人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ジュリアン・ラクリン ✕ 三浦文彰 ✕ 新日本フィルでバッハ「2つのヴァイオリンのための協奏曲」、メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調」、ベートーヴェン「交響曲第7番」を聴く

2024年11月30日 00時01分23秒 | 日記

30日(土)。月末を迎えたので、恒例により11月の3つの目標の実績をご報告します ①クラシック・コンサート=12回、②映画鑑賞=1本、③読書=8冊でした ①は他に公開リハーサルを1回見学しています   残りあと1か月でそれぞれどこまで伸ばせるか

ということで、わが家に来てから今日で3609日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は、新型の中距離弾道ミサイル「オレシュニク」でウクライナの首都キーウを攻撃する可能性に言及した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     そういう好戦的な姿勢だから ウクライナはロシア国内を攻撃できる武器を欲しがる

         

昨日、夕食に隔週金曜日のローテにより「鶏の唐揚げ」を作りました 今回は午前中から旨味醤油に漬けておいたので、味がよく浸んで美味しく出来ました

     

         

昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィル「第27回 すみだクラシックへの扉  定期演奏会」を聴きました プログラムは①J.S.バッハ「2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043」、②メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64」、ベートーヴェン「交響曲第7番 イ長調 作品92」です   演奏は①②のヴァイオリン独奏=三浦文彰、指揮と①のヴァイオリン独奏=ジュリアン・ラクリンです

     

今回も「満員御礼」の表示が出ていました 今シーズンの扉シリーズはいずれも客入りが良いようです

1曲目はJ.S.バッハ「2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043」です この曲はヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750)がケーテン時代(1717~23年)に作曲したと考えられてきました 第1楽章「ヴィヴァーチェ」、第2楽章「ラルゴ・マ・ノン・タント」、第3楽章「アレグロ」の3楽章から成ります

ジュリアン・ラクリンは1974年リトアニア生まれ。もともとはヴァイオリニストですが、現在、エルサレム交響楽団音楽監督、トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団(フィンランド)首席客演指揮者などを務めています

三浦文彰は2009年にハノーファー国際コンクールにおいて史上最年少の16歳で優勝 18年にサントリーホールARKクラシックスのアーティスティック・リーダー、24年に宮崎国際音楽祭の音楽監督に就任しました

オケは10型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、その後ろにコントラバスという並び 正面後方にチェンバロがスタンバイします。コンマスは西江王子、隣はアシスタント・コンマスの立上舞です

ジュリアン・ラクリンの指揮ぶりで第1楽章に入ります 2つのヴァイオリンの丁々発止のやり取りでテンポ感の良い軽快な演奏が展開します 第2楽章では2人のヴァイオリンのヴィブラートの美しさが際立っていました 第3楽章はヴァイオリン同士の掛け合い、ヴァイオリンとオケとの掛け合いによりアグレッシブな演奏が繰り広げられました

2曲目はメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64」です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847)が1844年に作曲、1845年3月13日にライプツィヒでゲヴァントハウス管弦楽団のコンマス、フェルディナント・ダーヴィトの独奏により初演されました 第1楽章「アレグロ・モルト・アパッショナート」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグレット・ノン・トロッポ ~ アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります この曲の大きな特徴は、①開始早々に独奏ヴァイオリンが入ってくること、②3楽章が途切れることなく続けて演奏されること、③カデンツァが展開部の後に置かれることなどです

オケは12型に拡大し、ラクリンの指揮、三浦の独奏で第1楽章に入ります 三浦の演奏は力強く、とくに低音部に深みがあります それはカデンツァに顕著に表れていました 第2楽章は独奏ヴァイオリンのヴィブラートの美しさが印象的でした 第3楽章では独奏ヴァイオリンとオケの軽快で躍動感あふれる演奏が展開、終盤ではチェロのアンサンブルが美しく響きました ラクリン ✕ 新日本フィルはメリハリのある演奏でソリストを支えました

満場の拍手とブラボーに、三浦はヴュータン「アメリカの思い出(ヤンキー・ドゥードゥル)」を超絶技巧で演奏、聴衆を唖然とさせました

     

プログラム後半はベートーヴェン「交響曲第7番 イ長調 作品92」です   この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770ー1827)が1811年から翌12年にかけて作曲、1813年にウィーンのルドルフ大公邸で私的に初演、同年ウィーン大学講堂で公開初演されました  第1楽章「ポコ・ソステヌート ~ ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アレグレット」、第3楽章「プレスト」、第4楽章「アレグロ・コン・ブリオ」の4楽章から成ります ワーグナーが「舞踏の聖化」と呼んだように、全曲を支配しているのは「リズム」です

オケは14型に拡大し、ラクリンの指揮で第1楽章に入ります 「リズム動機」を聴いていたら「のだめカンタービレ」を思い出しました 硬いマレットにより打ち込まれるティンパニが心地よいリズムを刻みます チェロとコントラバスの重低音が通奏低音のようにメロディーを支えます 第2楽章はほとんど葬送行進曲ですが、フルート、オーボエ、クラリネットなど木管楽器が大活躍します 第3楽章は実質的に「スケルツォ」ですが、快速テンポで進み、推進力を感じさせる演奏が展開します アタッカ気味に入った第4楽章では、ベートーヴェンの指示「アレグロ・コン・ブリオ(生気に満ちて速く)」通り、快速テンポにより躍動感あふれる演奏が繰り広げられます 終盤におけるコントラバスの重低音のうねりが凄い ティンパニが鋭いリズムを刻み演奏にメリハリを付けます オケ総力を挙げての熱狂的なフィナーレは圧巻でした

満場の拍手とブラボーが飛び交う中 カーテンコールが繰り返されました    ラクリンは弦楽合奏によりヨハン・シュトラウス2世&ヨゼフ・シュトラウス合作「ピッツィカート・ポルカ」をリズミカルに演奏、大きな拍手に包まれる中 コンサートを締めくくりました

     

     

     

     

ロビーにはクリスマスツリーが飾られていました いよいよ明日から12月です

     

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文京シビック「響きの森クラシック・シリーズ」座席決定 / エリコ・ロウ著「時代をこえて伝わる世界のことわざ108」を読む ~ 「賢者は知恵を求める。愚か者は盲目に信仰する」等

2024年11月29日 00時20分04秒 | 日記

29日(金)。文京シビックホールから「響きの森クラシック・シリーズ 2025-2026シーズン」の予約確定(座席指定)通知が届きました このシリーズは申し込み段階では座席指定できないので、主催者任せになっていました 何とか通路側か通路に近い席にならないか・・・と祈るような気もちでしたが、今回は当方の希望通り1階ほぼ中央の通路側席が取れました 今日、コンサート終了後、文京シビックホールのシビックチケットに寄って現金引き換えで引き取ってくる予定です

     

ということで、わが家に来てから今日で3608日目を迎え、ロシア上院は27日、2025年の連邦予算を可決したが、ウクライナ侵略の長期化を受け、国防費を24年比25%増の13兆4900億ルーブル(約18兆円)とする一方、年金の給付額を圧縮するなど社会保障の抑制に踏み込む内容になっている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     プーチンの野望実現のための予算に 国民はどこまで我慢してついて行けるだろう?

