人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

アントワーヌ・ランボー監督「私は確信する」を観る 〜 「推定無罪の在り方」と「有罪か 冤罪かの判断基準の問題」を観客に問う映画:新宿武蔵野館

2021年02月28日 07時41分43秒 | 日記

28日(日)。わが家に来てから今日で2241日目を迎え、ミャンマーでクーデター前から国連大使を務めるチョー・モー・トゥン氏は26日、ミャンマーの人権状況に関する国連総会の会合で演説し「ミャンマー軍に対し行動を起こすため、あらゆる手段を使うべきだ」と述べ、国軍が起こしたクーデターの終結を訴えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     政府当局者による異例の国軍批判演説だ  ミャンマーに希望が残っている証拠だ! 

 

         

 

新宿武蔵野館でアントワーヌ・ランボー監督による2018年製作フランス映画「私は確信する」(110分)を観ました

舞台はフランス南西部トゥールーズ。ある冬の日、38歳の女性スザンヌ・ヴィギエが、3人の子どもを残して忽然と失踪する 彼女は夫で法学部教授のジャックと家庭内別居していたが、彼女には愛人デュランデがおり、弁護士に離婚を相談していたことから、ジャックに殺人の容疑がかけられる 彼がヒチコックの大ファンだったことから「完全犯罪か」とメディアがセンセーショナルに報道する しかし、殺すまでの明確な動機がなく、決め手となる証拠は見つからない ジャックは2000年の一審では無罪となったが、検察が上告したため、2010年3月に二審の裁判が行われることになった 「冤罪である」と彼の無実を確信する、ジャックの娘の知り合いでシンブルマザーのノラ(マリーナ・フォイス)は、敏腕弁護士デュポン=モレッティ(オリヴィエ・グルメ)に弁護を懇願する。ノラは自らも彼の助手となり250時間の電話記録を調べるうちに、刑事、ベビーシッター、スザンヌの愛人デュランデらの証言は、電話記録と食い違っていることが判明し、新たな真実や疑惑が浮かび上がってくる デュポン=モレッティ弁護士はその矛盾を突き陪審員の共感を得ていく

 

     

 

この作品は、2000年2月にフランスで実際に起きた未解決事件「ヴィギエ事件」を題材とし、その10年後の二審を描いた裁判サスペンス映画です

【以下ネタバレ注意】

二審の判決は「無罪」ですが、それはジャックが無罪になったというだけで、この裁判で有罪になった者は一人もいません 相変わらず、スザンヌは誰かに殺されてどこかに埋められているのか、あるいは今もどこかで生きているのか、失踪から20年以上経った今も行方不明のままなのです この映画のラストに、フランスにおいては失踪者が多く、未だに行方が分からないケースが少なくない旨のテロップが流れますが、そこにランボー監督の意図が見えるように思います それは何の証拠も根拠も動機もないのに推定だけで有罪扱いしてはならない、ということです 監督は明確にそう主張しているわけではありませんが、この映画を通して、有罪が確定しない限り無罪であるという「推定無罪」の在り方と「有罪か、冤罪か」の判断基準の問題を、観る人それぞれに問いかけています

なお、主人公のノラは映画のために作り上げた「観客や世論を体現する架空のキャラクター」で、その人物像には事件後にジャックや彼の子どもたちを支援した女性や裁判の陪審員、監督自身が傍聴を通して抱いた思いを投影したそうです また、実在のデュポン=モレッティ弁護士は現在フランスの法務大臣を務めているとのことです

 

     

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ニールス・アルデン・オプレブ&アナス・W・べアテルセン共同監督「ある人質 生還までの398日」を観る 〜 IS(イスラム国)に誘拐されて生還した青年の実話に基づく映画

2021年02月27日 07時22分37秒 | 日記

27日(土)。わが家に来てから今日で2240日目を迎え、中国の習近平国家主席は25日、北京の人民大会堂で演説し、農村部などで貧困人口をゼロにする「脱貧困」の目標について「全面的な勝利を収めた」と宣言し、共産党の支配の正当性と習指導部の実績をアピールした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     言論の自由と 香港の自治権尊重は 貧困のままのようだね 覇権主義もそのままだし

 

         

 

昨日、夕食に「鶏の唐揚げ」と「エノキダケの味噌汁」を作りました 唐揚げは2週間に一度のペースが定着した感がありますが、今回は最高の出来でした

 

     

 

         

 

昨日、角川シネマ有楽町でニールス・アルデン・オプレブとアナス・W・べアテルセンの共同監督による2019年製作デンマーク・スウェーデン・ノルウェー合作映画「ある人質 生還までの398日」(138分)を観ました

2013年。ダニエル・リュー(エスベン・スメド)は試合で怪我をして体操選手の道を断念し、趣味の写真を活かし戦場カメラマンのアシスタントの職を得る ソマリアでの取材で新しい生き甲斐を見つけた24歳のダニエルは、戦争の中の日常を撮影し世界に伝える思いを抱き、心配する家族や恋人を説得し、内戦が激化するシリアのトルコ境界に近い非戦闘地域を訪れる しかし、現地の情勢が変わり、取材が終わる寸前に近くの過激派ISに見つかり誘拐されてしまう 外国人を誘拐し身代金を要求する「誘拐ビジネス」は過激派組織IS(イスラム国)の一部派閥の資金調達の手段になっていた ダニエルは拷問され、同じように誘拐された各国のジャーナリストらと共に監禁され、飢えに苦しみ地獄の日々を送ることになる デンマーク政府はテロリストと交渉しない方針のため、ダニエルの家族(両親、姉、妹)は元軍人で人質交渉のプロ、アートゥア(アナス・W・ペアテルセン)にダニエル救出の協力を依頼し、高額な身代金を支払うための計画を練る。そして、ダニエルの家族は要求された巨額の身代金を用意するために、銀行からの借り入れ交渉をはじめ、体操協会のメンバーを対象に募金活動を行うなど東奔西走するが、とても要求額には達しなかった。そこで家族は集めた金額を支払うとIS側に提案したが、IS側は侮辱されたと看做し、要求額を釣り上げてくる 日本円にして約7000万円という高額な要求額に追い打ちを掛けられた家族は絶望感に苛まれるが、土壇場で高額な募金者が数人出てきて何とかIS側の要求に応えられる金額が集まる そして、ダニエルは約1年1か月ぶりに無事デンマークの家族の元に帰ることができる

 

     

 

