオリン=東京藝大演奏藝術センター准教授の野口千代光、ピアノ=東京藝大准教授の東誠三です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「ウン・ポコ・プレスト・エ・コン・センティメント」、第4楽章「プレスト・アジタート」から成りますが、第1楽章の冒頭が演奏されたとき「ああ、ブラームスは良いなあ」と思いました。ヴァイオリンは美しい音で旋律を奏でています ピアノもぴったり付けています。ブラームスはこの曲をスイスのトゥーン湖畔で作曲に着手したそうです。プログラムにその湖の写真が載っていますが、非常に美しいところです こういう場所でブラームスは名曲を作ったのだな、と感じ入りました
2曲目の「チェロ・ソナタ第2番ヘ長調」はチェロ=藝大教授の河野文昭、ピアノ=同じく藝大教授でソリストとしても活躍している伊藤恵です この曲は第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アダージョ・アッフェットゥーソ」、第3楽章「アレグロ・パッショナート」、第4楽章「アレグロ・モルト」から成ります
第1楽章冒頭は伊藤恵のピアノから入りますが、気合が入っています すぐに河野文昭のチェロが入りますが、このチェロが素晴らしい 何回かこの人の演奏を奏楽堂で聴いていますが、明るく明快なチェロで、演奏に安定感があります 伊藤恵との相性もぴったりです。こういう演奏でブラームスを聴くと、「やっぱりブラームスは室内楽だよね」と言いたくなります。第3楽章が終わると、曲全体が終わった印象があるので、普通のコンサート会場だと、間違えてフライングの拍手が起こるところですが、藝大奏楽堂でのコンサートは耳の肥えた聴衆が揃っているのか、席が早い者勝ちのため早めに来てプログラムを読んでこの曲が4楽章から成ることを”予習”しているせいか、ただの一人もフライングがありません そのあとの第4楽章のフィナーレは圧巻でした
休憩後の最初は、「ハンガリー舞曲集」から第17番~第21番が、藝大非常勤講師の伊藤わか奈と同じく佐々木崇のピアノ連弾で演奏されました ブラームスの時代には、コンサート会場で演奏される交響曲などの大曲よりも、このような家庭で演奏できる小曲が人気を博したようですね
さてコンサートを締めくくるのは「ピアノ五重奏曲ヘ短調」です。演奏は第1ヴァイオリン=藝大准教授で紀尾井シンフォ二エッタでも活躍中の玉井菜採、第2ヴァイオリン=藝大大学院在学中の三輪莉子、ヴィオラ=藝大准教授の市坪俊彦、チェロ=河野文昭、ピアノ=ザルツブルク・モーツアルテウム大学教授のジャック・ルヴィエです
この曲は、最初は弦楽五重奏曲として作曲されましたが、破棄され、2台のピアノ版に改訂されました。そして、最終的にピアノ五重奏曲として完成されたものです ブラームス自身がこの曲を「演奏が難しい作品の一つ」と述べているとおり、かなりの実力者ぞろいでないと弾きこなせない曲です 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ・ウン・ポコ・アダージョ」、第3楽章「スケルツォ」、第4楽章「フィナーレ」から成ります。第1楽章の有名なテーマが演奏されると、「ああ、ブラームスだなあ」と思います。そして第3楽章のスケルツォを聴くと、すごい推進力だなあと感心します もちろん第4楽章のフィナーレは感動的です
これだけの演奏が3,000円で聴けるのですから東京藝大の一連のコンサートはありがたいです とにかく生演奏至上主義の私にとってはコストパフォーマンスの高いコンサートです。これからも安くて質の高いコンサートに期待したいと思います