         

豚肉料理が続いたので、昨日の夕食は「ハラミステーキ&モモ焼き肉」にしました 娘が自分で焼きたいというので任せました 私は付け合わせだけ用意しましたが、野菜類はお皿に乗せてワンプレートにして 洗い物を少なくしました

     

         

エリコ・ロウ著「時代をこえて伝わる世界のことわざ108」(三笠書房)を読み終わりました エリコ・ロウはジャーナリスト、著作家、翻訳家。バイオ・エネルギー・トレーナー。元コーネル大学、ワシントン大学非常勤講師。シアトル在住。著書に「アメリカ・インディアンの書物よりも賢い言葉」「死んだ後には続きがあるのか ~ 脳死体験と意識の科学の最前線」などがある

     

著者は「はじめに ~ 時代も言語もこえた『ことば』の旅」の中で次のように書いています

「古くから伝わり、言語の壁をのりこえて世界中で親しまれるようになった格言やことわざは、草花の薬効成分を抽出した精油のようなもの 住む時代や社会、文化、人種の違いにかかわらず、地球人が分かち合う幸福な生き方への知恵が凝縮されています

本書は次の各章から構成されています

第1章「健康な生き方への養生訓」

第2章「落ち込んだ時の薬」

第3章「幸せのありか」

第4章「家族を想う」

第5章「人間関係を見つめて」

第6章「将来への展望をひらく」

第7章「より健やかな社会へ」

第8章「古代人の警告」

本書には108ものことわざ・格言が紹介されているので、特に印象に残ったものをいくつか取り上げることにします

1.「昨日のために今日を費やしすぎてはならない」(北米・チェロキー族)

 心理学者によれば、人が日々巡らせる思考の9割は、過去の出来事の反芻や回顧や分析、またはこれから起きることへの期待や不安、計画だそうです 今この瞬間の自分の状態や行為にしっかり気を配れないようでは、逆に過去の過ちを繰り返すことになる この格言は「目の前の作業に気を入れるという気配り」の必要性を説いています

2.「最も暗いのは夜明け前」(アイスランド)

 成功者の苦労話としてよく聞くのは「どん底」を経験して初めて突破口を見出したというもの 苦しみや痛みといった暗闇から逃げようとするのが私たちの本能だが、逆に暗闇の一番奥深くにまで意識を向けていきなさいという仏教の教えもあるーと解説しています

似たような言葉に「明けない夜はない」というのがあります 「暗い夜はいつまでも続かない。必ず明るい朝がやってくる。だから希望をもって生きよう」という意味だと思いますが、こちらの方がしっくりくるように思います

3.「あなたが偉大になるためのすべては、すでにあなたのなかにある」(北米・クロ―族)

 この格言は「本当に偉い人ほど偉ぶらない」「ふだんの生活では、外見を着飾ったり、肩をいからせることで自分の存在を周囲に知らせる必要はない」ことを表しています

4.「したいことができなければ、していることを愛せ」(メキシコ・アステカ族)

 「ないものねだりをやめて、あるものを活かす」大切さを説いています「すべてを『チャンス』と見る心持ちがあれば、今ここで、様々な喜びを見出すことはできる」としています

5.「感謝する理由が見つからなければ、問題はあなたにある」(北米・先住民)

 著者は「感謝の気持ちはストレス解消の特効薬」と解説しています

6.「偉そうな振る舞いは、無能の証明」(古代ローマ)

 「知ったかぶりや負けず嫌いは自信のなさの表れ」であり、「本当に優れた人ほど、明快に答えられない質問を受けたら、はぐらかしたりせずに『知らない』『わからない』とはっきり言える」と解説しています 先日このブログでご紹介した松浦弥太郎著「即答力」にも同様のことが書かれていました

7.「求めなければ、見つからない」(ニュージーランド・マリオ族)

 著者は「求めているものが見つからない時は、自分が本当は何を求めているのか、本当にそれを求めているのかを、内なる自分に問い直した方がいい」と語ります

就活中の大学4年のころ、新聞社志望の学生たちに朝日新聞出身のゼミの指導教授がよく言っていました 「とにかく受けなさい。受けなければ合格しないんだから」と 受けたけれど合格しませんでした

8.「賢者は知恵を求める。愚か者は盲目に信仰する」(チベット)

 お釈迦様は『私が言ったからといって信じてはいけない。自分で検証しなさい』と語ったと言われている 宗教に限らず科学や医学の世界でも『常識』を信仰してしまう傾向がある 著者は「環境保全、食品安全、医療などで『信じたい』人の気持ちにつけこむ利権政治や商法、詐欺が横行しているなか、安易な決めつけや信仰に陥らない注意が必要」と解いています 先日の兵庫県知事選では、N国党の立花孝志(2022年に懲役2年6か月・執行猶予4年の判決)のフェイクを信じて投票した県民が少なからずいたようですが、彼らは賢者だったのでしょうか、愚者だったのでしょうか

以上のほかにも日常生活を送る上で参考になることわざや格言が 分かりやすく解説されています お薦めします

         

今日はすみだトリフォニーホールに新日本フィル「クラシックへの扉」を聴きに行きます

     

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吉田秀和「モーツアルト」 / エド・マクベイン「キングの身代金」、ハン・ガン「すべての、白いものたちの」、ブレイディ・みかこ「両手にトカレフ」、反田恭平「終止符のない人生」他を買う

2024年11月28日 00時01分14秒 | 日記

28日(木)。昨日の朝日新聞朝刊 第1面の題字下コラム「折々のことば」で鷲田清一氏が吉田秀和著「モーツァルト」の次の言葉を紹介していました

「モーツァルトも微妙な耳にめぐまれたおかげで、ずいぶん苦しんだに相違ない」

鷲田氏はこの言葉の意味を解説していますが、内容はともかく、なぜこの日に吉田秀和著「モーツアルト」を取り上げたのか、とちょっと疑問に思いました ウォルフガング・アマデウス・モーツアルト(1756~1791)の命日は12月5日(誕生日は1月27日)だし、吉田秀和氏(1913~2012)の命日は5月2日(誕生日は9月23日)だし、どちらもずれているなあ、と

鷲田氏がこの本をコラムで取り上げたキッカケに興味があります

ところで、このブログで何度か書きましたが、私のクラシック入門曲はモーツアルト「フルート協奏曲第2番 ニ長調 K.314(285d)」でした そんなこともあって、所有する約4000枚のCDのうち約700枚はモーツアルトで、モーツアルトに関する書籍もできるだけ読んできました 今でも捨てずに手元にあるモーツアルト関連の書籍は単行本と文庫本を合わせて26冊ほどありますが、そのうち吉田秀和氏の執筆による本は「モーツアルトを求めて」(白水社・1982年刊)と「私のモーツァルト」(河出文庫・2021年刊)の2冊です

     

「モーツアルトを求めて」の内容は①モーツアルトの生涯と音楽、②作品(交響曲第39番、クラリネット協奏曲、フィガロの結婚ほか)、③演奏家のモーツアルト像(カラヤン、セル、ハスキルほか)から構成されています    一度読んだだけでほったらかしにしていたので、いつか再読してみようと思います

     