この映画は、2013年に398日もの間、IS(イスラム国=イスラム教スンニ派に属する過激派武装組織)の人質になりながら、奇跡的に生還したデンマーク人写真家ダニエル・リューの救出劇を、実話をもとに映画化した作品です

ダニエルは、戦闘を撮りに行ったわけではなく、内戦下のシリアで暮らす市民の日常生活を撮りに行っただけなのに、”安全なはず”の場所で誘拐されてしまった つまり、外国人にとって当時のシリアに安全な場所などなかったのです ダニエルは通訳を通して「撮影の許可は取っている」と許可証を見せて主張しますが、「誰の許可だ。そんなのは無効だ」と無視され 誘拐されてしまいます     つまり、許可を与える主体がISに変わっているのです     こんな国に行ったら法律も理屈も通用しません

ダニエルがISの戦闘員から「お前はCIAだろう。白状しろ」と拷問されるシーン以降は「死と隣り合わせの恐怖」に息が詰まる重苦しい雰囲気が続きます 足の裏や身体を鞭で打たれ、手錠をかけられたまま天井から吊るされ、一度は鎖を首にかけて自死しようとするほど苛酷な拷問が続けられるのです 並みの人間なら気が狂ってしまうでしょう

監禁された仲間の中にアメリカのジャーナリスト、フォーリーがいますが、ダニエルは彼に「いまシリアで何が起きているのかを世界に知らせる必要がある」と語りかけるシーンがあります ISはアメリカを目の敵にしているのでフォーリーは生きてアメリカに帰れない運命にありますが、ダニエルはデンマーク政府からは見放されたものの、家族とダニエル救出のための募金に協力してくれた人々のお陰で祖国に帰ることができました 一人の人間の命の重さ・尊さを感じざるを得ません

それと同時に思うのは、ダニエルの言葉にあるように、「いまシリアで何が起きているのかを世界に知らせる必要がある」のです 

たまたま、昨日の朝日夕刊にニールス・アルデン・オプレブ監督のインタビュー記事が載っていました 監督は「身代金については各国の対応や保険制度などリサーチを重ねた。身代金については明確な意見を持っている」として、次のように語っています

「ジャーナリストがいるから現地で起きている恐ろしいことを知ることが出来る 活動家がいるから紛争地で苦しんでいる人を援助できる そうした人たちをサポートできない国とは一体何なのか 政府が正しくないことをしているとき、アーティストとして建設的批判をしなければいけないと思っています

シリアに限らず、現在も世界のそこかしこで内戦が続いています その実態を世界に知らせるのはジャーナリストの役割です しかし、そこに入り込んで取材し、世界に向けて発信するのは命がけの行為です 取材中にISや過激派に誘拐されて身代金を要求されたら、ダニエルと同じ運命にさらされることになります 監督の主張は理解できるものの、くれぐれも行動は慎重にして無事に帰国してほしいと願わざるをえません

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P.B.シェハラン監督「博士と狂人」を観る 〜 メル・ギブソン & ショーン・ペン共演による「オックスフォード英語大辞典」誕生秘話:ギンレイホール

2021年02月26日 07時23分04秒 | 日記

26日(金)。わが家に来てから今日で2239日目を迎え、米バイデン政権は24日、新型コロナウイルス対策として、低所得者や人種的マイノリティー向けに布マスク(バイデノマスク)2500万枚を無料配布すると発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     バイデン政権のマスク着用政策は コロナ死者を減らすための効果 倍でのマスクだ

 

         

 

昨日、夕食に「豚小間 ポークケチャップ」と「生野菜と玉子のサラダ」を作りました 娘が、弟が作ってくれた黄身が鮮やかな「野菜と玉子のサラダ」が食べたいと言うので、何とか思い出して作ってみましたが、息子のように上手には出来ませんでした やっぱり料理は息子には敵わないです

 

     

 

         

 

昨日、ギンレイホールでP.B.シェハラン監督による2019年製作イギリス・アイルランド・フランス・アイスランド合作映画「博士と狂人」(124分)を観ました

時は19世紀。ジェームズ・マレー(メル・ギブソン)は貧しい家庭に生まれ、独学で言語学博士となり、41歳の時オックスフォード大学から英語辞典編纂計画のメンバーに召集される シェイクスピアの時代の16世紀まで遡り文献を調べ、全ての言葉の意味を例文とともに収録するという気の遠くなるような作業が困難を極める中、マレーは限られた人数では手に負えないと考え、ボランティアを募集することにする すると、マレーの元に多くの資料を送ってくる協力者が現れる。それはウィリアム・チェスター・マイナー(ショーン・ペン)という人物で、エリートでありながら、常に誰かに狙われていると思い込んでいる精神を病んだアメリカ人の元軍医で、無実の男を銃殺し殺人犯として精神病院に収監されていた マイナーは差し入れの本に挟まれていた辞典編纂へのボランティア募集の告知を読み、マレーに協力することを決意したのだった 2人の天才は、辞典作りという壮大なロマンを共有し、固い絆で結ばれていく その傍ら、マイナーは自分が殺した男の未亡人で6人の子どもの母親イライザ・メレット(ナタリー・ドーマー)に償うべく軍人年金を人を介して届け続ける。マレット夫人は最初は受け取りを拒否するが、面会を通じて いつしかマイナーを許すようになり 2人の交流が始まる しかし、犯罪者が大英帝国の威信をかけた辞典作りに協力していることが明るみに出て、時の内務大臣ウィンストン・チャーチルや王室をも巻き込んだ大事件に発展してしまう

 

     

 

この映画は、初版の発行まで70年を費やし、世界最高峰と称される「オックスフォード英語大辞典」の誕生秘話を映画化したものです 原作は全米でベストセラーとなったロンドン出身のジャーナリスト、サイモン・ウィンチェスターによるノンフィクション「博士と狂人 世界最高の辞書OEDの誕生秘話」(1998年刊)です

この作品は、立場こそ違うものの前代未聞の大辞典作りという共通の目的に向けて協力する2人の男の友情物語であるとともに、理不尽に夫を殺された未亡人の犯人への赦しの物語でもあります 最初に面会した時、メレット夫人はマイナーに「決して赦さない」と吐き捨てますが、マイナーが懲りずに年金を届け続けることにより、彼の贖罪の気持ちを理解するようになっていきます さらに彼女が文字の教育を受けていないことを知ったマイナーは面会時に言葉を教えるようになり、そのことを通じてお互いに愛情を感じるようになります しかし、マイナーにとってそれは死んだ夫から彼女を奪う罪を犯すことに他ならなかったのです 彼は自分の体を傷つけてさらに精神を病んでいきます 本作ではその辺の経緯を丁寧に描いています

