人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

秋山和慶 ✕ 洗足学園ニューフィルハーモニック管 ✕ 洗足学園音大バレエコースでグラズノフ「ライモンダ・スイート」&「四季」を観る ~ フェスタサマーミューザ

2024年07月31日 00時01分02秒 | 日記

31日(水)。月末を迎えたので、恒例により今月の3つの目標の達成状況をご報告します ①クラシック・コンサート=14回(本日夜の公演を含む)、②映画鑑賞=3本、③読書=11冊でした 相変わらず映画鑑賞が少ないのは腰痛対策で控えているからです。逆に読書が相対的に多くなっています

ということで、わが家に来てから今日で3487日目を迎え、起業家イーロン・マスク氏は今月、米大統領選で「トランプ氏を完全に支持する」と自身が所有するXに投稿していたが、その後 Xでハリス米副大統領の偽動画を拡散させ、批判が広がっている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     Xの所有者だったら規約違反が許される? 流石は何でもありのトランプ支持者だな

  昨日は娘が外食で私がコンサートだったため、夕食作りはお休みしました ここ2週間ほどはコンサートが立て込んでいるので、無理をせず、腰痛防止のため できるだけベッドで横になる時間を増やそうと思っています  

         

昨夜、ミューザ川崎シンフォニーホールで「フェスタサマーミューザ 洗足学園音楽大学」のバレエ公演を観ました プログラムは①グラズノフ「ライモンダ」から「ライモンダ・スイート」、②同「四季」全曲です 出演は、バレエ=洗足学園音楽大学バレエコース(協力:谷桃子バレエ団、東京シティ・バレエ団、牧阿佐美バレヱ団)、管弦楽=洗足学園ニューフィルハーモニック管弦楽団、振付=山本康介、指揮=秋山和慶です

     

本公演は、私が年に一度鑑賞する唯一のバレエ公演で、毎年楽しみにしています とくに今回は2曲とも初めて鑑賞する作品なので楽しみが倍増です

自席は2CA4列31番、2階センターブロック右から3つ目です バレエ公演の時はステージを上から見下ろすのがベストなので、今回も1階席を避けて2階席を取りました 会場は年齢層の幅が広く、家族連れも散見されます この公演ならではの風景です

ステージの奥にオケがスタンバイし、手前のスペースでバレエが躍られます オケは10型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという編成です コンマスは女子学生です

プログラム前半は「ライモンダ・スイート」です 「ライモンダ」(全3幕)はアレクサンドル・グラズノフ(1865-1936)が1897年に作曲、1898年1月にサンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で初演されたバレエです 第1幕がフランス、第2幕がサラセン、第3幕がハンガリーと幕ごとに様式美が変化します 振付は当時80歳のマリウス・プティパです 渡辺真弓さんのプログラム・ノートによると、「ライモンダ」の物語は「フランスのプロヴァンスの姫ライモンダは婚約者である騎士ジャンが十字軍の遠征中に、サラセンの騎士アブデラフマンにさらわれそうになるが、危機一髪でジャンが帰還 決闘でアブデラフマンは敗れ、主人公2人はめでたく結ばれる」という内容です 「ライモンダ・スイート」は「ライモンダ」を抜粋して上演する組曲です

バレエは、ソリストによる「グラン・アダージョ」「ウエディング・パ・ド・ドゥ」「第1ヴァリエーション」、「第2ヴァリエーション」が、群舞による「サラセンの踊り」「スペインの踊り」「ワルツ・ファンタスティック」「グラン・ワルツ」が躍られます

ソリストのバレエはもちろんそれぞれが素晴らしいのですが、私が一番観ていて楽しかったのは「サラセンの踊り」と「スペインの踊り」です 衣装を見れば分かるので親しみが湧きました バレエ公演は女性バレリーナが圧倒的に多いので、余程のことがないと印象に残りませんが、その反面、男性バレリーナは希少価値で印象に残ります 上記2曲の男女による群舞はスピード感にあふれ、ワクワクしました 曲が短いのが残念に思うくらい素晴らしかったです

     

プログラム後半はグラズノフ「四季」(全1幕4場)です この曲は1899年に作曲、1900年2月にサンクトペテルブルクの帝室エルミタージュ劇場で初演されたバレエです とくにストーリーはなく、ロシアの四季を描いたもので、冬に始まり、春・夏・秋の順に情景が変化していきます 振付はプティパで、アンナ・パヴロワはじめスターが揃って出演しました 第1場「冬」導入部、霜、氷、霞、雪、小人。第2場「春」西風、ばら、小鳥。第3場「秋」バッカナール、小さなアダージョ、バッカスの礼賛ーから構成されています

「冬」から順番にバレエが躍られていきますが、何しろ初めて聴く曲、初めて観るバレエなので、今いったいどの季節を踊っているのかが分かりません しかし、主役級のバレリーナは男性にしても女性にしてもバレエが巧いだけでなく華があることは感じ取ることができます 秋山和慶の指揮する洗足オケは、しっかりとバレリーナたちを支えます

満場の拍手のなか繰り返されるカーテンコールを見ながら、娘が小学校時代に通っていたバレエ教室のことを思い出していました 娘は小学1年の時に学校近くのMバレエ教室に通い始め、途中で文京区から豊島区に引っ越した後も、同じ小学校に越境して通学していた関係でバレエ教室も6年生まで続けました 年に1度の発表会には家族で観に行ったものです バレエ教室が撮影した発表会のビデオ(VHS)が6本ありますが、今では観る機会がありません 6年も続ければ、自分の立ち位置が分かるようで、小学校を卒業と同時に辞めました 中学以上になっても続ける人は、おそらく洗足学園音楽大学のバレエコースが進路の選択肢の一つになるのでしょう

     

     

     

     

     

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ダン・エッティンガー ✕ 阪田知樹 ✕ 東京フィルでモーツアルト「ピアノ協奏曲第20番」、ブルックナー「交響曲第4番」を聴く / 井上道義降板 ⇒ ジョナサン・ノットが代役へ ~ サマーミューザ

2024年07月30日 00時45分22秒 | 日記

30日(火)。ミューザ川崎シンフォニーホールの公式サイトに「謹告:指揮者変更のお知らせ(8/2  新日本フィルハーモニー交響楽団)」が掲載されました 概要は次の通りです

「8月2日(金)新日本フィルの公演に出演予定だった井上道義氏が左急性腎盂腎炎により約1か月間治療に専念すべきとの医師の診断を受けたため、やむを得ず降板することとなった。ついては、指揮をジョナサン・ノット氏(東京交響楽団音楽監督)に変更して開催する。曲目に変更はない(マーラー「交響曲第7番 ホ短調」)。なお、冒頭に予定していたトークは行わない」

これには驚きました 井上氏のマーラーを楽しみにしていただけに残念です 井上氏の1日も早い回復を祈るばかりです それにしても、代役がジョナサン・ノットとは予想外です ノットが新日本フィルを振るのは今回が初めてではないかと思います 心配なのはいったい いつどこでリハーサルをやるのか、ということです    ミューザ川崎シンフォニーホールの日程は、30日(火)18時半から洗足学園音楽大学、31日(水)19時から読売日本交響楽団、8月1日(木)19時から東京都交響楽団のコンサートが入っていて、2日(金)の新日本フィルの本番は15時開演となっているのです。2日の本番当日の午前中くらいしかリハの時間が取れないのではないか、と思います さて、ノットと新日本フィルはどう対処するのでしょうか

ということで、わが家に来てから今日で3486日目を迎え、北朝鮮の朝鮮中央通信は29日、金正恩総書記が28日に洪水被害を視察し、豪雨で孤立した5000人余りの住民の救助を直接指揮し、国や地方の災害防止を担う組織を「無責任」と叱責した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     視察して指導して𠮟責して そのあとどうするかがトップに問われんじゃね~の?

