人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

東京藝大の1600円コンサートのご案内 〜 ブラームス「ピアノ協奏曲第1番」(P:伊藤恵)、シューマン「交響曲第2番」 / 吉田秀和「私のモーツァルト」を読む

2021年06月30日 07時01分16秒 | 日記

30日(水)。月日の流れは速いもので6月も今日で終わり、1年の前半が終わります コンサートは昨年に続き、コロナ禍の影響により前半6か月間で12公演の払い戻しを受けました 公演中止・延期ドミノは もういい加減にしてほしいと思います

ということで、わが家に来てから今日で2363日目を迎え、中国共産党が運営する英字タブロイドメディア「環球時報」の編集者は、香港の「リンゴ日報」の閉鎖をめぐり中国を非難したジョー・バイデン大統領に対し、「トランプのツイッターアカウントはどうなんだ?」「パーラーはどうなんだ?」「トランプとその支持者たちには表現の自由の権利があり、米国政府は基本的な自由を否定し民主的な機関やプロセスを攻撃している」と反論した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ツイッターもパーラーも民間企業の自主規制  リンゴ日報の閉鎖は中国政府の暴政

 

         

 

昨日、夕食に「鮭ハラミのネギ塩焼き」「タコの刺身」「やみつきキュウリ+トマト+アボカド」「もやしの味噌汁」を作りました 火曜日は魚の日です

 

     

     

         

 

東京藝大の低料金コンサートをご案内します 7月10日(土)15時から東京藝術大学奏楽堂で開かれる「東京藝大シンフォニーオーケストラ」による「プロムナード・コンサート14」です プログラムは①ブラームス「ピアノ協奏曲第1番ニ短調」、②シューマン「交響曲第2番ハ長調」です 演奏は①のピアノ独奏=伊藤恵、管弦楽=東京藝大シンフォニーオーケストラ(学生のオケ)、指揮=山下一史です 全席指定で一般=1600円、高校生以下=500円と低料金となっています 強くお薦めします

 

     

     

 

         

 

吉田秀和著「私のモーツァルト」(河出文庫)を読み終わりました 吉田秀和は1913年東京日本橋生まれ。音楽評論家。東大仏文科卒。戦後、評論活動を始め「主題と変奏」(1953年)で指導的地位を確立。48年、井口元成、斎藤秀雄らと「子供のための音楽教室」を創設し、後の桐朋学園音楽科設立に参加。75年「吉田秀和全集」で大佛次郎賞を受賞。2012年逝去

 

     

 

あまり大騒ぎになっていませんが、本の帯にあるように今年=2021年はモーツァルト生誕265年、没後230年に当たります そんな年に出版された本書は、モーツアルトをテーマとした文庫としては、すべて初収録の文章を収録しているとしています

最初は「私が音楽できいているもの モーツァルトの場合」というテーマで書かれていますが、ヤマハホールで観たフルトヴェングラー指揮による「ドン・ジョヴァンニ」のオペラ映画(1953年、ザルツブルク音楽祭)についてかなりのページが割かれています 特に序曲のテンポの遅さに「アンダンテではなくて、アダージョになってしまう」と書き、その意味について考察しています 驚くのは、歌手陣こそ異なるものの、吉田氏はその翌年にザルツブルク音楽祭でフルトヴェングラーの指揮で「ドン・ジョバンニ」を鑑賞しているのです 当時、ザルツブルクまで行って、フルトヴェングラーの指揮による舞台を観られた人がどのくらいいたかを想像すると、吉田氏が日本における音楽評論の先駆者となったことが理解できます もちろん、そればかりではなく、吉田氏は現地に赴いてカール・ベーム、クナッパーツブッシュなど錚々たる指揮者がタクトをとるモーツアルトやリヒャルト・シュトラウスなどのコンサートやオペラを聴いているのです

興味深いのは「音楽を語る資格」という文章です 吉田氏は次のように書いています

「このあいだも、高橋英郎さんから氏の近著『モーツァルト』を送っていただいたので、読み出したら、初めの方に、氏が大学生当時病気になって、病床にいる時、友人の中に小林秀雄の『モオツァルト』を愛読した人が多かったが、『病床で耳で聴いて自分なりの考えをもっていた私は、小林秀雄の感化を受けた友人たちのモーツァルト観にどこかついていけないものを感じていたのも事実である 観念的解釈で力んでいるように思えた。それにモーツアルトにとって大事なオペラをすっかり切り落とし、器楽だけしか認めないという、あるいは短調作品に傾斜した評価はどうしても納得がいかなかった しばらくたってから私は小林秀雄の”モオツァルト”を読んだ。音楽をここまで語ることができるのか、と衝撃に近いものを受けたが、彼のモーツァルト観に関しては、はじめに友人たちが抱いた印象と同じことを感じた』と書いてあった(中略)私から見れば、小林さんの若い頃、実演によってオペラを聴くという経験がなかったことを、よく考えてみる必要がある。高橋さんの友人たちにしても、小林さんよりは若いにしても、戦争中に学生時代ないしは青春時代を過ごした人だったのではないか とすれば、彼らはオペラを観る機会を持てたとしても、熱心な人は別として、すくなくとも、最初の段階では、小林さんのモーツアルト像に魅せられやすいのは、むしろ、当然ではなかったろうか

 

     

 

私も相当、小林秀雄の「モオツァルト」には感化されたクチですが、やっぱり「オペラを観るとしても、目を瞑って聴く」という趣旨の考え方には疑問を抱いたものです オペラは総合芸術なので目で見て耳で聴いて楽しむものだからです また、「短調作品に傾斜した評価」という点については、日本のクラシック音楽界におけるモーツアルト観に測り知れない影響を及ぼしたと思います いわば「短調のモーツアルト」の魅力です しかし、モーツアルトの作品は 長調の曲でも「明るく楽しいと思っていたら突然悲しくなり、そうかと思っていたらまた楽しくなっている」というところがあります 岡田暁生氏が「モーツァルト」(ちくまプリマ―新書)の中で書いているように「楽しいのに寂しい」のがモーツアルトの音楽の本質ではないか、と思います

本書ではモーツアルトの生まれ故郷ザルツブルクについて、モーツアルトの手紙について、グルダの弾くモーツアルトのピアノ・ソナタについて等、幅広く触れています モーツアルト好きにはたまらない1冊です。お薦めします

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第30回Kissポートクラシックコンサートのチケットを取る 〜 ブラームス「ヴァイオリン協奏曲」、ドヴォルザーク「チェロ協奏曲」他 / 追悼 田中邦衛「若者たち」「網走番外地 望郷編」を観る

2021年06月29日 07時21分54秒 | 日記

29日(火)。わが家に来てから今日で2362日目を迎え、民主派支持の香港紙「リンゴ日報」が廃刊に追い込まれたことをめぐり、在日中国大使館報道官は27日 談話を発表し、「報道の自由は、違法行為の口実にはならず、中国に反対し香港を乱す活動を保護する傘でもない」とし、創業者ジミー・ライ氏の逮捕や資産凍結など同紙に対する香港当局の対応を正当化した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     報道の自由=違法行為という中国の主張は 香港の言論の自由を封殺する常套句だ!  

 

         

 

昨日、夕食に「もやし巻き豚肉生姜焼き」「生野菜とツナのサラダ」「玉ねぎの味噌汁」を作りました 「もやし巻き〜」はコスパ抜群で美味しいです

 

     

 

         

 

9月5日(日)17時30分からサントリーホールで開かれる「第30回Kissポートクラシックコンサート」のチケットを取りました プログラムは①ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲、②ブラームス「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」、③ドヴォルザーク「チェロ協奏曲ロ短調」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=荒井里桜、③のチェロ独奏=堤剛、管弦楽=東京交響楽団、指揮=大友直人です フライアーを見て初めて気が付いたので出遅れ、S席はほとんど良い席は売り切れていて、やっと1階席後方のA席を確保しました

 

     

     

 

         

 

現在、池袋の新文芸坐では「追悼  田中邦衛」を上演中です    昨日「若者たち」と「網走番外地 望郷編」の2本立てを観ました

「若者たち」は森川時久監督による1967年製作映画(87分)です

太郎(田中邦衛)、次郎(橋本功)、三郎(山本圭)、オリエ(佐藤オリエ)、末吉(松山政路)の佐藤きょうだいは早くから両親を失い、設計技師の長男・太郎が弟妹たちの面倒を見てきた。ある日、家事・雑用一切を負わされてきた高校生のオリエが、耐えきれずに家出してしまったことから、末吉の大学受験問題、食費の分担問題、運転手・次郎の事故など様々な問題が表面化してくる。それらは長い間、固く団結してきた きょうだいの間を気まずくさせるほど現実的な問題となっていた

 

     

 