映画を観終わって、出版社の辞書編集部を舞台に新しい辞書作りに取り組む人々を描いた石井裕也監督「舟を編む」(三浦しをん原作・2013年)を思い出しました こちらのほうは「改訂版」を作る話なので「原本」がありますが、「博士と狂人」のオックスフォード英語辞典は「原本」がなく、まったく「無」から「有」を産み出す作業なので、まさに人生をかけた大事業だったのだろうと思います いずれにしても、辞書の編纂というのは根気のいる仕事には違いありません   文化を守る人には尊敬の念を抱きます

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グー・シャオガン監督「春江水暖」を観る 〜 変わりゆく中国で懸命に生きる大家族の四季を描いたヒューマンドラマ:ル・シネマ

2021年02月25日 07時25分10秒 | 日記

25日(木)。わが家に来てから今日で2238日目を迎え、トランプ前大統領が19年にベトナム首都ハノイで行われた第2回米朝首脳会談後に北朝鮮の最高指導者・金正恩氏に対し、「大統領専用機エアフォースワンに乗って北朝鮮まで帰らないか」と誘っていたと英BBCテレビが伝えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     金正恩はトランプより頭がいいから 拉致されて米国に連れていかれると思ったかな

 

         

 

昨日、夕食に「肉じゃが」「舞茸の味噌汁」「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました 寒い夜は日本酒の熱燗に限りますね

 

     

 

         

 

昨日、渋谷の東急文化村「ル・シネマ」でグー・シャオガン監督による2019年製作中国映画「春江水暖(しゅんこうすいだん)」(2時間30分)を観ました

舞台は再開発の只中にある中国・杭州市の富陽地区。顧(グー)家の家長である年老いた母の誕生日を祝うため、4人の息子、孫、親戚たちが集まる しかし、祝宴の最中に母が脳卒中で倒れ、命は取りとめたものの認知症が進み、介護が必要になってしまう レストランを営む長男夫婦と恋に悩む娘、漁師の次男夫婦と息子、ダウン症の息子を男手一つで育て 金のために闇社会に足を踏み入れる三男、取り壊し現場で働きながら 気ままな独身生活を送る四男    変わりゆく中国社会で、彼らは懸命に生きていく

 

     

 

この映画は、大河・富春江が流れる街・富陽の美しい自然を背景に、変わりゆく中国社会の中で懸命に生きる大家族の四季を描いたヒューマンドラマで、中国のグー・シャオガン監督の長編デビュー作です 監督のグー・シャオガンは、山水画の傑作絵巻「富春山居図」にインスピレーションを得て、日々の生活の中で悩みながら生きる普通の人々の姿を、美しい映像とともに描きました

山水画に着想を得ただけに、若者が大河を泳いでいくシーンをはじめ、カメラは横移動のゆったりした長回しにより若者と周囲の景色を捉え、時間は淀みなく続いていることを表します 山水画は右から左へと観ますが、カメラは左から右へゆっくりと移動していきます 見事な映像表現です

ストーリーでは、三男はダウン症の息子を育てるため2人の兄に金を借りに行きますが、「前に貸した金を返してもらっていない」と断られてしまいます 仕方なくイカサマ賭博に手を出して金を作り、長兄に預けられていた母を引き取ります 長兄の娘から「兄弟で一番、情が熱い」と言われますが、汚い金だったため、結局は逮捕されてしまいます いくら善行を施しても元が穢ければ続かないということでしょう

長兄の娘は教師の青年と恋に落ち、結婚したいと両親に訴えますが、とくに母親は相手に家も車もないことから、後で本人が苦労するだけだとして猛烈に反対します 仕方なく若い2人は駆け落ちしてしまいますが、後で、認知症の祖母の後押しによって結ばれます 若い人たちは「財産がなくても好きな人と結婚したい」と考えても、親たちは後々のことを心配して「経済的な安定が大大前提」だと考えてしまう 「相手に家も車もないことを理由に結婚に反対する」というのは言語道断ですが、「愛情は大事。お金も大事」というのは本当のことです

この映画では、古いビルが取り壊される一方で 高層ビル群が聳え立つ、現代中国の地方都市の現況を映し出し、変わりゆく中国を描いています

本作は2019年・第72回カンヌ国際映画祭批評家週間のクロージング作品に選ばれ、日本でも2019年・第20回フィルメックスのコンペティション部門で審査員特別賞を受賞しています 2時間半の間 まったく弛緩することなく、美しい映像と現代中国における大家族の人間模様を垣間見ることができました  素晴らしい映画でした。お薦めします

 

     

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アンナ・モッフォのCDとLP / 5万回斬られた男・福本清三主演「太泰ライムライト」を観る 〜 脚本・大野浩之氏の楽しいトークショーも:新文芸坐

2021年02月24日 07時22分17秒 | 日記

24日(水)。わが家に来てから今日で2237日目を迎え、米連邦最高裁は22日、トランプ前大統領の納税申告書を含む財務記録の開示を巡る訴訟で、トランプ氏側の訴えを退け、ニューヨーク州検察当局への開示を認める判断を下した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     大統領特権を失ったら 一人の米国民だ 魔女狩りとか言ってないで 堂々と開示しろ

 

         

 

昨日、夕食に「真鯛の塩焼き」「水だこの刺身」「生野菜サラダ」「ジャガイモと玉ねぎの味噌汁」を作りました 「水だこ」は柔らかすぎて食べずらかったので、次に買う時は普通のタコにしようと思います

 

     

 

         

 

20日に映画「チャールダーシュの女王」を観て以来、ヒロインを歌ったアンナ・モッフォのCDを探していたのですが、CDラックに収めてある4000枚の中から遂に”発掘”しました レオポルド・ストコフスキー指揮アメリカ交響楽団のバックにより①カントルーブ「オーヴェルニュの歌」、②ヴィラ=ロボス「ブラジル風バッハ第5番」から2曲、③ラフマニノフ「ヴォカリーズ」を歌っています 録音は1964年4月です kiriokaさんは学生の頃 モッフォの歌う「ヴォカリーズ」をよく聴いていたそうで、現在は毎回のレッスンで 自分がピアノ伴奏して生徒さんに歌ってもらっているそうです    kiriokaさんはピアノだけでなく 歌の先生でもあります

 

     

     

 