         

昨日、夕食に「ビーフカレー」と「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました カレーはいつもの牛バラ肉を使いました。暑い夏はカレーがいいですね

     

         

昨夜、サントリーホールで東京フィル「第1003回サントリーシリーズ」を聴きました プログラムは①モーツアルト「ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K.466」、②ブルックナー「交響曲第4番 変ホ長調」(ノヴァーク版)です 演奏は①のピアノ独奏=阪田知樹、指揮=ダン・エッティンガーです

ダン・エッティンガーはシュトゥットガルト・フィル音楽監督、イスラエル響音楽監督、ナポリ・サンカルロ劇場音楽監督、マンハイム国民劇場音楽総監督などを歴任。2010年から東京フィルの常任指揮者を務め、2015年から桂冠指揮者を務めています

     

オケは10型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの東京フィルの並び。コンマスは三浦章宏です

1曲目はモーツアルト「ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K.466」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1785年に作曲、同年に初演されました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ロマンツェ」、第3楽章「アレグロ・アッサイ」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の阪田知樹は2016年「フランツ・リスト国際ピアノコンクール第1位、6つの特別賞、2021年「エリザベート王妃国際音楽コンクール第4位入賞 ピアニストとして活躍するほか、作曲家・編曲家としても活躍しています

ダン・エッティンガーの指揮で第1楽章に入ります 弦楽器によるデモーニッシュな導入部に続いて阪田のピアノが入ってきます いつものように一音一音がクリアでとても美しい 終盤のカデンツァは鮮やかです 第2楽章は独奏ピアノの穏やかな音楽で開始されますが、阪田は一音一音を慈しむように演奏します 第3楽章はかなり速いテンポで入り、疾風怒濤の演奏が展開しましたが、その後は技巧的なカデンツァを経て、独奏ピアノとオケとの丁々発止のやり取りによる推進力に満ちた協奏が繰り広げられ、華麗なフィナーレを飾りました 全般を通して阪田の知的な演奏スタイルが前面に出た素晴らしい演奏でした

満場の拍手とブラボーに応え、阪田はドビュッシー「前奏曲集第1集」から「亜麻色の髪の乙女」を優雅に演奏、再び大きな拍手に包まれました

     

プログラム後半はブルックナー「交響曲第4番 変ホ長調」(ノヴァーク版)です この曲はアントン・ブルックナー(1824-1896)が1874年に作曲、その後1880年に改訂され、1881年2月20日に第2稿がウィーンで初演されました 第1楽章「躍動的に、しかし速すぎずに」、第2楽章「アンダンテ・クワジ・アレグレット」、第3楽章「スケルツォ:躍動的に」、第4楽章「フィナーレ:躍動的に、しかし速すぎずに」の4楽章から成ります

ダン・エッティンガーの指揮で第1楽章に入りますが、冒頭 弦楽器のトレモロに乗せて吹かれるホルンのソロが素晴らしい   首席の髙橋臣宣の演奏ですが、全楽章を通して抜群の安定感と演奏力で聴衆を魅了しました    ブルックナーの交響曲は「ホルン・命」みたいなところがありますが、この演奏はさながら「高橋臣宣・オン・ステージ」のようでした ホルン・セクション全体も素晴らしく、とくに第1楽章のラストの輝きは格別でした 木管楽器群もフルート、オーボエ、クラリネットを中心に大活躍しました 第2楽章では冒頭のチェロが素晴らしく、中盤のヴィオラも良く鳴っていました 第3楽章はホルン、トランペット、トロンボーンなどの金管楽器の躍動感溢れる演奏が冴えていました 第4楽章はかなりテンポを落として開始されましたが、徐々にテンポアップしていき、メリハリのある演奏を展開、最後は再びテンポを落としてスケールの大きな演奏により音の大伽藍を築き上げました

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました

事前にレセプショニストに確認したところ、カーテンコール時のスマホによる写真撮影は「この日は、止めることはいたしません」とのことでした つまり、「どうぞお撮りください」と積極的には勧めないが、「撮影するなら係員はそれを止めることはしない」ということです 「この日は」というのは、公演内容(出演者など)によって対応が異なるということのようです 東京フィルの場合は、その都度確認した方が良いと思いました ということで記念に撮影しておきました

     

     

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湯浅卓雄 ✕ 新交響楽団でストラヴィンスキー「春の祭典」、オネゲル「交響曲第3番”典礼風”」「夏の牧歌」を聴く ~ 第266回演奏会

2024年07月29日 00時10分54秒 | 日記

29日(月)。わが家に来てから今日で3485日目を迎え、金正恩総書記に随行する幹部が金氏をスマートフォンで撮影するなど、北朝鮮ではスマホの使い方が以前と変わってきている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     金正恩の一日をスマホで撮影してドキュメンタリーにしたら北朝鮮版”金スマ”か?

         

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで新交響楽団「第266回演奏会」を聴きました プログラムは①オネゲル:交響詩「夏の牧歌」、②同「交響曲第3番 ”典礼風”」、③ストラヴィンスキー「春の祭典」です 指揮は湯浅卓雄です

主催者側から指定されたのは1階K列13番、センターブロック左通路側です 会場は1階席を中心にかなり埋まっています

     

オケは16型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの新響の並び コンマスは内田智子さんです

1曲目はオネゲル:交響詩「夏の牧歌」です この曲はアルテュール・オネゲル(1892-1955)がアルテュール・ランボーの詩集「イリュミナシオン」の一節「私は夏を抱いた」というフレーズにインスピレーションを得て1920年に作曲、1921年2月17日にパリで初演されました

曲の冒頭は低弦による波が揺蕩うようなリズムに乗せてホルンが牧歌を奏でますが、いかにも「夏の牧歌」というタイトルに相応しい爽やかな演奏でした フルート、クラリネットなど木管楽器がよく歌い、ホルンが優しく響きます 初めて聴きましたが、とても良い曲だと思いました

2曲目はオネゲル「交響曲第3番 ”典礼風”」です この曲は1945年から46年にかけて作曲、1946年8月17日にチューリヒで初演されました 第1楽章「怒りの日:アレグロ・マルカート」、第2楽章「深き淵より我は叫びぬ:アダージョ」、第3楽章「われらに平和を与えたまえ:アンダンテ ~ アダージョ」の3楽章から成ります なお、「典礼風」というタイトルと各楽章の副題については、作曲者が「キリスト教の儀礼で用いる音楽をモチーフにしたものではなく、宗教的性格を表すために用いた」と語っています

冒頭は弦楽器、続いて管楽器による混沌とした激しい音楽が展開します まさに「怒りの日」といった曲想です 第2楽章は一転、厳かな雰囲気の音楽が繰り広げられます フルート、オーボエ、コーラングレの叙情的な演奏が素晴らしい 弦楽セクションの渾身の演奏が印象的です 第3楽章はフルート、ピッコロ、コンマスのソロが素晴らしい 聴き終わって、この曲も良い曲だと思いました

     

