人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

大山平一郎 ✕ 周防亮介 ✕ 新日本フィルで ベートーヴェン「ロマンス第1番&第2番」、シューベルト「交響曲第5番」、モーツアルト「交響曲第40番」を聴く~第29回ルビー公演

2020年02月29日 07時20分42秒 | 日記

29日(土)。新型コロナウイルスの感染拡大に伴うコンサートの中止が相次いでいます 昨日のブログでご紹介した中止情報に加えて、新たに中止が発表されています とてもフォローし切れないので、私が手元にチケットがあるコンサートに限ってご紹介します

①3月1日午後2時から東京文化会館小ホールで開催予定の「4館連携  若手アーティスト支援  アフタヌーン・コンサート」が中止になりました

②3月2日午後7時からサントリーホールで開催予定の「がんばろう日本!スーパーオーケストラ」公演が中止になりました

③3月13日午後6時半から東京文化会館大ホールで開催予定の東京春祭「マクベス」が延期になりました 東京・春・音楽祭からのメールによると、「3月6日から3月15日までの『リッカルド・ムーティ  イタリア・オペラ・アカデミー in 東京』の開催を延期するが、延期後の開催日程は未定。チケットはすべて払い戻す」としています。払い戻し方法はホームページに掲載されています

④3月8日午後1時から東京オペラシティコンサートホールで開催予定の国際音楽祭NIPPON「ベートーヴェン室内楽マラソンコンサート」は実施する方向であるが、希望者については払い戻しをするとしています 私は予定通り聴きに行きます

以上により、私の場合は合計10公演がキャンセルとなり、払い戻しの手続きをすることになりました 手許にチケットのある3月15日までのコンサートで中止の発表がないのは、①3月11日午前11時から東京芸術劇場で開催予定の「芸劇ブランチコンサート~リサイタルサロン」と②3月15日午後2時から第一生命ホールで開催予定の「クァルテット・エクセルシオ ✕ タレイア・クァルテット」の2公演です   これからの新型コロナウイルスの感染拡大次第では3月16日以降のコンサートも中止になるかも知れません    ハッキリ言っていい加減にして収束してほしいと思います

ということで、わが家に来てから今日で1978日目を迎え、安倍首相が「新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、政府として責任を持って対応する」として突然発表した「全国一律休校」の要請について、卒業式などを控えた大事な時期だけに 各学校の現場では戸惑いの声が数多く聞かれた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

        首相は事あるごとに「責任を持って対応する」と言うけれど  いつも言いっぱなし

     

         

 

昨日の夕食は「みそ鍋」にしました 土曜日はなべ料理が定着した感があります

 

     

 

     

 

         

 

昨日午後2時から、すみだトリフォニーホールで新日本フィルのルビー(アフタヌーン・コンサートシリーズ)第29回演奏会を聴きました    本公演に先立って、午前11時からホールのすぐ近くのホテルのチャペルで開かれた小室敬幸氏による「レクチャー」に参加しました    受付で新日本フィル事務局の登原紗弥香さんに「新型コロナウイルスの影響で7公演がキャンセルになってしまいました そういう意味では、今日のコンサートは貴重です」と伝えると、「新日本フィルも今後のコンサートはどうなるか分かりません」と嘆いていました。その後、登原さんの司会でレクチャーに入りましたが、翌日(つまり本日)のルビー公演は中止となったことが発表されました このレクチャーは毎回参加していますが、知らないことだらけで参考になります 小室氏の解説は分かり易いです

1日だけの開催となったルビー公演のプログラムは①シューベルト「交響曲 第5番 変ロ長調 D.485 」、②ベートーヴェン「ロマンス 第1番 ト長調 作品40」、③同「ロマンス 第2番 ヘ長調 作品50」、④モーツアルト「交響曲 第40番 ト短調 K.550」です 演奏は②③のヴァイオリン独奏=周防亮介、指揮は「諸般の事情により急遽来日できなくなった」エヴェリ―ノ・ピドに代わり、1980年代にロサンジェルス・フィルの首席ヴィオラ奏者から指揮者に転じた大山平一郎が務めます

 

     

 

ホール入口で手をアルコール消毒して中に入りますが、サーモグラフィー用のカメラが入場者に向けられています 身体に高い熱を持っている人は呼び止められるのでしょう

自席は1階センターブロックほぼ真ん中の左通路側ですが、会場は2割程度のスカスカの入りで とても寂しいです 新型コロナウイルスの影響で「不急不要」な外出は避けるようにという政府の意向を汲んで、急遽ホールに来るのを取り止めた人が多かったようです 私の場合は「主催者側が中止と発表しない限り 聴きに出かける」という方針があるので何の躊躇もありませんでした

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの新日本フィルの並び。コンマスはチェ・ムンスです いつものように第2ヴァイオリンの篠原英和氏と松崎千鶴さんを確認しました ステージ上には収音マイクが林立しています 記録用なのか別の目的があるのか不明です

1曲目はシューベルト「交響曲 第5番 変ロ長調 D.485 」です この曲はフランツ・シューベルト(1797-1828)が19歳の時=1816年に作曲した作品です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート」、第3楽章「メヌエット:アレグロ・モルト」、第4楽章「アレグロ・ヴィヴァ―チェ」の4楽章から成ります

大山氏が指揮台に上がり、第1楽章に入ります 冒頭の演奏を聴いて、室内楽的な繊細な音楽作りがこの指揮者の特徴かな、と思いました 全楽章を通して聴いた印象は、「レクチャー」で解説があったように「交響曲第4番」がベートーヴェンの影響を受けているのに対し、この「第5番」はモーツアルト、あるいはハイドンの影響を受けているな、ということです どちらかというと、ロマン派というより古典派に近い曲想と言えば良いでしょうか フルート、オーボエ、ファゴットといった木管楽器が弦楽器と調和していて とても良い響きでした

2曲目と3曲目はベートーヴェンの「ロマンス」です ソリストの周防亮介は2016年ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクール入賞をはじめ内外のコンクールで優秀な成績を収め、現在は江副記念リクルート財団奨学生としてメニューイン国際音楽アカデミーで研鑽を積んでいます

「ロマンス第1番」は1801~1802年に、「ロマンス第2番」は1798年に作曲されましたが、楽譜が出版された順に番号が付されています 「レクチャー」で小室氏がこの2曲について「要するにヴァイオリン協奏曲の第2楽章を2曲作曲したと思って下さい」と解説していましたが、まったくその通りの曲想です

上を黒のベストで決めたロングヘアの周防亮介が登場します ベスト ドレッサー賞をあげましょう 「ロマンス 第1番 ト長調 作品40」が独奏ヴァイオリンから入ります ヴァイオリンの音が非常に美しい 使用楽器はNPO法人イエローエンジェルから貸与されている1678年製ニコロ・アマティです この楽器の特性が一段と生かされたのは2曲目の「ロマンス 第2番 ヘ長調 作品50」でした 指揮者の大山氏と周防君は音楽作りの志向が同じようで、あくまでも丁寧に、そして優しく音楽を奏でていきます ヴィブラートが自然で美しい

人数は少数ながら気持ちのこもった拍手に、周防君はクライスラー「レチタティーヴォとスケルツォ」を超絶技巧で演奏、ひと際大きな拍手を浴びました 演奏を聴きながら「彼はきっと、自粛ムードの中をわざわざ聴きに来てくれた聴衆のためにアンコールを演奏してくれたのだろうな」と思い、胸が熱くなりました ありがとう周防君

 

     

 

プログラム後半はモーツアルト「交響曲 第40番 ト短調 K.550」です ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756‐1791)は1788年の夏に交響曲第39番から第41番までの3曲を集中して作曲しています この第40番は同年7月25日に完成しています この作品は、初稿ではクラリネットを欠いたオーケストレーションでしたが、後にクラリネットが加えられました。この日の演奏はクラリネットを加えた第2稿で演奏されます 第1楽章「モルト・アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「メヌエット:アレグレット」、第4楽章「アレグロ・アッサイ」の4楽章から成ります

大山氏の指揮で演奏に入りますが、冒頭から繊細で優しい音楽作りが際立っています 全楽章を通して管楽器と弦楽器が良く調和して美しいサウンドを奏でていました

大山氏 ✕ 新日本フィルはアンコールにモーツアルト「アイネ クライネ ナハトムジーク K.525 」から第2楽章「ロマンツェ:アンダンテ」を優しく美しく演奏し、弦楽セクションのシルキートーンで会場を満たしました この演奏も、聴きながら「この状況下で会場に足を運んでくれた聴衆への感謝の気持ちで演奏したのだろうな」と思い、目頭が熱くなりました

2日目の公演が中止になっただけに、貴重なコンサートでした 急遽代演となった大山平一郎氏、心のこもった演奏を聴かせてくれた周防亮介君、渾身の演奏を展開した新日本フィルの楽員の皆さんに あらためて大きな拍手を送ります とても素晴らしいコンサートでした