ついでにLPレコードも1500枚の中から”発見”しました オペラの中から「愛の二重唱」を集めたアルバム(1974年頃発売)です プッチーニ「蝶々夫人」第1幕から「うれしい夜、限りない星」、同「ラ・ボエーム」第1幕から「愛らしい乙女よ」をはじめとするデュエットの名曲が歌われています 艶のある美声に魅了されます

 

     

     

 

         

 

昨日、新文芸坐で落合健監督による2013年製作映画「太泰ライムライト」(104分)を観ました

京都・太泰(うずまさ)の日映撮影所に所属する香美山清一(福本清三)は斬られ役一筋のベテラン大部屋俳優人生を歩んできたが、近頃は若者向けの新たな時代劇の波にのまれ、出番を失いつつあった そんなある日、長年続いたテレビ時代劇「江戸桜風雲録」まで打ち切られ、主演の尾上清十郎(松方弘樹)は香美山に「また斬らせてくれ」と言い残して太秦を去る。斬られ役の出番を失った香美山は映画パークのチャンバラショーに出演することになる。そうした中、新人女優のさつき(山本千尋)と出会った香美山は彼女に往年の女優たちの面影を感じ、殺陣の稽古をつけることにする 香美山の指導のおかげでチャンスをつかんださつきは、東京でスター女優としての道を歩んでいく 時が経ち、「江戸桜風雲録」の劇場版の制作が決定する。尾上とともに主演が決定したさつきは、すでに引退した香美山との共演を熱望するが、上層部は老人を主役級で出演させることはできないとして拒否する しかし、その1カ月後、香美山は太秦撮影所にいた。尾上との約束を果たすために、そして最愛の弟子さつきに斬られるために

 

     

 

この映画は、チャンバラ時代劇の黄金時代を支えてきた京都・太泰を舞台に、時代劇を愛する人々の現在を描いた人間ドラマです 「ラストサムライ」にも出演した斬られ役の第一人者で「5万回斬られた男」とも呼ばれた福本清三が55年間の俳優人生で映画初主演を務めました 福本清三(本名:橋本清三)は兵庫県出身、東映京都撮影所に所属した俳優ですが今年1月1日に肺がんにより77歳で死去しました

映画では、時代劇「江戸桜風雲録」の初代・尾上清十郎(小林稔侍)が、若き日の香美山に「斬られ方がうまいヤツは芝居がうまい」と声をかけ、愛用の木刀を手渡して励ますシーンがありますが、このセリフは実際に福本が、萬屋錦之介に掛けられた言葉とのことです

この映画では、時代劇でお馴染みの俳優や、福本の所属する「東映剣会」の俳優が多数出演していますが、とにかく浪人・福本がカッコイイ  用心棒・福本がカッコイイ

映画終了後、この映画のプロデューサー・脚本を手掛けた大野浩之氏と、この映画で香美山に憧れる野々村たけしを演じた多井一晃氏によるトークショーが開かれたので聴講しました 大野氏の話によると、福本先生(と呼んでいた)は見た通りの淡々とした人柄で、飾ったところが全くない人だったとのこと この映画を製作するにあたり、何度も主役として出演してほしいと頼み込んだが、そのたびに「いやいや、わしなんかが主役なんてとんでもない。あほ。あきまへんで」と断られたそうです。しまいには道ですれ違った時に「こんにちは」とあいさつしただけなのに、「あほ。あれは、あきまへんで」と言われたそうで、「私は『500回 あほと言われた男』と言われています」と自嘲気味に話していました    多井氏は、「映画の冒頭近くで、障子に福本さんのシルエットが浮かび上がりますが、姿が見えず シルエットだけで福本さんと分かるところに、改めて存在感の大きさを感じました」と語っていました

トークショーは約30分でしたが、時間を区切らなければいくらでも福本氏のエピソードが出てくるような気がしました。映画だけ観て帰らなくて良かったと思います 舞台裏話ほど面白い話はありません

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大野和士 ✕ 藤村実穂子 ✕ 中村恵理 ✕ 東京都交響楽団でブラームス「アルト・ラプソディ」、マーラー「交響曲第4番」他を聴く~都響スペシャル2021

2021年02月23日 07時18分46秒 | 日記

23日(火・祝)。わが家に来てから今日で2236日目を迎え、米国のサリバン大統領補佐官は21日、CBSテレビの番組で、昨年12月に発覚した米国への大規模なハッキングに関し、ロシアが関与したとして報復措置を「数週間以内」に実行すると述べ、「単なる制裁にはとどまらない。包括的な対応になる」と強調した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアにしても北朝鮮にしても  独裁者が実権を握る政権のやることはえげつない

 

         

 

昨日、夕食に「豚しゃぶ」と「生野菜とワカメのサラダ」を作りました 昨日は暑かったので豚しゃぶもいいかな、と思って作りました。娘からは好評でした

 

     

 

         

 

昨日午後6時から東京文化会館で「都響スペシャル2021」2月22日公演を聴きました プログラムは①武満徹「夢の時」、②ブラームス「アルト・ラプソディ 〜 ゲーテ『冬のハルツの旅』による  作品53」、③マーラー「交響曲第4番 ト長調」です 演奏は②のメゾソプラノ独唱=藤村実穂子、男声合唱=新国立劇場合唱団、③のソプラノ独唱=中村恵理、指揮=大野和士です

昨年の「東京・春・音楽祭」がほとんど中止となったことから、東京文化会館大ホールでコンサートを聴くのは約2年ぶりになります 懐かしの東京文化会館です

自席は1階12列25番、右ブロック左通路側です。会場は市松模様ですが、1階はセンターブロックの前3列と、左右ブロックの前2列はコロナ禍対策として空席になっています

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの都響の並び。コンマスは矢部達哉です

 

     

 

1曲目は武満徹「夢の時」です この曲は武満徹(1930‐1996)が1981年に作曲、翌82年6月27日に岩城宏之指揮札幌交響楽団により初演されました 武満は前年の1980年にオーストラリアのグルート島を訪れ、原住民(アポリジニ)の音楽に衝撃を受け、その体験をもとに作曲したのが本作です。「夢の時」とは、武満が出会った原住民たちの神話のことです 

