人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

フェデリコ・フェリーニ監督「青春群像」を観る ~ 定職にも就かず自堕落な生活を送る5人の若者たちに希望はあるか?:早稲田松竹

2023年01月31日 07時04分45秒 | 日記

31日(火)。2023年1月が早くも月末を迎えたので、恒例により1月の3つの目標の実績をご報告します ①クラシックコンサート=14回、②映画鑑賞=7本、③読書=6冊でした なお、②については、このほかNetflixで「デヴィット・レターマン  今日のゲストはウラディミル・ゼレンスキー」、「デヴィット・レターマン  今日のゲストはビリー・アイリッシュ」(ブログ未掲載)、「舞妓さんちのまかないさん」(全9話)、「ミッション・インポッシブル: ゴースト・プロトコル」、「西部戦線異状なし」を観ました また③については2冊がブログ未掲載で今後掲載予定です

ということで、わが家に来てから今日で2941日目を迎え、尾辻秀久参院議長は30日、国会欠席を続けるNHK党のガーシー(東谷義和)参院議員の国会出席を求める「召状」を同党の浜田聡政調会長に手渡したが、参院議員に対して召状が出されたのは1949年に1例あるのみで74年ぶりとなる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     何のために国会議員になったのか? こんないい加減な奴はさっさと辞めさせるべき

     

         

 

昨日の夕食は「すき焼き」にしました 娘が相変わらず早朝から仕事を頑張っているので、体力増強の意味も含めてワンランク上の牛肉にしました

 

     

 

         

 

早稲田松竹でフェデリコ・フェリーニ監督による1953年製作イタリア・フランス合作映画「青春群像」(モノクロ・107分:4Kデジタルリマスター版)を観ました

北イタリアの小さな町で、定職にも就かず自堕落な毎日を送る友人関係の5人の若者たち 色男のファウスト、空想家のアルベルト、劇作家志望のレオポルド、美声のリッカルド、最年少のモラルドの5人は町のビーチで行われる美人コンテストを見学している 「1953年のミス水着」に選ばれたのはモラルドの妹サンドラだったが、彼女は突然気絶して倒れてしまう 彼女はファウストの子を妊娠していることが判明する ファウストは町を逃げ出そうとするが、父親に捕まり結婚させられる 新婚旅行から帰ってきたファウストは、姑の友人の店で働くことになるが、悪い癖が抜けず店主の妻を誘惑し、それが原因で店をクビになってしまう 退職金代わりにと、モラルドを誘い店から天使象を盗み出すが、金にはならず盗みもバレてしまう 4人の友人は失業中で、目的もなくビリヤードやカフェにたむろしている。そんな中、モラルドは旅に出ることを夢見て、駅夫の少年と知り合う アルベルトの姉は妻のいる男と不倫していて、アルベルトは付き合うことに反対しているが、やがて姉は男と駆け落ちしてしまう レオポルドは町にやってきた老俳優に自作の戯曲を見せ、高く評価されるが、最終的に怖気づいてしまい自分から逃げてしまう ファウストは赤ん坊が生まれても仕事に就かない。ファウストの浮気を知ったサンドラは、赤ん坊を連れて家出する ファウストは4人の助けを借りて必死でサンドラを探し、最後にファウストの実家でサンドラを見つける ファウストは父親にベルトで叩かれるが、その後改心しサンドラと共に帰宅する 一方、モラルドはある朝、眠る友人たちを残し、列車に乗ってあてのない旅に出発する

 

     

     

この映画はフェデリコ・フェリーニが自身の故郷リミニを思わせる地方都市を舞台に、いい加減な生活を送る5人の青年たちの彷徨と旅立ちを描いた作品で、彼の自伝的要素の濃い作品として知られています モノクロ映像とともにニーノ・ロータの音楽が素晴らしい

原題「I Vitelloni」は「雄牛」の意味です 結婚前も結婚後もサカリのついた雄牛のように、性懲りもなく女性を追い回すファウストを指していると思われます

モラルドは、結婚前も ファウストとの結婚後も妹サンドラのことを心配しています そんな彼が、やっとファウストが改心して妹のところに戻ったことから、一大決心して、相変わらず定職にも就けずグータラ生活を送る仲間たちを置き去りにして、一人列車に乗ってあてのない旅に出るラストシーンが印象的です 「定職がない」「どこにも行く当てがない」ということでは、他の仲間たちと変わりありませんが、モラルドにとっては「町を出る」ことに意味があるのです 現状を打破するには「同じところに留まっていてはいけない」のです この映画は、そんなことを教えてくれます

 

     

     

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チョン・ミョンフン ✕ 東京フィルでシューベルト「未完成交響曲」、ブルックナー「交響曲第7番」を聴く ~ 極めて現代的なテンポによる演奏:反則ブラボーは同一人物が3日連続か?

2023年01月30日 07時00分28秒 | 日記

30日(月)。わが家に来てから今日で2940日目を迎え、来年の米大統領選挙への出馬を表明しているトランプ前大統領が、出馬表明後初めて公の会合で演説し、「2024年の大統領選挙は、アメリカを救うための1つのチャンスであり、就任初日から準備ができているリーダーが必要だ」と述べ、大統領選に向け動き出した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     あんたが大統領に返り咲いたら 米国は二度と救われなくなるって 分かってないね

 

         

 

昨日、オーチャードホールで東京フィル「第979回 オーチャード定期演奏会」を聴きました    私はサントリーホール定期シリーズ会員ですが、読響公演とダブったためこの日に振り替えました プログラムは①シューベルト「交響曲第7番 ロ短調 D759」、ブルックナー「交響曲第7番 ホ長調(ノヴァーク版)」です 指揮を執るのは東京フィル名誉音楽監督チョン・ミョンフンです

主催者側から指定された席は1階11列12番、左ブロック右通路側です。11列といっても5列まではオーケストラピット用に埋まっているので実質的には前から6列目です。前過ぎるのと、ステージの床が高い位置にあるので弦楽器の後方の木管・金管、打楽器奏者がほとんど見えません この点に限らずオーチャードホールは苦手なので、今までできるだけ避けてきましたが、今回は振り替え公演なので仕方ありません

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの東フィルの並び コンマスは三浦章宏、隣は近藤薫というダブルコンマス態勢を敷きます

 

     

 

1曲目はシューベルト「交響曲第7番 ロ短調 D759 ”未完成”」です この曲はフランツ・シューベルト(1797-1828)が1822年に第1楽章と第2楽章を作曲、第3楽章は9小節まで作曲、未完成に終わっています 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート」です

チョン・ミョンフンの指揮で第1楽章が低弦による重心の低い演奏で開始されます テンポは速すぎもせず遅すぎもせず中庸を保っています ホルンがべらぼうに巧いと思ったら主席の高橋臣宣でした 聴いていて思うのは、シューベルトはよく飽きもせず同じフレーズを繰り返して登場させるなあ、ということです 堀朋平氏がプログラムノートに、「シューベルトとブルックナー。この2人の作曲家には、宿命的に似たところがある 直線的にゴールへ進むのではなく、同じフレーズを反復して渦のごとき巨大なうねりを作ってゆくこと・・・」と書いていて、なるほどと納得し共感を覚えました 第2楽章では、ホルンのほか、オーボエ、クラリネット、フルートといった木管楽器がしみじみといい演奏をしていました それと、弦楽セクションの弱音が美しく響きました 同じ作曲家による「ザ・グレート」とは違った意味で「天国的」な音楽だとつくづく思いました