プログラム後半はストラヴィンスキー「春の祭典」です この曲はイゴール・ストラヴィンスキー(1882-1971)がロシア・バレエ団の委嘱により1911年から13年にかけて作曲、1913年5月29日にパリのシャンゼリゼ劇場でピエール・モントゥー指揮、ニジンスキーの振付により初演され、一大センセーションを巻き起こしました

この曲は「第Ⅰ部:大地礼賛」 ~ 第1曲「序奏」、第2曲「春の兆しと乙女たちの踊り」、第3曲「誘拐」、第4曲「春のロンド」、第5曲「敵対する部族の遊戯」第6曲「賢人の行列」、第7曲「長老の大地への口づけ」、第8曲「大地の踊り」。「第Ⅱ部:生贄」 ~ 第1曲「序奏」、第2曲「乙女たちの神秘的な集い」、第3曲「選ばれし生贄への賛美」、第4曲「祖先の召還」、第5曲「祖先の儀式」、第6曲「生贄の踊り」から構成されています

管楽器が大幅に増員(4管編成)され、フルオーケストラ態勢となります コンマスは堀内真実さんに代わります

第1曲の冒頭はファゴットによる高音の独奏で開始されますが、この演奏が素晴らしかった 第1部第2曲をはじめ、弦楽セクションの切れ味鋭いスタッカートのリズムが印象的です 全体を通してティンパ二と大太鼓の強烈な打撃が冴え渡っていました 弦楽器も管楽器も打楽器も、これがアマチュア・オケか?と疑問に思うほど素晴らしい演奏を展開しました

新響が「春の祭典」を演奏するのは、16年ぶりとのことです それだけに満を持して臨んだコンサートだったと思いますが、満場の拍手とブラボーの嵐をみる限り大成功だったと思います

     

     

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ジョナサン・ノット ✕ 東京交響楽団でチャイコフスキー「交響曲第2番”ウクライナ”」「同・第6番”悲愴”」を聴く ~ フェスタサマーミューザ・オープニングコンサート

2024年07月28日 00時01分17秒 | 日記

28日(日)。わが家に来てから今日で3484日目を迎え、26日 X上に「速報:山形県に大雨特別警報」などとして、道路が冠水している写真や雨雲レーダーの画像などを投稿し、画像をクリックするとXとは別の出会い系やアダルトサイトなどが表示される投稿が相次いだ  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     災害に便乗してスパムを投稿する人間のクズは 即刻見つけ出して くすぐり刑に処せ

         

今年も毎年夏恒例の「フェスタサマーミューザKAWASAKI」が始まりました 昨日午後3時から「オープニングコンサート」を聴きました プログラムは①チャイコフスキー「交響曲第2番 ハ短調 ”ウクライナ(小ロシア)”」(1872年初稿版)、②同「交響曲第6番 ロ短調 作品74 ”悲愴”」です 管弦楽=東京交響楽団、指揮=第3代音楽監督ジョナサン・ノットです

     

「完売御礼」の文字通り、会場は満席です 昨年に続くノット ✕ 東響の"レア"なチャイコフスキーですから、当然と言えば当然でしょう

オケは14型で、左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置をとります コンマスは客演の影山昌太郎です。ネット情報が正しければ、彼はハーゲン歌劇場第1コンサートマスターです

1曲目はチャイコフスキー「交響曲第2番 ハ短調 ”ウクライナ(小ロシア)”」(1872年初稿版)です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1872年に作曲、1873年2月にモスクワでニコライ・ルビンシテインの指揮で初演されました 第1楽章「アンダンテ・ソステヌート ~ アレグロ・ヴィーヴォ」、第2楽章「アンダンティーノ・マルツィアーレ、クヮジ・モデラート」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

ノットの指揮で第1楽章に入ります 冒頭の序奏部でホルンのソロがウクライナ民謡「母なるヴォルガを下りて」を奏でますが、読響首席・松坂隼の客演でした。どうりで巧いと思いました 全体の曲想としてはコントラバス8本とチェロ10本の重低音が効いた重心の低い演奏が展開します 第2楽章は冒頭、ティンパニがゆったりと規則正しいリズムを刻みますが、まるでマーラー「交響曲第1番」の第3楽章の冒頭にそっくりで驚きました 第3楽章を経て、第4楽章でも低弦重視の重心の低い演奏が繰り広げられ、ノットの言う「クレイジー」な荒々しい音楽が立ち上がりました フルートの竹山愛、ピッコロの濱崎麻里子の演奏が冴えていました そして、若きチャイコフスキーの情熱を感じさせるアグレッシブな演奏によって輝かしいフィナーレを飾りました 荒ぶるノットここにあり

この曲を聴くのは初めてでしたが、初稿版 とても面白い曲だと思いました

     

プログラム後半はチャイコフスキー「交響曲第6番 ロ短調 作品74 ”悲愴”」です この曲は1893年に作曲、同年ペテルブルクで初演されました 第1楽章「アダージョ ~ アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アレグロ・コン・グラツィア」、第3楽章「アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「フィナーレ:アダージョ・ラメントーソ ~ アンダンテ」の4楽章から成ります

ノットの指揮で第1楽章に入ります 冒頭の福井蔵のファゴットが素晴らしかった それだけに後半の息切れが残念でした この楽章に限らず、ノットは長めの間を取りながら演奏を進めます アダージョからアレグロへの転換は、まるで8割で走っていた中距離走者が猛烈にダッシュしてゴールに向かうかのような猛烈な勢いを感じさせました 第2楽章のワルツは弦楽アンサンブルが美しく優雅に響きました 第3楽章のスケルツォ風の音楽は「疾風怒濤の快進撃」の如くでした 第4楽章は一転、「今までの阿鼻叫喚は何だったのか」と言わんばかりの悲劇のどん底のような重く暗い音楽が展開します 慟哭のような弦楽器の演奏の背後で静かに連打されるティンパ二は心臓の鼓動だろうか 最後は低弦による微かな演奏により静かに曲を閉じます まさか、初演の9日後に息を引き取ることになるとは、チャイコフスキー自身、思ってもみなかったでしょう

ノットのタクトが下ろされると、満場の拍手とブラボーが飛び交い、カーテンコールが繰り返されました

フェスタサマーミューザは今年から終演後のカーテンコールの写真撮影が可能となりました

     

     

     

     

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結城真一郎著「#真相をお話しします」を読む ~ 「惨者面談」「ヤリモク」「パンドラ」「三角奸計」「#拡散希望」の4つの短編小説集

2024年07月27日 00時38分02秒 | 日記

27日(土)。わが家に来てから今日で3483日目を迎え、ロシア当局が  米IT大手グーグルが運営する動画投稿サイト「ユーチューブ」のロシア国内での通信速度を制限する方針であることが分かったが、プーチン政権のプロパガンダを規制していることへの報復とみられる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     政策に自信のないプーチン・ロシアは 情報統制で国民を締め付けるしか手段がない

         

昨日、夕食に隔週金曜日のローテにより「鶏の唐揚げ」を作りました 「えっ、もう2週間も経ったの 」という感じです この日は2週間に一度 ビールが飲めるので楽しみにしていました

     

         

結城真一郎著「#真相をお話しします」(新潮文庫)を読み終わりました 結城真一郎は1991年神奈川県生まれ。東京大学法学部卒業。2018年「名もなき星の哀歌」で新潮ミステリー大賞を受賞してデビュー 2021年「#拡散希望」で日本推理作家協会賞(短編部門)受賞、同短編を収録した「#真相をお話しします」で2023年本屋大賞ノミネート