ということで、わが家に来てから今日で3607日目を迎え、来年1月の兵庫県あわじ市市長選に出馬を表明していたN国党の立花孝志党首が27日、自身のYouTubeを更新し、一転して自身の生まれ故郷の大阪・泉大津市市長選に立候補する意向を示し、「当選したら、南あわじ市の市長選挙は辞退します!!」と主張した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     住民無視・自分本位の立花の本質が露呈した立候補地変更だ 選挙民を馬鹿にしてる

         

昨日の夕食は「豚バラと野菜の鰹節出汁鍋」にしました 最近は1週間に1度は鍋のような気がします

     

         

手元の本が残り1冊になったので、いつも通りジュンク堂書店池袋本店で10冊購入しました

1冊目はエド・マクベイン著「キングの身代金」(ハヤカワ文庫)です 本書は、読んだばかりの米澤穂信著「米澤屋書店」で紹介されていたもので、黒澤明監督「天国と地獄」の原作となった作品です

     

2冊目は泡坂妻夫著「乱れからくり」(創元推理文庫)です この本も「米澤屋書店」で紹介されていたもので、米澤穂信が絶賛していた作品です

     

3冊目は「海外ミステリ・ハンドブック」(ハヤカワ文庫)です 海外のミステリーのガイドブックが欲しかったので購入しました

     

4冊目はジェフリー・アーチャー著「運命の時計が回るとき」(ハーパーBOOKS)です この著者の作品は「クリフトン年代記」(新潮文庫)をはじめ文庫化されている本はすべて読了し、ブログでご紹介しました ハーパーBOOKSから出ているとは知りませんでした

     

5冊目はハン・ガン著「すべての、白いものたちの」(河出文庫)です ノーベル文学賞を受賞した韓国の女性作家の作品です

     

6冊目はブレイディ・みかこ著「両手にトカレフ」(ポプラ文庫)です「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」でお馴染みの著者の小説です

     

7冊目は反田恭平著「終止符のない人生」(幻冬舎文庫)です ショパン国際コンクール第2位を果たした反田恭平のこれまでの軌跡を振り返っています

     

8冊目はダロン・アセモグル&ジェイムズ・ロビンソン著「国家はなぜ衰退するのか(上)」(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)です世界の経済格差の根本原因は何かを探ります

     

9冊目は安田登著「つらくなったら古典を読もう」(大和書房)です 古事記、平家物語、論語などの古典を振り返り勉強します

     

10冊目は野口敏著「どんな人とも楽しい会話が続く話し方のルール」(王様文庫)です 口下手なものですから、参考にしたいと思います

     

いずれも読み終わり次第、順次当ブログでご紹介して参ります

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米澤穂信著「米澤屋書店」を読む ~ 学生時代から現在まで20年にわたり米澤が読んできた本を巡るエッセイ・書評・対談を一堂に集めた待望の書

2024年11月27日 00時17分33秒 | 日記

27日(水)。わが家に来てから今日で3606日目を迎え、ウクライナ支援に消極的とされるアメリカのトランプ次期大統領の就任を控え、イギリスとフランスがウクライナへの軍隊の派遣について議論している  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     軍隊か民間軍事会社の派遣を考えているみたいだが  だんだんキナ臭くなってきたな

         

昨日、夕食に「エビの肉巻き」「生野菜とアボカドとモッツアレラチーズのサラダ」「大根の味噌汁」を作りました 海老の肉巻きは本当はパプリカを添えたかったのですが、2つのスーパーで売り切れていたのでピーマンを使いました

     

         

米澤穂信著「米澤屋書店」(文春文庫)を読み終わりました 米澤穂信は1978年 岐阜県生まれ。2001年「氷菓」で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞しデビュー    11年「折れた竜骨」で第64回日本推理作家協会賞、14年「満願」で第27回山本周五郎賞、21年「黒牢城」で第12回山田風太郎賞、22年に同作で第166回直木賞を受賞 ほかに「インシテミル」「Iの悲劇」「儚い羊たちの祝宴」など多数

     

本書は米澤穂信が学生時代から現在まで20年にわたり読んできた本を巡るエッセイ・書評・対談を一堂に集めたものです

430ページを超える本文の中で紹介されているのは約350人の作家、約700冊のミステリー作品です 巻末に書名・作家名別に索引が掲載されているので、エッセイや書評などで誰のどんな作品を取り上げているのかが確認できます あまりにも広範囲にわたるので、何をどのように紹介すればよいのか悩みます

米澤は最初に「ご挨拶より本の話をしませんか」というタイトルで、自己紹介代わりにいきなり好きな作品を10作(順不同)挙げています

①綾辻行人「時計館の殺人」

②泡坂妻夫「乱れからくり」

③辻真先「白雪姫の殺人」

④梶山季之「せどり男爵数奇譚」

⑤横山秀夫「第3の時効」

⑥恩田陸「ユージニア」

⑦天藤真「大誘拐」

⑧山田風太郎「明治断頭台」

⑨伊坂幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー」

⑩北村薫「六の宮の姫君」

これらの作品のどこが素晴らしいのか、なぜ好きなのかについて解説しながら、他の作品との比較を行っています このうち米澤が作家デビューする上で大きな影響を受けたのは綾辻行人と泡坂妻夫の2人の作家であることが分かります

米澤は「ミステリを読む楽しみ」について、「知と理の文芸であるというところがたまらない魅力です」と語っています どんなミステリーも理屈にかなう解決法・解釈でなければ読者は納得しないでしょう

著者はデビュー当時、書店に勤めていたそうで、全国の書店が減少していくことに対し考えるところがあるようです 彼は次のように語っています

「需要の一部が通信販売に置き換えられた以上 本屋の数は減らざるを得ないし、実際に減ってもいる    しかしそれでも、本屋が絶滅するとは思わない    本屋に行くのは欲しい本を買うためでなく、欲しいと思っていなかった本が欲しくなるからなのだ   知らない本と出会う楽しみを忘れがたいから私は本屋に行くし、それこそが本屋にしかない代替不可能な楽しみだと信じている

これは良く分かります 私の本の選び方は①新聞の書評を読んで興味をもった本を買う、②書店でクルージング(書店を徘徊することです)しながら面白そうな本を探し、直感で選ぶーという2通りです。ネットで注文したことは一度もありません

対談は次の4本が収録されています

①心に刺さるミステリー10冊+2( ✕ 柚月裕子)

②笑えるミステリー10選( ✕ 麻耶雄嵩)

③ミステリーにとって必要なものは何か?( ✕ 有栖川有栖)

④創作と自分( ✕ 朝井リョウ)

米澤は最後に「ご挨拶より本の話をいたしましょう」を置き、「あとがき」に代えて海外の作家によるミステリーを10作選んで紹介しています

①アント二イ・バークリー「最上階の殺人」

②アガサ・クリスティー「杉の柩」

③ダシール・ハメット「血の収穫」

④ラッセル・ブラッドン「ウィンブルドン」

⑤エド・マクベイン「キングの身代金」

⑥ロバート・ファン・ヒューリック「紗蘭の迷路」

⑦E・L・カニグズバーグ「クローディアの秘密」

⑧ミルチャ・エリアーデ「ムントゥリャサ通りで」

⑨ヒラリー・ウォー「失踪当時の服装は」

⑩サー・アーサー・コナン・ドイル「シャーロック・ホームズの冒険」

米澤はここでも、なぜこれらの作品が好きなのか、どういう点が素晴らしいのかについて解説しています 解説を読むとどの作品も無性に読んでみたくなります

全編を読み終わって思うのは、本書で紹介された作品のうち実際に読んだことがある本は限りなく少ないという事実です 本が好きだとか、ミステリーが面白いとか言っても、プロの作家にはとても敵わず「井の中の蛙大海を知らず」であることを思い知らされます 本の世界も「読めば読むほど知らない本が増えていく」ということでしょうか