この映画は、同名のテレビドラマでコンビを組んだ山内久がシナリオを執筆、森川時久が劇映画初の監督を務めた青春映画です   両親を亡くした5人きょうだいが、友情、恋愛、確執などを繰り返しながらも逞しく生きていく姿を描いた青春ドラマです

私はこの作品がテレビで放映され その後 映画化された時 高校生でしたが、一度も観ていません 今回初めて観て感じたのは、この映画のテーマは学歴偏重社会や差別に対する告発であるということです 長男の太郎は大学を出ていないばかりに、結婚するはずの女性から「大学を出ていないと、社会では出世が遠回りになる」と言われ、口惜しい思いをします だからこそ、末吉に「大学だけは出ろ」としつこく迫るのです また、オリエが原爆の被爆者の親の元に生まれた男と結婚したいと言うと、太郎は絶対許さないと言います しかし、三郎から科学的な知識もなく反対すべきではないと諭されます 次郎以下4人のきょうだいは、兄の太郎に対し「自分たちを思うようにしたいと勝手に考えているが、きょうだいでも他人は他人だ。自分の思うように生きる」と反発します 親代わりになって4人の面倒をみてきた太郎の気持ちは良く分かります また、いくら自分たちを育ててくれたからと言って将来のことまで縛られる筋合いはない、という弟妹たちの気持ちも良く分かります

当時、テレビや映画で観たことはなくても、ザ・ブロードサイド・フォーが歌った主題歌「若者たち」(クレジットでは「空にまた陽が昇るとき」)は流行っていたので知っていました

君の行く道は はてしなく遠い

だのになぜ 歯をくいしばり

君は行くのか そんなにしてまで

君のあの人は 今はもういない

だのになぜ  何をさがして

君は行くのか あてもないのに

君の行く道は 希望へとつづく

空にまた 陽が昇るとき 

若者はまた 歩き始める

空にまた 陽が昇るとき 

若者はまた 歩き始める

この歌詞は今でも良く覚えています シンプルですが、訴えるものがあります

 

         

 

「網走番外地 望郷編」は石井輝男監督による1965年製作映画(88分)です 「網走番外地」と言えば高倉健です。この映画は、旭組と安井組の抗争で相手の安井組の組長を刺して服役していた橘真一(高倉健)が、父親の墓参のために長崎に帰郷し、そこで相変わらず悪行の限りを尽くしている安井組と対峙し、殺された旭組の組長の仇を取るというストーリーです

 

     

 

田中邦衛は、網走での橘の仲間・田所として、外国船の積荷を降ろす仕事を引き受ける役で登場します 残念ながら安井組に襲われ、海に放り込まれてしまう役です

話はまったく違いますが、高倉健の「網走番外地」といえば、大学2年の時に大講堂で上映された学生主催による上映会が思い出されます 「任侠映画祭」みたいなものでしたが、右翼学生も、左翼学生も、ノンポリも、健さんが出ると さかんに声援を送っていました なぜ高倉健だと思想信条を超えて応援するんだろうと不思議に思いながら観ていました みんな酒を飲みながら観ていたような気がしますが、たぶん気のせいでしょう

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サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン「フィナーレ・コンサート」を聴く ~ キュッヒル・クァルテット、へーデンボルク・トリオ、小菅優、吉田誠など総出演

2021年06月28日 07時12分00秒 | 日記

28日(月)。山形県鶴岡市に単身赴任している息子が山形名産サクランボを送ってくれました 冷蔵庫で冷やしてからいただきましたが、とても甘くて美味しかったです

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2361日目を迎え、米国のトランプ前大統領が26日、一族の経営する企業が訴追の恐れに直面する中、退任後初の大規模集会をオハイオ州で開き、来年の中間選挙に向けた本格的な政治活動を再開した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     4年後に返り咲いて 大統領特権で 全ての悪事をチャラにしようとしてるんじゃね?

     

         

 

昨日、サントリーホール「ブルーローズ」でサントリーホール  チェンバーミュージック・ガーデン「フィナーレ・コンサート」を聴きました プログラムは①シューベルト「弦楽四重奏曲 第14番 ニ短調 D.810 ”死と乙女” 」より第2楽章、第4楽章、②ベートーヴェン「ディッタースドルフの主題による14の変奏曲 変ホ長調 作品44」,③同「弦楽四重奏曲 第6番 変ロ長調 作品18-6」、④サン=サーンス「タランテラ 作品6」(フルート、クラリネット、ピアノ用編曲)、⑤メンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調 作品49」より第1楽章(フルート、チェロ、ピアノ用編曲)、⑥シューマン「ピアノ四重奏曲 変ホ長調 作品47」より第1楽章、第3楽章、⑦藤倉大「Hop」クラリネット、チェロとピアノのための(2019:サントリーホール、ラジオ・フランス、アレイミュージックによる共同委嘱)、⑧サン=サーンス:オラトリオ「ノアの洪水」作品45より前奏曲、⑨サン=サーンス(山本祐ノ介編曲)「アレグロ・アパッショナート 作品43」、⑩ベートーヴェン「弦楽四重奏曲 第13番 変ロ長調 作品130より」より第5楽章「カヴァティーナ」(弦楽アンサンブルによる演奏)です

演奏はヴァイオリン=原田幸一郎、ヴィオラ=磯村和英、チェロ=堤剛、毛利伯郎、ピアノ=小菅優、練木繁夫、有島京、フルート=セバスチャン・ジャコー、クラリネット=吉田誠、弦楽四重奏=キュッヒル・クァルテット、クァルテット・インテグラ、ピアノ三重奏=へーデンボルク・トリオ、弦楽合奏=サントリーホール室内楽アカデミー選抜フェローです

 

     

 

自席はC8列3番、センターブロック左から3つ目です。会場は9割方埋まっていると思われます ステージ中央には集音マイクが2本立てられていますが、ライブ配信用と思われます

1曲目はシューベルト「弦楽四重奏曲 第14番 ニ短調 D.810 ”死と乙女” 」より第2楽章、第4楽章です この曲はフランツ・シューベルト(1797-1828)が1817年に作曲した歌曲「死と乙女」のテーマを第2楽章に引用し 1824年に作曲しましたが、シューベルトの死後1833年にベルリンで初演されました

この日のトップバッターはクァルテット・インテグラです 2015年に結成されましたが、メンバーは第1ヴァイオリン=三澤響果、第2ヴァイオリン=菊野凛太郎、ヴィオラ=山本一輝、チェロ=築地杏里の4人です 今回の室内楽アカデミー選抜フェローに選ばれました

4人の演奏で第1楽章に入りますが、シューベルトの悲しみが伝わってくるような演奏でした 第4楽章では切羽詰まった緊張感に満ちた演奏を展開し、彼らの本領を発揮しました

2曲目はベートーヴェン「ディッタースドルフの主題による14の変奏曲 変ホ長調 作品44」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770‐1827)がボン時代の1992年に作曲したと推定されており、「主題」は当時流行していたディッタースドルフのジングシュピールの中から採ったものと考えられています

演奏はザルツブルク出身の3兄弟によるへーデンボルク・トリオ(長男・和樹=ヴァイオリン、次男・直樹=チェロ、三男・洋=ピアノ)です 和樹と直樹はウィーン・フィルのメンバーとして活躍しています

3人の演奏で最初に「主題」が奏でられますが、極めてシンプルな曲で、単純な演奏だったので拍子抜けしてしまいました しかし、そこは変奏が得意のベートーヴェンです。楽しいヴァリエーションが聴けました

3曲目はベートーヴェン「弦楽四重奏曲 第6番 変ロ長調 作品18-6」です この曲はベートーヴェンが1799年から1800年にかけて作曲した6つの弦楽四重奏曲(作品18)の一つです 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アダージョ・マ・ノン・トロッポ」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ」、第4楽章「ラ・マリンコニア:アダージョ ~ アレグレット・クァジ・アレグロ」の4楽章から成ります

演奏はキュッヒル・クァルテットです 第1ヴァイオリン=ライナー・キュッヒル(ウィーン・フィル元コンマス)、第2ヴァイオリン=ダニエル・フロシャウアー(ウィーン・フィル楽団長)、ヴィオラ=ハインリヒ・コル(ウィーン・フィル元ソロ・ヴィオラ)、チェロ=シュテファン・ガルトマイヤー(ウィーン・フィル)というメンバーです。チェロを除く3人は立奏します

4人の演奏で第1楽章に入ります。キュッヒルのリードにより溌剌とした演奏が展開します 第2楽章でもキュッヒルのヴァイオリンが良く歌います 第3楽章は各楽器が饒舌です 第4楽章は前半の物憂げな曲想と、後半の活気あふれる曲想の弾き分けが見事です

 

     

 