本書は2022年6月に新潮社より刊行され、2024年7月に文庫化されたものです

     

本書には「惨者面談」「ヤリモク」「パンドラ」「三角奸計」「#拡散希望」の4つの短編ミステリー小説が収録されています

「惨者面談」は、家庭教師派遣業者の営業担当の片桐が新しい営業先を訪問するが、約束の時間に到着したのに30分も待たされた しかも応対した母親と子供がどこか変だ 全く会話が成り立たない。いったいどうなっているのか・・・実はその家で殺人事件が起こっていた・・・という話です

「ヤリモク」は、42歳の”僕”は娘がパパ活をしているのを心配しながらも、マッチングアプリで娘と似た子とばかりと会って、よく”お持ち帰り”している 今回会っているマナも事がスムーズに運んで”お持ち帰り”できそうだ しかし、マナは男と組んで客から金を巻き上げる”美人局”をやっていた ”僕”は彼らの手には乗らず返り討ちにするが、トンデモナイ事実に直面する・・・という話です

「パンドラ」は、翼と香織は以前不妊で悩んでいたが、娘の真夏が生まれて今は高校2年になった 2人は同じような悩みを持つ人たちの役に立ちたいと、精子提供をしていた時期があった。ある日、翼が精子提供して生まれた「正真正銘の我が娘」である翔子から突然連絡が来て、会って確かめたいことがあると言ってきた それを機会にDNA検査をすることになるが、思わぬ疑惑が湧いてきた・・・という話です

「三角奸計」は、桐山は大学時代の友人である茂木と宇賀神と3人でリモート飲み会をした あることをきっかけに宇賀神が突然、桐山の個人チャットで「いまからあいつを殺しに行く」と送ってきた 宇賀神の婚約者の行方が関係しているらしいが、茂木にも関係があるのか? しかし、意外な結末が待っていた・・・という話です

「#拡散希望」は、島に移り住んできた小学生3人組(渡辺チョモランマ、桑島砂鉄、安西ルージュ)と、元々島生まれの立花凛子は4人でユーチューバーになろうと話し合っていた 結成10年目の6人組ユーチューバー「ふるはうす☆デイズ」は2千万人もの視聴者がチャンネル登録していて広告収入だけで年間数億円になるというのが大きな動機だった しかし、ある事件をきっかけに何故か島の人たちの態度がよそよそしくなってきた。さらに凛子までが遠ざかっていき、彼女も何者かに殺されることになる 3年後、渡辺はユーチューブの生配信で、過去の事件の真相を語り出す・・・という話です

本書の特徴は「お受験」「マッチングアプリ」「精子提供」「リモート飲み会」「YouTuber」など、われわれを取り巻く日常生活に根差している身近なテーマを扱いながらミステリーを展開しているところです

「惨者面談」は、「なるほどそういうことだったのか」と納得していると、もう一つどんでん返しが待っている傑作ミステリーです

「ヤリモク」は、さすがに本当の親子ならいくら厚化粧をしているからとは言え、気が付かないことはないだろう、と疑問を感じました

「パンドラ」は、意外な展開が印象的です

「三角奸計」は、リモートならではのトリックが効いています。これは最後まで先が読めなかったです

「#拡散希望」は、6人組ユーチューバー「ふるはうす☆デイズ」のメンバーの正体を知った時、愕然としました

短編ミステリーとしてよくストーリーが練られていると思います お薦めします

         

ということで、今日から8月2日まで7日間連続コンサートです 本日から「フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2024」が始まることから、川崎詣でが続き、7日のうち5日は川崎です

腰痛を抱えながらのコンサート通いなので、今まで通り腰痛対策ベルト着用、毎日整骨院通いで乗り切るしかありません

     

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新国立劇場オペラ研修所「サマー・リサイタル2024」を聴く ~ 素晴らしい演出に支えられて伸び伸びと歌うオペラ研修所第25~第27期生

2024年07月26日 00時03分21秒 | 日記

26日(金)。毎月下旬に宮城県白石市に単身赴任している息子に、地元の小さなスーパーでは売っていない牛肉を送っています 昨日、いつものように池袋西武にある人形町今半に行って地方配送を頼んだろころ、池袋西武がヨドバシカメラ・グループに買収される関係で今月末に閉店になるので配送できないと言われました 仕方ないので、池袋東武の今半から配送してもらいました 池袋西武は8月から大改装工事に入るようです。池袋駅周辺にはすでにビックカメラとヤマダ電機という大型店があり競争しています そんな中、ヨドバシカメラが乗り込んでくるわけですが、個人的にはデパートがヨドバシカメラ中心に模様替えされても構いませんが、地下の食料品売り場は無くさないでほしいと思います

ということで、わが家に来てから今日で3482日目を迎え、ロシアの子どもたちおよそ250人が北朝鮮を訪問し、「友好キャンプ」が始まったと北朝鮮メディアが報じた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     北朝鮮と仲良しこよしをやる前に ロシアは誘拐した子供たちをウクライナに返せ!

         

昨日、夕食に「厚揚げとインゲンの煮浸し」「牛バラ焼き肉」「生野菜とアボカドのサラダ」「シメジの味噌汁」を作りました 「厚揚げ~」は新聞の「料理メモ」を見て初めて作りましたが、出汁が濃すぎてしょっぱかったので次回の反省材料にします

     

         

昨夜、新国立劇場(小劇場)で新国立劇場オペラ研修所「サマー・リサイタル2024」を聴きました プログラムは①モーツアルト「魔笛」より、②エメリッヒ・カールマン「伯爵令嬢マリツァ」より、③オットー・ニコライ「ウィンザーの陽気な女房たち」より、④リヒャルト・シュトラウス「ばらの騎士」よりラスト、⑤チャイコフスキー「イオランタ」より、⑥同「エウゲニ・オネーギン」より、⑦カバリェーロ「アフリカの二人」より、⑧ヘギー「スリー・ディセンバーズ」より、⑨アダモ「若草物語」より、⑩ヨハン・シュトラウス2世「こうもり」よりーです 出演は新国立劇場オペラ研修所第25・26・27期生、ピアノ=石野真穂、高田絢子、ヴァイオリン=増田加壽子、指揮=キャスリーン・ケリー、演技指導・演出=タラ・フェアクロスです

自席はC6列13番、センターブロック右通路側です。会場は満席です

     

オーケストラピット内は指揮者のキャスリーン・ケリーが中央に、ピアノの石野真穂と高田絢子が上手と下手に分かれてスタンバイします ヴァイオリンの増田加壽子の位置は下手ですが、歌に応じて舞台に上がって演奏し歌手を支えます ステージ上は奥に四角い柱が左右に立っているだけで、大道具・小道具などは一切ない極めてシンプルな舞台作りとなっています

ステージの上方に横書きによるテロップが流れますが、最初にその場面の「あらすじ」が、歌に入ると「歌詞」が流れるようになっています これはとても親切です

最初はモーツアルト「魔笛」より冒頭のシーンです 出演は第27期生(1年次)の5人です。これは喜劇的な演出が素晴らしかった 3人の侍女が、我こそはとタミーノに言い寄るシーンなど思わず笑ってしまいました