 

     

 

プログラム後半はブルックナー「交響曲第7番 ホ長調(ノヴァーク版)」です この曲はアントン・ブルックナー(1824-1896)が1881年から83年にかけて作曲、1884年12月30日にライプツィヒで初演されました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アダージョ:非常に荘厳に、かつ非常にゆっくりと」、第3楽章「スケルツォ:非常に速く」、第4楽章「フィナーレ:運動的に、あまり速くなく」の4楽章から成ります

チョン・ミョンフンの指揮で第1楽章が、弦楽器のトレモロに導かれてホルンとチェロによって第1主題が雄大に開始されます この冒頭の音楽を聴くと、今からン十年前に白黒テレビで観た、カラヤンの顔を正面から捉えた映像を思い出します ベルリン・フィルの来日公演の録画だったと思いますが、目を瞑ったカラヤンと雄大な音楽が目と耳に焼き付いています しばらくテレビから離れられませんでした 思い出す限り、テンポはかなりゆったりしていたと思います この楽章のフィナーレに向けての追い込みは、チョン・ミョンフンらしいスケールの大きな音楽が繰り広げられました 第2楽章では弦楽セクションの底力が発揮され、金管楽器が分厚い重厚な音楽を奏でました 第3楽章は冒頭のトランペットが素晴らしい ワーグナーチューバが大活躍です 激しくキザむ弦楽セクションの渾身の演奏が印象的です この楽章はかなり速いテンポで演奏されました 第4楽章は弦楽器を中心に軽快な音楽で開始されます。そして、渾身の弦楽器、咆哮する金管・木管楽器、炸裂する打楽器により輝かしい音の大伽藍が築き上げられました

この日の演奏を聴いてあらためて考えたのは、チョン・ミョンフンのテンポ設定です 私はこの曲の予習としてマタチッチとチェリビダッケのCDを聴きましたが、一昔前の彼らの指揮によるテンポと比べて、かなり速めのテンポです ひと言でいえば「現代的なテンポ」による演奏です これはチョン・ミョンフンに限ったことではなく、現在活躍している多くの指揮者に共通する傾向と言えるでしょう チェリビダッケのブルックナーを”標準”と考えている人からすれば、チョン・ミョンフンのブルックナーは「こんなのブルックナーじゃない」ということになるでしょう 私が聴いたこの日の演奏は、決して好みの演奏ではないけれど、十分納得のいく演奏だったと思います

ところで、ブルックナーの最後の音が鳴り終わって3秒も経たないうちに、1階中央席あたりから男性の「ブラボー」がかかりました 私は「ああ、これか」と思いました。というのは、東京フィルの公演は同一プログラムが会場を変えて3回演奏されますが、第1回目と第2回目の公演に関するツイッターを見ていたら、「せっかくいい演奏だったのに、反則ブラボーで台無しになった」という感想が散見されていたからです もちろん、同一人物が3回とも聴いてブラボーを発したと断定はできませんが、ツイッターの内容からするとその可能性もありそうです

新型コロナ感染拡大防止のため、ほとんどのコンサート会場でブラボーは禁止されています そのことを別としても、多くの聴衆が演奏の余韻に浸ろうとしている時に「ブラボー」がかかると興ざめです 演奏直後のしばしの”しじま”も演奏のうちだということを理解していない人間がこういう行為に出ます こういう人間はどこにでもいます。たとえば、ライブ収録されるコンサートで、指揮者が入場して拍手で迎える時、拍手が最後の一人になるまで手を叩く人がいます そのココロは、そのコンサートがテレビやラジオで放送された時に、一緒に鑑賞している人に「実はあの最後の拍手はオレなんだよ」と自慢するためにやっているのです

この日の”ブラボーおやじ”(ツイッターでは「ベラボーおやじ」と呼んでいた)も同じような人種だと思われます どこかで「あのブラボーはオレがかけたんだぜ」と自慢しているドヤ顔が目に浮かびます こういう人物がいる限り、事前の「ブラボー禁止アナウンス」は無くならないのです もし”ブラボーおやじ”が、「誰よりも早くブラボーをかけて指揮者と楽員を称賛したのはこの俺様だ」と無邪気に自慢しているようなら、とんだ勘違いもいいところで ひっくり返って非常口です   チョン・ミョンフンも楽員たちも苦笑していました 自分の非常識とアホさかげんを衆知に晒しているようなものだと自覚すべきです

 

     

 

東急デパート本店が明日 閉店するのですね ここで一度も買い物をしたことはありませんが、併設の Tokyu  Bunkamura の「オーチャードホール」と「ル・シネマ」は2月以降も営業を続けるようです

 

     

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高関健 ✕ 小林愛実 ✕ 東京シティ・フィルでベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」、R.シュトラウス「英雄の生涯」他を聴く ~ シティ・フィル第357回定期演奏会

2023年01月29日 07時04分29秒 | 日記

29日(日)。わが家に来てから今日で2939日目を迎え、世界保険機関(WHO)のテドロス事務局長は27日、新型コロナウイルスを原因とした死亡例が急増しており、直近では世界全体の死者数の半分以上が中国からの報告だったと明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ゼロコロナ政策は反発を招くわ 解除すれば死者が激増するわ 独裁政権もお手上げ

 

         

 

昨日、東京オペラシティコンサートホールで東京シティ・フィル「第357回定期演奏会」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「献堂式」序曲 作品124,②同「ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 作品37」、③リヒャルト・シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」作品40です 演奏は②のピアノ独奏=小林愛実、指揮=高関健です

この日は本来、新国立オペラ「タンホイザー」を観る予定でしたが、本公演と時間がダブったためオペラを31日(火)に振り替えました

 

     

 

小林愛実人気でしょうか。1階席はもちろん、2階席、3階席まで多数のお客さんで埋まっています それにしても良く入りました

拍手に迎えられて楽員が配置に着きます オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対抗配置。コンマスは戸澤哲夫です

1曲目はベートーヴェン「献堂式」序曲 作品124です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)がウィーンに新築されたヨーゼフシュタット劇場のこけら落とし用の祝祭劇「献堂式」のために1822年に作曲、同年ウィーンで初演されました

滅多に演奏されない作品で、高関氏のプレトークによると、1度しか演奏したことがなく、1度しか聴いたことがないとのことです 曲は第1部と第2部から成りますが、堂々たる祝祭感に満ちた音楽で、冒頭の5つの和音の強奏がベートーヴェンらしいと思いました

2曲目はベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 作品37」です この曲は1796年頃に構想されて以来、ほぼ7年かけて作曲、1803年にアン・デア・ウィーン劇場で初演されました ベートーヴェンの全協奏曲中で唯一の短調作品、しかも第5交響曲”運命”と同じハ短調で書かれているのが大きな特徴です 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「ロンド:アレグロ」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の小林愛実は7歳でオーケストラと共演、2015年10月の第17回ショパン国際ピアノコンクールでファイナリストとなり、2021年の同コンクールで第4位入賞を果たしています 現在フィラデルフィアのカーティス音楽院でマンチェ・リュウ教授に師事し研鑽を積んでいます