休憩後のプログラム後半の1曲目はサン=サーンス「タランテラ 作品6」(フルート、クラリネット、ピアノ用編曲)です この曲はカミーユ・サン=サーンス(1835‐1921)が1857年に作曲したフルート、クラリネット、オーケストラのための作品ですが、今回はフルート、クラリネット、ピアノによる編曲版で演奏されます 演奏はフルート=セバスチャン・ジャコー(ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管の首席奏者)、クラリネット=吉田誠、ピアノ=有島京(アカデミー選抜フェロー)です

有島の刻みに乗せて、クラリネットとフルートがエキセントリックなパッセージを高速で吹きます 片桐卓也氏のプログラムノートによると、「タランテラ」とはイタリアの音楽で、8分の3拍子、あるいは8分の6拍子の速いテンポの作品で、一説には、毒蜘蛛タランチュラに噛まれた後、その毒を抜くために踊り続けなければならないという迷信から生まれた音楽とも言われているとのことです まさにそんな感じの忙しい演奏でした

後半2曲目はメンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調 作品49」より第1楽章(フルート、チェロ、ピアノ用編曲)です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809‐1847)が1839年に作曲、同年ライプツィヒで初演されました 今回はフルート=セバスチャン・ジャコー、チェロ=毛利伯郎、ピアノ=練木繁夫により演奏されます

毛利伯郎のチェロがとても良く鳴っています ピアノもきれいに鳴っています その一方、フルートは演奏は良いのですが音がきつすぎて馴染めません 私はこの曲が大好きですが、やっぱりヴァイオリンで弾いて欲しいと思います

3曲目はシューマン「ピアノ四重奏曲 変ホ長調 作品47」より第1楽章、第3楽章です この曲はローベルト・シューマン(1810‐1856)が1842年に作曲した作品です 演奏はヴァイオリン=原田幸一郎(元東京クァルテット)、ヴィオラ=磯村和英(同)、チェロ=毛利伯郎(元読響ソロ・チェロ)、ピアノ=練木繁夫です

この曲のキモは第3楽章「アンダンテ・カンタービレ」です 4人の演奏を聴いて、これほどロマンに満ちた曲も少ないのではないか、と思いました 少なくともシューマンの作品の中では最良の作品と言っても過言ではないほど素晴らしい音楽だと思います ピアノと弦楽器とのアンサンブルはロマンティシズムの極致でした

4曲目は藤倉大「『Hop』クラリネット、チェロとピアノのための」です この曲は藤倉大(1977~)が2019年にサントリーホール、ラジオ・フランス、アレイミュージックの共同委嘱により作曲した作品です 演奏はクラリネット=吉田誠、チェロ=堤剛、ピアノ=小菅優です

笑顔の小菅優がステージに現れると会場がパッと明るくなる印象があります。それほど彼女のからはプラスのパワーを感じます

3人の演奏で緊張感に満ちた曲想が展開します 初めて聴く”現代音楽”なので聴く側も緊張します 藤倉氏本人のプログラムノートによると、「この作品で僕は、チェロとクラリネットの音と、ピアノの音をリフレクション(反射)させることを思いついた それは、ボールが跳ねるイメージ。スーパーボールが平らじゃないところに当たって、期待通りに跳ね返らず、予想外の方向に飛んで行っちゃう、そんなイメージ」と書いています。そういうイメージを抱きながら聴いていると、なるほどそういう風にも聴こえてきます とにかくクラリネットも、ピアノも、チェロも超絶技巧なのです よくもあんなに速いパッセージを当たり前のように演奏できるものだと感心してしまいます 一番感心したのはチェロの堤剛氏です。日本の音楽界の中では大御所と言っても過言ではない偉大な存在ですが、このような現代音楽にも果敢に挑戦する姿は立派だと思います 正直言うと、私はかつて堤氏についてはあまり優れた演奏者ではないのではないかと思っていました しかし、あるコンサートで名前も知らない現代作曲家の作品にチャレンジしている姿を見て考えを改めました もちろん、演奏に感動したからです。この日の演奏も、吉田、小菅とともに素晴らしかったです

5曲目はサン=サーンス:オラトリオ「ノアの洪水」作品45より前奏曲です この曲は、旧約聖書の中の「ノアの方舟」の物語をオラトリオとして1875年に作曲したもので、1876年に初演されました 演奏するのはチェンバーミュージック・アカデミー・アンサンブルです コンミスはクァルテット・インテグラの第1ヴァイオリン奏者・三澤響果です。メンバーはクァルテット・インテグラの4人をはじめとする16人の研修生です

冒頭の堂々たる弦楽合奏に続き、ヴィオラから順にフーガ風の音楽が現れ、三澤のヴァイオリン独奏によって どこか郷愁を誘うテーマが奏でられます この演奏が素晴らしかった まさに新約聖書の物語の世界に連れていかれそうでした

6曲目はサン=サーンス(山本祐ノ介編曲)「アレグロ・アパッショナート 作品43」です チェロの堤剛が独奏を務め、チェンバーミュージック・アカデミー・アンサンブルの16人がバックを務めます 堤剛のチェロが良く歌い、バックの弦楽合奏がしっかり支えます 年代を超えた素晴らしいコラボレーションでした

最後の曲はベートーヴェン「弦楽四重奏曲 第13番 変ロ長調 作品130」より第5楽章「カヴァティーナ」(弦楽アンサンブルによる演奏)です この曲はベートーベンが1826年に作曲、同年シュパンツィヒ四重奏団により初演された後期の弦楽四重奏曲の一つで、第6楽章は有名な「大フーガ」です

コンミスの三澤響果のリードでベートーヴェン屈指の緩徐楽章が奏でられます ベートーヴェンの本質は緩徐楽章にあり、と言いたくなるようなしみじみと素晴らしい演奏でした

16人のメンバーのうち10人の女性奏者は、思い思いの華やかな衣装で登場し、サントリーホール「ブルーローズ」の室内楽の庭(チェンバーミュージック・ガーデン)に色とりどりのたくさんの花を咲かせました

現在、東京フィルのコンマスを務めている依田真宣君も、ミュンヘン国際音楽コンクールのピアノ三重奏部門で優勝した「葵トリオ」で活躍し、現在ベルリン・フィルのカラヤン・アカデミーで研鑽を積む小川響子さんも、このアカデミー研修生として「室内楽の庭」から巣立っていきました この日出演の研修生の中からも世界に羽ばたく人材が出てくること楽しみにしています

昨年はコロナ禍の直撃で中止となったチェンバーミュージック・ガーデンでしたが、今年は何とか ほぼ当初の予定通りのスケジュールで開催されました 来年こそマスクなしで安心して聴きたいと思います

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飯守泰次郎 ✕ 吉野直子 ✕ 東京交響楽団で ライネッケ「ハープ協奏曲」、ブルックナー「交響曲第7番」を聴く ~ 東響 第691回定期演奏会

2021年06月27日 07時20分01秒 | 日記

27日(日)。わが家に来てから今日で2360日目を迎え、米ニューヨーク州のマンハッタン地区検察官が、トランプ前大統領のビジネスの中核組織「トランプ・オーガニゼーション」を、脱税などの罪で刑事訴追することを検討していると25日、米メディアが関係者の話として伝え、トランプ氏側の弁護士も訴追の可能性を認めた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     大統領特権を失ったトランプに逃れる道はない フェイクまみれのトランプを許すな

 

         

 

昨夕、サントリーホールで東京交響楽団の「第691回 定期演奏会」を聴きました プログラムは①ライネッケ「ハープ協奏曲 ホ短調 作品182」、②ブルックナー「交響曲第7番 ホ長調」(ノヴァーク版・1954年版)です 演奏は①のハープ独奏=吉野直子(グザヴィエ・メストレの代演)、指揮=飯守泰次郎(ベルトラン・ビリーの代演)です

1階席は通常配置で半数の入りでしょうか。2階席はP席やステージ脇の席は結構埋まっていますが、2階正面は自席からは見えません

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの東響の並び。コンマスは水谷晃です

 

     

 

1曲目はライネッケ「ハープ協奏曲 ホ短調 作品182」です この曲はカール・ライネッケ(1824‐1910)が1884年に作曲した作品です 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「スケルツォ=フィナーレ:アレグロ・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります    谷戸基岩氏のプログラムノートによると、ライネッケはメンデルスゾーン、シューマン等に認められ、ライプツィヒ音楽院でピアノ、作曲、アンサンブルを教え、1897年には院長に就任する傍ら、指揮者としてはライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートを35年にわたって主導したとのことです

ハーピストの吉野直子が黒地に赤の花模様、金のラメ入りの煌びやかな衣装で登場します 吉野直子はグザヴィエ・メストレがコロナ禍に伴う入国制限により来日できなくなった代演として急きょ出演することになりました 東響の公式ツイッターには、彼女がこの協奏曲を演奏するのは今回が初めてと書かれていましたが、彼女の前には譜面台がありません どうやら暗譜で演奏するようです