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クラシックコンサートの公演中止相次ぐ ~ 読響、日フィル、都響、東響、東京シティ・フィル、「不滅の恋人」、「モーツアルト・マチネ」、「ウィーン・プレミアム」 / 井岡瞬「乙霧村の七人」を読む

2020年02月28日 07時21分32秒 | 日記

28日(金)。5月には新型コロナウイルス感染が収束に向かっているという前提で、5月2日から3日間 東京国際フォーラムで開催される「ラ・フォル・ジュルネ・トウキョウ」の先行抽選販売の申し込みをしました 5月2日(土)午後4時半からホールD7(221席)で開かれる「ベートーヴェンを探して」と、そのあと同じ会場で午後6時25分から開かれる「アンヌ・ケフェレック  ピアノリサイタル」です 今年はこの2件だけ申し込みました 先行抽選販売は3月4日深夜まで受け付け、3月5日午後6時頃に抽選結果が発表されます その後、3月6日午前10時からインターネット、電話、チケットぴあ等で先行先着販売が始まります 3月6日朝はチケット争奪戦に参戦します

といういことで、わが家に来てから今日で1977日目を迎え、安倍首相は27日、新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、3月2日から春休みが明けるまで、全国の小中高校や特別支援学校を臨時休校するよう要請すると表明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     子供たちを守るには良いと思うけど  その間 共働きの親はどうすればいいんだろ?

 

         

 

昨日、夕食に「肉じゃが」を作りました   見た目はイマイチですが、味は最高に美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日午後5時前、新日本フィル事務局の西さんから電話があり、「本日=28日午後2時からのルビーコンサートは予定通り開催する。午前11時からのレクチャーも開催する」とのことでした こういう非常時には楽団事務局は大変ですね

そんな中、新型コロナウイルス感染拡大を最小限にとどめるため、在京オーケストラが相次いでコンサートの中止を打ち出しています

①読売日響は27日のホームページで、2月28日の第595回定期演奏会(サントリーホール)、3月5日の第630回名曲シリーズ(同)、3月7日の第118回みなとみらいホリデー名曲シリーズの中止を発表しました 読響ではチケット購入者に対しハガキやメールなどで順次連絡するとし、払い戻しについてはホームページで発表するとしています。私は3月5日の名曲シリーズがキャンセルになります

②日本演奏連盟は27日のホームページで、「2020都民芸術フェスティバル参加公演」のうち①2月28日午後2時開演の東京交響楽団の公演(東京芸術劇場)、②3月6日午後7時開演の東京シティ・フィルの公演(同)、③3月10日午後7時からの「不滅の恋人~ベートーヴェン生誕250年記念スペシャルコンサート」(東京文化会館小ホール)を中止すると発表しました。払い戻しについては現在、関係機関と協議中とのことです。私はこのうち3月6日の東京シティ・フィルと3月10日の「不滅の恋人」がキャンセルになります

③東京都交響楽団は27日のホームページで、3月4日の第897回Bシリーズ定期公演(サントリーホール)と3月9日の第898回Aシリーズ定期公演(東京文化会館)を中止すると発表しました 払い戻しについては、後日、都響ガイドやプレイガイドで別途案内するとしています。私は4日の定期公演Bシリーズがキャンセルになります

④日本フィルは27日のホームページで、3月6日、7日の第718回東京定期演奏会(サントリーホール)、3月14日の第355回横浜定期演奏会(みなとみらいホール)、3月15日の第384回名曲コンサート(サントリーホール)を中止すると発表しました 払い戻しについてもホームページで発表しています

⑤ミューザ川崎シンフォニーホールは27日のホームページで、3月15日までの主催公演をすべて中止すると発表しました。これには3月8日の東京交響楽団「名曲全集」も含まれていますが、私が行く予定だったのは3月14日の東響「モーツアルト・マチネ第40回公演」です 払い戻しについては、詳細が決まり次第ホームページで発表するとしています

⑥ウィーン・プレミアム・コンサート事務局はホームページで、4月1日から4月12日まで全国各地で開かれる「ウィーン・プレミアム・コンサート」を中止すると発表しました このうち東京での公演は、4月1日午後7時からサントリーホール、4月6日午後7時から東京オペラシティコンサートホールです。払い戻しについてもホームページで発表しています。私は4月1日の公演がキャンセルになります

以上の通り、私の場合は2月29日の「新国立劇場オペラ研修所修了公演」から4月1日の「ウィーン・プレミアム・コンサート」まで7公演が中止になっています このような異常事態は2011年の東日本大震災の時以来ですが、中止の件数としてはそれ以上です 目に見えないものが一番怖いと思います

なお、上記にご紹介したコンサート以外にも中止・延期の可能性があります 上記の公演を含め、詳細については各オーケストラのホームページ等で直接お確かめいただくようお願いいたします

 

         

 

昨日はコンサートがなかったので、映画を観に行きたいのをグッとこらえて「不要不急の外出」を避け、井岡瞬著「乙霧村の七人」(双葉文庫)を一気に読みました 井岡瞬の本は一昨日「もしも俺たちが天使なら」をご紹介したばかりですが、お付き合いください 井岡瞬は1960年 東京都生まれ。日本大学法学部卒。2005年「いつか、虹の向こうへ」で第25回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をW受賞しデビュー 著書に「悪寒」「桜の花が散る前に」「痣(あざ)」「代償」などがあります

 

     

 

長野県木曽郡乙霧村で、かつて戸川稔という男に一家5人が殺されるという凄惨な事件があった それから22年が経過した。「乙霧村の惨劇」という作品を書いた立明大学文学部教授・泉蓮が顧問を務める文学サークル「ヴェリテ」のメンバー6人が、この村を訪ねることになった 父親が自動車メーカーの重役の資産家の息子・小野寺純、前年の「ミス立明大学」で準クイーンに選ばれた美貌の酒井玲美、成績優秀で給付型の奨学金をもらっている飯田昌枝、隊長のあだ名を持つ新堀哲夫、存在感の薄い西崎浩樹、そして彼らより1学年上で この物語の語り手「わたし」の友里(ゆり)の6人である。6人は事件当時と同じ豪雨の中、斧を持つ大男に襲われ逃げ惑うことになる 実は22年前の事件の時、一人だけ生き残った男がいた また、最初にこの旅行の計画を立てて他の5人を誘った人物には明確な目的があった 最後に謎解きをして真相を明らかにする「わたし」はいったい何者か

タイトルにある乙霧村は乙霧草(おとぎりそう)という植物に由来し、漢字では「弟切草」と書きます 「門外不出の秘伝の傷薬の存在を弟が他人に話してしまい、激怒した兄によって切り殺された」という平安時代の伝説が由来とされています。このとき飛び散った血痕が、葉や花びらにある黒い斑点になったとも言われています。花言葉は「秘密」「恨み」です

読み終わって、ハタと気が付くのは、村を訪ねたのは6人なのに、タイトルが「乙霧村の七人」になっている理由です ラストのどんでん返しを読んで、かつて読んだ歌野晶午著「葉桜の季節に君を想うということ」のレトリックを思い出しました 一瞬「してやられた」と思いますが、後で冷静に考え直してみると「自分が勝手に勘違いしていた」ことに気が付きます それと同じレトリックが「乙霧村の七人」でも使われています

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クァルテット・エクセルシオ ✕ 小山実稚恵でシューベルト「弦楽四重奏曲第14番”死と乙女”」&「ピアノ五重奏曲”ます”」を聴く / 新型コロナウイルス感染拡大でコンサート中止相次ぐ

2020年02月27日 07時24分37秒 | 日記

27日(木)。わが家に来てから今日で1976日目を迎え、新型コロナウイルスについて米疾病対策センターの幹部が25日、「国内で感染が広がるのは時間の問題だ」と警告したことから、米株式市場ではダウ工業株平均が連日で大幅安となり、2日間の下げ幅は1911ドルと過去最大となった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     経済だけが頼りのトランプ政権にとって 一番の敵は新型コロナウイルスだった!