米澤穂信ファンはもちろんのこと、ミステリー・ファンには特にお薦めします

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松浦弥太郎著「即答力」を読む ~ 「暮らしの手帖」元編集長が語る日々の暮らしや仕事に求められる「即答力」の極意:即答力とは姿勢である

2024年11月26日 00時03分22秒 | 日記

26日(火)。わが家に来てから今日で3605日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は23日、12月1日以降に1年以上の契約で軍と契約を結んだ場合、兵士やその配偶者が抱える借金を1000万ルーブル(約1480万円)を限度に返済を免除する法律に署名した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     戦闘の長期化で兵士不足が深刻化してる証拠だ イエメン国民も金で買収したそうだ

         

昨日、夕食に「五目炊き込みご飯」「ちぎり厚揚げと豚バラの和風炒め」「生野菜とモッツアレラチーズのサラダ」「エノキダケの味噌汁」を作りました

     

         

松浦弥太郎著「即答力」(朝日文庫)を読み終わりました 松浦弥太郎は1965年 東京都生まれ。「COW  BOOKS」代表、文筆家。「暮らしの手帖」編集長を経て「クックパッド」勤務。2002年「COW  BOOKS」開業   著書に「今日もていねいに」「松浦弥太郎の仕事術」「考え方のコツ」など多数

     

本書は2013年10月に朝日新聞出版から刊行されたものです

この本は次の各パートから構成されています

パート1「『即答力』とは何か」

パート2「『即答力』を身に着けるには

パート3「『即答力』を鍛える

パート4「『即答力』を仕事に生かす

著者はパート1で「即答力とは姿勢です」と述べていますが、この言葉が全編を支配しています 著者は続けて「人に対してであれば、『あなたに興味がある』とか、『あなたを尊敬している』とか、『あなたの話をもっと聞きたい』という姿勢。出来事に対してであれば、『何が起こるかわくわくする』とか、『チャレンジしたい』とか、『新しいことを試してみたい』という姿勢。即答力とは『自分に起こり得るすべてのことに対する感謝の気持ち』があったうえでの、前向きな姿勢だという気がします」と述べています

さらに著者は、「即答力とは常にまわりに気を配り、ニーズを察し、チャンスを捉えてスピーディに反応する力です」と述べていますが、続けて、「しかしこれはあくまで原則であり、すべてに適用しようとしてはなりません」と釘を刺しています 「一番いけないのは、闇雲に即答すること。わかりもしないのに、あてずっぽうでいい加減なことを答える。どこかで聞きかじった借り物の意見で取り繕う。これはいただけない。即答力の悪用です 相手は見抜いているものです。その次にいけないのは黙り込むこと 最良の策は、『答えられない』と答えるという即答です。即答力には瞬発力と同時に正直さが大切です」と述べています

パート2「『即答力』を身に着けるには」の中で著者は即答力には準備(自分が正しいと思うことを続けていくことを習慣にすること)が必要だと説いています

著者が「暮らしの手帖」編集長や「クックパッド」で働いた経験から、仕事や人との関りの中でいかに即答力が大切かが説かれています したがって、最後のパート4「『即答力』を仕事に生かす」に最も力を入れて実践的な方法を説いています そういう意味では、現役で働いている人にとって直接役に立つと思います

そんな中、私のように現役を引退している者にも直接役に立つ情報も少なくありません 一例を挙げると「メールは短く・早く」です 著者は海外の人たちとの間でメールのやり取りをする機会が少なくないようですが、アメリカ、中国、台湾等の優秀なビジネスマンほどメールが短いとのことです それに比べて日本人のメールは長過ぎるので、時に「読む気がしない」と思うそうです 著者は「長くなる用件は電話か対面で」を原則にするといいと述べます さらに、「メールは結論を最初に書く」「返事はそのメールを見たらすぐに書く」という鉄則を作ろう、とアドヴァイスします

日々の暮らしや仕事に求められる「即答力」について実践的に解説した書籍として、サラリーマンに限らず広くお薦めします

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「生きがいを感じていますか?」「ゼロで死ねるか」 ~ 朝日新聞別刷り「be」と本紙連載記事を読んで思うこと / Macintoshのパワーアンプ「MC240」を売る

2024年11月25日 00時01分55秒 | 日記

25日(月)。1か月以上前から娘が「断捨離」のYouTubeにハマって、自分の服やら身の回り品やら美大時代の遺物やらを片付け始め、45リットル用ビニール袋で40袋以上(事実です!)をゴミとして捨てました ミニマリストを目指してような勢いですが、要するにゴミの中で暮らしていたわけですね その一環として、私の私物にも魔の手が伸び、要らない物はないかと探し回り、洋服ダンスの隅に放置してあった古いアンプを見つけて「オトーさん、これどーすんのよ」と叫ぶので、MacIntosh「MC240」を売却しました これは41年前の昭和58年(1983年)12月18日に秋葉原・電気街のユートピア機器で購入した「真空管パワーアンプ」の中古品です 保証書・マニュアル・パンフレットのコピーは保管してあります しかし 肝心の領収書を紛失してしまったので正確な購入価格は不明ですが、20万円以上したことは確かです 独身時代に5年間くらい使用しましたが、その後トランジスタのプリメイン・アンプに代えたので、処分せずに保管しておきました 今回はちょうど良い機会でした さっそく中古オーディオショップをネットで検索し、AUDIO  LAND という業者に決めて売却することにし、昨日引き取りに来てもらいました 予備の真空管も保管してあったので併せて売却しました

     

     

中古品として購入して41年後に中古品として売却したわけですが、購入価格よりは下回ったものの、MC240はヴィンテージ品なので 当方が思っていたよりも高く売却できました 良心的な業者で良かったと思います

ということで、わが家に来てから今日で3604日目を迎え、ロシアが北朝鮮に対し、過去8か月で計100万バレル以上の原油を供給していた可能性があることが、英民間調査機関オープンソース・センターが22日に発表した衛星画像で分かったが、これが事実とすれば、年間上限50万バレルと定めた国際制裁決議違反となる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     北朝鮮がロシアに派遣した 1万人とも言われる兵士たちの 見返りというわけだね

         

23日(土)付の朝日新聞別刷り「be」の「be  between 読者とつくる」コーナーのテーマは「生きがいを感じていますか?」でした これはbeモニターへのアンケートに答えた2303人の集計結果をまとめたものです それによると「はい」が74%、②「いいえ」が26%だったとのことです「はい」の回答で「どんなことに生きがいを感じるか」については、多い順に①子ども、②配偶者、③旅行、④読書、⑤孫、⑥健康、⑦音楽・楽器、⑧仕事となっています つまり①②⑤は家族であり、⑥は自分の身体のこと、③と⑦が趣味ということになります