飯守の指揮で第1楽章に入りますが、とても初めて挑戦する曲とは思えないほど鮮やかにハープを操ります 吉野は傍らの飯守の指揮を見ながら演奏します。終結部の長いカデンツァは幻想的で鮮やかでした 第2楽章では弦楽合奏とリリックなハープのアンサンブルが美しく響きました 第3楽章では管楽器、あるいは弦楽器とハープの対話が楽しく聴け、祝祭感に満ちたフィナーレを迎えました

満場の拍手に吉野は、アッセルマン「泉」をアンコールに演奏しましたが、その音色は演奏者の性格を反映しているかのように優しく美しく響きました

 

     

 

プログラム後半はブルックナー「交響曲第7番 ホ長調」(ノヴァーク版・1954年版)です この曲はアントン・ブルックナー(1824‐1896)が1881年から83年にかけて作曲、1884年にライプツィヒで初演されました 第2楽章はワーグナーの死を予感して作曲を進めたとされ、作曲中の1883年にワーグナーの死を知らされ、その追悼の曲として書き上げました 完成された曲はバイエルン国王ルートヴィヒに献呈されました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アダージョ:極めて荘厳に、そして極めて緩やかに」、第3楽章「スケルツォ:極めて速く」、第4楽章「フィナーレ:快速に、しかし速すぎないように」の4楽章から成ります

飯守が指揮台に上がりますが、譜面台にはスコアがありません。暗譜で指揮をするようです

飯守の指揮で第1楽章に入ります。弦のトレモロによる「ブルックナー開始」に乗ってチェロが中心となって第1主題が悠然と演奏されます このチェロがいい この曲の演奏の成功を決定づけたような印象があります 第2楽章では、ワーグナーチューバを中心とするコラールが、ワーグナーの死を悼むブルックナーの心情を表します そして、弦楽アンサンブルの渾身の演奏が深い悲しみを表します 第3楽章では冒頭、トランペットの呼びかけと弦楽器の応答により開始されますが、このリズム感が素晴らしい 小気味よいスケルツォでした 第4楽章は第2楽章での深刻な曲想がなかったかのように明るい曲想が支配します フィナーレは第1楽章冒頭の主題が金管、木管、弦、打楽器によって鳴り響きますが、予想外の速いテンポに驚きました 私は飯守氏は最後はテンポを落として悠然と終わらせると予想していたのですが、あまりにも速いテンポに、オケの勢いに押し切られたか、とさえ思いました しかし、主導権を握っているのは飯守氏です。彼の意図で速くしたのでしょう。圧巻のフィナーレでした

1時間を優に超える交響曲を、飯守氏は弛緩することなく集中力に満ちた演奏を東響の面々から引き出しました。楽員が退場した後、飯守氏がステージに呼び戻され、聴衆の声援に応えました

飯守泰次郎氏 80歳。あとどのくらい彼の指揮で聴けるのだろうか

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川口成彦 ✕ 原田陽 ✕ 新倉瞳でフォーレ「ピアノ三重奏曲ニ短調」、サン=サーンス「ピアノ三重奏曲第1番」他を聴く ~ サントリーホールCMG「フォルテピアノ・カレイドスコープ」

2021年06月26日 07時19分00秒 | 日記

26日(土)。わが家に来てから今日で2359日目を迎え、米ニューヨークの裁判所は24日、ジュリアーニ元ニューヨーク市長がトランプ前大統領の顧問弁護士として、昨年の大統領選について「死者が投票した」などと明らかに虚偽で誤った発言を繰り返し公益を脅かしたと判断し、同氏の州内での法曹資格を一時停止する決定をした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプ ”フェイク” 政権を支えた 取り巻き連中の一人ひとりが 糾弾されていく!

 

         

 

昨日、夕食に「チキンステーキ」を作りました 鶏に塩とブラックペッパーを振って弱火で焼き、時間を置いて タレ(砂糖、醤油、オイスターソース、酒、トマトケチャップ)をからめて焼きます

 

          

 

         

 

昨日、サントリーホール「ブルーローズ」で開かれた「サントリーホール  チェンバーミュージック・ガーデン」参加公演「フォルテピアノ・カレイドスコープ  Ⅳ  〜 19世紀のフランス:サン・サーンスを中心に」公演を聴きました プログラムは①グリーグ「アンダンテ・コン・モート  ハ短調」、②ラヴェル「ヴァイオリン・ソナタ(遺作)」、③フォーレ「ピアノ三重奏曲 ニ短調 作品120」、④J.S.バッハ(サン=サーンス編)「無伴奏ヴァイオリン ソナタ 第3番ハ長調 BWV1005」より第3曲『ラルゴ』、⑤同「無伴奏ヴァイオリン パルティータ第1番 ロ短調BWV1002」より第4曲『テンポ・ディ・ブーレー』(ソロ・ピアノ用編曲)、⑥サン=サーンス:組曲「動物の謝肉祭」より第13曲「白鳥」、⑥同「ピアノ三重奏曲第1番 ヘ長調 作品18」です    演奏はフォルテピアノ=川口成彦、ヴァイオリン=原田陽、チェロ=新倉瞳です

 

     

 

川口成彦は1989年生まれの32歳。第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクール第2位入賞を果たしています    原田陽は1994年ジュリアード音楽院プレ・カレッジに入学、ドロシー・ディレイに師事し、同音楽院から奨学金を授与されています    現在、バッハ・コレギウム・ジャパンのメンバーとして活躍中です    新倉瞳は桐朋学園大学音楽学部を首席で卒業、スイスのバーゼル音楽院ソリストコース・教職課程の両博士過程を最高点で修了    現在はカメラータ・チューリヒのソロ首席チェリストとして活躍しています

なお、川口成彦の弾くフォルテピアノは、サントリーホールが所蔵する1867年製エラールで、かつて福澤諭吉の孫・進太郎がパリの由緒あるサロンから購入した楽器で、フランツ・リストも弾いたと伝えられています

 

     

 

自席はC8列3番、センターブロック左から3つ目です。会場は9割以上入っているでしょうか

1曲目はグリーグ「アンダンテ・コン・モート  ハ短調」です この曲はエドワルド・グル―グ(1843‐1907)が、ピアノ三重奏曲の「緩徐楽章」として作曲したと思われる作品で、1878年6月17日に完成しました 3人の演奏はハ短調特有の悲しみの心情を表したものでした

演奏後、原田陽がマイクを握り 「本公演は1年前に開かれる予定でしたが、コロナ禍の影響でライブ演奏が叶わず、無観客による配信のみでした 1年ぶりに多くの聴衆を前に演奏できることが嬉しい 本日の3人の出演者は初めて会ってからまだあまり時間が経っていませんが、仲良くやっています どれだけ仲が良いかというと、実は昨日、川口君が財布を無くしてしまい帰りの電車賃がなくなってしまったので、私が貸してあげました それほど仲が良いのです。まだ返してもらっていないので、今日は朝からそのことばかり気になっていました 川口君は忘れているようですね」と語り、笑いを取っていました ジョークを言いながら自分では笑わないところは、お笑い芸人になれる素質があります 原田君、失業したら吉本興業に行きますか

2曲目はラヴェル「ヴァイオリン・ソナタ(遺作)」です この曲はモーリス・ラヴェル(1875‐1937)がパリ音楽院の学生時代に書いたソナタの第1楽章です 言わば若き日の「習作」ですが、原田 ✕ 川口コンビによる演奏で聴く限り、すでにラヴェル特有の色彩感溢れる世界が描かれていてビックリしました    とくに川口のフォルテピアノが、時にハープのような音を出していて表現力の幅広さに感心しました

3曲目はフォーレ「ピアノ三重奏曲 ニ短調 作品120」です この曲はガブリエル・フォーレ(1845‐1924)が出版人デュランの勧めにより1922年から翌23年にかけて作曲した作品です 第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンティーノ」、第3楽章「アレグロ・ヴィーヴォ」の3楽章から成ります

3人の演奏で第1楽章に入りますが、フォーレ特有の浮遊感が魅力的です チェロの音が控えめなので、ひょっとしてスチール弦ではなくガット弦(羊の腸を縒り合わせた弦)を使っているのかな、と思ったら、プログラム後半で川口氏が「新倉さんはガット弦に張り替えて、エンドピンも外して演奏している」と説明していました 新倉はチェロにエンドピンがついていないので、楽器を両脚で挟んで演奏します 女性には相当の努力が必要とされます。”努”の字を分解してみれば解ります 第2楽章はメロディーが美しく、第3楽章は3人のアンサンブルが見事でした

 

     

 

プログラム後半の1曲目はJ.S.バッハ(サン=サーンス編曲)「無伴奏ヴァイオリン ソナタ 第3番ハ長調BWV1005」より第3曲『ラルゴ』と同「無伴奏ヴァイオリン パルティータ第1番 ロ短調BWV1002」より第4曲『テンポ・ディ・ブーレー』(ソロ・ピアノ用編曲)です 川口成彦のフォルテピアノ独奏で演奏されます 前者での穏やかな曲想と、後者での溌剌とした曲想が対比され、フォルテピアノの表現領域の広さを感じました