満場の拍手の中、赤の勝負衣装に身を包まれた小林愛実が高関とともに登場、ピアノに対しします 高関の指揮で第1楽章の長い序奏の演奏に入ります 次いで小林のソロが入ってきますが、彼女の演奏は力強くも美しくデモーニッシュに響きます カデンツァは鮮やかでした 第2楽章は小林のソロで開始されますが、かなりゆったりしたテンポで祈るように音楽が進みます 小林の繊細で慈愛に満ちたな演奏が静かに沁み込んできます 第3楽章は一転、活気に満ちたアレグロが展開します 高関 ✕ 東京シティ・フィルの軽快な演奏と相まって、輝かしいフィナーレを飾りました

満場の拍手でカーテンコールが繰り返されますが、アンコールはありません お腹に第1子を宿している彼女に、本番以上の負担をかけるのは酷と言うものです 演奏者には賞賛の拍手とアンコール期待の拍手は区別がつきません 演奏者(特に女性)の立場を考えて、しつこい拍手は控えるできです 小林愛実さんにはゆっくり身体を休めてほしいと思います

 

     

 

プログラム後半はR.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」作品40です この曲はリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)が1897年から98年にかけて作曲、1899年3月にフランクフルトで作曲者の指揮で初演されました ベートーヴェンの交響曲第3番”英雄”を意識して作曲された作品ですが、第5部「英雄の実績」に作曲者の過去の作品が複数登場することから、「英雄」はシュトラウス自身を指すと解釈されてきました しかし、彼は作曲当時まだ34歳で、その後50年以上生きながらえることになります

曲は単一楽章から成る交響詩で6部から構成されています 第1部「英雄」、第2部「英雄の敵」、第3部「英雄の伴侶」、第4部「英雄の戦場」、第5部「英雄の業績」、第6部「英雄の引退と完成」です

高関の指揮で第1部「英雄」が、低弦とホルン(8)等により雄大なスケールで開始されます これで一気にリヒャルト・シュトラウスの世界に引き込みました 第2部「英雄の敵」はフルートはじめ木管楽器が英雄を嘲笑するようなフレーズを奏でますが、まるで音楽評論家がシュトラウスの作品について、あーでもないこーでもないとペチャクチャ喋っているかのように聴こえます 第3部「英雄の伴侶」では独奏ヴァイオリンが伴侶(作曲者の妻=パウリーネ)の性格を表わしますが、戸澤コンマスの演奏が素晴らしい 第4部「英雄の戦場」について、高関氏はプレトークで「この場面はベートーヴェンの『ウェリントンの勝利』を参考にしたと思う 今回は会場の関係で14型で演奏するが、この会場にとっては大き過ぎる音が数分続くと思う。その間は我慢してほしい」旨 語っていました。その言葉通り、トランペットの「戦闘開始」のファンファーレを合図に、金管楽器が咆哮し、弦楽器が激しくキザみ、打楽器が炸裂します やがて戦場で勝利を収めると第5部「英雄の業績」で作曲者の過去の作品(「ドン・ファン」「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」「ドン・キホーテ」など)が引用され、実績を誇示します 私がリヒャルト・シュトラウスを好きでないのはこういうところです 次いで第6部「英雄の引退と完成」では英雄と伴侶が安らかな余生を送る穏やかな音楽が奏でられますが、フィナーレのトロンボーンが何とも言えない余韻を残して曲を閉じ、深い感銘を受けました

高関氏がプレトークで語ったところによると、「『指揮者になって一番指揮したい曲は何か?』と聞かれて『リヒャルトシュトラウス『英雄の生涯』だ』と答える指揮者が多く、かくいう自分もそうだった。カラヤン指揮によるレコードを買ってよく聴いた」とのことです

高関氏は明確な指示を出し、東京シティ・フィルの面々はその意を十分に汲み、熱意をもってアグレッシブな演奏を展開しました

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米田覚士 ✕ 若林顕 ✕ 読売日響でラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」、チャイコフスキー「交響曲第4番」を聴く ~ 都民芸術フェスティバル参加公演

2023年01月28日 07時03分53秒 | 日記

28日(土)。わが家に来てから今日で2938日目を迎え、全国で相次ぐ強盗事件などを巡り、警察当局はフィリピンの入管施設に収容されている数人の日本人が「ルフィ」などと名乗る指示役の人物だった疑いが強まったとして、現地当局に身柄の移送を求めていることが捜査関係者への取材でわかった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     入管施設収容者がどうやって指示できたのか疑問だが  人間のクズは厳罰に処すべき

 

       諸般の事情により昨日の夕食作りはお休みしました  

 

         

 

毎年恒例の「都民芸術フェスティバル」が始まりました 昨夜、東京芸術劇場コンサートホールで「オーケストラ・シリーズ」第1弾「読売日響公演」を聴きました プログラムは①ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 作品30」、②チャイコフスキー「交響曲第4番 ヘ短調 作品36」です 演奏は①のピアノ独奏=若林顕、指揮=米田覚士です

実はこの日、東京フィルの定期演奏会を聴く予定だったのですが、手帳を見落としてダブルブッキングになってしまったので、東京フィルを29日(オーチャードホール)の公演に振り替えたのです

指揮を執る米田覚士(よねだ さとし)は1996年岡山市生まれの29歳。2020年東京藝大指揮科を卒業。2021年10月、第19回東京国際音楽コンクール”指揮”入選、奨励賞を受賞しています

 

     

 

自席は1階H列36番、右端です。端っこすぎて第1ヴァイオリンとコントラバス以外の楽員の顔がほとんど見えません 会場はかなり埋まっています 指揮者がほとんど無名にも関わらず これほど集客できるのは読響だからでしょうか    周囲を見渡すと、読響定期会員とは客層が異なり、かなり若い人も多く、女性も多いように思います

1曲目はラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 作品30」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)が1909年に作曲、同年ニューヨークで初演されました 第1楽章「アレグロ・マ・ノン・タント」、第2楽章「インテルメッツォ:アダージョ」、第3楽章「フィナーレ:アラ・ブレーヴェ」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の若林顕(わかばやし あきら)はベルリン芸術大学等で研鑽を積み、20歳でブゾーニ国際ピアノ・コンクール、22歳でエリーザベト王妃国際コンクールでそれぞれ第2位入賞を果たしています

オケは14型で左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの読響の並び    コンマスは長原幸太、その隣は小森谷巧といったダブルコンマス態勢を敷きます ステージ中央にはヤマハ New CFXが鎮座しています

指揮者の米田とソリストの若林が登場し、さっそく第1楽章の演奏に入ります 座席の位置の関係でコントラバスのピッツィカートがよく聴こえます この楽章では若林のカデンツァが鮮やかでした 第2楽章では冒頭の金子亜未の叙情的なオーボエが心に沁みました 第2楽章から第3楽章に移る際の米田のキビキビと引き締まった指揮が印象的でした 第3楽章では若林の超絶技巧ピアノとオケとの丁々発止のやり取りが繰り広げられ、圧倒的なフィナーレを飾りました ベテランと若手の組み合わせによる見事なコラボレーションでした