大野の指揮で演奏に入りますが、海で押し寄せる波、風のざわめきが聴こえました 目を閉じて聴く音楽は、確かに夢のようでもありました

2曲目はブラームス「アルト・ラプソディ 〜 ゲーテ『冬のハルツの旅』による  作品53」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833‐1897)が1869年に作曲、翌70年3月3日にイェーナで初演されました この頃、ブラームスはローベルト・シューマンとクララとの間にできた三女ユーリエに恋をしていましたが、彼はその気持ちをユーリエに伝えることができず悶々とした人生を送っていました 結局ユーリエはこの年=1869年の夏にイタリア人のマルモリ―ト伯爵と婚約します。これにショックを受けたブラームスは、アルト独唱と男声合唱と管弦楽による「アルト・ラプソディ」を一気に書き上げ、失意の感情を注ぎ込みました 早い話が、一方的に好きになった女性に愛を告白する前に、他の男と結婚されてしまい、恨みと絶望した気持ちを歌に託したというわけです だからブラームスは”煮え切らない奴”と言われるのです

この曲は第1部(アダージョ)、第2部(ポーコ・アンダンテ)、第3部(アダージョ)から成ります

臙脂色のシックな衣装を身にまとったメゾソプラノの藤村実穂子が指揮者とともに登場し、さっそく演奏に入ります バイロイト音楽祭やメトロポリタン歌劇場をはじめとする世界各国の歌劇場で歌ってきた藤村が、絶望した若者の心を歌い上げます 彼女のソロが素晴らしいと思っているところに、第3部で男声合唱が加わり、傷心の若者を勇気づけるように歌われます 藤村と新国立劇場合唱団と都響とのアンサンブルが素晴らしく、背筋が寒くなりました

 

     

 

プログラム後半はマーラー「交響曲第4番 ト長調」です この曲はグスタフ・マーラー(1860ー1911)が1892年(第4楽章のみ)、1899年~1901年に作曲、その後1901年~10年にかけて改訂しました 第4楽章にソプラノ独唱による「子どもの魔法の角笛」の「天上の生活〜私たちは天上の歓喜を受ける」を用いています この作品は「大いなる喜びへの賛歌」と呼ばれることがあります 第1楽章「ゆっくり急がずに 〜 全く気楽に」、第2楽章「気楽な動きで、あわてずに」、第3楽章「平安に満ちて」、第4楽章「極めて和やかに」の4楽章から成ります

全体を通して聴いた印象は、マーラーのエクセントリックな側面を強調した演奏だった、ということです 大野は、第1楽章と第2楽章でクラリネットにベルアップ奏法を求め、奇異な音楽を強調しました 第2楽章では、ソロ・コンマスの矢部達哉によるヴァイオリン独奏がありましたが、マーラーの異様な音楽を反映したエクセントリックそのものの演奏でした 唯一救われるのは第3楽章です。私はこのタイトル通り「平安に満ちた」音楽が大好きです この楽章の終盤のクライマックスを迎えるタイミングで、白を基調とし銀のラメ入り衣装に身を包まれたソプラノの中村恵理が登場、指揮者の左サイドにスタンバイします 第4楽章は「天上の生活」です 確かにソプラノの歌を聴く限り、穏やかで何の不安もない世界を描いているように思えますが、歌詞を見ると「ヨハネさまが 例の子羊を狙ってる おとなしい かわいい子羊を みんなして殺すんだ 聖ルカさまが 雄牛をうちのめす」などと極めて残酷な内容になっているのです この辺も、「一筋縄ではいかないマーラー」を印象付けます バイエルン国立歌劇場を中心に活躍した中村恵理の歌唱は表現力が素晴らしく、安定感がありました

演奏を聴き終わって、つくづくマーラーはいいな、と思いました

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「この1年、コンサートや観劇に行きましたか?」 ~ 朝日新聞の読者アンケートから / ジェフリー・アーチャー著「レンブラントを取り返せ」を読む ~ 最後の1行に ニヤリ

2021年02月22日 07時18分56秒 | 日記

22日(月)。20日(土)の朝日別刷り「be」の「between  読者とつくる」コーナーは「コンサートや観劇にいきましたか?」というテーマでした     これは読者にアンケートをして、その結果を集計・分析したものです

それによると、この1年間「コンサートや観劇に行った」が20%、「行かなかった」が80%だった 「行かなかった」理由の1位(363人)は「行きたい公演がない」、第2位(359人)「コロナ禍で行く気にならない」、第3位(315人)「行きたい公演が中止」、第4位(302人)「行きたい公演はあったが自粛」、第5位(245人)「興味がない」、第6位(59人)「公演期間や時間が変更され行けない」、第7位(22人)「座席数が減りチケットがとれない」だった

一方、「行った」の内訳は「コンサート」が54%、「観劇」が33%、「その両方」が13%だった 「前年に比べこの1年で公演に行った回数」は、「減った」86%、「変わらない」10%、「増えた」4%だった。「行った」人は公演会場での感染リスクをどこで感じたかについては「退場時の密」82人、「トイレでの行列」77人、「せき、くしゃみの飛沫」71人、「入場時の密」68人、「ドア、座席など共用部分」65人などとなっている

また、「この1年、公演の代替のライブ配信を観たか」については回答者全体の75%が「いいえ」と答え、「はい」は25%だった 「はい」のうち「感染リスクのない鑑賞法としてライブ配信に満足しているか」については「はい」が57%、「いいえ」が43%だった

以上の結果から見る限り、この1年間コンサートや観劇に行った人も、行かなかった人も、その多くはコロナ禍の影響を受けていることが分かります 私のケースでいえば、「クラシックコンサート」は2019年の198回から2020年の98回へとほぼ半分に激減しています 中止となり払い戻しされたのは116公演(今年開催分を含む・延期7公演を除く)になります 一方、映画鑑賞は162本から210本へ、読書は63冊から70冊へと増えています 「映画鑑賞」の増加は、営業自粛期間がコンサートより短かったことと、コンサートに行けない代わりに積極的に観に行ったことが要因です 「読書」の増加はコンサートも映画もない”巣ごもり”状態の時期を中心に集中的に読んだのが要因です

昨日のブログでご紹介した通り、コンサート等の無歓声公演は近いうちに「収容率100%」に戻りそうなので一歩前進となりそうです しかし、海外からの入場制限はまだ続いているので、コンサートにおける指揮者や演奏家の「出演者変更」はまだまだ続きそうです この問題がクリアされない限り、各オーケストラは発表通りの公演が出来ないことになります 一刻も早い制限解除を希望します

ということで、わが家に来てから今日で2235日目を迎え、白血病から復帰した競泳女子の池江璃花子が21日、東京都オープンで女子50メートルバタフライに出場し、自身が持つ日本記録25秒11まで0秒66と迫り、復帰5戦目で初優勝を飾った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

    

            信じられないほどの回復力  白血病で苦しむ人たちの希望になる  頑張れ池江選手!