自分自身に当てはめてみると、現役を退き無職であること、子どもたちが仕事に就いていることを考えると、自分を含めて家族が心身ともに健康であることは望ましい状態だと思います しかし、それに「生きがいを感じるか」と問われれば、それは違うように思います むしろそれを前提として、④や⑦を趣味として生きていくことに生きがいを感じていると言えます   さらに言えば、それをブログに文章として書き綴り、外に発信することに生きがいを感じていると言えるかもしれません

一方、現在 朝日では経済面で「ゼロで死ねるか」という囲み記事を連載しています これは「生きているうちにお金を使い切って死ねるか」ということを表しています 上記と同じ23日付の紙面の第5回目の記事のタイトルは「人生悔いなく 使えるお金を使えるうちに」です 記事は冒頭次のように書いています

「日本の高齢者の3分の1が、生きているうちに『財産を使い切りたい』と考えているのに、ため込んだ金融資産は80歳を過ぎても平均で1~2割しか減らない・・・。高齢者のお金のため方、使い方について、今年度の経済財政白書はこんな分析をしている」

そして、「DIE  WITH  ZERO(ゼロで死ね)」(累計39万部販売)の著者ビル・パーキンス氏にインタビューした内容を紹介しています

パーキンス氏によれば、人が実際に「ゼロで死ぬ」ことは難しくても、その目標から逆算して「人生をより充実させていくことが大事」との思いで本を書いたという この考えは、1985年にノーベル賞を受賞した経済学者フランコ・モディリアーニが提唱した「死ぬときの残高がちょうどゼロになるように消費行動をすべきだ」との仮説に由来するという

人々がお金を使いきれない理由は主に①自分がいつ死ぬのかわからない ②老後の生活は意外にお金がかからない ③お金はステータスになる ④子どもに残したい、の4つ   同氏は「歳を取ると想像よりお金を使わないので、子どもに早めに財産を引き継ぐことを勧める お金を使う能力は年齢によって変わり、同じ金額でも60代より30~40代の方が価値を高められ、コストパフォーマンスが良いから」と語ります さらに、高齢者が有効にお金を使うための「アイテム」として同氏が提唱しているのが、やりたいことを年代ごとにリストにする「タイムバケット」の作成である お金とは「経験を買うために使うもの」。重い病気にかかると、お金がいくらあっても楽しめなくなるが、思い出は記憶として残る 「ベッドに横たわっていても”記憶の配当”がいつまでも受けられ、人生を豊かにするのです」と語ります だから、お金がないなどの理由でやりたいことを先伸ばしせず、元気なうちにやり、「悔いのない人生を送れるようしっかり考えてほしい」と語ります

ここまで書いて思い出しましたが、今月18日付toraブログでご紹介した筒井康隆著「敵」の主人公・渡辺儀助も「預貯金があと何年もつかを計算しながら」生きています

     

ビル・パーキンス氏の言葉には深く共感を覚えます 私が常々思っているのは「あとで後悔しないように、今この瞬間を楽しんで生きよう」 そのためには「自分自身に投資し、3つの目標(①クラシック・コンサート、②映画鑑賞、③読書)達成に向けて頑張ろう」ということです

さて、皆さんはどのようにお考えでしょうか

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藤岡幸夫 ✕ 上原彩子 ✕ 東京シティ・フィルでプロコフィエフ「ピアノ協奏曲第3番」、ラフマニノフ「交響曲第2番」を聴く ~ 第79回ティアラこうとう定期演奏会

2024年11月24日 00時01分03秒 | 日記

24日(日)。わが家に来てから今日で3603日目を迎え、兵庫県議会調査特別委員会委員長の奥谷謙一県議は22日、X上で「うそをついたりマスコミに圧力をかけたりした」という趣旨の投稿をされ名誉を傷つけられたとして、「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏を名誉棄損容疑で刑事告発し、県警に受理されたと発表した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     立花は兵庫県南あわじ市長選に立候補する こんな無法者をいつまで野放ししておく?

         

昨日、ティアラこうとう大ホールで東京シティ・フィル「第79回ティアラこうとう定期演奏会」を聴きました プログラムは①プロコフィエフ「ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 作品26」、②ラフマニノフ「交響曲第2番 ホ短調 作品27」です 演奏は①のピアノ独奏=上原彩子、指揮=藤岡幸夫です

     

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつものシティ・フィルの並び コンマスは特別客演コンマス・荒井英治です

1曲目はプロコフィエフ「ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 作品26」です    この曲はセルゲイ・プロコフィエフ(1891-1953)が1917年から21年にかけて作曲、1921年に亡命先のシカゴで初演されました  第1楽章「アンダンテ ~ アレグロ」、第2楽章「アンダンティーノ」、第3楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の上原彩子は3歳からヤマハ音楽教室で学ぶ。2002年に第12回チャイコフスキー国際コンクール・ピアノ部門で日本人初の第1位となる リサイタルや内外のオーケストラと共演し好評を博す

藤岡の指揮で第1楽章に入ります 冒頭のクラリネットによる寂寥感漂う演奏が素晴らしい ヴァイオリンの高速演奏に導かれて上原の歯切れのよいピアノがリズミカルに入ってきます オケとのコラボによる疾走感が堪りません 第2楽章では独奏ピアノの粒立ちの美しいリリカルな演奏が際立ちました 第3楽章では再び疾走感あふれる演奏が展開し、華麗なフィナーレになだれ込みました

満場の拍手に上原は、ラフマニノフ「13の前奏曲」より第5曲をロマンティックに演奏、再び大きな拍手を浴びました 上原彩子はもう一度聴きたくなるピアニストです

     

プログラム後半はラフマニノフ「交響曲第2番 ホ短調 作品27」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)が1906年から07年にかけて作曲、1908年1月26日にペテルブルクでラフマニノフの指揮により初演されました 第1楽章「ラルゴ ~ アレグロ・モデラート」、第2楽章「アレグロ・モルト」、第3楽章「アダージョ」、第4楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

藤岡の指揮で第1楽章に入ります 冒頭のチェロによる重心の低い演奏が素晴らしい その後もチェロとコントラバスの低弦による”通奏低音”が、甘美なメイン・メロディーをしっかり支えます 曲想の転換を図るイングリッシュホルンの演奏が素晴らしい 第2楽章はホルンを始めとする金管楽器の輝かしい演奏が印象的です 第3楽章は、プレトークで藤岡氏が「恥ずかしいくらいの甘い音楽」と表現した甘美な音楽が繰り広げられます こういうのを「ロマンティシズムの極致を行く演奏」と言うのでしょう クラリネット、フルート、オーボエといった木管楽器群が大活躍します 第4楽章はオーケストラ総力を挙げての躍動感あふれる演奏が展開、ラフマニノフ独特の歯切れのよい演奏で曲を閉じました

満場の拍手の中、カーテンコールが繰り返されました     藤岡 ✕ シティ・フィルらしい熱演でした

     

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都響12月定期演奏会の指揮者:大野和士降板 ⇒ ロバート・トレヴィーノが代役 / 東京シティ・フィル2025年度シーズン会員継続へ / レイ・ブラッドベリ著「華氏451度」を読む