 

     

 

プログラム後半はチャイコフスキー「交響曲第4番 ヘ短調 作品36」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1877年から78年にかけて作曲、1878年にモスクワで初演されました 第1楽章「アンダンテ・ソステヌート ~ モデラート・コン・アニマ」、第2楽章「アンダンティーノ・イン・モード・ディ・カンツォーナ」、第3楽章「スケルツォ:ピッツィカート・オスティナート:アレグロ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・コン・フォーコ」の4楽章から成ります

米田の指揮で第1楽章に入ります 冒頭の金管楽器による「運命の動機」の演奏が素晴らしい これで一気に聴衆の心を引き付けます クラリネットの金子平、ファゴットの吉田将、フルートの倉田優の演奏が冴えています 第2楽章では冒頭の金子亜未の叙情的なオーボエに魅せられます チェロの深みのある演奏が印象的です 第3楽章のスケルツォは弦楽器による軽快なピッツィカートが心地よく響きます 米田のテンポ感が素晴らしい 第4楽章では、咆哮する金管・木管楽器、超高速演奏の弦楽器、炸裂する打楽器によって輝くフィナーレを飾りました

米田の指揮は決してカッコいいものではありませんが、演奏者にとっては指示が明確で演奏しやすいのではないかと思いました 全体的にオケが良く鳴っていました 読響は常任指揮者ヴァイグレの時と同じようにダブルコンマス態勢を敷いて新人指揮者・米田覚士を盛り立てました ここに読響の懐の深さを垣間見た思いがします 米田はこれから指揮者としてのキャリアを積んでいくことになりますが、この日の演奏を決して忘れることはないでしょう

 

     

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トゥガン・ソヒエフ ✕ アミハイ・グロス ✕ N響でバルトーク「ヴィオラ協奏曲」、ラヴェル「ダフニスとクロエ」組曲第1番、第2番、ドビュッシー:交響詩「海」を聴く

2023年01月27日 07時00分10秒 | 日記

27日(金)。わが家に来てから今日で2937日目を迎え、1月25日に森喜朗元首相が、かつて会長を務めた「日印協会」創立120周年記念レセプションであいさつし、ロシアによるウクライナ侵攻について「ロシアが負けることはまず考えられない。そういう事態になればもっと大変なことになる」と語った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアが勝つことは 強盗殺人が正当化されるのを意味するのだと 解っているのか?

 

         

 

昨日、夕食に「野菜とひき肉のドライカレー」を作りました 材料は茄子、ピーマン、トマト、玉ねぎです。何度も作っていますが、今年初です 辛めの時は上に目玉焼きを乗せますが、今回は乗せませんでした。とても美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールでNHK交響楽団「1月度Bプロ2日目公演」を聴きました プログラムは①バルトーク「ヴィオラ協奏曲」(シェルイ版)、②ラヴェル「ダフニスとクロエ」組曲第1番、第2番、③ドビュッシー:交響詩「海」です 演奏は①のヴィオラ独奏=アミハイ・グロス、指揮=トゥガン・ソヒエフです

指揮を執るトゥガン・ソヒエフは、1977年に旧ソビエト連邦・北オセチアのウラジカフカスで生まれました サンクトペテルブルク音楽院で名教師イリヤ・ムーシンとテルミカーノフに指揮法を師事し、1999年にプロコフィエフ国際コンクール指揮部門で最高位(第1位なしの第2位)を得て注目されました 昨年2月のロシアのウクライナ侵攻後、ソヒエフは、2008年から音楽監督を務めてきた仏トゥールーズ・キャピトル管弦楽団の役職と、2014年に就任したモスクワのボリショイ劇場の音楽監督兼首席指揮者の地位を不本意ながら自らの意思で退きました N響とは2008年10月に初めて共演して以来、たびたび共演を重ねています

 

     

 

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものN響の並び。コンマスは白井圭です

1曲目はバルトーク「ヴィオラ協奏曲」です この曲はベラ・バルトーク(1881-1945)がウィリアム・プリムローズの依頼により1945年に作曲に着手しましたが、持病の白血病のため作曲途中の同年9月26日に死去したため、残された草稿をもとに友人のティボル・シェルイが補筆・完成、1949年12月2日にミネアポリスでアンタル・ドラティの指揮、プリムローズのヴィオラ独奏により初演されました 第1楽章「モデラート」、第2楽章「アダージョ・レリジョーソ」、第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

ヴィオラ独奏のアミハイ・グロスは1979年、イスラエル・エルサレム生まれ。1995年に仲間たちと「エルサレム弦楽四重奏団」を結成し国際的な活動を行う 2010年からベルリン・フィルの第1首席ヴィオラ奏者を務めています

曲はヴィオラ・ソロによる主題が静かに奏でられ、オケとのコラボに移ります グロスは楽譜を見て演奏しますが、そんなことはどうでもいいことです 要は演奏そのものです この曲はバルトークらしく かなりの超絶技巧曲ということもあってか、ソリストは確かな技術の裏付けのもと身体全体を使って渾身の演奏を展開します バルトークがヴィオラのためにコンチェルトを書いてくれたことに感謝するしかありません 素晴らしい演奏でした

満場の拍手にグロスは、日本語で「ドーモアリガトゴザイマース」と言って拍手を浴び、ヴィオラ首席の佐々木亮を呼んで「ササキサン」と紹介してまた拍手を浴び、二人でバルトーク(ペーテル・バルトーク編)「44のヴァイオリン二重奏曲(ヴィオラ版)」第37曲「プレリュードとカノン」を鮮やかに演奏し、やんややんやの喝さい(声はなし)を浴びました さすがはオケのヴィオラ首席奏者だと思いました 彼の素晴らしい人間性を感じました

 

     

 

プログラム後半の1曲目はラヴェル「ダフニスとクロエ」組曲第1番、第2番です この曲はモーリス・ラヴェル(1875-1937)がロシアバレエ団の主宰者セルゲイ・ディアギレフの依頼により1909年から12年にかけて作曲したバレエ曲を基に、1911年と1913年に組曲として編んだ作品です  「組曲第1番」はバレエ第1部終わりから第2部にかけての音楽に相当します 第1曲「夜想曲」、第2曲「間奏曲」、第3曲「戦いの踊り」の3曲から成ります 「組曲第2番」はバレエ第3部の音楽に相当します 第1曲「夜明け」、第2曲「無言劇」、第3曲「全員の踊り」の3曲から成ります

オケが16型に拡大し、管・打楽器が増員されます ヴァイオリン・セクションの後ろにはハープ2台とチェレスタがスタンバイします。よく見るとホルン奏者に女性が一人いますが、新日本フィルの藤田麻理絵が客演しているのだろうか

「組曲第1番」では甲斐雅之のフルート、伊東圭のクラリネットが素晴らしい 第1番はあまり演奏されないので気がつかなかったのですが、ウィンドマシーンが使われていました 間奏曲を経て、闘いの踊りが激しく演奏されます 一糸乱れぬ演奏で、ソヒエフの統率力の強さを感じます