 

         

 

昨日 安倍首相は、首相官邸で開かれた新型コロナウイルスの感染症対策本部の会合で、「多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベントは大規模な感染リスクがある」と述べ、「今後2週間はイベントの中止や延期、規模縮小を政府として要請する方針」と表明しました

これを受けて、新国立劇場は昨日「新型コロナウイルス感染症の拡大防止に係る主催公演中止のお知らせ」を基に「オペラ研修所修了公演『フィガロの結婚』を含む2月28日から3月15日までの間、全ての主催公演等をやむなく中止することといたしました」とツイートしました 私は2月29日(土)の公演を聴く予定にしていたのでキャンセルになります 国の組織なので仕方ないと思います チケットの払い戻しは後日同劇場ウェブサイトで通知するとしています。聴くのを楽しみにしていたわれわれ以上に、当日歌う予定だった研修生の皆さんはさぞかし悔しいだろうと思います

 

     

 

また、新日本フィルは昨日「2月28、29日のルビー(アフタヌーン・シリーズ)で指揮を予定していたエヴェリ・ピド氏の来日は、諸般の事情により急遽中止となりました。代わりまして、大山平一郎氏が出演いたします」とツイートしました 「急遽」というところを考えると、「ははあ、新型コロナウイルスの拡散に怖気づいたな」と勘繰ってしまいます 私は もともとピドという指揮者は知らないので、大勢に影響はありません また新日本フィルはその後のツイッターで、「新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮し、両日のロビーコンサートを中止する」と発表しました

 

     

 

このほか、私は行きませんが、日本フィルは2月29日になかのZEROホールで開催予定のフレッシュ名曲コンサートと、3月11日に杉並公会堂で開催予定の第6回公演を中止するとツイートしました また、ミューザ川崎シンフォニーホールは、2月28日に予定していたロウヴァリ指揮エーテボリ交響楽団の公演を中止するとツイートしました

なお、それぞれの情報はツイッターなので、詳細については各オーケストラやコンサートホールのホームページ等で確認していただくようお願いします   公演中止・延期の動きはこれから強まるでしょう。ツイッターから目が離せません

 

         

 

昨日、夕食に「筑前煮」を作りました 前回作った時、味が薄めだったので今回は気をつけました。美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夕、東京文化会館小ホールで都民芸術フェスティバル参加公演「シューベルトの最高傑作」を聴きました プログラムはシューベルト①「弦楽四重奏曲 第14番 ニ短調 D.810  ”死と乙女” 」、②「ピアノ五重奏曲 イ長調 作品114 D.667  ”ます” 」です 演奏は弦楽四重奏=クァルテット・エクセルシオ、②のピアノ=小山実稚恵、コントラバス=渡邉玲雄です

クァルテット・エクセルシオのメンバーは、第1ヴァイオリン=西野ゆか、第2ヴァイオリン=北見春菜、ヴィオラ=吉田有紀子、チェロ=大友肇です 渡邉玲雄は新日本フィル首席コントラバス奏者を経て、現在愛知県立芸術大学准教授を務めています

 

     

 

 

1曲目はシューベルト「弦楽四重奏曲 第14番 ニ短調 D.810  ”死と乙女” 」です この曲はフランツ・シューベルト(1797-1828)が27歳の時=1824年に作曲しました。第2楽章に歌曲「死と乙女」作品7の3(D.531)のピアノ伴奏部を借用したため、この愛称があります 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ・モルト」、第4楽章「プレスト」の4楽章から成ります

残念ながら東京文化会館小ホールはアルコール消毒の設置がありませんでした 自席はP17番、後方左ブロックの左から3つ目です。会場は9割は埋まっていると思われ、マスク着用率は大雑把に7割くらいだと思います

ステージに登場した女性陣3人はダークグリーン系の衣装で統一しています 第1ヴァイオリンの西野さん、髪を伸ばしましたね

4人の演奏で第1楽章に入りますが、冒頭から集中力に満ちた演奏が展開します このクァルテットを聴いていつも思うのは、常設の弦楽四重奏団ならではの緻密なアンサンブルです 第1ヴァイオリンの西野さんがリードしますが、チェロの大友氏ががっちりと低音部を支えます そしてヴィオラの吉田さんと第2ヴァイオリンの北見さんがしっかりとフォローします 第2楽章は、シューベルトの独白をヴァイオリンやチェロを通して聴いているような感じです 何とシューベルトは悲しいのでしょうか 第3楽章のスケルツォを経て、第4楽章のプレストは、何かに追われているような疾走感があります そして、シューベルト特有の「いつ終わるか分からない」メロディーの繰り返しがあります しかし、エクセルシオの演奏で聴いている限り、飽くことを知りません 次々と湧き出てくる音楽が新鮮さを保っています それを可能にしているのが緻密なアンサンブルです。文句なしの素晴らしい演奏でした

 

     

 

プログラム後半はシューベルト「ピアノ五重奏曲 イ長調 作品114 D.667  ”ます” 」です この曲は1819年(22歳)に作曲されたと言われてきましたが、音楽評論家の小味淵彦之氏のプログラム・ノートによると、近年は1823年(26歳)に作曲された可能性もあるとのことです また、この曲はオーストリアのシュタイアーという町の鉱業所長パウムガルトナーがリートの「ます  D550」がお気に入りで、彼のたっての希望で書かれたそうです ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスという珍しい五重奏曲の編成は、フンメルの作品の編成を基にパウムガルトナーが指定したのだそうです こういうプログラム・ノートは参考になりますね

この曲は第4楽章が歌曲「ます」作品32 D.550の主題による変奏曲であるためこの通称を持っています 第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「スケルツォ:プレスト」、第4楽章「テーマ・アンダンティーノ~ヴァリアツィオー二1-Ⅴ~アレグレット」、第5楽章「フィナーレ:アレグロ・ジュスト」の5楽章から成ります コントラバスを含む5つの楽器の編成も異色ですが、5楽章形式も異色です

演奏はエクセルシオから第2ヴァイオリンの北見さんが抜け、コントラバスの渡邉氏とピアノの小山さんが加わります

5人の演奏で第1楽章に入りますが、あまりにもゆったりしたテンポだったので、違う曲を聴いているように感じました しかし、まもなくお馴染みのテーマが表れて「明るく正しく強く」といった小学校の教室に飾られたモットーのような晴れやかで明快な音楽が展開します 最初、小山さんのピアノの音が若干大きすぎるかな、と思いましたが、すぐに慣れました 第2楽章は特に小山さんのピアノが哀愁が漂って美しかった 第3楽章は切れ味するどく軽快な演奏に突入しますが、特に女性陣は楽しそうに演奏していました この楽章は「ます」の主題と変奏曲ですが、変奏曲が得意なベートーヴェンにも負けない曲想の変化が楽しめます 小山さんのピアノは「ます」が水面に跳ねているようです 第5楽章はシューベルト特有の同じメロディーの繰り返しです 終わったかと思って油断していると、また同じメロディーが演奏され、今度こそ終わったかと思うと再び同じメロディーが・・・とキリがないのですが、説得力のある演奏というのは飽きさせません そして、愉悦感に満ちたフィナーレを迎えます

5人は満場の拍手とブラボーに、今演奏した「ます」の第3楽章「スケルツォ」をノリノリで演奏、再び大きな拍手に囲まれました

コンサートを聴き終わって「中止にならなくて良かった」と、心の底から思いました

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新型コロナウイルス感染が拡散する中、コンサートに行くべきか控えるべきか ~ 私の方針 / 井岡瞬「もしも俺たちが天使なら」を読む ~ 詐欺師と ヒモと 元刑事の物語

2020年02月26日 07時34分12秒 | 日記

26日(水)。わが家に来てから今日で1975日目を迎え、トランプ米大統領は24日、新型コロナウイルスへの対処について「米国はうまく制御できている」とツイッターに投稿した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                   アメリカで1万5千人以上が死亡したって 本当にインフルエンザだけが原因なの?

 

         

 

昨日、夕食に「餃子」を焼きました いっぺんに24個焼いたので焼きムラが出来てしまいましたが、味は美味しかったから良しとします

 

     

 

         

 

昨日朝9時半頃、巣鴨駅近くの大手薬局チェーンの前を通ったら50メートル近くの行列が出来ていました 新型コロナウイルス対策のためのマスクを求める人たちの列です。行列は日を追うごとに長くなっているようです

この問題に関して、22日付朝日夕刊は次のように報道しています

「日本感染症学会と日本環境感染学会は21日、市民向けの注意点を発表した。①電車やバスでつり革や手すりなどに触ったら、鼻や口、目などを触らない、②会社や学校、自宅に着いてから手洗いをしっかりする、③時差通勤やテレワークを活用する、④37.5度以上の発熱やせき、倦怠感があるときは会社や学校はなるべく休んで自宅で安静にし マスクを付けるーなどを挙げた

また 昨日の朝日新聞朝刊によると、日本で確認された感染者総数は851人で、そのうち国内での感染が146人、クルーズ船が692人、チャーター便が15人、検疫や搬送の関係者8人(24日午後11時現在)となっています。つまり、クルーズ船が圧倒的多数を占めているのが実態です

そうした中、政府は25日、新型コロナウイルスによる肺炎に関する基本方針を公表しました 「これから1~2週間が感染の急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際」であるとの認識のもと、「対面で長時間会話するのを避けたり、風邪や発熱があっても症状が軽い場合はいきなり医療機関を受診するのではなく、外出を避けて自宅療養したりすること」等を求めています

こうした状況下で、われわれ一般市民は正しい知識を身に着けることが大切です 2月22日付朝日新聞朝刊の「オピニオン&フォーラム」欄は、「マスク依存社会」のテーマにより3人の識者の見解を掲載しています。そのうち、医療関係者を代表して血液内科の専門医・久住英二氏が「元気な人の予防なら不要」という見解を述べています。超訳すると