次の曲はサン=サーンス「動物の謝肉祭」より「白鳥」です この曲は今年没後100年を迎えたカミーユ・サン=サーンス(1835‐1921)が1886年に作曲した「動物の謝肉祭」の13番目に演奏される作品です チェロ独奏用の代表曲みたいな作品で、バレエでも踊られます 川口の伴奏で新倉がガット弦特有の柔らかい音でしみじみ感慨深く演奏しました

最後の曲はサン=サーンス「ピアノ三重奏曲第1番 ヘ長調 作品18」です この曲は1864年に完成され、翌65年1月に初演された作品です 第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「スケルツォ:プレスト」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります この曲は初めて聴きましたが、サン=サーンスらしい色彩感にあふれる変化に富んだ曲で、楽しく聴くことが出来ました

満場の拍手に、3人はサン=サーンスと同じ頃に活躍したヴィドールの「ピアノ三重奏のための4つの小品」から第4曲「セレナード」を優雅に演奏し、コンサートを締めくくりました

川口君は原田君にできるだけ早くお金を返した方がいいと思います その前に財布が見つかるといいですね

 

     

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キュッヒル・クァルテットでハイドン「弦楽四重奏曲第32番、第60番、第79番」を聴く ~ アンコールに5曲も!:サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン

2021年06月25日 07時21分47秒 | 日記

25日(金)。わが家に来てから今日で2358日目を迎え、香港で民主派支持を鮮明にしてきた日刊紙「リンゴ日報」が、中国共産党の主導で反体制的な動きを徹底的にたたくために作られた香港国家安全維持法により、ついに廃刊に追い込まれた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     7月1日の中国共産党結党100周年を迎える前に 香港最後の言論の砦を封殺した

 

         

 

昨日、夕食に「肉野菜炒め」と「ニラ玉」を作りました 肉野菜炒めは牛バラ肉が余っていたので、豚バラを買ってきて混ぜました。美味しく出来ました

 

     

 

         

 

昨夕、サントリーホール「ブルーローズ」で「サントリーホール  チェンバーミュージック・ガーデン」の一環として開かれた「キュッヒル・クァルテットのハイドン・ツィクルス  Ⅱ」を聴きました    プログラムはハイドンの①弦楽四重奏曲 第32番 ハ長調、②同・第60番 イ長調、③同・第79番 ニ長調 ”ラルゴ”です     キュッヒル・クァルテットのメンバーは、第1ヴァイオリン=ライナー・キュッヒル、第2ヴァイオリン=ダニエル・フロシャウアー、ヴィオラ=ハインリヒ・コル、チェロ=シュテファン・ガルトマイヤーです

 

     

 

1曲目はハイドン「弦楽四重奏曲第32番 ハ長調」です この曲はフランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732‐1809)が1772年に作曲した6つの弦楽四重奏曲(第31番~第36番)の一つです 表紙に太陽の絵が描かれていたため「太陽四重奏曲」と呼ばれています。第1楽章「モデラート」、第2楽章「カプリッチョ:アダージョ」、第3楽章「メヌエット:アレグレット」、第4楽章「フーガ・ア・クァトロ・ソゲッティ:アレグロ」の4楽章から成ります

日本の聴衆にもお馴染みの4人が登場し配置に着きますが、驚いたことにチェロを除く3人は立奏します ハイドンにしてもモーツアルトにしても初期の弦楽四重奏曲は「ディベルティメント」(喜遊曲)と呼ばれており、当時は立ったまま演奏することもあったということを考慮して、キュッヒル氏は立奏することを選択したのかもしれません ヴィヴァルディやバッハなどの曲で立奏は良く見かけますが、ハイドンの弦楽四重奏曲では初めての体験です

チェロから入り他の楽器とのアンサンブルが展開する第1楽章を聴いて、やっぱりウィーン・フィルの音は違うな、と思いました キュッヒル氏の高音が若干キツイところがあるな、と思いましたが、この楽章だけでした 第2楽章は一転「天翔けるヴァイオリン」という感じで、キュッヒル氏のヴァイオリンが良く歌います 第4楽章冒頭のフーガは面白く聴け、アレグロに移ってからの疾走感がたまりませんでした

2曲目はハイドン「弦楽四重奏曲第60番 イ長調」です この曲は1788年に作曲された3つの弦楽四重奏曲の一つです 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「メヌエット」、第4楽章「フィナーレ:ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

この曲は第1ヴァイオリンの演奏が突出しています 特に第1楽章は技巧を凝らした演奏が展開し、他の楽器をリードします おおらかな第2楽章を経て、第3楽章のメヌエットでは踊り出したくなるような楽しい演奏です 第4楽章のフィナーレは心地よい疾走感がたまりません

 

     

 

最後の曲はハイドン「弦楽四重奏曲第79番 ニ長調 ”ラルゴ” 」です この曲は1797年に作曲され、エルデーディ伯爵に献呈された6つの弦楽四重奏曲の一つです この曲は第2楽章の「ラルゴ」が有名でこの愛称で呼ばれています

この曲でもキュッヒル氏のリードは変わりませんが、とくに良かったのは第2楽章「ラルゴ」です メイン・テーマをヴァイオリンが、ヴィオラが、チェロが奏でますが、それぞれ味わいのある演奏で楽しめました 第4楽章の軽快な疾走感はハイドンならではです 圧巻のフィナーレでした

7時開演の本公演はこの時点でまだ8時半頃でした 当然アンコールが期待されます。当然ハイドンです

4人が再登場し、楽譜に向かいますが、第2ヴァイオリンのフロシャウアー氏が、どこを演奏するのか分からないという風に楽譜をめくっていると、キュッヒル氏が彼の楽譜のページをめくって、指で指して「ここだよ」と教えるコントがありました そして1曲目のアンコール「弦楽四重奏曲第57番ト長調」から第2楽章を演奏しました 満場の拍手に2曲目に入りますが、またフロシャウアー氏が迷っています しかしキュッヒル氏は呆れた顔をして「自分で解決しろ」とばかりに傍観しています そして2曲目のアンコール「弦楽四重奏曲第38番変ホ長調」の第4楽章「フィナーレ:プレスト」の演奏に入ります 終結部の部分で、演奏が終わったと思って聴衆が拍手をすると、4人は再び続きを演奏し、今度こそ終わったと思っていると、また演奏を再開し、何度か繰り返してやっと終わります 聴衆はやんややんやの喝采(声が出せないので拍手)です キュッヒル氏は「してやったり」の顔をしています ちなみにこの曲には「冗談」というニックネームがついています キュッヒルのライナー級のホームランで盛り上がったところで、アンコールもこれで終わりかと思っていたら、3曲目に同じ第38番から第2楽章「スケルツォ」が、4曲目に同じく第3楽章「ラルゴ」が、そして5曲目に同じく第1楽章「アレグロ・モデラート」が演奏されました 何のことはない、弦楽四重奏曲第38番の全4楽章をシャッフルしてアンコールに演奏したのです しかし、冷静に考えてみると、キュッヒル・クァルテットは金曜日(本日)に第57番を、土曜日に38番を演奏することになっているので、そのゲネプロをアンコールでやり遂げたとも言えます したかかなクァルテットです

アンコールが30分以上続いたため終演は9時を回りましたが、実に楽しいコンサートでした

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シューベルト「八重奏曲」、クロンマー「クラリネット四重奏曲」を聴く ~ 新日本フィル室内楽シリーズ:重松希巳江、河村幹子、藤田麻理絵、吉村知子ほか

2021年06月24日 08時04分17秒 | 日記

24日(木)その2.よい子は「その1」も見てね モコタロはそちらに出演しています

昨夕、すみだトリフォニーホール(小ホール)で新日本フィル「室内楽シリーズ 第141回・重松希巳江プロデュース編」公演を聴きました プログラムは①クロンマー「クラリネット四重奏曲 ニ長調 作品82」、②シューベルト「八重奏曲 ヘ長調 作品166.D803」です 出演はクラリネット=重松希巳江、ヴァイオリン=吉村知子、竹中勇人、ヴィオラ=脇屋冴子、チェロ=飯島哲蔵、コントラバス=菅沼希望、ファゴット=河村幹子、ホルン=藤田麻理絵です

 

     

 

1曲目はクロンマー「クラリネット四重奏曲 ニ長調 作品82」です この曲はモーツアルトとほぼ同じ時代に活躍したチェコの作曲家フランツ・クロンマー(1759‐1831)が1816年頃に出版した作品です 彼の総作品数は何と300曲を超えるそうです 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「メヌエット:アレグレット」、第4楽章「ロンド」の4楽章から成ります