「組曲第2番」では何と言ってもフルートセクションの4人の演奏が素晴らしい 首席の甲斐雅之を筆頭に、小池郁江(都響・客演)、中村淳二(ピッコロ持ち替え)、梶川真歩(アルト・フルート)の4人です 彼らを中心に色彩感豊かな演奏が繰り広げられました また、弦楽器ではヴィオラ・セクションの渾身の演奏が光りました ソヒエフの指揮で感じるのは「洗練された音楽づくり」です ファビオ・ルイージの高貴な(ノーブルな)音楽づくりとは一味違った趣を感じます

最後の曲はドビュッシー:交響詩「海 ~ 3つの交響的スケッチ」です この曲はクロード・ドビュッシー(1862-1918)が1903年から05年にかけて作曲、1905年10月15日にパリで初演されました 第1楽章「海の夜明けから真昼まで」、第2楽章「波の戯れ」、第3楽章「風と海との対話」の3楽章から成ります

この曲でも、ソヒエフの洗練された音楽作りが発揮されました 彼の指揮は自由自在にN響のメンバーをコントロールしているように見えます それは両者の間に信頼関係が築かれていることを意味しています この曲でもフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットといった木管楽器が素晴らしい演奏を繰り広げました また、金管楽器は輝かしい音で聴衆を魅了し、打楽器群は迫力のある演奏で曲全体にアクセントを付けました

満場の拍手にカーテンコールが繰り返され、楽団員を代表して打楽器奏者の黒田英実さんからソヒエフに花束が贈呈されました なお、N響独自のこの「花束贈呈」セレモニーは、指揮者に対し、A・B・C各プログラムのすべての公演の最後の公演の際に行われます ソヒエフによる1月公演の場合はAプロが14日、15日、Cプロが20日、21日、Bプロが25日、26日なので、最終日である26日の公演に際して花束贈呈が行われたというわけです したがって、このセレモニーを是非見たいと思ったら、少なくとも2日目公演を聴く必要があります

ソヒエフは昨年、踏んだり蹴ったりの酷い目に遭いましたが、日本でN響を指揮して大歓迎を受け、満足気に見えました 彼が次にN響を振るのは来年1月13日から20日までの全6公演です その頃、ウクライナ情勢はどうなっているだろうか

 

     

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上野通明 ✕ 實川風でラフマニノフ「チェロ・ソナタ」、シューマン「幻想小曲集」他を聴く ~ 芸劇ブランチ「第22回 名曲リサイタル・サロン」 / 日テレ「リバーサルオーケストラ」第3回を観る

2023年01月26日 07時08分55秒 | 日記

26日(木)。昨日、22時から日テレで「リバーサルオーケストラ」第3回目を観ました ストーリーは次の通りです

初音(門脇麦)は蒼(坂東龍汰)を下宿人として家に招き、妹の奏奈(恒松祐里)と3人で同居生活を始める 児玉交響楽団(玉響)が演奏する中学校の吹奏楽発表会の本番が近づくが、初音は勤務先の市役所の職員たちに自分がヴァイオリニストであることをなかなか言い出せないでいた 10年ぶりの舞台を控え、本番の舞台に立てるのか自信が持てないのだった そんな中、ティンパニ奏者の木之崎(篠崎史門)が突然オーケストラを辞めてしまう 本番まであと4日だというのに、大黒柱がいなくなり玉響は危機に陥る

 

     

 

第3回のストーリーの中で流れていたのはオープニング・テーマのチャイコフスキー「交響曲第5番」第4楽章をはじめ、玉響が本番で演奏するエルガー「威風堂々 第1番」を中心に、チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」第1楽章、ブラームス「交響曲第1番」第4楽章などでした

今回は、オーケストラの楽器配置とか、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンの役割の違いとか、コンサートマスターの役割とか、基本的な知識も解説していました

一方、この番組で気になるのは、あまりにもコマーシャルが多過ぎるということです よく解釈すればそれだけ多くのスポンサーがコマーシャルを出したい思う魅力的な番組だと言えるかもしれませんが、あまりにも多すぎると逆効果になりかねません 番組制作関係者には一考をお願いしたいと思います

ということで、わが家に来てから今日で2936日目を迎え、岸田首相は少子化対策を巡って4日に行った記者会見で「異次元の少子化対策に挑戦する」と述べていたが、23日の施政方針演説では「次元の異なる少子化対策を実施したい」と述べたことに関し、25日の衆院代表質問で野党側が「『異次元の少子化対策』を『次元の異なる少子化対策』に言い換えたのはなぜか」と質問したのに対し、首相は「違いはない」と答えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     異次元の内閣低支持率から脱却するにゃ 次元の異なる対策をやるっきゃないってか

 

         

 

昨日、夕食に大学時代の友人S君が送ってくれた「鯵を塩焼き」にして、「マグロの山掛け」「生野菜サラダ」「豚汁」と一緒にいただきました 鯵は脂が乗ってとても美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで芸劇ブランチコンサート「第22回  名曲リサイタル・サロン」を聴きました プログラムは①バッハ「無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調 BWV1007」より「プレリュード」、②シューマン「幻想小曲集 作品73」、③ラフマニノフ「チェロ・ソナタ  ト短調 作品19」です    演奏はチェロ=上野通明、②③のピアノ=實川風です

上野通明は2021年のジュネーヴ国際コンクール・チェロ部門で日本人初の優勝、併せて3つの特別賞を受賞 現在、ベルギーのエリザベート王妃音楽院でゲーリー・ホフマンに師事しています 一方、實川風(じつかわ・かおる)はロン・ティボー・クレスパン国際コンクール第3位(1位なし)・最優秀リサイタル賞・最優秀新曲演奏賞を受賞しています

 

     

 

1曲目はJ/S.バッハ「無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調 BWV1007」より「プレリュード」です この曲はヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750)が1720年頃に作曲した「6つの無伴奏チェロ組曲」の最初の組曲の第1曲(前奏曲)です 上野は思入れたっぷり 表情豊かに演奏し、たったの5分で聴衆の心を掴みました

2番目はシューマン「幻想小曲集 作品73」です この曲はロベルト・シューマン(1810-1856)がドレスデンのクラリネット奏者コッテのために作曲したと言われています 出版時にヴァイオリンやチェロのための編曲譜も一緒に出版されたため、演奏される機会が増えました

上野のチェロ、實川のピアノにより演奏が開始されます 第1曲ではチェロが静かに奏でられ、第2曲で明るみが差し、第3曲で情熱的な演奏が展開します 上野の演奏はもちろんのこと、實川のピアノがすごく良いと思いました

 

     

 

最後の曲はラフマニノフ「チェロ・ソナタ  ト短調 作品19」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)が1901年に作曲、同年モスクワで初演されました

2人の演奏で第1楽章が開始されますが、上野のチェロは特に高音部のビブラートがとても美しい 第2楽章冒頭のスケルツォを聴いて、シューベルト「魔王」を思い起こしました 第3楽章はこの曲の白眉でした 上野の叙情的なチェロに心震えます ロマンティシズムの極致をいく演奏とはこういう演奏を言うのでしょう 實川のピアノもぴったり寄り添います 第4楽章は活気に満ちた演奏が繰り広げられました