「日本では『予防策』のためのマスク着用が、2009年の新型インフルエンザ流行や花粉症対策などで広まった。新型コロナウイルスの感染拡大で、いまや公共の場でマスクをつけていないと逆に注目され、『非常識』と思われてしまいそうだ しかし通常のマスクには、感染症から身を守る効果はあまりない 構造上どうしても隙間ができるし、直径30マイクロメートルの花粉の侵入は防げても、0.1ミクロンの新型コロナウイルスは通してしまう 気密性が非常に高い『N95マスク』もそうだ。また、ウイルスは鼻、口だけでなく目からも入る マスクをしていてもゴーグルをつけなくては『頭隠して尻隠さず』となる。つまり、マスクは予防策ではない 自分の病原体を他人に感染させないための道具で、元気な人は基本的につける必要はない。一般のマスクでもウイルスのついた唾液は捉えられるので、せきや熱などの症状がある人がつければ、感染予防の効果はある。そのマスクは病原体だらけで、むしろ『感染源』なので何度も使用せず1度外したら捨てるべきだ。欧米では本来の使い方が普及しているせいか、『マスクをつけている人=病人』という認識だ 感染症の予防は手洗いが基本だが、マスクをつけている人が どれだけ正しい手洗いを実践しているだろうか。マスクが単なる『健康に気を使っています』というポーズに終わっている   『マスクをつけているから大丈夫』という安心感から、科学的に根拠のある予防策をとらない社会では、感染は広がる一方だ」(以上 下線部分はtora)

一方、新型コロナウイルスの感染拡大をよそに、全国的にコンサートはほぼ予定通り開かれています 大阪交響楽団はホームページで一部のコンサートを中止すると告知していますが、定期演奏会ではないようです 東京都内に限って言えば、在京オーケストラの定期演奏会のほかに、現在「2020都民芸術フェスティバル」が池袋の東京芸術劇場(オーケストラ)と東京文化会館小ホール(室内楽)で進行中です オーケストラでは3月24日の新日本フィルの公演まで5公演が、室内楽では今夜の「シューベルト」と3月10日の「ベートーヴェン」が残っています

それと並行して、3月13日のリッカルド・ムーティ指揮によるベルディ「マクベス」を皮切りに、「東京・春・音楽祭 2020」が東京文化会館を中心に始まり、4月18日のプッチーニ「三部作」まで続きます

その後は5月2日から4日まで「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」が東京国際フォーラムを中心に開催されます 新型コロナウイルスの感染拡大とコンサートとの関係は、現段階においては この辺までを視野に入れて考えなければならないと思います

私の今後のコンサートの予定は、2月が本日を含めて残り3公演、3月が23公演、4月が17公演となっています また、この間METライブビューイングのオペラ映像を2本観る予定です

新型コロナウイルスによる感染が拡大する中、コンサートに行くか 控えるかについては誰もが迷うところではないかと思います 私は、上にご紹介した様々な情報を総合的に勘案した結果、「主催者側がコンサートを中止または延期すると発表しない限り、聴きに行く」という方針を固めました そのためには、専門家の指摘のとおり、①電車やバスでつり革や手すりなどに触ったら、鼻や口、目などを触らない、②コンサート会場や自宅に着いたら手洗いをしっかりするーの2点を徹底したいと思います マスクについては、専門家の指摘もあるので、これまで通り、薬局の行列に並ぶこともないし、気休めのための着用もしないこととします 幸いサラリーマンではなく 満員電車に乗ることはほとんどないので 問題はないと思います

なお これに関連して、各コンサートホールには、サントリーホールのように、入口で手をアルコール消毒することが出来るよう 必要な措置を講じていただきたいと思います

「コンサートに行くか控えるか」については、自分自身に加えて家族のことも考慮しなければならないことは言うまでもありません   もし私が未成年の扶養家族や介護すべき老人などを抱えている身であればコンサート通いを控える確率は高いと思います あくまでも それぞれの立場によって対応を判断すべきだと思います

 

         

 

井岡瞬著「もしも俺たちが天使なら」(幻冬舎文庫)を読み終わりました   井岡瞬は1960年東京都生まれ。日本大学法学部卒。広告会社勤務中の2005年、「いつか、虹の向こうへ」で第25回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をダブル受賞してデビュー 著書にこのブログでもご紹介した「悪寒」「桜の花が散る前に」をはじめ「乙霧村の七人」「痣(あざ)」「代償」などがあります

 

     

 

主人公は3人。セレブからしか金を獲らない詐欺師・谷川、有閑マダムのヒモで喧嘩がめっぽう強いイケメン・松岡、不始末で警察を追われた元刑事・染井です 物語は染井が柄の悪い若者たちからオヤジ狩りに遭っているところに松岡が現われ助太刀をするが、それを物陰から谷川が密かに見ていたシーンから始まります そして、松岡の前に一人の美しい女性が現われ「家に棲みついた怪しい男に実家のブドウ農園が乗っ取られそうだから助けてほしい」と言う。彼女は松岡の血のつながりのない妹だった  ひょんなことから知り合いになった3人は、山梨の松岡の実家・ブドウ農園に乗り込むことになる。そして、表面的には真面目だが内心何を考えているか分からない怪しい男・青木を問い詰める。谷川は彼の背後に関西を拠点にした詐欺師集団「クロモズ」の陰を見る 谷川は同じ詐欺師として青木に頭脳戦を仕掛ける。果たしてブドウ園は乗っ取りから逃れられるのか

谷川にしても染井にしても、松岡一家を助けるために山梨まで行く義理はないのに、なぜか一緒についていくところや、3人は必ずしもお互いを信頼しているわけではなく、疑心暗鬼になりながら共通の敵に対峙するところが、この小説の面白いところだと思います 3人の中では(詐欺師らしく)いつも感情に流されず、冷静に物事を考え、行動に移し、最終的には問題を丸く収める谷川が魅力的です

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アンネ=ゾフィー・ムターのベートーヴェン第3回「リサイタル」を聴く ~ ヴァイオリン・ソナタ第4番、第5番”春”、第9番”クロイツェル”:ピアノ=ランバート・オーキス

2020年02月25日 07時27分49秒 | 日記

25日(火)。わが家に来てから今日で1974日目を迎え、新型コロナウイルスについて注意を呼びかけるモコタロです

 

     

      家に帰ったら手をよく洗ってね !

 

         

 

昨日は、夕食に「ポーク・カレー」を作りました カレーは時々食べたくなります

 

     

 

         

 

昨日、サントリーホールで「アンネ=ゾフィー・ムターのベートーヴェン・コンサートシリーズ第3回『リサイタル』」を聴きました プログラムはベートーヴェン①「ヴァイオリン・ソナタ 第4番 イ短調 作品23」、②「同:第5番 ヘ長調 作品24 ”春”」、③「同・第9番 イ長調 作品47 ”クロイツェル” 」です 演奏はヴァイオリン:アンネ=ゾフィー・ムター、ピアノ:ランバート・オーキスです

この日もホール入口で手をアルコール消毒して中に入りました 例によって場内アナウンスは新型コロナウイルス対策のため手洗いと咳エチケットを求めています

自席は2階P4列36番、ステージ後方P席4列目の左から2つ目です。会場は9割方埋まっているでしょうか。P席からは会場全体が見通せます。この日のマスク着用率は8割以上だと思います

 

     

 

1曲目は「ヴァイオリン・ソナタ 第4番 イ短調 作品23」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1800年に作曲した作品ですが、次の「第5番作品24」と同時並行で作曲されました 第1楽章「プレスト」、第2楽章「アンダンテ・スケルツォ―ソ・ピゥ・アレグレット」、第3楽章「アレグロ・モルト」の3楽章から成ります

オーキスのピアノで短い動機が奏でられ、ムターの緊張感に満ちたヴァイオリンが入ってきます オーキスは曲想に応じて足をハの字に広げたり、閉じたり、ペダルを踏んだりと忙しく動かします それが面白くてしばらく彼の足ばかり見ていました もちろん、ピアノは超一流です。かつてチェロの巨匠ロストロポーヴィチの伴奏者として11年間にわたり世界ツアーに同行した経歴の持ち主ですから 全体的に最弱音と最強音のレンジが広いメリハリのついた演奏でしたが、特に第3楽章でのムターとオーキスの丁々発止のやり取りが素晴らしかった  それもそのはず、この二人のコンビは30年にも及んでいます

2曲目は「ヴァイオリン・ソナタ 第5番 ヘ長調 作品24 ”春”」です この曲は1800年から1801年にかけて作曲された作品です 「春」という愛称は後世の人々が、春の息吹を感じさせる爽やかな印象から付けたものです 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ・モルト・エスプレッシーヴォ」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ・モルト」 第4楽章「ロンド:アレグロ・マ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります

二人の演奏で第1楽章が開始されます ムターのヴァイオリンの何と優しく軽やかなことでしょう 今の季節に相応しい”春の訪れ”を告げるかのような演奏です この楽章はヴァイオリンとピアノが交互に同じメロディーを奏でますが、オーキスのピアノも詩的で軽やかです 相変わらず足も健在です。第2楽章はムターの一番の特徴である自然で美しいビブラートが聴けました 第3楽章のスケルツォを経て、第4楽章では再び軽やかな演奏が展開し、「ムターが春を連れてやってきた」という感じがしました とにかくヴァイオリンの音が美しかった

 

     

 

プログラム後半は「ヴァイオリン・ソナタ 第9番 イ長調 作品47 ”クロイツェル” 」です この曲は1803年に作曲された作品です 当初ヴァイオリニスト・作曲家のブリッジタワーに捧げる予定で作曲しましたが、最終的にはパリ音楽院の初代ヴァイオリン科教授のヴァイオリニスト・作曲家のロドルフ・クロイツェルに献呈したため「クロイツェル・ソナタ」の愛称で呼ばれています 第1楽章「アダージョ・ソステヌート」、第2楽章「アンダンテ・コン・ヴァリアツィオー二」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります

第1楽章がムターの力強いヴァイオリン独奏で開始されます モーツアルトの初期のヴァイオリン・ソナタが「ヴァイオリンの伴奏付きピアノ・ソナタ」であるのと異なり、この曲ではヴァイオリンとピアノが対等に扱われています ムターのヴァイオリンと同様 オーキスのピアノも雄弁で、二人はドラマティックな演奏を展開しました   第2楽章は優美なロマンに満ちた音楽が奏でられます 主題と4つの変奏曲から成りますが、ここでもムターの自然なビブラートによる美しいヴァイオリンが際立っていました    第3楽章では躍動感あふれるタランテラのリズムが奏でられ、活気に溢れたフィナーレを迎えました

会場いっぱいの拍手とブラボーの嵐に、二人は4回目のカーテンコールで、ベートーヴェン「『からくり時計』のための5つの小品」より第3曲「アレグロ」を楽しく演奏しました 鳴りやまない拍手に、ジョン・ウィリアムズ「シンデレラ・リバティー/限りなき愛」より「すてきな貴方」をバラード風に演奏しました それでも まだまだ鳴り止まない拍手に、ブラームス「ハンガリー舞曲第1番」を変幻自在に演奏し、スタンディングオベーションを呼び起こしました

帰りのロビーは、「アンコール曲掲示ボード」を見る人たちとムターのCDを買い求める人たちでごった返していて、なかなか外へ出られませんでした ムター人気は凄いです

 

     

     

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小林研一郎 ✕ フィルハーモニックアンサンブルでスメタナ:連作交響詩「わが祖国」全曲を聴く / 無料コンサートをご紹介します

2020年02月24日 07時19分06秒 | 日記

24日(月・休)。わが家に来てから今日で1973日目を迎え、米政府は米大統領選を巡る民主党の候補者争いに関し、「ロシアがバーニー・サンダース上院議員を有利にしようと介入を試みている」とし、サンダースにも伝えた一方、米情報機関は一部の議員に「ロシアがトランプ氏が再選されるよう、介入を図っている」と伝えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     社会民主主義者対資本主義者の争いになれば トランプが勝つ というのが狙いか?

 

         

 

昨日、サントリーホールで「フィルハーモニックアンサンブル管弦楽団第67回演奏会」を聴きました ”炎のコバケン”こと小林研一郎がスメタナの連作交響詩「わが祖国」全曲を振ります 私がこのオーケストラを聴くのは2013年2月のコンサート以来です このオケは1976年に立教大学交響楽団のOBにより、合唱団の依頼に応える形で『メサイア』祝祭オーケストラとして結成、1979年に初の主催演奏会を開くにあたり広く門戸を広げ、現在は一般の社会人オーケストラとして東京を中心に自主運営を続けています コンマスの永峰高志氏は元N響の第2ヴァイオリン首席奏者で、2015年にN響を退団しました

前日同様、ホールの入口で手をアルコール消毒しました 場内アナウンスはルーティーンのように「感染症対策のための手洗いと咳エチケット」の協力を呼びかけています 自席は1階20列12番、左ブロック右から3つ目です。ホール内を見渡すと、P席と左右の2階席はほぼ9割がマスクを着用しています 残念ながら1階席は後ろ姿しか見られず、2階席のセンターも自席からは見えないので様子が分かりませんが、ホールに来るたびにマスク着用率は高まっているように思います

演奏される「わが祖国」はベドルジフ・スメタナ(1824-1884)が1874年から1879年にかけて作曲した6つの交響詩からなる連作交響詩です 第1曲「ヴィシェフラド」、第2曲「ヴルタヴァ」、第3曲「シャールカ」、第4曲「ボヘミアの森と草原から」、第5曲「ターボル」、第6曲「ブラニーク」です 各楽曲の初演は1875年から1880年にかけて別々に行われており、全6曲の初演は1882年11月5日でした

この曲は、毎年行われる「プラハの春音楽祭」のオープニング曲として演奏されるのが恒例となっています 2002年の音楽祭では小林研一郎がヨーロッパ以外では初めて指揮台に立っています もちろん、この日も暗譜で指揮をします

オケは左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対向配置ですが、ヴィオラとチェロの位置が特異です

第1曲「ヴィシェフラド」はプラハにあるヴィシェフラド城を題材としており、「高い城」の曲名で知られています この城はボヘミア王国の国王が居城していたこともある城でしたが、戦乱により破壊され廃墟となりました この曲は1872年から1874年にかけて構想され、1874年9月末から11月中旬にかけて作曲されましたが、この間、スメタナの聴力は徐々に衰えるようになり、それから間もなく完全に失聴してしまいます したがって、6曲のうちこの曲だけがスメタナが失聴する前にかなりの部分が出来上がっていた唯一の作品ということになります

コバケンの合図で、吟遊詩人の奏でる竪琴の調べを2台のハープが演奏しますが、抒情的な素晴らしい演奏でした コバケンはかなりゆったりしたペースで音楽を進めました

第2曲「ヴルタヴァ」は「モルダウ」の曲名で知られており、単独の作品として演奏される機会が多い楽曲です ヴィシェフラド城(高い城)の下を流れるのがヴルタヴァ川です ヴルタヴァ川の源流のしずくが小川になり、それが次第に大きな流れになり、エルベ川に向かって遠ざかっていく様々な場面が描かれています コバケンは快速テンポで音楽を開始します 冒頭の2本のフルートが素晴らしい 金管が一瞬躓き音楽が止まるかと思いましたが、すぐに持ち直しました

第3曲「シャールカ」のシャールカとはプラハの北東にある谷の名で、その由来は男たちと女たちが死闘を繰り広げたというチェコの伝説「乙女戦争」に登場する勇女の名前です

この日の演奏で一番素晴らしかったのはこの「シャールカ」です 物語のストーリーを具体的な音で描写していくので分かり易いからかもしれません シャールカを表すクラリネットの演奏が素晴らしい また、男たちが酒を飲んで寝込んでしまったシーンではファゴットが”いびき”を描写しますが、思わず笑ってしまいました

ここで20分の休憩が入ります。マスク姿の人たちがホワイエに出てきます

 

     

 

後半の1曲目は第4曲「ボヘミアの森と草原から」です この曲はボヘミアの田舎の美しさを描写した楽曲です。冒頭からスケールの大きな演奏により雄大な自然が描かれました

第5曲「ターボル」は、次の「ブラニーク」とともに、15世紀のフス戦争におけるフス派信者たちの英雄的な戦いを讃えた楽曲です 「フス戦争」とは、ボヘミアにおける宗教改革の先駆者ヤン・フスが、堕落した教会を烈しく非難して破門され死刑にされた後、彼の教理を信奉する者たちが団結して起こした18年にも及ぶ戦争です ターボルとは南ボヘミア州の古い町で、フス派の重要な拠点でした。冒頭の重心の低いリズムが宗教戦争の始まりを表します。ブラスと弦楽器の渾身の演奏が光ります ティンパニの打ち込みが半端なかった

第6曲「ブラニーク」は第5曲「ターボル」に続けて演奏されますが、ブラニークとは中央ボヘミア州にある山で、ここにはフス派の戦士たちが眠っており、また讃美歌に歌われる聖ヴァ―ツラフの率いる戦士が眠るという伝説もあります オーボエ、クラリネットが素晴らしい演奏を繰り広げます またホルンが安定感のある演奏を展開しました フィナーレは、民俗色豊かなポルカが奏でられ、平和と自由を讃えるファンファーレによって物語を締めくくりました

満場の拍手とブラボーに、コバケンは楽員をセクションごとに立たせます そして、いつも通り拍手を制して、「今日は良いシチュエーションではない中を、たくさんの方々にお出でいただきありがとうございました。もう一度、演奏したオーケストラの皆さんに大きな拍手をお送りください」とあいさつしました 「良いシチュエーションでない中」というのは、会場いっぱいのマスク姿の聴衆を前にして思わず出た言葉だと思います 最後にコバケンの音頭で全員が前に、後ろに、左に、右に、そしてもう一度前に向いて一礼し、大きな拍手の中 コンサートを締めくくりました