 

         

 

ジェフリー・アーチャー著「レンブラントを取り返せ 〜 ロンドン警視庁美術骨董捜査班〜」(新潮文庫)を読み終わりました    ジェフリー・アーチャーは1940年英国生まれ。66年に大ロンドン市議会議員として政界デビュー、69年には最年少国会議員として下院入りを果たした しかし、詐欺に遭い全財産を失い、下院議員も辞職する そのときに書いた小説「百万ドルを取り返せ!」がミリオンセラーになり、以降もベストセラー小説を連発していく 政界復帰も果たしたが、1986年にコールガール・スキャンダルを新聞にすっぱ抜かれ、法的手段に訴えて勝利したものの、その裁判の偽証罪で4年の実刑判決を受ける しかし彼はくじけず、仮釈放を果たしたところで獄中記を出版、さらにその時の体験をもとにした創作短編集「プリズン・ストーリーズ」を書いてベストセラーに仕立て上げたという波乱万丈の人生を送っている人です

 

     

 

物語の幕開けは1979年のロンドンです 主人公のウィリアム・ウォーウィックは、自分の跡を継いで弁護士になれという父の勧告を拒否して、大学では美学を専攻し、さらに警察官という職業を選び父親を落胆させます しかし、新米警察官になった彼は大学で学んだ美術の知識を武器に、警察が押収した絵画に作者のサインがないとして即座に贋作と見破り、美術骨董捜査班の一員に加えられます 彼らが追うのは稀代の大物名画窃盗詐欺師マイルズ・フォークナーです。ウィリアムらは、ケンジントンのフィッツモリーン美術館から7年前に盗まれたレンブラントの「アムステルダムの織物商組合の見本調査官たち」を取り返すべく奮闘します そして遂に犯人は逮捕され裁判に持ち込まれ判決が言い渡されます その時、別の法廷ではウィリアムの恋人に関係する人物の裁判が開かれ判決が言い渡されました

ジェフリー・アーチャーの作品は文庫で発売されるたびに購入して、いつも一気読みしています 彼は、それほどワクワクドキドキ感を起こすストーリーテラーです 本作も、主人公の恋あり、悪人同士の裏切りあり、の予想困難な展開が待っています 極め付きは最後の1行です。ジェフリー・アーチャーの小説はいつもそうですが、最後の1行で「まさか!」と思うか、「ニヤリ」とするかのどちらかです 今回は「ニヤリ」でした

とにかく理屈抜きで面白いエンタメ小説です 一気読みをお勧めします

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「コンサートなど無歓声公演は『収容100%に』 文化庁の専門家会議 」 / カールマン:オペレッタ「チャールダーシュの女王」の映画を観る 〜 ”歌う女優”アンナ・モッフォの魅力全開

2021年02月21日 07時26分19秒 | 日記

21日(日)。昨日の日経朝刊に「無歓声公演は『収容100%に』  文化庁の専門家会議」という見出しの記事が載っていました    超訳すると、

「新型コロナウイルス下での文化芸術活動に関する文化庁の専門家会議は19日、政府が2月末までとしている大規模イベントの開催制限に対する見解を公表した     コンサートや演劇などについて『観客が大声で声援を出さない』ことを前提とする公演は早期に収容率を100%以内に緩和することが考えられる、とした    政府は月内にもイベント制限に関する方針を決める

私は常々、コンサートの収容率は科学的な根拠に基づいて決めるべきで、声を出さない公演は100%で差し支えないと考えてきました。その点からすると、専門家会議の見解は歓迎すべきだと思います。2月末を待たず、即刻実施しても良いのではないかと思います

ということで、わが家に来てから今日で2334日目を迎え、英王室の公務から昨年3月末に引退し米カリフォルニア州に移住したハリー王子とメーガン妃が、今後も公務に戻らないことになった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     母ダイアナ妃のように パパラッチに追いかけられて死ぬよりも  民間人の方がいい

 

         

 

昨日、ティアラこうとう小ホールで1971年ドイツ・ハンガリー合作映画「チャールダーシュの女王」(1時間41分)を観ました これはエメリッヒ・カールマンのオペレッタ「チャールダーシュの女王」をミクロス・シネタ-監督が映画化した作品です キャストはシルヴァ=アンナ・モッフォ、エドウィン=ルネ・コロ、シュタージ=ダグマール・コラー、ボニ・カンチアーヌ伯爵=サンドール・ネメス、マリー・ルイーゼ=イレーン・プショタ、ミシュカ=ゾルタン・ラティノヴィッチほか。管弦楽=クルト・グラウンケ管弦楽団、指揮=ベルト・グルントです

 

     

     

物語の舞台は20世紀初頭の、落日を迎えつつあるオーストリア・ハンガリー帝国の都、ブダペストとウィーンです    物語のヒロイン”チャールダーシュの女王”と呼ばれるシルヴァは、ブダペストにあるエンターテインメント劇場「オルフェウム」のプリマドンナです 貴族の青年エドウィンは彼女と相思相愛の仲にありますが、身分違いの2人の結婚を貴族である両親は認めません 果たして2人は目出度く結婚することができるでしょうか・・・というのが大まかなストーリーです

「チャールダーシュ」は、ハンガリーで育まれたジプシー舞曲のジャンルの一つで、居酒屋を意味する「チャールダ」が語源で、元はそういう場所で歌い踊られていた大衆音楽です 特徴は前半が遅いテンポの「ラッサン」で、後半が速いテンポのシンコペーションによる「フリスカ」で演奏されることです 身近なところでは、ヴァイオリンのアンコールとして良く演奏されるモンティの「チャールダーシュ」が有名です

この映画では、”歌う女優”とでも言いたくなるほど、歌も演技も踊りも完璧なアンナ・モッフォの魅力が全開です 1932年頃(はっきりは分からないらしい)、アメリカのペンシルベニア州で生まれた彼女はカーティス音楽院に入学、その後1955年にフルブライト奨学金を獲得してローマの聖チェチーリア音楽院に留学し、同年スポレトでデビューを飾りました 1957年にシカゴ・リリック・オペラ座で「ラ・ボエーム」のミミを演じてアメリカに凱旋、同年ミラノ・スカラ座にもデビューしました そして1959年には「椿姫」のヴィオレッタでメトロポリタン歌劇場にデビューを果たしました

一方、エドウィンを歌ったルネ・コロはヘルデン・テノールとして有名ですが、キャリアのスタートはオペレッタやミュージカルだといいます。これは意外でした

とにかく、歌あり踊りありの とても楽しい映画です

 