満場の拍手に2人は、グラズノフの小品を詩情豊かに演奏し、再び大きな拍手を浴びました

ラフマニノフの素晴らしさ、チェロの音色の美しさを再認識させてくれたコンサートでした

帰りがけに、ホール入口の臨時チケット売場で5月(福間洸太朗)、7月(酒井有彩)、9月(新倉瞳)の各公演のチケットを買い求めました

 

     

     

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バルディミール・ヨハンソン監督「LAMB / ラム」を観る ~ 人間のエゴを告発する作品:早稲田松竹

2023年01月25日 07時36分09秒 | 日記

25日(水)。この冬一番の強い寒気が日本の上空に流れ込む影響で、24日から26日にかけて北日本から西日本の日本海側では大雪となり、太平洋側の平地でも雪が降る見通しであると、テレビの気象情報で報道していました 東京で雪が降れば今年の初雪になるのだろうか? 初雪で思い出すのは高校時代の国語の授業です クラス全員で俳句を作って披露することになりました。私が通った埼玉県の県立T高校は何人か農家から通う生徒がいました。そのうちの一人が詠んだのが次の句です

「初雪や  うちの畑も  もうだめだ」

クラス中大爆笑でしたが、雪が降り過ぎると ゆき過ぎ になり冗談では済まなくなります ちなみに、私は次の句を作りました

「初雪や  走る子どもの 息白し」

何の工夫も趣もない単純な句で、思い出すと今でも恥ずかしい思いでいっぱいです

ということで、わが家に来てから今日で2935日目を迎え、北朝鮮国営の朝鮮中央テレビは23日夜、強力な寒気の襲来で24日は首都平壌の最低気温が氷点下20度、北部の白頭山では氷点下40度まで下がるとの予報を発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     金ちゃん ミサイル発射実験どころじゃないぜ 寒気対策して国民の歓喜を呼ぶべきだ

 

         

 

昨日、夕食に「タンドリーチキン」「生野菜とツナのサラダ」「ジャガイモの味噌汁」を作りました タンドリーチキンを作るのは2度目ですが美味しく出来ました

 

     

 

         

 

早稲田松竹でバルディミール・ヨハンソン監督による2021年製作アイスランド・スウェーデン・ポーランド合作映画「LAMB / ラム」(106分)を観ました

アイスランドの山間で暮らす羊飼い夫婦イングヴァル(ヒルミル・スナイル・グドゥナソン)とマリア(ノオミ・ラバス)が羊の出産に立ち会うと、羊ではない何かが生まれてくる 子どもを亡くしていた2人は、愛くるしい顔を見て、「何か」に死んだ娘と同じ「アダ」と名付けて育てることにする イングヴァルの弟・ペートゥルが訪ねてきてしばらく一緒に暮らすことになるが、彼はアダの姿を見て嫌悪する。しかし、やがて愛を持って接するようになる アダとの生活は幸せな時間だったが、アダを産んだ母羊がしつこく子羊を求めて鳴くので、マリアは煩わしさから母羊を銃殺して野に埋めてしまう その後、アダは牧羊犬が何者かに殺され、銃が奪われるのを目撃する そして、イングヴァルとアダが、ペートゥルが山間に置き去りにしたトラクターを取りに出かけた時、イングヴァルは何者かに銃で撃たれ、アダは連れ去られてしまう。瀕死のイングヴァルを発見したマリアは絶望し立ち尽くす

 

     

 

「アダ」と名付けられた「何か」は、前半では顔しか見せないので、どういう身体をしているのか分かりませんが、中盤で頭部と右半身が羊で左半身が人間という獣人であることが明らかにされます そして、銃を奪い牧羊犬とイングヴァルを撃ち殺したのはアダの本当の父親である獣人でした 獣人がイングヴァルを撃ち殺したのは、マリアが母羊を銃殺したことに対する復讐だったのです この映画は、登場人物が人間3人と獣人2人と極めて少なく、アイスランドの広大な自然が美しく描かれているのが特徴ですが、自分たちの思いを実現するために誰か(何か)を犠牲にする人間のエゴを告発していると言えるでしょう

 

     

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オリヴィア・ニューマン監督「ザリガニの鳴くところ」を観る ~ 早稲田松竹 / 「喫茶店で携帯電話、気になりますか?」 ~ 朝日新聞のアンケート調査から

2023年01月24日 07時02分48秒 | 日記

24日(火)。21日付の朝日新聞別冊「be」の「between  読者とつくる」コーナーで、「喫茶店で携帯電話、気になりますか?」を取り上げていました これは be モニターを対象に行ったアンケート調査(回答者は2385人)で、「はい」が72%、「いいえ」が28%という結果になっています 「はい」の理由は「電話する所ではない」が1245人と最も多く、以下「静かな環境が損なわれる」が1165人、「独り言を聞いているような違和感」が515人、「読書などに集中できない」が284人でした 「どう対応したか?」については、「通話が終わるまで我慢」が最も多く1236人、「店の人に頼み通話をやめてもらう」が419人、「自分が店を出る」が406人でした

一方、「いいえ」の理由は「店内の客同士の会話と変わらない」が439人と最も多く、「店のルール内なら個人の自由」が273人、「電話で話す事情があると思う」が262人、「自分も時々する」が53人でした(以上、複数回答4位まで)

私の場合は、喫茶店に行くのは新聞か本を読むためなので、答えるとすれば「はい(気になる)」で、理由は「読書などに集中できない」となります 携帯電話に限らず「喫茶店の利用について」と広く解釈すると、「会話をしてもいいから、大声で話すのはやめてほしい」ということです また、先日 イヤホンなしでラジオを聴いている年寄りを見かけましたが、大きな迷惑です イヤホンが買えないほどの金欠なのか?と疑問に思いました また、他の客が近くにいるのに極めてプライベートな話を大っぴらに話すのはやめてほしいと思います

昨夏のことです 池袋の喫茶店でアイスコーヒーを飲みながら新聞を読んでいると、隣席に若いカップルが座りました 女性が「これを読んで最後にサインして! 私は肉体的にも精神的にも苦しんだし、家族も苦しんだんだからね 負担してほしいのはそこに書いてある金額だから」と言います 男性は「わかってる。でも家賃も払わなきゃならないし、一括は無理なんで分割で払いたいと思ってる」と言います こちらは聞きたくもない話ですが、すぐ近くで話しているので聞こえてしまうのです 話の筋からすると、女性は男性に堕胎費用の支払いに関する誓約書にサインするよう求めているのです 皆さん、どう思われますか? こういう話、喫茶店でしますか? あんたらアホか という話です 私はこれほど非常識なバカップルを見たことがありません あの二人は今頃どこでどうしているだろうか?・・・彼は分割払いを終えて一息ついているだろうか? 彼女はもっとましな男をつかまえてうまくやっているだろうか・・・考えると夜も眠れません。ウソですけど

ということで、わが家に来てから今日で2934日目を迎え、自民党と立憲民主党の参議院・国対委員長会談が23日に行われ、自民党は去年の参院選に当選してから1度も登院していないNHK党のガーシー参院議員に対し、「懲罰動議も含めて検討したい」と提案した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     何のために議員になったのか非常に疑問だ  こんなやつに歳費を払う必要ないだろ!