演奏を聴き終わってあらためて思うのは、スメタナはこの曲をほとんど耳が聴こえない状態で作曲し、最期には精神病院で60歳の生涯を閉じたということです 人生の後半をほとんど難聴のまま数多くの名作を生み出したベートーヴェンは57歳で天に召されました 作曲家で難聴は致命的です。しかし二人の音楽家はその運命を乗り越えました このことは現代に生きるわれわれに大切なことを教えてくれます

 

         

 

当日配布されたコンサートのチラシのいくつかをご紹介します

最初は6月7日開催の「世界アマチュア・オーケストラ・フェスティバル・イン・トウキョウ」です   山下一史指揮によりマーラー「交響曲第5番」ほかが演奏されます    チケット代は全席指定2,000円です

 

     

 

以下は無料コンサートです    その頃までに、新型コロナウイルスが収束に向かっていることを祈ります

 

     

 

     

 

     

     

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アンネ=ゾフィー・ムターのベートーヴェン第2回「室内楽」を聴く ~ 「弦楽三重奏曲作品9‐3」、「弦楽四重奏曲第10番”ハープ”」ほか

2020年02月23日 07時29分55秒 | 日記

23日(日)。わが家に来てから今日で1972日目を迎え、トランプ米大統領は20日、コロラド州での選挙集会で、韓国映画「パラサイト  半地下の家族」が米アカデミー賞に選ばれたことについて「今年のアカデミー賞はひどい。我々は韓国に貿易でたくさんの問題を抱えている。そこに今年の最優秀映画賞を与えるのか?」と述べ、1939年にアカデミー賞・作品賞を受賞した米国映画「風と共に去りぬ」を引き、「私はああいう映画を探しているんだ」と語った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプはいつから映画評論家になった? 文化を理解しない輩は風と共に去れ!

 

         

 

昨日、サントリーホールで「アンネ=ゾフィー・ムターのベートーヴェン・コンサートシリーズ第2回『室内楽』」を聴きました

プログラムは①ベートーヴェン「弦楽三重奏曲 変ホ長調 作品9‐3」(「作品3」から変更)、②イェルク・ヴィトマン「弦楽四重奏曲 第6番」(日本初演)、③ベートーヴェン「弦楽四重奏曲 第10番 変ホ長調 作品74 ”ハープ” 」です 演奏はヴァイオリン:アンネ=ゾフィー・ムター、イェウン・チェ、ヴィオラ:ウラディーミル・バベシコ、チェロ:ダニエル・ミュラー=ショットです

 

     

 

午後4時開演というのは珍しいと思います 記憶を辿るとワーグナーの楽劇くらいしか思い出せません 2日前と同様、ホール入口で手をアルコール消毒してから中に入りました。この日も場内アナウンスで感染症対策のため「手洗いと咳エチケット」の協力を訴えていました

自席は2階RA3列20番、ステージ右サイドの2階の3列目右通路側です 会場は7割くらいの入りでしょうか。マスク着用は2日前より1割程度増え、6割くらいになったように思われます

1曲目はベートーヴェン「弦楽三重奏曲 変ホ長調 作品9‐3」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1797年後半から翌98年初頭にかけて作曲した「3つの弦楽三重奏曲作品9」のひとつです 彼はこの3曲を含めて全5曲の弦楽三重奏曲を作曲していますが、ハイドン(変ロ長調)とモーツアルト(ディヴェルティメントK.563)がそれぞれ1曲ずつしか作曲していないのと対照的です 平野昭氏の「プログラム・ノート」によると、ベートーヴェンは 家主だったリヒノウスキー侯爵邸のサロンコンサートのために書いていたとのことです 第1楽章「アレグロ・コン・スピリト」、第2楽章「アダージョ・コン・エスプレッショーネ」、第3楽章「アレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「フィナーレ:プレスト」の4楽章から成ります

ヴァイオリンのアンネ=ゾフィー・ムターは、世界的な指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンに見い出されて以来「カラヤンの秘蔵っ子」として才能を開花させ、世界のオーケストラと共演しているほか、ペンデレツキやグバイドゥーリナなど現代の作曲家たちによる28作品の世界初演を行うなど精力的に活動しており、「ヴァイオリンの女王」と呼ばれています ヴィオラのウラディーミル・バベシコはベルギー国立管弦楽団のソロ首席奏者です チェロのダニエル・ミュラー=ショットは1992年(15歳の時)、若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクールで優勝を果たし、現在 世界の主要なオーケストラに客員しています

3人の演奏者が登場し配置に着きますが、ムターは上が黄色のノースリーブ、下が黒のパンツルックです おやっ と思ったのはムターが演奏に当たりメガネを着用していたことです さすがに4人全員が暗譜で演奏する古典四重奏団のようにはいきません。譜面を見ながら演奏します。それでムターもメガネが必要になったのでしょう また、演奏者は演奏会用の折りたたみ椅子ではなく、ピアノ椅子に座って演奏します 座面の高さが調整できるからだろうと推測します 男性2人は椅子を横にして置いて中央に座りますが、ムターは縦にして置いて座ります。その方が演奏しやすいのだと思います

第1楽章がムターの主導により展開します この楽章が終わると、曲の演奏が終わったと勘違いした拍手がありましたが、ムターはそちらの方を見てニッコリとして、「ありがとう。でもまだ演奏は続きますから楽しんでくださいね」と言っているような柔和な表情を見せて第2楽章に入りました 第2楽章はムターの弱音が美しく響きました 第3楽章では特徴的なシンコペーションが楽しく聴けました 第4楽章は疾走感溢れる演奏でした 面白いと思ったのは、ヴィオラのウラディーミル・バベシコが終始 腰を浮かせながら演奏していたことです

2曲目はイェルク・ヴィトマン『スタディー・オン・ベートーヴェン』弦楽四重奏曲 第6番の日本初演です    ヴィトマン(1973年~)はミュンヘン生まれのクラリネット奏者・作曲家です    弦楽四重奏曲は1997年の第1番から2005年の第5番まで5曲を発表しています    第6番は14年ぶりの作品となりますが、6曲とも単一楽章の作品となっています   ヴィトマンはこの作品について「文字通りの意味での『スタディー(研究)』だ」と述べているそうです この作品は作曲にあたり協力したムターに捧げられています

第2ヴァイオリンのイェウン・チェが加わります 彼女はソウル生まれ。16歳でムターに見い出され、アンネ=ゾフィー・ムター財団の奨学生となり、ミュンヘン音楽演劇大学ではアナ・チュマチェンコに師事しています

ムターの合図で演奏に入ります。演奏を聴いていると、内容は現代曲であるものの、何となくベートーヴェンの作品を変形させたメロディーが聴こえてきたり、まったくオリジナルのメロディーが聴こえてきたりで、まるでベートーヴェンの音楽を素材にしたパッチワークのような感じを受けました 日本での「世界初演」を終えたムターは、肩の荷を下ろしたような安堵の表情でした 名手ムター率いるクァルテットによる演奏とは言え、30分の演奏は私には長すぎました。現代曲は疲れます

 

     

 

プログラム後半はベートーヴェン「弦楽四重奏曲 第10番 変ホ長調 作品74 ”ハープ” 」です    この曲は1809年(39歳)に作曲され、フランツ・ヨーゼフ・フォン・ロブコヴィツ侯爵に献呈された作品です  「ハープ」という愛称は、第1楽章のアレグロ主部でのピッツィカートがハープのように感じられることから付けられたものです この作品は、終楽章に変奏曲を置いた唯一の弦楽四重奏曲として知られています 第1楽章「ポーコ・アダージョ~アレグロ」、第2楽章「アダージョ・マ・ノン・トロッポ」、第3楽章「プレスト」、第4楽章「アレグレット・コン・ヴァリアツィオー二」の4楽章から成ります

第1楽章が静かな導入部で始まります。そしてアレグロに移ると弦によるピッツィカートが心地よく響きます 第2楽章におけるムターの奏でるアダージョは何と慈愛に満ちていることでしょうか ゆったりとしたアダージョ楽章こそ、ムターの美しく歌うヴァイオリンが映える聴かせどころです 第3楽章は一転、冒頭から第5交響曲の「運命の動機」を思わせる音楽が猛スピードで駆け抜けます 私が今まで聴いた中で最速スピードでした この楽章ではムターの主導により最弱音から最強音まで振幅の大きい演奏が展開しました アタッカで続く第4楽章はベートーヴェン得意の変奏曲です。主題と6つの変奏曲が演奏されますが、ひとつのメロディーの変化を十分楽しむことが出来ました