左から吉村、脇屋、重松、飯島という並びでスタンバイします ところで、開演30分前に行われた「プレトーク」で今回の仕掛け人・重松さんが次のように話をしていました

「1年前に新日本フィルを退団された吉村さんは 現役時代”ボス”と呼ばれていました    言いにくいことをビシバシと指摘して恐れられていました    今回も久しぶりに現役組とリハーサルに当たりましたが、相変わらず鋭い指摘をしていました     ボスには必ず”裏ボス”がつきものです。現在、”裏ボス”はヴィオラを弾いている脇屋さんです     リハーサルでは若手の男性陣に鋭い指示を飛ばしていました

吉村さんのボスは知っていましたが、あの大人しそうな脇屋さんが裏ボスだとは予想外でした 人は見かけによらないものです でも、実力がない人はボスや裏ボスにはなれませんから、本当は頼りになる存在なのだと思います(ナイス・フォロー

4人の演奏で曲全体を聴いた印象は、ニ長調の曲なので明るく愉悦感に満ちた曲想ですが、重松のクラリネットを中心にシンプルながら味わいのある演奏が聴けました とくに第3楽章は冒頭でクラリネットがカッコウの鳴き声のようなフレーズを吹くのが印象的でした

 

     

 

プログラム後半はシューベルト「八重奏曲 ヘ長調 作品166.D803」です この曲はフランツ・シューベルト(1797‐1828)がクラリネットの愛好者トロイア伯フェルディナントの依頼により1824年に作曲したクラリネット、ホルン、ファゴット、ヴァイオリン(2)、ヴィオラ、チェロ、コントラバスのための作品です 第1楽章「アダージョ ~ アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ ~ トリオ」、第4楽章「アンダンテ・ウイズ・ヴァリエーション」、第5楽章「メヌエット:アレグレット」、第6楽章「アンダンテ・モルト ~ アレグロ」の6楽章から成ります

前に左から吉村、竹中、脇屋、飯島、後列に左から藤田、河村、重松、そして菅沼という並びでスタンバイします 「七重奏曲」だったらブーメラン型に一列で配置するのでしょうが、楽器が一つ増えるとそうもいかないようです 第1楽章では、ホルンの音が若干大きすぎるきらいがありましたが、第2楽章以降はまったく気にならなくなりました むしろ、一番 安定した音が出しにくいホルンを藤田麻理絵は良く制御して演奏したと思います 第2楽章では重松の抒情的な演奏が素晴らしい 私はこの楽章が一番好きです。第3楽章はシューベルト特有のスケルツォです 小気味の良い演奏が聴けました 第4楽章で感心したのは、ベートーヴェンは変奏曲が得意でしたが、シューベルトも負けず劣らず歌心に満ちた変奏曲を書いたということです 第5楽章では河村のファゴット、重松のクラリネットの演奏が冴えわたりました 第6楽章では冒頭のアンダンテ・モルトから、一転してアレグロに移るところで、ベートーヴェンの「七重奏曲」にソックリだなと思いました それを言うなら、この曲全体が「ベートーヴェンの『七重奏曲』のような作品を書いて欲しい」という依頼に応じて書いたものなので、曲の作り方全体がベートーヴェン風なのです

最後の音が鳴り終わって、会場いっぱいの拍手がステージ上の8人に送られ、カーテンコールが繰り返されました 実は、NAXOSのCDでこの曲を予習してきたのですが、生で聴いた8人の演奏の方がよっぽど素晴らしかったです CDと違って、生演奏は演奏者の熱が伝わってきます

 

     

 

実は、この日午前は 池袋での「芸劇ブランチコンサート」と 新日本フィルの「トパーズ公演 公開リハーサル」が同じ時間帯で重なってしまったので、チケットを買ってあるブランチコンサートを聴いたのですが、唯一の心残りは新日本フィル・パトロネージュ部の登原さんとお話しできないことでした ひょっとして夜の「室内楽シリーズ」でお会いできるかもしれないと淡い期待を抱いて出かけました 会場では、登原さんらしき人がお客さんと話をしていたのですが、間違えては失礼だと思い声をかけませんでした すると、登原さんの方で気がついて 声をかけてくれました。彼女は普段フェイスシールドとマスクを着用しているのですが、この日はフェイスシールドを付けておらず いつもと雰囲気が違ったので声をかけるのをためらったところもありました

登原さんの所属するパトロネージュ部は、新日本フィルの経営を支えてくれる賛助会員や維持会員を担当する部門ですが、話を聞くと、昨年から今年にかけては、コロナ禍の影響で経営環境が厳しく、新シーズンの定期会員も例年ほどは見込めないようです 一般企業を回ってオーケストラを支援してくれるようお願いしているが、コロナ禍の影響で企業も厳しい経営状況にあるので、特にクラシック音楽に直接関心を持たない企業の担当者の理解を得て、財政面での支援をしてもらうところまでもっていくのが非常に困難なようです 一番望ましいのは定期演奏会を中心に集客力を高めることです 登原さんから「先日の読響のコンサートは満席になったと聞きました」という話が出ましたが、読響の土曜・日曜マチネ―シリーズ(ヴァィグレの指揮で反田恭平がシューマンのピアノ協奏曲を弾いた公演)のことです 人気のあるソリストや指揮者を呼べば集客力を高めることはできますが、それには相当のコストがかかります 年間シリーズの中で何度かそういうコンサートを開くことは出来るかも知れませんが、毎回やっていたらオケが破産します 読響(読売新聞社などが母体)、N響(NHKが母体)、都響(東京都が母体)などは経営基盤がしっかりしているので まだ良いですが、新日本フィルをはじめ自主運営オーケストラは経営的に厳しいものがあります さらに、東京だけでもプロのオーケストラは新日本フィルをはじめ、N響、読響、東響、東京フィル、東京シティ・フィル、日本フィル、都響、東京ニュー・シティ管と9つもあり、客の争奪戦が続いているのが現状です

こうした厳しい状況の中で 各オーケストラは それぞれの特色を出して他のオケとの差別化を図らなければ生き残れません 登原さんには、集客の一つの方法として、将来有望な若手の指揮者を起用して育て、時間をかけて集客につなげることを提案しましたが、すぐに採算が取れる方法ではありません いま、オーケストラはいかにして集客力を高めるか、いかにして経営基盤の安定化を図るかについて悩んでいます 人気の指揮者やソリストを呼ぶのか、プログラム編成に工夫を凝らすのか(大曲主義でいくか、毎回 協奏曲を入れるか、チクルス制を採用するか等)、料金設定を見直して より多くの人が聴けるようにするのか、聴衆の高齢化を踏まえて 将来の聴衆を育てるため 学校へのアウトリーチを充実させたり 子供の入場料を無料にするのか、賛助会員・維持会員制度を充実させてオケのファンを増やす努力をするのか、室内楽シリーズのような演奏家と聴衆が身近で向き合うことが出来るコンサートの充実を図るのか・・・アプローチの方法はいくつもありそうな気がします さらに新日本フィル特有の課題としては、上岡敏之氏の後任の音楽監督を出来るだけ早く選任することです それには集客力が期待できる音楽監督でなければなりません 直面する課題が山積するなか、新日本フィルは楽団員はもちろんのこと、登原さんをはじめ事務局の皆さんも毎日、オケの方向性を模索しながら懸命に頑張っています 私も微力ながら出来るだけの支援はしようと思っています

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伊藤亮太郎 ✕ 佐々木亮 ✕ 香月麗 ✕ 清水和音でモーツアルト「ピアノ四重奏曲第2番」、ハイドン「ピアノ三重奏曲第25番”ジプシー・ロンド”」他を聴く ~ 芸劇ブランチコンサート

2021年06月24日 06時55分14秒 | 日記

24日(木)その1.わが家に来てから今日で2357日目を迎え、東京都は23日、妊娠の可能性があるとしていた上野動物園のジャイアントパンダ「シンシン」が同日未明に2頭を出産したが、名前は一般公募にするかを含め まだ決まっていない  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     暗い話題ばかりの世の中に生まれたから「シェイシェイ」と「ペイペイ」はどうよ

 

         

 

昨日、夕食に「トンテキ」「生野菜サラダ」「卵スープ」を作りました   これまで塩コショウの味付けによる「豚肉のソテー」を作ったことはありますが、砂糖、醤油、味醂、オイスターソース、生姜、ニンニクのタレで焼いた「トンテキ」は今回が初挑戦です レシピ通りに作れば何とか美味しく出来るものです

 

     

 

         

 

昨日、午前11時から芸劇で「ブランチコンサート」を、午後7時から「新日本フィル室内楽シリーズ」を聴きました ここでは東京芸術劇場コンサートホールで開かれた「第30回 芸劇ブランチコンサート ~ 古典派こそクラシック」公演について書きます