 

         

 

昨日の夕食は「サーロインステーキ」を焼きました 娘は相変わらず朝3時半に起きて4時半には家を出て、5時から仕事にかかります 帰ってくるのは午後5時頃です。とにかく体力を付けないと身体が持たないので、どうしても肉類が多くなりがちです

 

     

     

         

 

早稲田松竹でオリヴィア・ニューマン監督による2022年製作アメリカ映画「ザリガニの鳴くところ」(125分)を観ました

物語の舞台は1950年代のノースカロライナ州。湿地帯で、将来有望な金持ちの青年が変死体となって発見された 犯人として疑われたのは、「ザリガニの鳴くところ」と言われる湿地帯で育った無垢な少女カイア(デイジー・エドガー=ジョーンズ)だった 彼女は6歳の時に両親に棄てられて以来、学校へも通わず湿地の自然から生きる術を学び、たった一人で生き抜いてきた そんなカイアにとって唯一の友人がテイト・ウォーカー(テイラー・ジョン・スミス)だった カイアはテイトから文字の読み書きや計算を教わった。一緒に過ごす中で、いつしか2人の間には恋心が芽生えていた ところが、テイトは大学に進学するために都会へ行くことになった 年に1度は会いに来ると約束したテイトだったが、彼が湿地帯の彼女のもとに姿を見せることはなかった それから数年が経過した1965年、19歳になったカイアは近くの街で暮らす青年チェイス(ハリス・ディキンソン)と恋に落ちる 2人は結婚の約束をするが、ほどなくして、カイアはチェイスが別の女性と婚約していることを知ってしまう 激怒したカイアはチェイスと別れることにする。ちょうどその頃、テイトが大学を卒業して故郷に帰って来た。テイトはカイアに約束を破ったことを謝罪し、もう一度やり直したいと伝えたが、カイアは許す気になれなかった 別れを告げられた後も、チェイスは執拗にカイアに付きまとっていた。そして、ついに暴力的手段に打って出てきたが、カイアはかろうじて難を逃れる それからしばらくして、チェイスの死体が発見された 地元警察の捜査の結果、チェイスが前日まで着けていたネックレスがなくなっていることが判明する。それ以外に目ぼしい手掛かりは出てこなかった それにも関わらず、警察は事件当日に町の外にいたカイアを殺人容疑で告発したのだった カイアの弁護士トム(デヴィッド・ストラザーン)は法廷で検察側の告発に一つ一つ反論し、陪審員に対し偏見や差別意識を排し事実だけに基づいて有罪・無罪を判断してほしいと訴える

 

     

 

この作品は、全世界で1500万部を売り上げたアメリカ出身の動物学者・小説家のディーリア・オーエンズの同名ミステリー小説を映画化したものです

この映画は、裁判での弁護士トムの熱弁が見どころです 「学校にも行かず、他人と交流することもなく湿地帯で一人で生きている人間は何をしでかすか分からない」という偏見や差別を持たないで、証拠の有無、事実はどうだったかだけを判断基準にして有罪か無罪かを判断してほしい、と陪審員に訴えます その結果、陪審員はカイアの無罪を言い渡します

「終わり良ければすべて良し」かもしれません しかし、それでは一体だれがチェイスを殺したのか?  この映画を観る限り、他に考えられるのはカイアに「チェイスは悪い奴だ。付き合うのはやめた方がいい」とアドヴァイスをしたテイトぐらいしか考えられません しかし、彼の性格からすると、殺すところまではいかないのではないかと思います ただ、この映画の主眼は「犯人捜し」ではなく、「人を偏見や差別意識で見てはいけない」ということなので、あやふやのままにしているのでしょう

ところで、この映画ではテイトと彼の父親がボートの上で会話している時に、ラジオからプッチーニの歌劇「トスカ」第2幕のアリア「歌に生き、恋に生き」が流れてきました 歌声からマリア・カラスではないかと思いましたが、実際にはどうだったのか不明です また、なぜ監督があの有名なアリアをあのシーンで流したのか・・・謎です

 

     

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エドワード・ベルガー監督「西部戦線異状なし」(2022年 Netflix)を観る ~ 究極の反戦映画「わずか数百メートルの陣地を得るために300万人以上の兵士が死んだ」

2023年01月23日 07時01分36秒 | 日記

23日(月)。わが家に来てから今日で2933日目を迎え、米国家安全保障会議のジョン・カービー戦略広報調整官は20日の記者会見で、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」を「国際犯罪組織」に指定し追加制裁を科すと発表し、北朝鮮がワグネルに兵器を提供した証拠だとする衛星写真を公開し北朝鮮を非難した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ヒトラーに利用されたり 軍事会社に名前を借用されたり ワーグナーもいい迷惑だ

 

         

 

Netflix配信でエドワード・ベルガー監督による2022年製作ドイツ映画「西部戦線異状なし」(148分)を観ました

この映画はアカデミー賞を受賞した1930年のルイス・マイルストン監督による映画版で広く知られている、ドイツの作家エリッヒ・マリア・レマルクの長編小説「西部戦線異状なし」を原作の母国ドイツであらためて映画化した戦争ドラマです

物語の舞台は第一次世界大戦開戦から3年目の1917年のヨーロッパ。17歳のドイツ兵パウル・ボイメル(フェリックス・カメラー)は学友のアルベルト・クロップ、フランツ・ミュラー、ルートヴィヒ・ベームとともにドイツ帝国陸軍に入隊し、祖国のために戦おうと意気揚々と西部戦線へ赴く しかし、その高揚感と使命感は凄惨な現実を前に打ち砕かれる ともに志願した仲間たちは最前線で命をかけて戦ううち次々と命を落とし、パウルは次第に絶望と恐怖に呑み込まれていく 11月11日午前5時、ドイツ側の代表団は、これ以上死者を増やせないとして連合国側に停戦協定の締結を持ちかける ドイツに不利な条件で協定が結ばれ同日11時に発効することになるが、フリードリヒ将軍は政府の弱腰を批判し、ドイツの勝利で戦争を終わらせたいとして、10時45分に攻撃を開始するように命令を下す 落胆し、戦意を喪失したパウルは何人かのフランス兵を殺害した末に剣で胸を刺され、その直後に11時を迎えて戦争は終結する

 

     

 

この映画は、究極の反戦映画です 戦争は決して美しいものではなく、最前線で戦う兵士たちにとっては、泥にまみれながら、相手を殺さなければ自分が殺されるという極限状態の中で、”国家のために”戦わなければならないという現実を突きつけます 陸軍では、若い志願兵を前に職員が愛国心に満ちたスピーチをして彼らを熱狂させますが、「大事なのは個人ではなく全体だ」とアジるシーンが印象的です

フランス兵と共に無人地帯のクレーターに閉じ込められたパウルは彼をナイフで何度も刺し、自分を見つめながらゆっくりと死んでいくフランス兵を見て後悔し、死体に向かって許しを請うシーンは強烈です 胸ポケットから出て来た写真を見て、彼には妻と子供がいることを知ったパウルは罪悪感に囚われ、戦争が終わったら彼の妻の元に遺品の写真を届けることを誓います。しかし、その約束は果たされません