満場の拍手にカーテンコールが繰り返されましたが、たしか7度目のカーテンコールでアンコールに応じました 最後に演奏した第10番の第4楽章の「変奏曲」をもう一度演奏し、再び満場の拍手に包まれました

ムターのベートーヴェン・コンサートシリーズ第3回「リサイタル」は明日 サントリーホールで開かれます また時間が変わり 午後2時開演です   今度はP席で聴きます

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アンネ=ゾフィー・ムターのベートーヴェン第1回「協奏曲」を聴く ~ 「ヴァイオリン協奏曲」、「ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための三重協奏曲 」、序曲「コリオラン」

2020年02月22日 07時26分56秒 | 日記

22日(土)。昨日午前、毎年恒例の確定申告に行ってきました 豊島税務署は朝8時半に開くというので5分前に行ったら、すでに40人近くの人たちが並んでいました 建物内に案内されたのは良いのですが、9時15分に税務職員が来て説明するのでそれまで待てと言います お役所だなと思いました。例年のことですが 必要書類等について順番に説明を受けてからパソコン入力の部屋に行くと、スマホを持参していれば列に並ばなくても早く出来ると言われたので自分のスマホで入力作業をすることにしました 初めてのことでもあり、画面が小さいので画面を拡大したり戻したりを繰り返して、不明な点を訊きながら入力作業をしたら、申告作業が終わったのが11時40分になってしまいました これでは昨年と同じです。「どうして3時間もかかるのか」といつも思います 幸い今回は数千円戻ってくるのでまだ良いのですが、これが徴収されることになったら踏んだり蹴ったりです すっかり疲れ果てたので、いつもは朝一番で行く整骨院に行って、腱鞘炎の治療と共に身体のマッサージをしてもらいました これでやっと生き返りました

ということで、わが家に来てから今日で1971日目を迎え、トランプ政権は、米経済は景気拡大局面が過去最長の11年目に突入したことから「大いなる成長(Great  Expansion)と名付け、1930年前後の大恐慌(Great  Depression)や2008年以降の世界金融不況(Great  Recession)と対比させた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     11月の大統領選でトランプが再選されると Great Dangerous が4年延長される

 

         

 

昨日の夕食は娘のリクエストで「とん平焼き」を作りました 豚バラ肉とモヤシを卵に絡めて塩胡椒で炒め、とろけるチーズを乗せてソースとマヨネーズをかけるだけのシンプル料理ですが、とても美味しいです

 

     

 

         

 

20日(木)の夜、サントリーホールでアンネ=ゾフィー・ムターの「ベートーヴェン・コンサート・シリーズ第1回『協奏曲』」を聴きました プログラムはベートーヴェン①序曲「コリオラン」作品62、②ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61、③ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための三重協奏曲 ハ長調 作品56 です 演奏は②③のヴァイオリン独奏:アンネ=ゾフィー・ムター、③のチェロ独奏:ダニエル・ミラー=ショット、③のピアノ独奏:ランバート・オルキス、管弦楽=新日本フィル、指揮=クリスティアン・マチュラルです

 

     

 

ホールの入口で手を消毒するように求められました 新型コロナウイルス対策です。会場係の女性は全員 美人です   全員マスク着用です   場内アナウンスは「咳やくしゃみは マスクやハンカチで覆うよう ご協力ください」と訴えています 会場には「不要不急の外出は避けましょう」という呼びかけを ものともしない音楽好きが集まり、9割以上は埋まっているようです   このうちマスク着用率は約50%です。この比率これから高まる一方だろうな

自席は2階LA5列9番、ステージ左サイドの2階最後列の左から2つ目です 新日本フィルのメンバーが配置に着きます。左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの新日本フィルの編成。コンマスは西江王子です   自席からはヴァイオリンセクションは背中しか見えません 管楽器もほとんど背中です。辛うじて第2ヴァイオリンの篠原英和氏を確認しました

 

     

 

1曲目は序曲「コリオラン」作品62です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1807年に悲劇「コリオラン」のために作曲した作品です

ルーマニア生まれ、2019シーズンからケルン放送響の首席指揮者を務めるクリスティアン・マチュラルは、新日本フィルから悲劇的でデモーニッシュな音楽を引き出しました

2曲目は「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61」です この曲はベートーヴェンが1806年11月下旬からひと月足らずで作曲し、1806年12月23日にアン・デア・ウィーン劇場でヨーゼフ・クレメントの独奏により初演されました 第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「ロンド:アレグロ」の3楽章から成ります

女王ムターが黒のラメ入り衣装で登場、マチュラルの指揮により第1楽章がティンパニの4連打で開始されます   オーケストラによって序奏部が演奏されている間、ムターはコンマスやチェロに眼(ガン)を飛ばし、まるで自分で指揮をしているような仕草を見せていました 西江王子などはすごいプレッシャーを感じたのではないかと推測します ムターは本当なら指揮ぶりをしたいのかも知れません。序奏に続いてムターの独奏ヴァイオリンが入ってきます 予想通りの輝くヴァイオリンです ベートーヴェンはこの楽章のカデンツァは作曲していません。ムターは技巧的なカデンツァを繰り広げましたが、誰の作曲によるものだったのでしょうか 輝くヴァイオリンは第2楽章で一層際立っていました。ムターはゆったりしたテンポにより美しいメロディーを紡いでいきます。演奏を聴きながら、これがカラヤン仕込みの流麗な音楽作りか、と感嘆しました 見事なカデンツァ(これはベートーヴェン作)を経てアタッカで第3楽章に入りますが、予想に反し 速いテンポで音楽を進めます ムターは躍動感あふれる演奏で堂々たるフィナーレを飾りました 演奏は終始ムター中心の華やかなパフォーマンスでした

鳴り止まない拍手とブラボーに、ムターはバッハ「無伴奏パルティータ第2番」から「サラバンド」を流麗に演奏し、再び満場の拍手に包まれました

カラヤンの秘蔵っ子時代のムターはこんな感じでした

 

     

     カラヤン✕ベルリン・フィルとのベートーヴェン1979年9月録音(ムター16歳!)

 

プログラム後半は「ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための三重協奏曲 ハ長調 作品56」です この曲はベートーヴェンが1804年に短期間で作曲した作品です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「ロンド・アラ・ポラッカ」の3楽章から成ります

ピアノのランバート・オーキスを中央にして右にチェロのダニエル・ミュラー=ショットが、左にヴァイオリンのムターがスタンバイします 自席からはピアノの蓋が邪魔してチェロの姿が見えません。残念ながら音も十分には届きません。C 席なので仕方ありません    この曲はムターだけが暗譜で演奏します。この曲においても女王ムターを中心に演奏が繰り広げられます    ムター同様 オーキスの演奏も生で初めて聴きましたが、めっぽう巧いピアニストです   この曲を聴きながら、2枚のCDを思い出していました 1枚はムターのヴァイオリン、ヨ―・ヨー・マのチェロ、マーク・ゼルツァーのピアノ、カラヤン指揮ベルリン・フィルによる「ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための三重協奏曲 ハ長調 作品56」(上のCDと同じ1979年9月録音)です この時もムター16歳です

 

     

 

もう1枚(セット)はムターのヴァイオリンとオーキスのピアノによるモーツアルト「ヴァイオリン・ソナタ全集」(2006年2月録音・CD4枚組)です これはムターが43歳の時のライブ録音です

 

     

     

 

いずれのCDと聴き比べても、この日のムターの演奏は円熟味を増していますが、一貫して変わらないのはヴァイオリンの音色がキラキラと輝いていて演奏が流麗であるということです

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藝大モーニングコンサートでブラームス「ヴァイオリン協奏曲」(Vn:野口わかな)、トマジ「トランペット協奏曲」(Tp:三村梨紗)を聴く / 2020年度「13回セット券」を買う

2020年02月21日 06時40分05秒 | 日記

21日(金)。わが家に来てから今日で1970日目を迎え、米メディアは19日、ウクライナ疑惑で問われたウクライナへの軍事支援の凍結のほか、日本や韓国への米軍駐留経費負担の大幅増額要求などに懸念を示していたジョン・ルード国防次官が、トランプ大統領から更迭されたと報道した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

      

      トランプが残すのはイエスマンだけ  ジョーカーだらけでジョークにもならない

 

         

 

昨日、夕食に定番料理「野菜と挽肉のドライカレー」を作りました 材料は豚ひき肉、トマト、ナス、ピーマン、玉ねぎで、調味料は塩胡椒、ウスターソース、トマトケチャップ、カレー粉、洋風だしの素です。とても美味しいです

 

     

 

         

 

昨日、午前11時から東京藝大奏楽堂で第13回藝大モーニングコンサートを、午後7時からサントリーホールで「アンネ・ゾフィー・ムター ベートーヴェン・シリーズ第1日『協奏曲』」を聴きました

ここでは今年度最後の第13回藝大モーニングコンサートについて書きます プログラムと演奏者は①トマジ「トランペット協奏曲」(Tp:三村梨紗)、②ブラームス「ヴァイオリン協奏曲」(Vn:野口わかな)です