2曲目はエメリッヒ・カールマン「伯爵令嬢マリツァ」よりハンガリーの没落貴族タシロの嘆きの歌です 増田のヴァイオリンに乗せて松浦宗梧(3年次)が熱唱しました

3曲目はオットー・ニコライ「ウィンザーの陽気な女房たち」より青年フェントンと恋人アンナの愛の場面です これも出演者の熱演とともにコメディタッチの演出が冴えていました

4曲目はリヒャルト・シュトラウス「ばらの騎士」よりラストの三重唱、二重唱です 特にオクタヴィアン役の後藤真菜美(2年次)とゾフィー役の冨永春奈(3年次)の二重唱が素晴らしかった

     

後半の1曲目はチャイコフスキー「イオランタ」より、眼の不自由なイオランタが「何かが足りない、何かが欲しい、でもそれが何か分からない」と疑問に涙ぐむアリアの場面です 野口真湖(3年次)が歌いましたが、イオランタの悲しみが伝わってくる素晴らしい歌唱でした この人には人を惹き付ける魅力があり存在感があります

2曲目はチャイコフスキー「エウゲニ・オネーギン」より、オネーギンがタチヤーナに説教する場面です オネーギン役の中尾奎五(2年次)は声が良く通るバリトンで、タチヤーナ役の冨永春菜は美しいソプラノでした

3曲目はカバリェーロ「アフリカの二人」より、テノール歌手ジウッセビー二がアントネッリに 一緒に国に帰ろうと口説く二重唱の場面です    ジウッセビー二役の永尾渓一郎(3年次)とアントネッリ役の谷菜々子(2年次)は、ともに役に成り切って歌っていました

4曲目はヘギー「スリー・ディセンバーズ」より、アメリカを舞台に姉と弟が父や母の思い出を回想する二重唱の場面です 姉ピーを野口真湖が、弟チャーリーを松浦宗梧が歌いましたが、この日の公演でマイベストでした 特に野口真湖はイオランタとは真逆の世界の女性をごく自然に歌い上げ、ここでも存在感を示しました

5曲目はアダモ「若草物語」より、マーチ家の四姉妹の次女ジョーが、それぞれの道を歩む長女メグ、三女ベス、四女エイミーの生き方を受け入れるラストの場面です ジョー役の後藤真菜美(2年次)、メグ役の牧羽裕子(1年次)、べス役の島袋萌香(1年次)、エイミー役の谷菜々子(2年次)の四重唱が美しかった

最後の曲はヨハン・シュトラウス2世「こうもり」よりオルロフスキー公爵邸でのパーティーの場面です 1年次から3年次までが出揃った歌アリ踊りアリの楽しいシーンでした

     

今回は小劇場(約400席)でしたが、中劇場(約1000席)でも良かったのではないかと思います こんなに素晴らしい公演は、小劇場ではもったいないです

最後に、出演された第25期、第26期、第27期の皆さんをはじめ、指揮者のキャスリーン・ケリーさん、ピアニストの石野真穂さんと高田絢子さん、ヴァイオリニストの増田加壽子さん、そして演技指導・演出を担当されたタラ・フェアクロスさんに大きな拍手を送ります

     

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日経・瀬崎編集委員の「配信時代の新たな挑戦 ~ 角野隼人、武道館でピアノリサイタル」の記事を読んで / 齋藤孝著「頭の良さは国語力で決まる」を読む

2024年07月25日 00時01分04秒 | 日記

25日(木)。セキュリティソフト会社のトレンドマイクロから「ウィルスバスターライセンス契約有効期間(3年間)が12月31日で切れる。ついては7月31日までに契約延長すれば有効期間が無料で4か月延長され、2028年4月30日までとなる」という案内が届きました 現在、パソコンとスマホのセキュリティー対策に使用していますが、どうせこの先もずっと使用するので延長することにしました 3年間+4か月で税込み12,640円ですが、コンピュータウィルスに侵食されてパソコンがフリーズする恐怖を考えれば、保険のつもりで支出するのはやむを得ないと思います 下の写真は3年前にインストールしたソフトです

     

ということで、わが家に来てから今日で3481日目を迎え、ロシア外務省は23日、ウクライナ侵攻に対する日本の対ロシア制裁への対抗措置として、トヨタ自動車の豊田章男会長ら13人を無期限で入国禁止にすると発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     そうやって次々と自分の首を絞めていくプーチン・ロシアは 救いようのない国だな

         

昨日、夕食に大学時代の友人S君が送ってくれた「鯖を塩焼き」に、「イカをバター醤油焼き」にして、「生野菜とアボカドのサラダ」、「豚汁」を作りました 鯖とイカは特大でとても美味しかったです

     

         

朝日新聞・吉田純子編集委員による「角野隼人 at 武道館」の記事については22日付ブログでご紹介しましたが、23日の日経夕刊文化欄に同社編集委員・瀬崎久見子さんが「配信時代の新たな挑戦 角野隼人、武道館でピアノリサイタル」という見出しによる記事を書いていました

リード記事には「角野隼人が日本武道館でピアノリサイタルを開いた。クラシック公演としては異例の巨大会場だ。ユーチューブで人気を博す新世代の挑戦。武道館でクラシック音楽は可能なのか?」と書かれています

本文を超略すると次の通りです

「観客は女性が圧倒的に多いが、子供から高齢者まで年齢は幅広い 多少の前例はあるが、武道館でのクラシック公演、ましてや一人の演奏会は珍しい クラシックの奏者として活動するが、野外の音楽フェスやジャズの会場にも出る。即興や編曲、作曲の力が際立っている 10月末にソニークラシカルから世界デビューアルバムを出す予定だが、アーティスト発掘部門で角野を見出したアレクサンダー・ブーア氏は『彼は21世紀の新しい音楽家。クラシックに軸足を置きながら、多様な音楽を取り入れて自分の音楽にする。ユーチューブやティックトックなどであらゆる音楽を聴いて、多様な実験ができる ”ストリーミング世代”の音楽家だ』と語る。クラシック公演の可能性が少し、広がった。武道館公演は9月1日にWOWOWで放送、配信予定

角野は音大卒ではなく東大大学院修了で、2021年のショパン・コンクールでセミファイナルまで進んだ実力者なので、ピアノの腕前は世界レヴェルと言えます その上、編曲や作曲のレヴェルも相当高いので、優秀なピアニストの範疇を超えています 角野の演奏はこれまで何度かライブで聴きましたが、クラシック音楽愛好家としては、これからもPAを通した演奏でなく、生音(なまおと)で聴きたいと思います

         

齋藤孝著「頭の良さは国語力で決まる」(だいわ文庫)を読み終わりました 齋藤孝は1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育研究科博士課程等を経て、明治大学文学部教授。「声に出して読みたい日本語」で毎日出版文化賞特別賞を受賞   「雑談力が上がる話し方」など著書多数

     

本書は大和書房から2019年12月に刊行された「国語力が身につく教室」を改題し、再編集して文庫化したものです

本書は次の各部・各章から構成されています

はじめに ~ あなたの国語力は大丈夫ですか?

