28日(日)。わが家に来てから今日で2241日目を迎え、ミャンマーでクーデター前から国連大使を務めるチョー・モー・トゥン氏は26日、ミャンマーの人権状況に関する国連総会の会合で演説し「ミャンマー軍に対し行動を起こすため、あらゆる手段を使うべきだ」と述べ、国軍が起こしたクーデターの終結を訴えた というニュースを見て感想を述べるモコタロです
政府当局者による異例の国軍批判演説だ ミャンマーに希望が残っている証拠だ!
新宿武蔵野館でアントワーヌ・ランボー監督による2018年製作フランス映画「私は確信する」(110分)を観ました
舞台はフランス南西部トゥールーズ。ある冬の日、38歳の女性スザンヌ・ヴィギエが、3人の子どもを残して忽然と失踪する 彼女は夫で法学部教授のジャックと家庭内別居していたが、彼女には愛人デュランデがおり、弁護士に離婚を相談していたことから、ジャックに殺人の容疑がかけられる 彼がヒチコックの大ファンだったことから「完全犯罪か」とメディアがセンセーショナルに報道する しかし、殺すまでの明確な動機がなく、決め手となる証拠は見つからない ジャックは2000年の一審では無罪となったが、検察が上告したため、2010年3月に二審の裁判が行われることになった 「冤罪である」と彼の無実を確信する、ジャックの娘の知り合いでシンブルマザーのノラ(マリーナ・フォイス)は、敏腕弁護士デュポン=モレッティ(オリヴィエ・グルメ)に弁護を懇願する。ノラは自らも彼の助手となり250時間の電話記録を調べるうちに、刑事、ベビーシッター、スザンヌの愛人デュランデらの証言は、電話記録と食い違っていることが判明し、新たな真実や疑惑が浮かび上がってくる デュポン=モレッティ弁護士はその矛盾を突き陪審員の共感を得ていく
この作品は、2000年2月にフランスで実際に起きた未解決事件「ヴィギエ事件」を題材とし、その10年後の二審を描いた裁判サスペンス映画です
【以下ネタバレ注意】
二審の判決は「無罪」ですが、それはジャックが無罪になったというだけで、この裁判で有罪になった者は一人もいません 相変わらず、スザンヌは誰かに殺されてどこかに埋められているのか、あるいは今もどこかで生きているのか、失踪から20年以上経った今も行方不明のままなのです この映画のラストに、フランスにおいては失踪者が多く、未だに行方が分からないケースが少なくない旨のテロップが流れますが、そこにランボー監督の意図が見えるように思います それは何の証拠も根拠も動機もないのに推定だけで有罪扱いしてはならない、ということです 監督は明確にそう主張しているわけではありませんが、この映画を通して、有罪が確定しない限り無罪であるという「推定無罪」の在り方と「有罪か、冤罪か」の判断基準の問題を、観る人それぞれに問いかけています
なお、主人公のノラは映画のために作り上げた「観客や世論を体現する架空のキャラクター」で、その人物像には事件後にジャックや彼の子どもたちを支援した女性や裁判の陪審員、監督自身が傍聴を通して抱いた思いを投影したそうです また、実在のデュポン=モレッティ弁護士は現在フランスの法務大臣を務めているとのことです