2024年11月23日 00時06分07秒 | 日記

23日(土・祝)。東京都交響楽団の公式サイトによると、「12月4日(水)第1012回定期演奏会Bシリーズ、12月5日(木)第1013回定期演奏会Aシリーズに出演予定の都響の大野和士音楽監督は、『頸椎の外科的措置が必要』との医師の診断により、12月から1月下旬まで療養することとなったため、同公演への出演を見送ることになった。代わって、ロバート・トレヴィーノ氏が出演する。演奏曲目の変更はない」としています

頸椎(けいつい)って首の骨のことですね 指揮者にとっては職業病のようなところがあるみたいです 1日も早い回復を祈るばかりです 都響といえば、10月13日のプロムナード・コンサートに出演予定だったピアニストのイモージェン・クーパーが怪我のため演奏できなくなり、12日に京都でのコンサートに出演していたアンドリュー・フォン・オーエンがその翌日に駆けつけて代役を果たしたことを思い出します 今回 トレヴィーノがプログラム内容に変更なしで急な要請に応えることが出来るのは、常に準備が出来ているということでしょう これこそプロフェッショナルだと思います

     

               

東京シティ・フィルから「2025年度年間会員継続案内」が届いていたので、継続の手続きをしました 現在私は①定期演奏会(東京オペラシティコンサートホール)と②ティアラこうとう定期演奏会(ティアラこうとう大ホール)の定期会員ですが、①については1階のほぼセンター通路側席なのでこのまま継続することにしました ②については後方左ブロックの通路から2つ目なので、もっと前方の通路側か通路に近い席を希望するという内容で継続することにしました

     

     

     

     

         

12月2日(月)14時から新国立劇場ホワイエで開かれる令和6年度  新国立劇場オペラストゥディオ(オペラ研修所)「午後の音楽界 ~ 日本歌曲の世界」に申し込みました この公演は新国立劇場オペラ研修所の第25・26・27期の研修生が普段の研修の成果を披露するものです 入場無料で事前申込制の先着順・定員150名となっています   個人的には第25期の研修生・野口真湖さんに期待しています

     

ということで、わが家に来てから今日で3602日目を迎え、パレスチナ自治区ガザでの戦闘をめぐり、国際刑事裁判所(ICC)がイスラエルのネタニヤフ首相らに戦争犯罪などの容疑で逮捕状を出したことについて、米ホワイトハウスのジャンピエール報道官は21日、「決定を断固として拒否する」と述べた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     自らの政治生命を維持するためにガザの市民を殺し続けるネタニヤフに有罪は当然

         

昨日、夕食に「鶏のガーリックチーズ煮スパゲッティ添え」を作りました 久しぶりに作りましたが、チーズたっぷりで美味しかったです

     

         

レイ・ブラッドベリ著「華氏451度」(ハヤカワ文庫)を読み終わりました レイ・ブラッドベリは1920年米イリノイ州生まれ。1950年に最高傑作と言われる「火星年代記」を、1953年に本書「華氏451度」を刊行した 他に「刺青の男」「太陽の黄金の林檎」「喜びの機械」などがある

     

本書は三宅香帆著「ずっと幸せなら本なんて読まなかった」の中で「面白くなかった映画を観たあとに読む本」として紹介されていた作品です

華氏451度の温度になると紙の書物は引火し燃え上がる 451と刻印されたヘルメットをかぶり、昇火器の炎で隠匿されていた書物を焼き尽くす それが主人公モンターグたちの職業「昇火士」である。歴史をたどると昔は、火を防ぐ「消防」が仕事だった。しかし未来社会では火を点ける「昇火士」に変わっている モンターグは自分の仕事に誇りをもって、国家にとって不都合な書籍を燃やし続けていた しかし、ある晩、風変わりな少女クラリスと出会ったことをきっかけに「本を燃やすことは本当に良いことなのか」と疑問を抱き、上司ベイティーの命令に背くようになり彼の人生は劇的に変わっていく

本書は本が忌むべき禁制品となった未来を舞台に、現代文明を鋭く風刺した不朽のディストピア小説です

ちなみにネットで華氏と摂氏との関係を調べてみると、華氏451度 ≒ 摂氏232.8度とのことです

上司ベイティーがモンターグを説得する言葉が印象的です

「あの子(クラリス)は時限爆弾だったな。あの子は物事がどう起こるかではなく、なぜ起こるかを知りたがっていた。これは厄介なことになりかねない いろいろなことに、なぜ、どうしてと疑問ばかり持ってばかりいると、しまいにはひどく不幸なことになる

「ひとつの問題に2つの側面があるなんてことは口が裂けてもいうな ひとつだけ教えておけばいい。もっといいのは、なにも教えないことだ。戦争なんてものがあることは忘れさせておけばいいんだ

「おれたちは、相反する理論や思想で人を不幸にしたがる連中のささやかな潮流を押しとどめているんだ おれたちは堤防の穴にしっかり指をつっこんでいる。そのままじっとしていなくちゃならない。陰気で憂鬱な哲学の激流で世界を溺れさせるわけにはいかんからな

「昇火士の仕事をしていると、誰でも少なくとも一度は、むずむずっと来るもんだ。本はなにをいってるんだろう、と思うわけさ おれは若い頃、本のなんたるかを知る必要に迫られて何冊か読んだことがあるんだが、本はなにもいってないぞ!人に教えられるようなことなんかひつともない。信じられることなんかひとつもない。小説なんざ、しょせんこの世に存在しない人間の話だ。想像のなかだけの絵空事だ。ノンフィクションはもっとひどいぞ。どこぞの教授が別の教授をばか呼ばわりしたり、どこぞの哲学者が別の哲学者に向かってわめきちらしたり、どれもこれも、駆けずり回って星の光を消し、太陽の輝きを失わせるものばかりだ。お前は迷子になるだけだぞ

ナチス・ドイツではこのように説得されて、”政権に不都合な本”に火を点けたのでしょう

訳者の伊藤典夫氏が「訳者あとがき」の中でナチス・ドイツよる書物の粛清と日本の過去について次のように書いています

「1933年5月10日、ゲッペルスの宣伝に乗ったドイツ学生連合会は、ドイツ語とドイツ文学の純化を目標に、フロイト、ケストナー、ハイネ、マルクスなど2万点にのぼる”非ドイツ的な”本を広場で灰にした 日本では1950年代に流行ったPTAによる悪書追放(特に漫画)があるくらいだ

続けて伊藤氏は次のように書いています

「本を燃やすという行為には、通りいっぺんに考える以上に大きい象徴的な意味が隠されているようである かけがえのない文化遺産としての本の総体よりも、誰しも愛着のある本があるように、読んだことのない本が燃えてゆくさまには、出会えなかった本1冊1冊への哀惜の情がわき、心が痛むからである

本の置き場所に困らない「電子書籍」が重宝がられているようですが、私は紙ベースの「本」を読むことにこだわっています   それはやはり1冊1冊に愛着を感じるからです

本書は燃やしてはいけない不朽の名作です 「面白くなかった映画を観たあと」に限らず、広くお読みになることをお薦めします

     

         

今日は東京シティ・フィルの「ティアラこうとう定期演奏会」を聴きに住吉に行きます

     