     

 

ところで、映画とは関係ありませんが、「チャールダーシュの女王」には思い出があります

新聞関係団体に勤務していた頃、職場に、ヨーロッパ駐在代表を務めたこともあるNさんがいました 彼は語学力を生かし、本業のほかにミステリーの翻訳も手掛け ”二足の草鞋”を履いていました ある日、「あるミステリー小説を翻訳していたら、ストーリーの中に『チャールダーシュの女王』というのが出てきたんだが、どうもオペレッタのタイトルで、チャルダーシュが舞曲らしいことまでは分かった しかし、どんな音楽がチャルダーシュなのかが分からない できればそれを実際に聴いて翻訳に生かしたい 君なら知っているかもしれないと思って・・・」と声をかけられました 私はタイトルこそ知ってはいましたが、LPもCDも持っておらず、どんな曲なのか聴いたこともありませんでした しかし、わざわざ私を選んでクラシック音楽について訊いてきた人に「知りません」とは言えませんでした 「頼られたら 応えなければならない」というのが私の主義なので、「その作品ならCDを持っているのでお貸ししましょう」と答えました それからCDショップに行っていくつかのCDの中から選んで購入したのがルドルフ・ビーブル指揮ウィーン・フォルクスオーパー管弦楽団・合唱団、ミレナ・ルディフェリア(ソプラノ)他による1985年4月6日の東京文化会館におけるライブ録音CD(下の写真)です もちろん、CDを聴いて、CD付属のブックレット(曲目解説、歌詞対訳ほか)を片っ端から読んだ後でNさんにお貸ししました CDは2枚組7000円でしたが、自分自身に対する先行投資だと考えました こういう風にしてCDが増えていったわけです

 

     

     

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バッハ・コレギウム・ジャパンでJ.S.バッハ「ヨハネ受難曲」を聴く ~ オール・ジャパンによる公演が定着した感のある第141回定期演奏会

2021年02月20日 10時08分13秒 | 日記

20日(土)その2.よい子は「その1」も見てね。モコタロはそちらに出演しています

昨日、19時からサントリーホールでバッハ・コレギウム・ジャパンの「第141回 定期演奏会」を聴きました プログラムはJ.S.バッハ「ヨハネ受難曲」BWV245です 出演はエヴァンゲリスト=櫻田亮、ソプラノ=松井亜希、アルト=久保法之、テノール=江口洋介、イエス/バス=加来徹。管弦楽・合唱=バッハ・コレギウム・ジャパン、指揮=鈴木雅明です

危うく初台の東京オペラシティコンサートホールに行くところを、途中で気が付いて何とか開場時間の18時半ちょうどにサントリーホールに到着しました(その1参照)

自席は2RA6列2番、ステージ右上ブロック6列目、左から2つ目です 会場は市松模様ではなく通常配置ですが、1階3列目まで(とP席)が感染症対策で空席にしてあることもあり、約半数の入りでしょうか

拍手の中、オケのメンバーが入場し配置に着きます 舞台下手にヴァイオリン、ヴィオラの10人が、上手にフラウトトラヴェルソ、オーボエ、ファゴットの6人が、センターにチェロ、ヴィオローネ、オルガン+チェンバロの4人がスタンバイします。後から入場したコーラス20人がオケの後方に扇状になってスタンバイします エヴァンゲリスト(福音史家)役の櫻田亮は指揮者の左サイドに控えます

 

     

 

鈴木雅明の指揮で第1曲の合唱が歌われます。「主よ、私たちを支配される方よ、その誉れは全地にあまねく輝いています。あなたの受難を通して示してください。あなた、まことの神の子がいかなるときにも、低さの極みにおいてさえ、栄光を与えられたことを」と歌われる冒頭の合唱を聴くと、いつも「ああ、これからバッハへの旅が始まるんだな」と思います 男女混声合唱団によるコーラスはどこまでもクリアで深い感動を覚えます

テノールの櫻田亮は、今や日本人では最高のエヴァンゲリスト役として成功しています アリアがあるわけではなく、ひたすらヨハネが語ったキリストの受難の物語をテノールで語っていくわけですが、声が良く通り抜群の安定感があります

イエスを歌った加来徹も、今やバッハ・コレギウム・ジャパンのバス歌手として、なくてはならない存在になっています

ソプラノの松井亜希はノンビブラートの美しい歌唱で聴衆を魅了します テノールの谷口洋介とアルトの久保法之も大健闘でした もう一人、合唱の中で一人バスの歌手の力強い歌唱が印象的でしたが、名前が分かりません

管弦楽では、様々な楽器で歌手に寄り添った演奏が聴かれました 菅きよみのフラウトトラヴェルソ、三宮正満のオーボエ、若松夏美と高田あずみのヴァイオリンが素晴らしかったです プログラムを買っていないので名前は不明ですがヴィオラ・ダ・ガンバの演奏も良かったです

2階席から各楽器の様子が良く分かるのですが、鈴木優人は正面のオルガンを右手で弾きながら、左サイドのチェンバロを左手で弾いていました まさにマルチプレーヤーです。この人、凄いかもしれません

第39曲の「安らかに憩え、聖なるむくろよ~」という感動的な合唱と最後の第40曲のコラールを聴いて、「ああ、これで今年もバッハの旅が終わったな」と思いました

第1部が35分、20分の休憩を挟んで、第2部が75分、正味1時間50分の演奏でした マタイ受難曲が休憩を入れて3時間コース(正味2時間40分位)なので、同じくらいかかると覚悟していましたが、正味時間で50分も短いことを改めて認識しました

コロナ禍の影響で、図らずもオール・ジャパンの演奏家による公演が定着した感のあるバッハ・コレギウム・ジャパンの定期演奏会ですが、今ではこれが何の違和感もなく普通に思えてきました 世界に誇るバッハ・コレギウム・ジャパンは日本の財産です

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大友直人 ✕ 牛田智大 ✕ 新日本フィルでショパン「ピアノ協奏曲第1番」、チャイコフスキー「交響曲第5番」を聴く~新日本フィル”ルビー・シリーズ”

2021年02月20日 07時19分02秒 | 日記

20日(土)その1.わが家に来てから今日で2333日目を迎え、米疾病対策センターは18日、米国の平均寿命が2020年1〜6月、前年に比べて1歳短くなったとのデータを公表したが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、死者が増えたのが要因だという  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     マスクを着ける者は弱い奴だ と平然とのたまわってた大統領の貢献度が最も大きい

