30日(日)。雨の日が多かった9月も今日で終わりです が、9月最後の今日も大型台風の影響で雨模様です 今日は久しぶりに家で本を読んで過ごそうと思います
「間が持たない」「押しも押されぬ」「怒り心頭に達する」「足もとをすくう」「過半数を超える」「愛想を振りまく」「恨み神髄に達す」「思いもつかない」「乗るか反るか」「熱にうなされる」
・・・これらの表現はすべて間違いです。と指摘されて、まさか!と思われた方も少なくないでしょう 昨日の朝日朝刊別刷り「be」は「間違いやすい慣用表現」を特集していました これらの正解は次の通りです
「間が持てない」「押しも押されもせぬ」「怒り心頭に発する」「足をすくう」「半数を超える・過半数を占める」「愛嬌を振りまく」「恨み骨髄に徹す」「思いもよらない」「伸るか反るか」「熱に浮かされる」
ただし、これらの表現は俗用として辞典が公認しているものも多いようなので、厳密に間違いとも言えないようです 言葉は生きている。「言葉は世につれ 世は言葉につれ」ということでしょうか
ということで、わが家に来てから今日で1458日目を迎え、米フェイスブックは28日、外部によるハッキングにより最大5000万人分のユーザーアカウントが「乗っ取り」に遭う恐れがあると発表した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
最近8700万人分の個人情報が流出したよね FBってフェイクブックの略じゃね?
バッハ・コレギウム・ジャパンから「2019‐2020シーズン定期演奏会 会員継続案内」が届きました 従来通り年5回のコンサートで、ラインナップは次の通りです
第132回 4月19日と21日から選択 マタイ受難曲 指揮:鈴木雅明
第133回 6月2日 教会カンタータ、マニフィカト 指揮:鈴木優人
第134回 9月22日 狩のカンタータ、結婚のカンタータ 指揮:鈴木雅明
第135回 11月24日 ブランデンブルク協奏曲全曲 指揮:鈴木優人
第136回 2月16日 祈りのモテット 指揮:鈴木雅明
現在私はA会員ですが、これを継続することにしました A会員のチケット代は5回で31,000円と1回当たり単価(@6,200円)が高めですが、B.C.Jの演奏の質を考えたらリーズナブルだと思います 参考までに、S席は38,000円、C席は25,000円、C席は19,000円となっています
昨日、東京オペラシティコンサートホールで東京交響楽団の「オペラシティシリーズ第105回演奏会」を聴きました プログラムは①メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」、②ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番変ホ長調”皇帝”」、③ブラームス「交響曲第1番ハ短調」です ②のピアノ独奏はスティーヴン・ハフ、指揮はマクシム・エメリャ二チェフです
マクシム・エメリャニチェフは1988年、ロシア生まれということなので、今年で弱冠30歳。指揮者の世界では洟垂れ小僧以前の乳幼児くらいでしょうか ただ、侮れないのはモスクワ音楽院で指揮をロジェストヴェンスキーに師事し、モダン・オーケストラ(リヨン国立管ほかに客演するほか、2019年シーズンからスコットランド室内管の首席指揮者に就任予定)、バロック・オーケストラ(イル・ポモ・ドーロの首席指揮者)の両方で活躍していることです
このシリーズはいつも1階席後方に空席が目立っているのですが、この日はかなり埋っています 多分 ベートーヴェンの「皇帝」とブラームスの「第1交響曲」の組み合わせの魅力が集客の最大の要因だと思います
オケは左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリンという対向配置をとり、コントラバスは管楽器の後方に横一列で並びます。コンマスは水谷晃です
1曲目はメンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809‐1847)が1830年に、前年8月に訪れたスコットランドのヘブリディーズ諸島の印象を基に作曲した作品です ローマで一旦完成したものの、1832年のロンドンでの初演まで何度も書き直されました メンデルスゾーンは曲のタイトルを「ヘブリディーズ諸島」としたにも関わらず、出版社はそれを無視し「フィンガルの洞窟」として出版しました。作曲家っていったい・・・・出版社っていったい・・・・