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ディマ・スロボデニューク ✕ ニキータ・ボリソグレフスキー ✕ NHK交響楽団でチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」、ストラヴィンスキー「3楽章の交響曲」他を聴く

2024年11月22日 00時04分56秒 | 日記

22日(金)。わが家に来てから今日で3601日目を迎え、国連安全保障理事会は20日、日本を含む非常任理事国10か国が提案したパレスチナ自治区ガザで無条件の即時停戦を求める決議案を否決したが、常任理事国でイスラエルを支持している米国が拒否権を行使したためで、他の理事国からは米国批判や落胆の声が相次いだ  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     これだからロシアばかり責められないんだよな 共通点は”見かけだけ”大国の横暴だ

         

昨日、夕食に「ポーク・クリームシチュー」と「生野菜とアボカドとモッツアレラチーズのサラダ」を作りました 寒い夜はカレーとかシチューとか鍋料理を食べたくなります

     

         

昨夜、NHKホールでNHK交響楽団「11月度Bプロ定期演奏会」を聴きました プログラムは①チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35」、②プロコフィエフ:バレエ音楽「石の花」より「銅山の女王」「結婚組曲」、③ストラヴィンスキー「3楽章の交響曲」です 演奏は①のヴァイオリン独奏=ニキータ・ボリソグレフスキー、指揮=ディマ・スロボデニュークです

ディマ・スロボデニュークは1975年モスクワ生まれ。フィンランドのシベリウス音楽院でヴァイオリンを学び、同時にレイフ・セーゲルスタムやヨルマ・パヌラらから指揮を学ぶ 2016年から2021年までフィンランドのラハティ交響楽団首席指揮者を務めた

     

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものN響の並び コンマスは読響で10年間コンマスを務め、今年3月に卒業した長原幸太です この客演は首席客演指揮者もしくは首席指揮者に繋がるのだろうか 興味深いものがあります

1曲目はチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35」です    この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1878年に作曲、1881年12月4日にウィーンで初演されました  当初レオポルト・アウアーに初演を依頼しましたが、「演奏不能」として拒否されたため、アドルフ・ブロツキーに依頼しました 第1楽章「アレグロ・モデラート ~ モデラート・アッサイ」、第2楽章「カンツォネッタ:アンダンテ」、第3楽章「フィナーレ:アレグロ・ヴィヴァチッシモ」の3楽章から成ります

ヴァイオリン独奏のニキータ・ボリソグレフスキーはロシア出身で、モスクワ音楽院、エリーザベト王妃音楽院、クロンベルク・アカデミーで学びました チャイコフスキー、エリーザベト、フリッツ・クライスラー、シベリウス、モントリオールなど数々の国際コンクールに優勝・入賞しました アトリウム弦楽四重奏団の第1ヴァイオリン奏者としても活躍しています

ディマ・スロボデニュークの指揮で第1楽章に入ります 始まって間もなく存在感のあるオーボエの音が耳に飛び込んできました 「あれっ」と思ってオーボエ奏者を見ると、吉村結実さんではなく、どうやら吉井瑞穂さんの客演のようです 存在感があるはずです ニキータ・ボリソグレフスキーのヴァイオリンは技術的には完璧で、美しい音色で流麗に演奏します 甲斐雅之のフルート、伊藤圭のクラリネットがソリストの演奏に華を添えます 「カンツォネッタ」の第2楽章を経て第3楽章に入りますが、終盤では独奏ヴァイオリンとオケとの丁々発止のやり取りが超高速で繰り広げられ、圧倒的なフィナーレを飾りました

満場の拍手とブラボーのなかカーテンコールが繰り返され、ソリストはJ.S.バッハ「無伴奏ヴァイオリン・パルティ―タ第2番 ニ短調 BWV1004」から「サラバンド」を静かな情熱を込めて演奏、聴衆を黙らせました

     

プログラム後半の1曲目はプロコフィエフ:バレエ音楽「石の花」より「銅山の女王」、「結婚組曲」(①恋の踊り、②婚約者の女友だちの踊り、③乙女たちの踊り、④儀式の踊り、⑤結婚の踊り)です    この曲はセルゲイ・プロコフィエフ(1891-1953)がバジョーフの説話集をもとに1948年から53年にかけて作曲、1954年にモスクワで初演されました

オケは16型に拡大し、ディマ・スロボデニュークの指揮で「銅山の女王」の演奏に入りますが、メロディーを聴いただけで「ああ、プロコフィエフのバレエ音楽だ」と分かるほど作曲者のDNAが沁み込んだ作品でした。「結婚組曲」は楽しい曲で、様々なダンス音楽が展開しました ここでもオーボエの演奏が素晴らしく、またコントラバスの存在感が顕著でした

     

最後の曲はストラヴィンスキー「3楽章の交響曲」です   この曲はイーゴリ・ストラヴィンスキー(1882-1971)がニューヨーク・フィルの委嘱により1942年から45年にかけて作曲、1946年1月24日にストラヴィンスキー指揮ニューヨーク・フィルにより初演されました 第1楽章「♪=160」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「コン・モート」の3楽章から成ります

ディマ・スロボデニュークの指揮で第1楽章に入ります ピアノとティンパニによる独特のリズムは「春の祭典」のバーバリズムを思い起こさせます 第2楽章はハープの演奏が冴えています 第3楽章はまるでジャズです N響は切れ味鋭いアグレッシブな演奏を展開しました

満場の拍手のなかカーテンコールが繰り返されました

     

     

     

     

     

これをもって4日間連続コンサートも終わりです あっという間でしたが、4日目となると さすがに精神的にも肉体的にも疲れが出てきて、集中力が続かなくなります

今日は身体を休めて読書をすることにして、明日のコンサートに備えます

     

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新国立オペラでロッシーニ「ウィリアム・テル」を観る ~ ゲジム・ミシュケタ、ルネ・バルベラ、オルガ・ペレチャッコ、安井陽子にブラボー!

2024年11月21日 00時59分54秒 | 日記

21日(木)。わが家に来てから今日で3600日目を迎え、ロシア政府は20日、「プーチン大統領から北朝鮮の人々への贈り物」として モスクワの動物園からライオンやクマなどの動物70匹超を北朝鮮・平壌の動物園に移送したと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     北朝鮮がロシアに売り飛ばした数千人の兵士と 70匹の動物は同じ価値ってこと?