第Ⅰ部「日本語の最重要ポイント」

 第1章「読解力アップの実践法」

 第2章「文章力アップの技法」

 第3章「表現力アップの手法」

第Ⅱ部「会話の最重要ポイント」

 第4章「体面力アップの極意」

 第5章「対話力アップの奥義」

 第6章「主張力アップの秘訣」

第Ⅲ部「生きる構えの最重要ポイント」

 第7章「自己肯定力アップの早道」

 第8章「感情自制力アップの近道」

 第9章「身体感覚アップの王道」

おわりに ~ あらゆる場面で必要とされる2つの『学力』

著者は「はじめに」の中で「最高レヴェルの実用的な言語活動が求められているにもかかわらず、自分の国語力に自信が持てない人が多い   能力的には江戸時代の子どもたちが身に着けたものに劣る国語力であり、それが心配だ 国語力を土台にした言語活動がどれだけしっかりできる人であるのかが、その人の評価を左右している 母語で思考することをしっかり認識するところからすべてがはじまる」と書いています

そして本論に入っていきますが、斎藤メソッドによる102の極意が紹介されているので、ここではブログを書く上で参考になると思われる第Ⅰ部「日本語の最重要ポイント」についてご紹介したいと思います

著者は第Ⅰ部で「国語力の基礎を鍛える3つのポイント」として①読解力、②文章力、③表現力を挙げています その上で、第1章から第3章まででそれぞれのポイントの要点を解説していきます。特に印象に残った箇所を中心にご紹介します

第1章「読解力アップの実践法」では、「優れた100人のアウトプットから知性をいただく」が印象的です 著者は次のように書いています

「読解力をつけるトレーニングとしての読書には、どのくらいの冊数が必要かといえば、目安としては年間に100冊程度です 1か月で約8冊、週にすると2冊になりますが、これは決して多い量ではないと考えます。その理由は、読めば読むほど読書のスピードとレヴェルが上がっていくからです

著者は「100冊の名著を読むことは、100人の偉大な知性を自分の味方につけるということです」と書いていることから、想定しているのは、私が普段読んでいるミステリー小説のような”軟派”な本ではなく、小説なら歴史に残る文豪たちの作品が中心、一般教養なら様々なテーマを扱っている「新書」等ではないかと思います ミステリーにしても新書にしても、100冊にはちょっと驚きます 個人的なことをいえば、今年前半で読んだ本は47冊だったので、後半も同じペースでいけば94冊となり、100冊に達しません しかも、私の場合は読むペースが遅く、いくら読んでもペースが上がらない体たらくなので100冊は困難です 眼が悪いし、それ以上に頭が悪いので、ショーガナイのです それでも最後まで読了する根性だけはあるつもりです

著者は同じ章の中で「文章の最も言いたいことを的確にとらえる能力、すなわち『要約力』こそ読解力の基本です まずは『客観的な要約力』を身に着けるのが大切です」と書いています 齋藤氏の要約力アップの手法は得意の「3色ボールペン活用法」です。本を読む時、赤・青・緑のボールペンを使い、文章に傍線を引いていくという方法です 赤色は「非常に大事」、青色は「まあ大事」、緑色は「面白いと感じた箇所」です これは要約するのに具体的でわかりやすい手法だと思います ところで、私が新聞関係団体の現役時代には、よく会議記録を書かされたものです いかに無駄を排して要点だけをまとめて書くかを先輩から叩き込まれました また、労働組合で書記長と副書記長を務めた際、団交記録や組合ニュースを毎日のように書いているうちに、ある程度「要約力」が身に着いたように思います 「要約力」を身に着けるにはある程度「量をこなす」ことが必要かもしれません

第2章「文章力アップの技法」の中で印象的なのは「読書を通じてたくさんの言葉が自分のものになっていれば、書き言葉に対する基準ができている」「書き言葉を使いこなせると、客観的に捉える視点をもちやすくなる」という文章です これはミステリー小説でも教養書でも通じるのではないかと思います 著者は「読書をしているか、していないかは、会話のなかでその人の話している言葉が、正しい文章になっているかどうかという点に表れます」と指摘しています

また、同じ章の中で著者は「1行目に『ゴールは何か』を書く」と述べています

「自分が一番言いたいことを1行目に書き、そのあとに続く文章は、それはどういうことかを説明することに費やしていきます

これに関連して著者は「新聞で『実用日本語』を自分のものにする」というタイトルで次のように書いています

「物事や意見を伝える手段としての実用に即した日本語を、私は『実用日本語』と呼んでいるが、実用日本語が書かれた媒体の代表が新聞です いわゆる名作文学の多くが『起承転結』という構造をもつのに対して、新聞は、まず結論からはじまります 次に、なぜそうなのかという理由が記され、最後に補足情報で締めくくります。このように、短文で無駄なく、密度の濃い情報を入れ込むのが実用日本語の特徴です 新聞の文章を読む、それについて書く、話すといった訓練は、実用日本語力を高めることになります

過去に「新聞1紙の情報量は新書1冊分に相当する」という文章を読んだ記憶があります それが本当だとすれば、新聞2紙を毎日読んでいる私は 1年間に100冊以上の文章量を読んでいることになりますね、斎藤先生

第3章「表現力アップの手法」で印象に残ったのは「言語能力を高めていくためには、書き言葉を大量に仕入れる必要が絶対にある それは、本を読むことによってはじめて身に着く」ということです これはよく理解できます。「読むべき本を厳選して繰り返し読む方が読解力が身につく」という考え方もあるかもしれませんが、斎藤先生はそういう考え方には組しません。私も同感です 「質は大事だが、同じように量も大事」だということです よく、「勉強は短時間で効率よくやる方がいい」ということを言う人を見かけますが、私はこういう人を信用しません 勉強したくない人の言い訳にしか聞こえません。よほどの天才でない限り「量」は必要なのです

以上、第Ⅰ部の国語力の基礎を鍛える3つのポイント(読解力、文章力、表現力)を中心にご紹介しましたが、まだまだ参考になることがたくさん書かれています 特にブログを書いている人には参考になると思います。お薦めします

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新交響楽団から「第266回演奏会」の入場券届く / 道尾秀介著「N」を読む ~ 6つの物語を読む順番は720通り!

2024年07月24日 00時04分23秒 | 日記

24日(水)。かなり前から腕時計(ソーラー・ウォッチ)の調子が悪く、日付がズレていたり時間が狂ったりしていたので不平を言っていたら、娘が「ハッピー・バースデー・ツゥーユー」と歌いながらスマートウォッチ(スマート・バンド  SB07 Barca)をプレゼントしてくれました 私の本当の誕生日は10月中旬なのですが、人気商品だから売り切れないうちに、と早めに手配してくれたようです 娘は大手生活雑貨店Nに勤務しているので社員割引で購入したと言っていました アプリをスマホにダウンロードしてから実際に使用してみたら、これがなかなかの”優れもの”で、メインの「時計」表示面には時計のほか、歩数計、心拍数、消費カロリーが表示され、別の表示面には血圧や血中酸素なども表示されます 一番驚いたのは、ブログに対するコメントが届くと、時計が振動して知らせ、「メッセージ」にコメントが表示されたことです スマホあってのスマート・バンドだということがよく分かります 娘も同じのを持っていて、充電は1週間に一度程度で良いとのことなのでメンテも楽です もはや毎日の生活に欠かせない必需品になりました 嬉しさの一方、いま一番恐れているのは12月25日=クリスマスの娘の誕生日です なぜか お分かりですね

     

新交響楽団から「第266回演奏会」の入場券が届きました 前回までは紙のチケット(座席指定券)でしたが、今回はQRコード記載の用紙が同封されていました コンサート当日はこの用紙をスタッフに提示するようにと書かれています 今回も当方の希望通り1階センターブロック通路側席を確保してくれました。いつも有難いと思っています