マクシム・エメリャニチェフが指揮台に上がりさっそく演奏に入りますが、彼はタクトを使用しません 彼は全体的に速めのテンポで演奏を進めます。畳みかけるような演奏は彼の特徴なのだろうか、と思わせます まずは名刺代わりの演奏です
2曲目はベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番変ホ長調”皇帝”」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770‐1827)が1808~09年に作曲し、1811年にライプツィヒで初演された作品です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・ウン・ポコ・モッソ」、第3楽章「ロンド:アレグロ」の3楽章から成ります
ピアノ独奏のスティーヴン・ハフは1983年、ニューヨーク・ナウムブルク国際ピアノ・コンクールで優勝、以後世界各国のオーケストラと共演しています プログラム冊子の「プロフィール」によると、ピアニストのみならず作曲家、作家としても活躍しているようです
マクシム・エメリャニチェフの指揮で第1楽章がダイナミックに開始されます ハフのピアノは明快で知的な響きがします 比較的速めのテンポで音楽が進められますが、「皇帝」のニックネームに恥じない堂々たる演奏です 第2楽章では一転、かなりゆったりしたテンポで演奏され、抒情感を醸し出します そして第2楽章から切れ目なく第3楽章に入ると、再び高速テンポになりスケールの躍動感に満ちた演奏が展開します この演奏を聴いて、1811年11月28日の初演時には第2楽章と第3楽章との曲想の変化とテンポの落差が大きな魅力となって、聴衆の喝采を浴びたのではないか、と想像しました
ハフはアンコールにシューマンの「トロイメライ」をロマン豊かに演奏しました アンコールのシューマンが プログラム後半のブラームスを先導する役割を果たします さすがは単なるピアニストではありません。全体の構成を考えて選曲しています
休憩後のプログラム後半はブラームス「交響曲第1番ハ短調」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833‐1897)が構想から20年以上かけて1876年に完成させた労作です 初演は1876年11月4日にカールスルーエでフェリックス・オットー・デッソフの指揮で行われました
第1楽章「ウン・ポーコ・ソステヌート~アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・ソステヌート」、第3楽章「ウン・ポーコ・アレグレット・エ・グラツィオ―ソ」、第4楽章「アダージョ~ピュウ・アンダンテ~アレグロ・ノン・トロッポ、マ・コン・ブリオ」の4楽章から成ります
マクシム・エメリャニチェフの指揮で第1楽章がティンパニの連打で開始されますが、「ちょっと待ってくれ」と言いたくなるような高速テンポです。これほど速い演奏は聴いたことがありません その後は速めのテンポを維持しながらも、かなり自在にテンポを揺らします 小気味の良い演奏で躍動感が醸し出されますが、これは彼がモダン・オケとバロック・オケの両方を指揮していることと無関係ではないと思われます 第2楽章に入ると一転、ゆるやかなテンポで始まりますが、次第にテンポアップしていきます。オーボエ首席・荒木奏美、クラリネット首席・吉野亜希菜、ファゴット首席・福士マリ子による歌心に満ちた演奏が素晴らしい 第3楽章からほとんど間を置かずに突入した第4楽章では、フルート首席・甲藤さちの演奏が冴えわたります ホルン・セクションが良い音を出しています マクシムはこの楽章でも速めのテンポで音楽を進めますが、フィナーレに至ってはオケに超高速演奏を求めました 畳みかける演奏は、やはり彼の特徴のようです
私はこれまで、何度もブラームスの交響曲第1番を生演奏で聴いてきましたが、これほど刺激的で挑戦的な演奏は初めて聴いたと言っても良いかも知れません 今まで聴いてきた演奏では聴こえなかったフレーズが聴こえてきたりして、新鮮さを感じました 東京交響楽団のメンバーは、マクシムの要求に応え コンマスの水谷晃を筆頭に全力で熱い演奏を繰り広げました この演奏をひと言で言い表すと「現代に息づくブラームス」です
弱冠30歳のマクシム・エメリャニチェフは「洟垂れ小僧以前の乳幼児」どころではありません 従来の演奏スタイルに挑戦状を叩きつけるような刺激的な演奏によって、聴衆に 本来あるべき演奏とはどんなものかを改めて考えさせます
ここで 大胆な提案をさせていただくと、何年後かにジョナサン・ノットの後を引き継ぐ東響の常任指揮者はマクシム・エメリャニチェフでどうでしょうか。面白いと思います