休戦協定が締結されたことを聞いた兵士たちは、「これで戦争が終わる。故郷に帰れる」と喜んでいたのに、将軍から「まもなく戦争は終わる。英雄として迎え入れられたいか、それとも臆病者として帰りたいか。諸君、11時まで戦って、勝って戦争を終わらせようではないか」と言われ、ある者は「もう戦争なんてごめんだ」と吐き捨てて逃亡を図ろうとして銃殺されます 終わるはずの戦争がまだ続くことを知らされたパウルの、絶望感に満ちた顔が忘れられません 11時までの15分間戦わなければ、彼は生き延びることが出来たのです

映画は最後に次のようなテロップが流れて幕を閉じます

「西部戦線は1914年10月の戦闘開始から程なくして塹壕戦で膠着、1918年11月の終戦まで前線はほぼ動かなかった わずか数百メートルの陣地を得るため、300万人以上の兵士が死亡、第一次世界大戦では約1700万人が命を落とした

 

     

 

さて、目を105年後の現在に転じると、ロシアが独立国家ウクライナに侵攻してから間もなく1年を迎えようとしています ロシアはウクライナの東部地方を中心に”我が領土”として拡大しようと目論み、多くの受刑者から成る民営軍事会社「ワグネル」の力を借りながら「力」でウクライナを制圧しようとしています これに対しウクライナは、欧米諸国の武器供与を受けながらロシアに対し徹底抗戦の構えをみせています この戦闘によりロシア、ウクライナの双方に多くの死傷者が出ていますが、戦争が長引けば長引くほどその数は増える一方です

この映画を観ると、ウクライナの東部地方では、毎日、きれいごとでない殺し合いが続いていることを想像してしまいます 第一線の兵士たちは好き好んで戦っているわけではないでしょう ひとくくりに「兵士」と呼ばれても、それぞれに名前があり家族がある一人の人間なのです 終わらせることが出来る戦争を終わらせられないのは、「自国が勝利したと思う戦果を得られるまでは戦争は止めない」というフリードリヒ将軍のようなトップがいるからです

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川瀬賢太郎 ✕ 嘉目真木子 ✕ 近藤圭 ✕ 鵜木絵里 ✕ 針生美智子 ✕ 澤原行正 ✕ 宮本益光 ✕ 東京交響楽団でモーツアルト「魔笛」(ハイライト)を観る ~ モーツアルト・マチネ

2023年01月22日 07時06分38秒 | 日記

22日(日)。わが家に来てから今日で2932日目を迎え、政敵やメディアを相次いで訴えるトランプ前大統領の手法は「裁判所の悪用」だとして、南部フロリダ州の連邦地裁判事がトランプ氏と代理人に対し、100万ドル(約1億3000万円)近くの支払いを命じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプの話題はうんざりだが 次期大統領選に立候補表明してるから気が抜けない

 

         

 

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで「モーツアルト・マチネ ~ モーツアルト:歌劇『魔笛 K.620』(ハイライト)」を観ました 本公演は「川崎市・ザルツブルク市  友好都市提携30周年記念」という位置づけにあります 出演はパミーナ=嘉目真木子、タミーノ=澤原行正、パパゲーノ=近藤圭、パパゲーナ=鵜木絵里、夜の女王=針生美智子、魔法の笛(フルート)=岡本裕子、魔法の鈴(ダンサー)=作本美月、グロッケンシュピール=髙田恵子、炎=原紬希(子役・助演)、水=鈴木華(同)、管弦楽=東京交響楽団、指揮=川瀬賢太郎、ナレーション/演出=宮本益光です

30周年記念公演ということもあり、子どもにも解りやすい「魔笛」ということもあって、いつもより多くの聴衆が詰めかけました

オケは8型の小編成で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの東響の並び。コンマスは小林壱成です オケの手前のスペースで歌手陣が歌い、演技します   また、ステージの左右には日本語字幕スーパーが出ます

 

     

 

演奏曲目は次の通りです

①「序曲」(オーケストラ)

②「オイラは鳥刺し」(パパゲーノ)

③「何という美しい絵姿だろう」(タミーノ)

④「恋と知るほどの男の方々は」(パミーナ、パパゲーノ)

⑤「なんと不思議な笛の音だ」(タミーノ)

⑥「立派な男が誰もみな」(パミーナ、パパゲーノ)

⑦「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」(夜の女王)

⑧「愛の喜びは露と消えて」(パミーナ)

⑨「娘っ子か恋女房を」(パパゲーノ)

⑩「私たちは炎を通り抜けた」(タミーノ、パミーナ)

⑪「パパパの二重唱」(パパゲーノ、パパゲーナ)

全体の流れとしては、ナレーターの宮本益光がどういう場面で歌われるかについて簡単に解説を加えてから歌手が歌い、演技する形で進められます 宮本のユーモアを交えたテンポの良いナレーションが素晴らしい モーツアルトはテンポです

宮本の挑発に乗せられて、スキップで登場した川瀬賢太郎の指揮で開始した「序曲」は、軽快そのものです 小規模編成ならではの見通しの良い演奏でした

次いで近藤圭のパパゲーノが登場し、パンの笛を吹きながら「オイラは鳥刺しホイサッサ」と歌いますが、あのカラフルな羽根付き衣装は彼の所属する「二期会」からの借り物だろうか? そういえば、この日出演の歌手陣はすべて「二期会」所属です 近藤は「新国立オペラ」でもパパゲーノを歌いましたが、動きが良く歌も素晴らしい

タミーノ役の澤原行正は最初は硬さがありましたが、後半にいくにしたがって良くなりました

パミーナ役の嘉目真木子は初めて聴きましたが、美しく透明感のあるソプラノでした

夜の女王役の針生美智子は、あの超絶技巧コロラトゥーラ「夜の女王のアリア」を歌いましたが、最高音部がやや不安定になったものの、全体的には堂々たる歌唱でした

さて、この日の公演で一番演技力を発揮したのはパパゲーナ役の鵜木絵里です 彼女も「新国立オペラ」でパパゲーナを歌っていますが、私が思うに、何人も聴いてきた中で彼女こそ最強のパパゲーナです もし自分が「魔笛」のキャスティングを任されたら、パパゲーナは迷わず鵜木絵里を指名します

 

     

 

演出面では、「魔法の笛」をオケの中のフルート奏者でなく、出演者の一人として登場させたのは良かったし、「魔法の鈴」もダンサーに踊らせたのは良かったと思います また、タミーノとパミーナが火と水の「試練」を通り抜けるシーンでは、赤い髪とTシャツの子役が「炎」として登場し、「ほのお」と言いながらタミーノとパミーナに纏わりついていたのと、青い髪とTシャツの子役が水色のボールを持って「水」として登場し、タミーノとパミーナと一緒にボール遊びに興じたり、グロッケンシュピール奏者やヴィオラ奏者も巻き込んだ吉本興業顔負けの演出には思わず笑ってしまいました これが宮本流の試練の演出かもしれん

理屈抜きで滅茶苦茶楽しいコンサートでした たまたま居合わせた隣席の小学生の女児も大喜びで観ていました オペラ「魔笛」のエッセンスが約70分に凝縮した時間の中で上演されましたが、あらためてモーツアルトの音楽の素晴らしさを再認識しました

 

     

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