     

ということで、わが家に来てから今日で3480日目を迎え、米大統領選から撤退したバイデン大統領(81)から民主党の大統領候補として支持を受けたカマラ・ハリス副大統領(59)が22日、デラウェア州で選対スタッフに向けて演説し、過去に検察官として対決した犯罪者と重ね合わせ、共和党の大統領候補のトランプ前大統領(78)を「捕食者、詐欺師、ペテン師」と非難した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     英雄気取りのトランプに勝つためには 民主党はハリスを候補者に指名し 結束すべき

  諸般の事情により昨日の夕食作りはお休みしました  

         

道尾秀介著「N」(集英社文庫)を読み終わりました    道尾秀介は1975年東京都生まれ。2004年「背の眼」でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞してデビュー   07年「シャドウ」で本格ミステリ大賞、09年「カラスの親指」で日本推理作家協会賞、10年「龍神の雨」で大藪春彦賞、「光媒の花」で山本周五郎賞、11年「月と蟹」で直木賞を受賞   「きこえる」「いけない」シリーズなど著書多数

本書は「小説すばる」2019年10月号から2021年6月号までに掲載された小説を2021年10月に単行本として刊行、2024年4月に文庫化したものです

巻頭に著者による「本書の読み方」が 概要次のように書かれています

「本書は6つの章で構成されているが、読む順番は自由    本文に入る前に6つの章の冒頭部分だけが書かれているので、読みたいと思う章を選び、そのページに移動してほしい   読んだ後は、また冒頭部分の一覧から次の章を選んでもらいたい 読む人によって色が変わる物語をつくりたいと思った 本書は、章と章の物理的なつながりをなくすため、1章おきに上下逆転させた状態で印刷されている

     

6つの物語は掲載順に次の通りです

「名のない毒液と花」・・・魔法の鼻を持つ犬と共に、教え子の秘密を探る理科教師の物語。

「落ちない魔球と鳥」・・・「死んでくれない」としゃべる鳥の謎を巡る女子高校生の物語。

「笑わない少女の死」・・・定年を迎えた英語教師だけが知る、少女を殺害した真犯人の物語。

「飛べない雄蜂の嘘」・・・殺した恋人の遺体を消し去ってくれた、正体不明の侵入者の物語。

「消えない硝子の星」・・・ターミナルケアを通じて、生まれて初めて奇蹟を見た看護師の物語。

「眠らない刑事と犬」・・・殺人事件の真相を追究すべく、ペット探偵を尾行する女刑事の物語。

巻末のタカザワケンジ氏の「解説」によると、全6章の順列組み合わせは6 ✕ 5 ✕ 4 ✕ 3 ✕ 2 ✕ 1=720で、720通りあるとのことです    さて、どういう順番で読んでいくかーということですが、ランダムに読んでいくと、読んでいる途中で自分はいったい全体のどれくらいの分量を読んだのかがさっぱり分からなくなります ズボラな私は上記の順番に読むことにしました 何と主体性のない 夢も希望もない選択でしょうか

全体を読み終わって気が付くのは、読む順番によって 書かれていることが 「謎」になったり、単なる「事実」になったりするということです    ある章では重要な登場人物が、別の章では名前のない背景的なものになる   先に読んだ章でその人物の背景(経歴等)を知っていれば「この人はあの章に出てきたあの人物だ」と特定できますが、読んでいなければスルーしてしまうかもしれません

本書は連作短編集ではありませんが、それぞれの章が微妙に絡み合っています それぞれの章で主役級の人物は変わりますが、それぞれの人物が懸命に生きていることが描かれています

ところで本書のタイトル「N」はどういう意味を持っているのだろうか 深く考えるまでもなく、アルファベットの「N」は上下を逆さまにしても「N」になるということから、1章おきに上下逆転させた状態で印刷されている体裁を象徴させているのだと思います

さて、あなただったらどういう順番で読むでしょうか

     

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「第33回Kissポート クラシックコンサート」のチケットを取る ~ 第九、大学祝典序曲 / ガブリエル・ガルシア・マルケス「百年の孤独」、中山七里「嗤う淑女二人」他を買う

2024年07月23日 00時01分31秒 | 日記

23日(火)。新札発行の7月3日から20日目にしてやっと新1万円札と新千円札を入手しました 新札はそれぞれ150年以上にわたり培った偽造防止技術が施されているとのことです 早く津田梅子さんの新5千円札にお目にかかりたい

     

9月3日(火)19時からサントリーホールで開かれる「第33回Kissポート  クラシックコンサート」のチケットを取りました プログラムは①ブラームス「大学祝典序曲」、②ベートーヴェン「交響曲第9番ニ短調”合唱付き”」です 出演は②のソプラノ独唱=森麻季、メゾ・ソプラノ独唱=花房英里子、テノール独唱=福井敬、バリトン独唱=大西宇宙、管弦楽=東京交響楽団、合唱=ミナトシティコーラス、指揮=大友直人です

     

ということで、わが家に来てから今日で3479日目を迎え、22日午前3時37分ごろ、東海道新幹線の上り線路上で、夜間作業中の保守用車両2台が衝突し、いずれも脱線したため復旧作業が長引き、浜松ー名古屋間は始発から運転見合わせが続いた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     シンカンセンの線路上の事故はカンシンセン  脱線せず 安全路線でやってほしいな

         

昨日、夕食に「野菜とひき肉のドライカレー」を作りました ほぼ1年ぶりくらいに作りましたが、なかなか美味しかったです 娘は目玉焼きを乗せて食べていました

     

 

 

         

手元の本が残り少なくなってきたので、昨日 いつも通りジュンク堂書店池袋本店で8冊購入しました

1冊目はガブリエル・ガルシア・マルケス著「百年の孤独」(新潮文庫)です 重い腰を上げて世界的ベストセラーに挑戦です

     

2冊目は中山七里著「嗤う淑女二人」(実業之日本社文庫)です 「嗤う淑女」と「ふたたび嗤う淑女」は当ブログでご紹介しましたが、本作はその第3弾です

     

3冊目は同じく中山七里著「能面検事の奮迅」(光文社文庫)です 当ブログでご紹介した「能面検事」の第2弾です

     

4冊目は浅倉秋成著「俺ではない炎上」(双葉文庫)です 当ブログでは「六人の嘘つきな大学生」をご紹介しました

     

5冊目は結城真一郎著「#真相をお話しします」(新潮文庫)です 5編のミステリー短編集のようです

     

6冊目は佐藤正午著「かなりいいかげんな略歴~エッセイ・コレクションⅠ 1984-1990」(岩波現代文庫)です 小説の名手・佐藤正午の若き日のエッセイらしいです

     

7冊目は山内マリコ著「買い物とわたし~お伊勢丹より愛をこめて~」(文春文庫)です この著者の本は初めてですが、この著者の原作による「あの子は貴族」は映画で観ました

     

最後の8冊目は矢部太郎著「大家さんと僕」(新潮文庫)です お笑い芸人「カラテカ」の一人で漫画家による4コマ漫画です

     

いずれも読み終わり次第、当ブログでご紹介していきます

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ジョナサン・ノット ✕ 東京交響楽団でブルックナー「交響曲第7番」、ラヴェル「クープランの墓」を聴く ~ 第722回定期演奏会 / 吉田純子さんのエッセイを読んで ~ 角野隼人 at 武道館