 

         

 

昨日、夕食に「牛タン塩焼き」「生野菜とアボカドのサラダ」「卵スープ」を作りました 後述の通り、極めて短時間にやるべきことが集中したので手早く出来るメニューにしました

 

     

 

         

 

昨日、14時からすみだトリフォニーホールで新日本フィルのルビー・シリーズ「第37回定期演奏会」を、19時からサントリーホールでバッハ・コレギウム・ジャパンの「第141回定期演奏会」を聴きました ここでは新日本フィルのルビー・コンサートについて書きます

プログラムは①ショパン「ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11」、②チャイコフスキー「交響曲第5番 ホ短調 作品64」です 演奏は①のピアノ独奏=牛田智大、指揮=大友直人です

会場は金曜日の公演としては結構入っています オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの新日本フィルの並び。コンマスはチェ・ムンスです

 

     

 

1曲目はショパン「ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11」です この曲はフレデリック・ショパン(1810‐1849)が1830年に作曲、同年ショパンがポーランドを去り、ウィーンに出発する告別演奏会で作曲者自身のピアノ独奏により初演されました ヘ短調の協奏曲よりも早く1833年にパリで出版されたため第1番と呼ばれています 作曲家でピアニストのカルクブレンナーに献呈されています。第1楽章「アレグロ・マエストーソ」、第2楽章「ロマンツェ:ラルゲット」、第3楽章「ロンド:ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

ソリストの牛田智大(うしだ・ともはる)は1999年福島県いわき市生まれ。2012年に第16回浜松国際ピアノアカデミー・コンクールで最年少(12歳)第1位となり、2018年の第10回浜松国際ピアノコンクールで第2位とワルシャワ市長賞、聴衆賞を受賞しています

今年22歳になる牛田智大が大友とともに登場、ピアノに向かいます 大友の指揮で第1楽章が開始されますが、冒頭の”悲恋の動機”が胸を打ちます 短調特有の世界です。弦楽器のアンサンブルが美しい オケの演奏に次いで牛田のピアノが決然と入ってきますが、彼のピアノは力強さと繊細さを併せ持っていて、まさに「男のロマン」を感じさせます 2月から正団員になったフルート首席の野津雄太の演奏が華を添えます 第2楽章では、牛田は曲を慈しむように一音一音ていねいに音を紡いでいきます 河村幹子のファゴットがぴったりピアノに寄り添います 第3楽章では、ピアノがポーランド民族舞曲クラコヴィアクをもとにした独特なリズムで祝祭感溢れる音楽を展開します 躍動感溢れる素晴らしい演奏でした

鳴り止まない拍手に、牛田はショパンのマズルカっぽい曲をアンコールに演奏し、再び大きな拍手を浴びました 休憩時間にパトロネージュ部の登原さんから「マズルカ第33番」だと教えていただきました

この日の公演に先立って午前11時からホール隣接のホテルのチャペルで開かれた小室敬幸氏の「ワンコイン講座」の冒頭、登原さんから「新日本フィルに入職以来5年間、この講座を担当してきましたが、今回をもって担当が変わることになりました」と挨拶があったので、休憩時間に「寂しくなるけど、5年というのはいい区切りなのかもしれない 5年間お疲れさまでした」と労いました。講座の進行役からは離れても、トリフォニーホールでの公演の時はロビーに出て来場者の対応をするのは変わりないので、これからもお話しする機会はあると思います

 

     

 

プログラム後半はチャイコフスキー「交響曲第5番 ホ短調 作品64」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840ー1893)が1888年に作曲、同年ペテルブルクで初演されました 第1楽章「アンダンテ ~ アレグロ・コン・アニマ」、第2楽章「アンダンテ・カンタービレ、コン・アルクーナ・リツェンツァ」、第3楽章「ワルツ:アレグロ・モデラート」、第4楽章「フィナーレ:アンダンテ・マエストーソ ~ アレグロ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

大友氏の指揮で第1楽章に入りますが、冒頭は「暗い絶望の運命の動機」です 次第に力強さが顔を見せますが、前日のリハーサルに比べて弦楽器を中心にパワーアップしたように感じました やっぱり本番を聴かないとオケの実力は分かりません 第2楽章では冒頭のホルンが”慰めの音楽”を奏でますが、この演奏がとても良かった クラリネットの仲舘荘志の演奏が冴えていました 第3楽章はチャイコフスキーらしいワルツです 第4楽章は、第1楽章で登場した「暗い絶望の運命の動機」が「勝利の運命の動機」に転換します 同じ動機なのにまったく性格を変えて登場させる手腕はチャイコフスキーならではの才能を感じます この楽章では、弦楽器の渾身の演奏とホルン、トロンボーン、トランペット、テューバなどブラスセクションの咆哮が印象的でした

カーテンコールが繰り返され、大友 ✕ 新日本フィルはアンコールにチャイコフスキー「弦楽セレナーデ」から「ワルツ」を優雅に演奏、大きな拍手を浴びました

牛田智大にせよ、弦楽セクションにせよ、もしこれが夜のコンサートだったらアンコールはなかったでしょう     緊急事態宣言下にある現在、各オーケストラは政府の要請に応えるべく、夜公演の終演時間を早める傾向にあります。そうした中、アンコールに応えればそれだけ終演時間が遅くなるので、やりたくても出来ないのです 個人的には、アンコールはあってもなくてもどちらでも良いという考えで、どちらかと言えば、プログラムに掲げた作品に全力を注いでほしいと思います

さて、前半と後半にアンコールがあったこともあり、終演は16時10分でした この後、JR線で巣鴨に戻り自宅に着いたのが17時でした それから夕食を作って食べ(上記)、お風呂を沸かし、モコタロにおやつをやり、17時45分に再度 家を出ました     サントリーホールに着いたのは開場時間ジャストの18時半でした    これほどハードなスケジュールも久しぶりでしたが、錦糸町からJRで巣鴨に戻る途中、「バッハ・コレギウム・ジャパン」の定期演奏会の開演時間は19時で変わりないかをWEBでチェックしました というのは、コロナ禍の影響で、開演時間を19時から18時へと繰り上げるケースがままあるからです その結果、開演時間は19時で変わりありませんでしたが、会場がいつもの東京オペラシティコンサートホールではなく、サントリーホールであることに気が付きました 危うく初台に行って開演時間に間に合わないところでした   危ねえ 危ねえ

ということで、この続きは「その2:バッハ・コレギウム・ジャパン」をご覧ください

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