31日(木)。ついに今日で2015年も終わり。あなたにとってどんな1年だったでしょうか?
私の①クラシック・コンサート、②映画、③読書の年間目標達成状況は年明けにご報告いたします 今日は1年の締めくくり、最後のコンサートに行ってきます ということで、わが家に来てから460日目を迎え。何やら見つけたモコタロです
あれは何だ? 風か? 光か? ウルトラマン! 古ッ!!
閑話休題
昨日、池袋の新文芸坐で「日本のいちばん長い日」を観ました 今年最後の映画鑑賞(66本目)です。戦後70年を迎えた今年の8月に公開された、半藤一利著「日本のいちばん長い日 決定版」原作、原田眞人監督による大作です
太平洋戦争末期、戦況が絶望的となった1945年4月、鈴木貫太郎内閣が発足した。7月に連合国から日本に対し無条件降伏を求める共同宣言であるポツダム宣言が出され受諾を迫られる 連日連夜、閣議が開かれるが、降伏か本土決戦かを巡って陸軍大臣と海軍大臣の対立を中心に議論が紛糾する 全面降伏の勧告を黙殺する日本に対し、アメリカは広島、次いで長崎に原爆を投下する。8月14日に御前会議が開かれ、天皇の”ご聖断”をもとに閣僚は降伏を決定する。しかし、過去の戦争で負けたことのない日本には必ず神風が吹くとする若手将校たちはクーデターを企てる 皇居や放送局を占拠し、自分たちの主張をラジオを通じて国民に訴えようとする。結局、彼らのクーデターは頓挫し、天皇の玉音放送が8月15日正午に流される。映画は、そうした日本の運命を決した「日本のいちばん長い日」に焦点をあて、ドキュメンタリータッチで描いていく
この映画で軸となるのは5人です。1936年の2.26事件で銃弾4発を受けるが一命をとりとめ、その後、天皇の侍従長として7年務めたのちに第42代内閣総理大臣に就任した鈴木貫太郎(山崎努) 鈴木貫太郎が侍従長だったとき侍従武官として天皇に仕え、鈴木に請われて陸軍大臣になった阿南惟幾(役所広司) 第124代天皇・裕仁(本木雅弘) 皇居を占拠するクーデターの首謀者の一人、陸軍少佐・畑中健二(松坂桃李) 首相を支える内閣書記官長・迫水久常(堤真一)の5人です。
まず、鈴木貫太郎総理を演じた山崎努は、どことなくとぼけた、それでいて決断すべき時はびしっと決断する一国の主を見事に演じています 戦争映画にはこの人が欠かせない、と思わせるのが阿南陸軍大臣を演じた役所広司です これほど軍服が似合う役者はいないでしょう。昭和天皇を演じた本木雅弘については、この映画が公開された際に、”重みがない”的な批判があったように記憶していますが、昭和天皇とともに時代を過ごした人から見ればそうなのかもしれません。が、平成生まれの若い人たちから見れば”なんのこっちゃ”でしょう
内閣書記官長の迫水を演じた堤真一は、喜劇的な役も、こうしたシリアスが役も、それらしい演技ができる役者です 実際にこういう将校がいたんだろうな、と思わせるのが畑中陸軍少佐を演じた松坂桃李です 当時の若者たちは「日本は過去の戦争で負けたことはないし、これからも絶対に負けるはずがない」と教育されてきたのですから、クーデターは必然だったのでしょう。彼らにとって、不可侵の”天皇”のご聖断でさえ絶対ではなく、覆さなければならない考えだったのです それが若さというものでしょう。結局、内閣をはじめ軍部は最高の決断である”天皇のご聖断”には逆らえませんでした
戦後の日本は”みんなが貧しい国”から経済復興を遂げ、新たな道を進んできましたが、今また新しい”格差”が生まれています 70年前は天皇という一人の人間の決断によって日本の運命が決まりましたが、象徴天皇になった現在においては、三権分立の中で、国会ではなく内閣総理大臣が(実質的に)大きな権力を握っています この映画を機会に、日本の置かれた現況を踏まえて今後の日本の進むべき道を考えるのも意義あることでしょう