2024年07月22日 00時03分01秒 | 日記

22日(月)。昨日の朝日新聞朝刊のコラム「日曜に想う」に編集委員の吉田純子さんが「静寂なき時代  芸術家たちの葛藤」という見出しによるエッセイを寄せていました 吉田さんは冒頭、次のように書いています

「ショパンの吐息は1万人以上の心に届いただろうか 角野隼人さんのピアノを満席の日本武道館で聴く。3年前のショパン・コンクールで脚光を浴びた ユーチューブの登録者は135万人。機材で音響を増幅させると、どうしても自ら奏でている本来の生音がきこえづらくなる 注目に応えるということは、己の壊れやすい心を守る闘いを引き受けることでもあるのだと思い知る

7月14日に開かれた「角野隼人ピアノリサイタル at 日本武道館」には、何と1万3千人の聴衆(観衆?)が集まったといいます 朝日も日経も事前に報道しなかった(ニュースバリューを認めなかった?)ので、公演が終わってから参加者のXへの投稿で知りました ネット上のニュースによると、オープニングはショパン「スケルツォ第1番」、「ワルツ第14番」「木枯らしエチュード」で始まったようです 1万3千人が相手なので当然アンプで音を増幅してスピーカーから流すことになります こういう経験のない私などは「えっ、ショパンをアンプで拡大して流すの」と驚いてしまいます しかし、角野ファンにとっては、同じ会場で本人の演奏姿を見ながら直接演奏を聴くことが最大の目的であり喜びでしょうから、生の音だろうがアンプを通して拡大した音だろうが、どうでも良いのだと思います 宇佐美りんではありませんが「推し、燃ゆ」の世界です 「クラシックの聴き方としてこういうのはどうなのか?  本当に音楽を聴きに来たのか?」と疑問に思う人もいるかもしれません   しかし、何かに熱中できるというのは素晴らしいことだと思います ただ漠然と毎日を過ごす人生なんて寂しいものです

それでは演奏する立場からはどうなのか? というのが吉田さんの問題提起です 彼女は冒頭の文章に続けて次のように書いています

「即興演奏へと解き放たれると、中世の聖歌の断片やショパンの協奏曲の緩徐楽章が見え隠れ    この人らしいまっすぐな内省の跡や無邪気な遊び心に触れるたび、ほっとする

私なりに解釈すると、「ショパンの3曲のようなガチ・クラシックを演奏する時は、本当は機材により増幅した音でなく生の音を聴いてほしいのだが、それでは1万3千人の耳に音が届かないので、仕方なくアンプを使わざるを得ない    しかし、ガチ・クラシックを離れて即興演奏になると、ほとんど角野の自作自演の世界に浸れるので、あえて生の音にこだわる必要もなくなり、演奏する側も聴く側もリラックスできる」ということではないか、と思います

さて、角野隼人の演奏するショパンの吐息は 1万3千人の心に届いたでしょうか

ということで、わが家に来てから今日で3478日目を迎えバイデン米大統領が11月の大統領選に出馬すること関し、民主党内で撤退すべきだという意見が複数出ていることについて、バイデン氏は「まだまだやり遂げることがある」と訴え、撤退しない考えを表明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     数々の言い間違いや 危うい足どりを見ていると 高齢以前の問題で勝てないと思う

         

20日(土)午後3時からの東京シティ・フィルのコンサートの後、午後6時からサントリーホールで東京交響楽団「第722回定期演奏会」を聴きました プログラムは①ラヴェル「クープランの墓」(管弦楽版)、②ブルックナー「交響曲第7番 ホ長調 WAB107」(ノヴァーク版)です 指揮は東響第3代音楽監督ジョナサン・ノットです

     

オケは12型で、左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置をとります 舞台上手にはハープが1台スタンバイします。コンマスは小林壱成、隣はグレブ・ニキティンというダブルトップ態勢を敷きます

1曲目はラヴェル「クープランの墓」(管弦楽版)です この曲はモーリス・ラヴェル(1875-1937)が1914~17年にピアノ曲として作曲、1919年に管弦楽版に編曲しました 

ラヴェルは、第1次世界大戦で命を落とした友人たちや、同じ時期に世を去った自身の母親を偲ぶため、フランス・バロック界の巨匠フランソワ・クープランの偉業の記念碑(トンボ―)という意味合いを込めて「クープランの墓」というタイトルを付けました 第1曲「前奏曲」、第2曲「フォルラーヌ」、第3曲「メヌエット」、第4曲「リゴードン」の4曲から成ります

ノット得意のラヴェルということで、色彩感溢れる演奏が繰り広げられました 特に荒木良太のオーボエ、竹山愛のフルートが冴え渡っていました 荒木良太は、読響に移った荒木奏美の後任の首席、竹山愛は東京シティ・フィルから移ってきた首席です ともにすっかり新しい環境に慣れている姿が頼もしく感じました

     

プログラム後半はブルックナー「交響曲第7番 ホ長調 WAB107」(ノヴァーク版)です この曲はアントン・ブルックナー(1824-1896)が1881年から83年にかけて作曲、1884年12月30日にライプツィヒでアルトゥール・ニキシュ指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団により初演されました なぜウィーン・フィルでなかったかと言えば、ブルックナーはウィーン・フィルからイジメのような冷たい仕打ちを受けており反感を覚えていたからです この辺の事情は今年5月26日付toraブログでご紹介した高原英理著「不機嫌な姫とブルックナー団」に詳しく書かれています 興味のある方はご覧ください いずれにしても、この演奏会をもってブルックナーは60歳にして初めて音楽界に認知されるようになったのです

この曲は第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アダージョ:極めて荘重に、そして極めて穏やかに」、第3楽章「スケルツォ:極めて速く」、第4楽章「フィナーレ:快速に、しかし速すぎずに」の4楽章から成ります

オケは16型に拡大しフルオーケストラ態勢となります ステージ下手にはワーグナー・テューバとホルンとバス・テューバが並列にスタンバイしているのが特徴的です

ノットの指揮で第1楽章に入ります 演奏は比較的ゆったりしたテンポで進行し、雄大な音楽が構築されていきます ワーグナー・テューバの演奏が素晴らしい ティンパニの連打が強烈です さて、この曲の演奏では次の第2楽章「アダージョ」が白眉でした かなりテンポを落とした演奏で、ワーグナー・テューバとヴィオラによる哀悼を込めた演奏に 弦楽器群による慟哭の演奏が交差します  この楽章は83年2月に死去したワーグナーに対する追悼音楽ですが、ノット ✕ 東響は流麗な音楽作りにより、永遠に続くのではないか・・と思うほど連綿と、深いアダージョを奏でていきました 終結部はオケ総力によるアグレッシブな演奏でクライマックスを築き上げました 第3楽章のスケルツォは一転、高速テンポで演奏に入り、トランペットによるテーマが高らかに奏でられます この楽章ではエネルギーの爆発を感じました 第4楽章は冒頭から軽快な演奏が展開します そして、管楽器が咆哮し、打楽器が炸裂し、弦楽器が渾身の演奏を展開する中 輝かしいフィナーレを飾りました

満場は拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました

この日の演奏を振り返ってみると、ノット ✕ 東響は「喪失から再生へ」という流れで演奏したのではないか、と思いました   ワーグナーへの追悼の世界から、ブルックナー自身の評価の確立へと変遷する過程を表現したのではないか、と

     

     

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