 

     

 

1曲目はトマジ「トランペット協奏曲」です    この曲はフランスの作曲家アンリ・トマジ(1901-1971)が1948年に作曲した作品です トランペット独奏の三村梨紗さんによる「プログラムノート」によると、この曲は20世紀のトランペット協奏曲を代表する名曲とのことです 第1楽章「アレグロ~カデンツァ」、第2楽章「ノクターン」、第3楽章「フィナーレ」の3楽章から成ります

オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置=高関健シフトをとります コンミスは澤亜樹さんです

ソリストの三村梨紗さんは横浜市出身、9歳からトランペットを始めたそうです これまで数々のコンクールに入賞しており、オーケストラとの共演も数多く経験している4年生です

三村さんがベージュと黒の横ストライプのポップな衣装で登場し、高関氏の合図で第1楽章が開始されます 冒頭からトランペットの輝かしいメロディーが奏でられ、強いインパクトを与えます 三村さんは3種類のカップミュート(弱音器)を使い分けながら強弱のメリハリを付け、色彩感溢れる演奏を展開します 第2楽章はハープに乗って弱音器を効果的に使用して、輝きだけではない弱音の音色の美しさを引き出しました 第3楽章は一転、スピード感あふれる曲想になりますが、三村さんはキレのある演奏を展開し、華やかにフィナーレを飾りました 近い将来が楽しみな才能豊かな演奏家です

 

     

 

プログラム後半はブラームス「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1878年に作曲し、1879年1月1日にライプツィヒ・ゲヴァントハウスで、名ヴァイオリニスト・ヨアヒムの独奏、ブラームスの指揮により初演されました 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・ジョコーソ、マ・ノン・トロッポ・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

現在藝大4年生の野口わかなさんが黒地に紅いバラを配した鮮やかな衣装で登場します かなり背丈があるようでスマートです。高関氏の指揮により第1楽章の演奏に入ります 管弦楽の演奏に続いて野口さんのソロが鋭く入ってきます。男性的とも思えるような力強さを感じます この楽章ではヨアヒムのカデンツァが演奏されましたが、野口さんは急速に変化する曲想を確かな技巧の裏付けのもと、こともなく弾き切りました 第2楽章では前奏部のオーボエの演奏が聴きどころでした。それもそのはず、藝大教授の小畑喜昭氏がソロを吹いています この楽章では、野口さんの訴えかけるような抒情的な演奏が見事でした 第3楽章は一転、喜びに満ちた旋律で始まりますが、野口さんはリズム感もよくスケールの大きな演奏を展開し、圧倒的なフィナーレを飾りました

今年度のモーニングコンサート出場者の中では、スケールの大きな才能溢れる演奏家だと思いました。将来が楽しみです

演奏した二人の女性は共に4年生、もうすぐ卒業です この4月から新しいステップに一歩踏み出すわけですが、大学院に進むにせよ、他の道を進むにせよ、自分自身のアイデンティティーを大切に生きていってほしいと思います

 

         

 

これで2019年度モーニングコンサートも終了です 昨日朝、コンサートに先立って、午前10時から奏楽堂チケット売場で2020年度の「13回セット券」(入場整理番号付き・全席自由)が先行発売されました 発売開始の40分前に現地に行ったら すでに40人近い人が並んでいました やっと順番がきて1セット購入しましたが、入場整理番号は43番でした。前回は36番だったので若干遅い番号になりましたが、大勢に影響はありません。チケット代は13回分で13,000円です。安いです

 

     

 

藝大関連の無料コンサートがあるのでご紹介します。下のチラシの通り、3月21日(土)午後3時から東京藝大奏楽堂で開かれます

 

     

     

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トリトン晴れた海のオーケストラ「第九」のチケットを取る / 山本薩男監督「皇帝のいない八月」&「天狗党」を観る~新文芸坐

2020年02月20日 07時23分14秒 | 日記

20日(木)。わが家に来てから今日で1969日目を迎え、中国人民銀行(中央銀行)は、人々の手に渡るお金は新型コロナウイルスの感染を広げる恐れがあるという指摘を受け、各金融機関に対し、新札の利用や流通中の現金の消毒を要請している  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     特に詐欺や収賄や博打で得たお金は汚いから 念入りに消毒した方がいいと思うよ

 

         

 

昨日、夕食に「鶏の唐揚げ」と「鶏肉団子とキャベツのプチ鍋」を作りました 唐揚げはいつもの栗原はるみ先生の「旨み醤油」を使っているので美味しかったです

 

     

 

         

 

4月の「クルレンティス✕ムジカ・エテルナ」の第九公演のチケットを取りそこなったから、というわけではないのですが、「トリトン晴れた海のオーケストラ」の第九のチケットを取りました 6月22日(月)午後7時から第一生命ホールです。このオーケストラは都響のソロ コンマス・矢部達哉をリーダーとして都響のメンバーが中心となって指揮者なしで演奏活動をしているオケです 2018年からベートーヴェンの交響曲全曲演奏会を実施してきましたが、このコンサートはその集大成です ソリストはソプラノ=澤畑恵美、メゾソプラノ=林美智子、テノール=福井敬、バリトン=黒田博です 素晴らしいコンサートになる予感がします

 

     

 

         

 

昨日、新文芸坐で「皇帝のいない八月」と「天狗党」の2本立てを観ました 最初に、会員券の有効期限が切れていたので1000円で継続手続きをしました

「皇帝のいない八月」は山本薩男監督による1978年製作映画(140分)です 

この映画は、右翼政権樹立と憲法改正を 武力クーデターで一気に実現させようとする自衛隊反乱分子と、それを秘密裏に鎮圧させようとする政府側の攻防を描いています 映画は、クーデター当日の夜に藤崎顕正・元1等陸尉(渡瀬恒彦)率いる少数精鋭部隊がブルートレイン「さくら」を乗っ取り、乗客乗員を人質にして政府に政権交代を要求する過程を、反乱分子側、政府側の視点から同時進行で描いていきます

 

     

 

藤崎の妻・杏子(吉永小百合)は陸上幕僚監部警務部長・江見為一郎(三國連太郎)の娘ですが、江見が藤崎の様子を探るため杏子のアパートを訪ね、杏子が見ていない隙に藤崎の所有物を漁っているとき、1枚のLPレコードが出てきます ジャケットには「皇帝のいない八月」というタイトルが書かれています。実はこのレコードに収められているのは「皇帝のいない八月」というタイトルの交響曲なのです この映画の音楽を担当しているのは佐藤勝という人なので彼が作曲したのでしょう。この曲はそのシーンで流れ、列車を爆破し自衛隊員対反乱分子との戦闘シーンでも流れますが、この「皇帝のいない八月」こそクーデター計画の暗号だったのです 藤崎は乗客向けに演説しますが、その内容は 1970年11月に憲法改正を唱えて自衛隊の決起を訴えた三島由紀夫の檄文を参考にしているようです

右翼大物政治家とその支配下にある反乱分子の目的は、自衛隊を国防軍に再編成することで、そのために軍事力で政府を制圧し、内閣総理大臣を拘束、憲法改正を断行するというものです しかし、現実の世界ではそう簡単に思い通りにはいきません。自衛隊員が重い腰を上げないのは三島由紀夫事件のときに証明されています また、憲法改正には国会で法案可決のうえ 最終的には国民投票が必要なことは言うまでもありません

 

         

 

「天狗党」は山本薩男監督による1969年製作映画(102分)です

「天狗党」というのは天保年間、水戸藩主徳川斉昭(なりあき)の藩制改革に伴い、下級藩士を主体に結成された革新派グループで、保守門閥派と激しく対立していた 1864年、尊王攘夷延期を不満として筑波山に挙兵し、武田耕雲斎・藤田小四郎を主導者とする一派は、京都に向けて旅立ったが、途中 加賀藩に降伏、武田以下数百名は敦賀で斬刑に処せられた その後も明治維新に至るまで藩制の主権を巡って保守派との凄惨な争いが続いたーというものです 

この映画では、農民の味方「天狗党」が勢力を拡大すると、その名声を利用したニセ天狗党が現われ、農民から作物を搾取します。そして本物の天狗党がニセモノと間違われて農民たちから襲われることになります。こういう現象はいつの時代にもあるものだと思います

 

     

 

この映画が製作された1969年は全学連をはじめ学生運動が盛んだった時期に当たります しかし、翌1970年には日本の高度経済成長を誇示するような「大阪万博」が開かれたりして、学生運動は急激に下火に向かっていきます その2年後の1972年2月には連合赤軍が軽井沢にある河合楽器の保養所「浅間山荘」に人質をとって立て籠もった「浅間山荘事件」が起こります 彼らは革命を唱えながら、銃で警察・機動隊を相手に徹底抗戦しましたが、結局逮捕され収監されました 彼らは革命を目指した「天狗党」だったのだろうか

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