プログラムは①ハイドン「ピアノ三重奏曲第25番 ト長調 ”ジプシー・ロンド” 」、②ベートーヴェン「弦楽三重奏曲第4番 ハ短調 作品9-3」、③モーツアルト「ピアノ四重奏曲第2番 変ホ長調 K.493」です 演奏はヴァイオリン=伊藤亮太郎(N響コンマス)、ヴィオラ=佐々木亮(N響首席)、チェロ=香月麗、ピアノ=清水和音です

 

     

 

会場は通常配置ですが7割くらい入っていると思われます 確かに1時間強のコンサートで2,400円は魅力です

1曲目はハイドン「ピアノ三重奏曲第25番 ト長調 ”ジプシー・ロンド” 」です この曲はフランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732‐1800)がロンドン滞在中の1794~95年に書かれたと見られています 「ジプシー・ロンド」の愛称は、第3楽章「ハンガリー風ロンド」に基づいています 第1楽章「アンダンテ」、第2楽章「ポーコ・アダージョ」、第3楽章「ハンガリー風ロンド:プレスト」の3楽章から成ります

伊藤のヴァイオリン、香月のチェロ、清水のピアノによる演奏です。本シリーズ初登場の香月麗(かつき・うらら)は愛知県出身、桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコースを修了。2017年第86回日本音楽コンクール第1位を受賞 現在ローザンヌ高等音楽院大学院で研鑽を積んでいます

全楽章を通じて聴いた印象は、3つの楽器が良く溶け合って美しく響いていたということです 伊藤のヴァイオリンが抜群に巧いのは言うまでもありませんが、香月のチェロが控えめながらもしっかりと存在感を示していました

演奏後、進行役兼任の清水氏が香月さんにインタビューしましたが、清水氏はいつものようにモゴモゴトと早口で喋るので半分以上は聴きとれません それでも何とか聴きとれたのは、香月さんに対して「現在は男性の若手チェリストは結構いるけれど、女性の若手はあまりいないので、売り出すチャンスかもしれない」と話していたことです 伊東裕、伊藤悠貴、佐藤晴真・・・と挙げていくと確かにその通りだと思います きっと売れると思います

2曲目はベートーヴェン「弦楽三重奏曲第4番 ハ短調 作品9-3」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770‐1827)が1797年から翌98年にかけて作曲した3つの弦楽三重奏曲のひとつです 第1楽章「アレグロ・コン・スピーリト」、第2楽章「アダージョ・コン・エスプレッシオーネ」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「フィナーレ:プレスト」の4楽章から成ります

伊藤、佐々木、香月の3人による演奏ですが、ベートーヴェンの宿命の調性「ハ短調」を反映したシリアスで悲劇的な性格が良く表れていました 弦楽だけの三重奏ということで、あまり面白みがないかな・・・と思いましたが、そんなことはなく起伏に富んだ魅力的な曲でした 演奏した3人に共通しているのは「われが われが・・」という自己主張の強さがなく、お互いの立場を尊重しながらアンサンブルを重視する姿勢が見られる点だと思います

 

     

 

最後の曲はモーツアルト「ピアノ四重奏曲第2番 変ホ長調 K.493」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756‐1791)が出版商のホフマイスターの依頼で1786年にヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ピアノのために作曲した作品です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「アレグレット」の3楽章から成ります 

4人の演奏で第1楽章に入りますが、愉悦感に満ちた明朗な音楽が奏でられます 4人とも肩の力が抜けた柔軟な演奏で、アンサンブルが見事に揃っています 第2楽章は穏やかでとても良い演奏です 第3楽章は愉悦感に満ちたピアノから入りますが、終始ピアノが活躍します。弦楽器対ピアノの饗宴が楽しめました

 

     

 

演奏終了後、帰りがけに10月以降の「ブランチコンサート」のチケットを3回分購入しました。下のフライヤーにある通り、どの回も充実のプログラムです

 

     

     

 

この後、一旦自宅に戻り一休みしてから夕食を作って食べ、次の会場、すみだトリフォニーホール(小ホール)に向かいました 「新日本フィル室内楽シリーズ」については「その2」をご覧ください

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METライブビューイング「セヴィリアの理髪師」を観る 〜 フアン・ディエゴ・フローレス、ジョイス・ディドナート、ペーター・マッテイなど最高の歌手陣による最高のパフォーマンス!

2021年06月23日 07時09分42秒 | 日記

23日(水)。わが家に来てから今日で2356日目を迎え、各国の外交官車両による駐車違反が多発している問題で、駐車違反金を支払わないまま、5年の時効を迎えた「踏み倒し」の件数はロシアが最多(18年度は1140件)で、2番目の中国(482件)の2倍以上だった  というニュースを観て感想を述べるモコタロです

 

     

     やっぱり独裁主義国家は 他国の領土でも無法行為を平然とやる点では共通してるな

 

         

 

昨日、夕食に「鮭の塩焼き」「タコの山掛け」「生野菜サラダ」「冷奴」「エノキダケの味噌汁」を作りました 「タコの山掛け」については、娘から「タコと山芋は別にしてほしい」と言われました 皆さん、「タコの山掛け」はあり得ないですか

 

     

 

         

 

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、ロッシーニ「セヴィリアの理髪師」を観ました これは2007年3月24日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です 出演はアルマヴィーヴァ伯爵=フアン・ディエゴ・フローレス、ロジーナ=ジョイス・ディドナート、フィガロ=ペーター・マッテイ、バルトロ=ジョン・デル・カルロ、ドン・バジリオ=ジョン・レリエ。管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、指揮=マウリツィオ・ベニーニ、演出=バートレット・シャーです

私がこの公演のライブビューイングを観るのは今回で5回目だと思います METは2014年11月22日収録の同じ演出による「セヴィリアの理髪師」もライブビューイングとして上映していますが(伯爵=ローレンス・ブラウンリー、ロジーナ=イザベル・レナード他)、毎年のようにアンコール上映されてきたのは2007年収録の本公演です それほど繰り返しに耐えうる素晴らしい公演だということです 上映時間は休憩と出演者へのインタビュー等を含めて3時間25分ですが、何度観ても飽きません

今回の上映では最初にアルマヴィーヴァ伯爵を歌ったフアン・ディエゴ・フローレスと、ロジーナを歌ったジョイス・ディドナートが日本の観衆に向けてビデオメッセージを寄せてくれました 2人とも「あれから14年も経ってしまったが、アンコール上映の形で日本の皆さんに再び観ていただけることを嬉しく思う お楽しみいただきたい」と挨拶しました

 

     

 

アルマヴィーヴァ伯爵は、プラドの街でたまたま見かけたロジーナに一目ぼれしてしまい近づこうとする しかし、彼女にはバルトロという後見人がいて ロジーナを家に閉じ込めているので会うことが出来ない    アルマヴィーヴァ伯爵は、身分に関係なく自分を愛してくれるかどうかを確かめるため、ロジーナには自分は貧乏学生のリンドーロだと名乗ることにする     一方、バルトロはロジーナの財産目当てに結婚しようとしている そんなところに、アルマヴィーヴァ伯爵の旧知のフィガロが現れる 幸いフィガロはバルトロの家に「何でも屋」として出入りしているというので、伯爵はロジーナに会うため何とか協力してくれと頼む アルマヴィーヴァ伯爵はフィガロの手引きで、酔った兵士に成りすましてバルトロ家に押し入ったり、音楽教師のフリをしてロジーナに接触しようとするが、うまく接近できずドタバタ劇が展開する 手紙の勘違いもあって、ロジーナは一旦はバルトロとの結婚を承諾するが、誤解も解けてハッピーエンドを迎える

 

     

 

このライブビューイングについては何度か当ブログに書きましたが、何度観ても同じような感想になってしまいます そこで、ご一緒した Kirioka さんの言葉を借りれば、「とにかく歌手陣のレヴェルが非常に高い すべてのキャストが”はまり役”で、歌唱力が優れているだけでなく演技力も素晴らしい そして、オーケストラボックスを囲むように設置した張り出し舞台による演出が斬新で、オペラの魅力にあふれている」ということになります

アルマヴィーヴァ伯爵を歌ったフアン・ディエゴ・フローレスは、軽やかで高音域が伸びる当代一のレッジェーロ(テノール)歌いで、ギターの伴奏でロジーナを想って歌うアリアや、フィナーレ直前の大アリア「もう、逆らうのは止めろ」をはじめ、輝くテノールを披露し聴衆を圧倒しました また、酔っぱらい兵士や音楽教師に変装した時のコミカルな演技も光っていました