         

昨日、「肉じゃが」「生野菜とアボカドとモッツアレラチーズのサラダ」「シメジの味噌汁」を作りました 昨日は午後4時からオペラだったので、午前中に作り、私は昼食に娘は夕食に食べました 私の夕食はオペラの休憩時間に食べたオニギリ2個とお~いお茶です

     

         

昨日午後4時から新国立劇場「オペラパレス」でロッシーニのオペラ「ウィリアム・テル」を観ました 新国立劇場初上演で、日本での原語・舞台上演は今回が初めてとのことです

出演はウィリアム・テル=ゲジム・ミシュケタ、アルノルド・メルクタール=ルネ・バルベラ、マティルド=オルガ・ペレチャッコ、ヴァルテル・フュルスト=須藤慎吾、メルクタール=田中大揮、ジェミ=安井陽子、ジェスレル=妻屋秀和、ロドルフ=村上敏明、リュオディ=山本康寛、ルートルド=成田博之、エドヴィージュ=齊藤純子、狩人=佐藤勝司。管弦楽=東京フィル、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=大野和士、演出・美術・衣裳=ヤニス・コックスです

     

「ウィリアム・テル」はジョアッキーノ・ロッシーニ(1792-1868)がF.シラーの台本に基づき、1829年パリ・オペラ座で初演した全4幕6場からなるバレエ付きの『グランドオペラ』です

無知な私はイタリア人のロッシーニが作曲したオペラなのでイタリア語で歌われるのかと思っていたら、フランス語によるオペラなのですね プログラム冊子に掲載の早稲田大学名誉教授・丸本隆氏の「グランド・オペラ 生成・発展の歴史」によると、ロッシーニは多くの時期をフランスで過ごし、とくにパリ・オペラ座の制作活動に関りながらフランス・オペラの発展に大きく貢献した」とありました

【あらすじ】

物語の舞台はオーストリア公国の圧政を嘆くスイスの山村。長老メルクタールの息子アルノルドはハプスブルク家の公女マティルドへの恋に悩んでいた 村一番の弓の名手ギヨーム・テル(ウィリアム・テル)はアルノルドに圧政に抵抗するよう諭す 総監督ジェスレルに反抗した村人を匿ったメルクタールは殺され、マティルドはアルノルドと永遠の別れを交わす 自分に従おうとしないテルとその息子ジェミを捕らえたジェスレルは、息子の頭に載せたリンゴを射ることが出来れば命を助けると告げる テルとジェミたちの運命は、そして、アルノルドとマティルドの愛の行方は如何に

     

会場は新国立オペラ初上演プロのプルミエ(初日)公演ということでか、少なくとも1階席はほぼ満席です

考えてみれば、前日夜にサントリーホールで東京フィルの定期演奏会を聴いたばかりなのに、その翌日には新国立劇場のオーケストラピットに入っています これは楽団員が日本最大の160人いる東京フィルだからこそ為せる業です ちなみに定期公演のコンマスは近藤薫でオペラは依田真宣と役割分担が出来ています

大野和士の指揮によりチェロの静かなアンサンブルで序曲が開始され、嵐の音楽に続きイングリッシュ・ホルンの長閑な演奏が奏でられ、トランぺットのファンファーレが高らかに鳴り響きます 東京フィル絶好調です

ウィリアム・テル役のゲジム・ミシュケタはアルバニア出身のバリトンです  パルマで学び、2006年AsLiCoコンクールで優勝 イタリア、ドイツの著名な歌劇場を中心に活躍しています。新国立オペラでは22年「椿姫」ジェルモンに出演しました 艶のある力強い歌唱で圧倒的な存在感を示しました

アルノルド・メルクタール役のルネ・バルベラはアメリカ出身のテノールです 2011年のオペラリア・コンクール3部門を単独で受賞した実力者です 明るくリリカルな歌唱と力強い高音が魅力で、聴衆の大喝采を浴びました

マティルド役のオルガ・ペレチャッコはサンクトペテルブルク音楽院、ハンス・アイスラー音楽大学などで学ぶ 世界各国の歌劇場で活躍しているソプラノです 新国立オペラでは2017年「ルチア」タイトルロールデビューを果たしました 卓越したヴォイスコントロールにより美しいコロラトゥーラを聴かせてくれました

ジェミ役の安井陽子は桐朋学園大学卒・同大学研究科修了。二期会オペラ研修所マスタークラス修了。ウィーン国立音楽大学研究課程声楽科修了 新国立オペラでは「魔笛」夜の女王、「ホフマン物語」オランピアなど数多くの役柄で出演。安定感のある美しいソプラノです 彼女が登場した時、「あれっ、安井陽子ってこんな小柄だったっけ」と意外に思いました 今回は子役ということなので、その意味ではピッタリなのですが、他の歌手が比較的立派な体格の人が多いから小さく感じたのだろうか

ヴァルテル・フュルスト役の須藤慎吾は国立音楽大学・同大学院修了。第42回日伊声楽コンコルソ第1位 新国立オペラでは数多くの演目に出演しています 力強いバリトンで存在感を示しました

ジェスレル役の妻屋秀和は東京藝大・同大学院修了のバスです 100以上の役柄を歌っており、新国立オペラにはなくてはならない存在です 今回は悪役に徹し、低音の魅力を発揮していました

エドヴィージュ役の齊藤純子は東京藝大・同大学院修了のメゾソプラノです フランス政府給付留学生として渡仏、パリ、ボルドーなどで研鑽を積む 美しいフランス語による歌唱が印象的でした

特筆に値するのは新国立劇場合唱団の力強いコーラス、そして東京フィルの渾身の演奏です

     

【初日公演のため注:ここからは演出面について触れますので、これからこの公演をご覧になる方で、先入観を排して鑑賞したい方は、読まないことをお薦めします】

第1幕と第2幕で、天井から大きな矢じりの形をしたオブジェが何本か降りてきます ↓ あれは民衆を圧迫するオーストリア公国の象徴であるとともに、第3幕でテルがジェミの頭の上のリンゴを弓で射る「矢」の象徴でもあると思います

第3幕でテルがジェミの頭に乗せたリンゴを弓で射るシーンは個人的なハイライトですが、見事にリンゴが真っ二つに割れて落下します あれはどうやったのだろうか タイマーでもかけて割れるようにしたのだろうか。知りたいです

さて、このオペラは「グランドオペラ」なので、各幕でバレエが踊られますが、ダンサーたちのバレエはリズミカルで楽しめました ただ、演出面で評価が分かれると思われるのは、第3幕の、広場で総督ジェスレルが皇帝の権力を象徴するトロフィーに跪くよう民衆に命じ、強制された女と兵士たちが躍るシーンです 3人の若い女たちが兵士に囲まれ、逃げようとしても捕まり、頭に鹿の角を付けられたりして、屈辱的な扱いを受けるーという演出になっています これは強い者(権力)と従属させられる弱い者(民衆)の関係を象徴したもので、現代で言えば「セクハラ」「パワハラ」を表していると思います また、第1幕では、兵士たちが民衆を殴る蹴るの暴行を加えるシーンがあります これについて演出家のヤニス・コックスは「プロダクション・ノート」で、「作中に多い、民衆の歓喜のシーンと徹底して暴力的な場面のコントラストも強調したいと思います」と語っています 最近「このごろ、辛い出来事や悲しい事件などを扱ったニュースを見たり聴いたりしたくないという人が増えている」という記事に接しましたが、「現実から目をそらすな」ということでしょうか

また、ラスト・シーンが印象的です 全員が「自由よ、天から降り来たれ」と唱和しますが、彼らの背後に映し出されるのは爆撃を受けて崩れ落ちた『廃墟』の映像です 見ているわれわれは「これはウクライナか、あるいはガザか」と思わせられます 「自由を得るためには こういう犠牲が伴うものだ」というメッセージなのか、あるいは「破壊しかないバカな争いはやめて 一刻も早く平和な世界を」という祈りなのだろうか

拍手とブラボーが飛び交う中 カーテンコールが繰り返され、私が会場を後にしたのは20時45分でした

     

         

今日はNHK交響楽団の11月Bプロ定期演奏会(2日目)を聴くため、サントリーホールに行きます

     

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