ロジーナを歌ったジョイス・ディドナートは、歌唱力も美貌もヒロインに相応しいソプラノで、アリア「今の歌声は」をはじめ美しい歌声で聴衆を魅了しました

フィガロを歌ったペーター・マッテイは、アリア「私は町の何でも屋」をはじめ、力強い歌唱力と精力的な動きで主役を食うほどでした

バルトロを歌ったジョン・デル・カルロは、コミカルな演技力が魅力で、アリア「わしのような医者に向かって」に代表される超絶早口言葉には唖然としました

ドン・バジリオを歌ったジョン・レリエは、アリア「陰口はその風のように」を低音の魅力たっぷりに歌い上げました

このオペラの最大の魅力は、「序曲」や「アリア」に組み込まれた「ロッシーニ・クレッシェンド」です この魅力に取りつかれたらロッシーニから逃れることはできません

午後1時25分に上映終了後、Kirioka さんと近くの紀伊国屋ビル地下の「D」で遅いスパゲッティ・ランチをしました    健康面の話題や共通の知人の近況などについて話しましたが、コロナ禍の影響で上映中止となったMETライブビューイング、ヴェルディ「椿姫」の振替上映が7月16日(金)~21日(水)と決まったので、日程調整して一緒に観に行きましょうと約してお別れしました

家に帰って、さっそく「METライブビューイング プレミアム・コレクション2021」の全国共通鑑賞券をイープラス経由で取りました 通常は1枚3200円ですが、この鑑賞券は2枚セットで6000円です。ただし、座席指定券と引き換える必要があります 本物のオペラは料金が高いし、余程 良い席を取らないと歌手の表情や仕草が見えませんが、METライブだと 顔や仕草のアップを複数のカメラで捉え、それを大スクリーンに映し出すので 全体像を把握し易いというメリットがあります   まず最初にMETライブからオペラ・デビューするという方法もあります オペラは楽しいですよ

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西川美和監督「すばらしき世界」& 藤井道人監督「ヤクザと家族 The Family」を観る 〜 ヤクザにとっていかに生きにくい世の中になったかを描いた2作品

2021年06月22日 07時16分11秒 | 日記

22日(火)。わが家に来てから今日で2355日目を迎え、台湾当局は20日、香港にある出先機関の「台北経済文化事務所」の職員に対し、香港政府がビザ更新の条件として「一つの中国」を支持する誓約書に署名を求めてきたとし、抗議する声明を発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     中国の習近平政権の思惑が「香港の次は台湾だ」ということを明確に示した事例だ

 

         

 

昨日、夕食に「ハッシュドビーフ」と「生野菜サラダ」を作りました ハッシュドビーフは久しぶりですが、わが家の牛肉はバラ肉を使います。安くて美味しいです

 

     

 

         

 

昨日、新文芸坐で「すばらしき世界」と「ヤクザと家族 The  Family」の2本立てを観ました

「すばらしき世界」は西川美和監督による2021年製作映画(126分)です

殺人を犯し13年の刑期を終えた三上正夫(役所広司)は、目まぐるしく変化する社会からすっかり取り残され、身元引受人の弁護士・庄司(橋爪功)らの助けを借りながら自立を目指していた そんなある日、行き別れた母を探す三上に、若手テレビディレクターの津乃田(仲野太賀)と、やり手のプロデューサーの吉澤(長澤まさみ)が近づいてくる 彼らは、社会に適応しようとしてあがきながら生き別れた母親を捜す三上の姿をドキュメンタリーに仕立て上げようとしていた しかし、チンピラに絡まれているサラリーマンを助けようとチンピラをボコボコにする三上の姿を見た津乃田は、殺人現場を目撃するかもしれないと恐れをなして現場から逃げ、吉澤は彼をプロ根性がないと非難する やがて、津乃田は三上の真っ直ぐな人間性に惚れ、彼の一代記を小説に書こうと決心する

 

     

 

この映画は、直木賞作家・佐木隆三が実在の人物をモデルに綴った小説「身分帳」を原案に、舞台を原作から約35年後の現代に置き換え、人生の大半をヤクザの世界と刑務所で過ごした男の再出発の日々を描いた作品です

一度殺人を犯した人間は、刑期を終えて世間に戻っても、身元引受人をはじめ理解ある人たちの助けがないと簡単には生きていけないという実態を描いています 三上は見た目は強面ですぐにカッとするタイプですが、根は優しく、困った人を見ると放っておけず、暴力で解決しようとする癖が抜けません 津野田をはじめ周囲の人たちが、それではいつまで経っても社会には復帰できないと説得します

三上が公衆電話を使うのが不便だと言うと、生活保護の担当者から「生活保護を受けているからといって、ケータイを持ってはいけないということはありません 大事なことは社会と繋がりを持って、孤立しないことです」と言われるシーンがあります。これは何も、過去の犯罪者に限ったことではないかもしれません(年寄りの単身世帯など)が、本人はもとより周囲の人たちも、孤立しないように留意すべきだという監督のメッセージが込められていると思います

ところで、映画の終盤で三上が自転車で帰宅する途中、ケータイに元妻から電話があり自転車を止めて会話するシーンがありますが、女性のスキャットでバックに流れていたのは、マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲でした とても美しい音楽で、西川美和監督のセンスの良さを感じました

「すばらしき世界」というタイトルは、映画の冒頭には出て来ず、すぐにストーリーに入っていきます ラストで、カメラが三上が住んでいたアパートの上に広がる青空を映し出したときに初めて現れます。出所してから介護職員として働くようになるまで、いろいろな人たちの力を借りて生き延びてきた三上にとって、世間は「すばらしき世界」だったのかもしれません

 

     

 

         

 

「ヤクザと家族 The  Family」は藤井道人監督による2021年製作映画(136分)です

時は1999年。父親を覚せい剤で失った山本賢治(綾野剛)は、紫咲組組長・柴咲博(舘ひろし)の危機を救う その日暮らしの生活を送り、自暴自棄になっていた山本に、柴咲は手を差し伸べ、2人は親子の契りを結ぶ 2005年、短気ながら一本気な性格の山本は、ヤクザの世界で男を上げ、さまざまな出会いと別れの中で、自分の「家族」を守るため、抗争相手の幹部を殺害し刑務所に収監される 2019年、14年の刑期を終え出所した山本だったが、柴咲組は暴対法の影響でかつての隆盛の影もなく衰退の一途をたどっていた

 

     

 

この映画も、ヤクザが世間で生きていくことの難しさを描いています この映画でも描かれていますが、とくに暴対法の施行がヤクザに及ぼした影響には計り知れないものがあります

暴対法(暴力団員による不当な行為の防止に関する法律)は、「暴力団の行う暴力的要求行為について必要な規制を行い、暴力団の対立抗争等による市民生活に対する危険を防止するために必要な措置を講ずるとともに、暴力団員の活動による被害の予防等に資するための民間の公益的団体の活動を促進する措置等を講ずることにより、市民生活の安全と平穏の確保を図り、もって国民の自由と権利を保護することを目的とする」という法律です

映画の中でも語られますが、この法律により、暴力団員は、組から脱退しても5年間は預金通帳も開設できないし、携帯電話さえ買えないという「5年ルール」があるといいます 本人が堅気の人間になったと主張しても、その人と付き合うと「反社会的勢力」と繋がりがあるとして避けられるというのが実態だといいます

この映画では、ヤクザの世界は一昔前の「義理と人情」の世界はとっくに終わり、ビジネスとしての「しのぎ」によって縄張り争いを繰り広げ、それも暴対法で厳しく規制されるようになり、増々縮小傾向にあるという流れが描かれています その流れ自体は、正常な商慣習による取引が保証されることになるので歓迎すべきことだと思いますが、視野を広げて考えてみると、どこにも行き場のない「ハンパ者」を受け入れていた暴力団が壊滅状態になった時、どこのだれが彼らの面倒をみるのか、という心配が残ります その反面、暴力団が「ハンパ者」を使い、「オレオレ詐欺」の片棒を担ぐような仕事をさせているというニュースに接すると、やっぱり暴力団の存在は許しておいてはならないと思います

ところで、この映画のタイトル「ヤクザと家族 The  Family」で思い出したことがあります 学生時代のことだったと思います。地元では例年8月6,7日は七夕祭りで、通りに縁日の屋台が出るのですが、屋台の軽トラックがバックしてきてわが家の業務用バンに追突し、フロントがへこんでしまいました その時、父親は「しようがないやつだな」と言いながら、すぐに自動車整備工場に電話をして修理依頼をしましたが、軽トラックの運転手が謝罪にきても、「いいから、引き取ってくれ」と言って弁償もさせずに追い返してしまいました あとで父親が晩酌しながら言ったのは、「ああいう連中はヤクザか、裏で暴力団と繋がっている 修理代でも請求して、あとで暴力団が乗り込んで来たら大変なことになる。だから弁償しろとは言わなかったんだ」ということでした その時の運転手がヤクザだったのか、裏で暴力団と繋がっていたかどうかは分かりませんが、あの時、父親は「家族を守った」のです 傍から見れば「泣き寝入り」ですが、その当時は暴対法などない時代でした。ヤクザが血のつながりのない「家族」を守る以前に、堅気の一般市民は自分の本当の家族を守っているのです

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